総務省|令和7年版 情報通信白書|通信の秘密・利用者情報の保護

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第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題
第2節 電気通信事業政策の動向

(3) 通信の秘密・利用者情報の保護

ア 概要

スマートフォンやIoTなどを通じて、様々なヒト・モノ・組織がインターネットにつながり、大量のデジタルデータの生成・集積が飛躍的に進展するとともに、AIによるデータ解析などを駆使した結果が現実社会にフィードバックされ、様々な社会的課題を解決するSociety 5.0の実現が指向されている。

この中で、様々なサービスを無料で提供するプラットフォーム事業者の存在感が高まっており、利用者情報が取得・集積される傾向が強まっている。また、生活のために必要なサービスがスマートフォンなど経由でプラットフォーム事業者により提供され、人々の日常生活におけるプラットフォーム事業者の重要性が高まる中で、より機微性の高い情報についても取得・蓄積されるようになってきている。

利用者の利便性と通信の秘密やプライバシー保護とのバランスを確保し、プラットフォーム機能が十分に発揮されるようにするためにも、プラットフォーム事業者がサービスの魅力を高め、利用者が安心してサービスが利用できるよう、利用者情報の適切な取扱いを確保していくことが重要である。

イ 利用者情報の更なる保護に向けた検討

総務省で開催する「プラットフォームサービスに関する研究会」で、「プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ」を設置して議論を行った結果を踏まえて取りまとめられた「中間とりまとめ」(2021年9月)では、電気通信事業法などにおける規律の内容・範囲などについて、EUにおけるeプライバシー規則(案)の議論も参考にしつつ、Cookieや位置情報などを含む利用者情報の取扱いについて具体的な制度化に向けた検討を進めることが適当であると考えられるとされた。本取りまとめを踏まえ、電気通信事業者が利用者に電気通信サービスを提供する際に、情報を外部送信する指令を与える電気通信を送信する場合に利用者に通知・公表といった確認の機会を付与することの義務付けなど(以下「外部送信規律」という。)を内容とする電気通信事業法の一部を改正する法律が2022年6月に成立した。総務省では、その後、同年6月から9月まで同ワーキンググループを開催し、外部送信規律の詳細について検討を行い、電気通信事業法施行規則を改正し、規律対象者、通知・公表すべき事項、通知・公表の方法等について定めた。同法及び改正電気通信事業法施行規則は2023年6月に施行された。

2024年2月から、総務省で開催する「ICTサービスの利用環境の整備に関する研究会」及び同研究会のもとに設置された「利用者情報に関するワーキンググループ」において、スマートフォン上の利用者情報の更なる保護に向けて、アプリケーション提供者等の関係事業者が利用者情報を取り扱う上で実施することが望ましい事項をまとめた「スマートフォン・プライバシー・イニシアティブ(SPI)」の改定の議論を行っている。同年11月、外部送信規律の導入等の国内制度の改正や、諸外国及び民間事業者の動向の変化を踏まえ、ダークパターンの回避やセキュリティの確保等について新たに規定した「スマートフォン・プライバシー・セキュリティ・イニシアティブ(SPSI)」を公表した。

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本編
第Ⅰ部 特集 広がりゆく「社会基盤」としてのデジタル
1 社会生活におけるデジタルの浸透・拡大
2 企業活動におけるデジタルの浸透・拡大
4 日常生活、企業活動におけるデジタルサービスの重要性・不可欠性
1 AIの技術開発における現状と動向
2 AI利用の現状
1 海外ビッグテック企業の台頭
2 対応の方向性
1 主な課題の概要
第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題
第1章 ICT市場の動向
第1節 ICT産業の動向
5 ICT分野の研究開発の動向
第2節 電気通信分野の動向
2 我が国における電気通信分野の現状
3 通信分野における新たな潮流
第3節 放送・コンテンツ分野の動向
1 放送
2 コンテンツ市場
第4節 我が国の電波の利用状況
第5節 国内外におけるICT機器・端末関連の動向
1 国内外のICT機器市場の動向
2 国内外のICT端末市場の動向
第6節 プラットフォームの動向
第7節 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の動向
5 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の新たな潮流
第8節 データセンター市場及びクラウドサービス市場の動向
第9節 AIの動向
第10節 サイバーセキュリティの動向
2 サイバーセキュリティの現状
第11節 デジタル活用の動向
1 国民生活におけるデジタル活用の動向
2 企業活動における利活用の動向
3 行政分野におけるデジタル活用の動向
第12節 郵政事業・信書便事業の動向
1 郵政事業
2 信書便事業
第2章 総務省におけるICT政策の取組状況
第1節 総合的なICT政策の推進
1 現状と課題
第2節 電気通信事業政策の動向
1 概要
3 公正な競争環境の整備
4 デジタルインフラの整備・維持
5 電気通信インフラの安全・信頼性の確保
6 電気通信サービスにおける安心・安全な利用環境の整備
7 電気通信紛争処理委員会によるあっせん・仲裁など
第3節 電波政策の動向
1 概要
2 デジタルビジネス拡大に向けた電波政策
3 デジタルインフラ整備の推進
4 先進的な電波利用システムの推進
6 電波利用環境の整備
第4節 放送政策の動向
1 概要
3 放送事業の基盤強化
4 放送コンテンツ制作・流通の促進
6 放送ネットワークの強靱化、耐災害性の強化
第5節 サイバーセキュリティ政策の動向
1 概要
2 重要インフラ等におけるサイバーセキュリティ
3 サイバー攻撃対処能力の向上と新技術への対応
4 地域をはじめとするサイバーセキュリティの底上げに向けた取り組み
第6節 ICT利活用の推進
1 概要
3 インターネット上の偽・誤情報等への対応
4 安全・安心な情報の利用環境の整備
第7節 ICT技術政策の動向
1 概要
4 量子技術
第8節 ICT国際戦略の推進
1 概要
3 デジタル経済に関する国際的なルール形成などへの貢献
6 二国間関係における国際連携
第9節 郵政行政の推進
1 概要
2 郵政行政の推進
3 国際分野における郵政行政の推進
資料編
付注

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