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総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和7年版 > 総合的なICT政策の推進のための取組
第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題
第1節 総合的なICT政策の推進

2 総合的なICT政策の推進のための取組

我が国のIT戦略は、主にインフラ整備とIT利活用を推進する2001年1月に策定された「e-Japan戦略」から始まり、その後、累次の見直しが行われてきたところであるが、2021年9月に、我が国のデジタル社会実現の司令塔としてデジタル庁が発足して以降は、デジタル庁設置法に基づき、内閣総理大臣を議長とする「デジタル社会推進会議」が設置され、デジタル社会の形成のための施策の実施の推進及びデジタル社会の形成のための施策について必要な関係行政機関相互の調整が行われている。同会議においては、目指すべきデジタル社会の実現に向けて、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策を明記し、各府省庁が構造改革や個別の施策に取り組み、それを世界に発信・提言する際の羅針盤となる「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が議論されており、2025年6月には、その改定が閣議決定された。同計画では、デジタル社会で目指す6つの姿として、①デジタル化による成長戦略、②医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化、③デジタル化による地域の活性化、④誰一人取り残されないデジタル社会、⑤デジタル人材の育成・確保、⑥DFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)の推進をはじめとする国際戦略、を掲げており、これを実現するための政策等をとりまとめている。この計画を受け、総務省においては、関連する施策を進めているところである。

また、デジタル化の恩恵を国民や事業者が享受するためには、実際にデジタル技術の実装を通じて地方が抱える課題を解決することで、地域の暮らしの向上、産業の活性化、持続可能な社会の実現、幸福度の増大を図る必要がある。そのため、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくことで、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、構想の具体化を図るとともに、デジタル実装を通じた地方活性化を推進するため、2021年11月に内閣総理大臣を議長とする「デジタル田園都市国家構想実現会議」が設置された。同会議の議論を踏まえて、2022年6月に「デジタル田園都市国家構想基本方針」、同年12月に構想の中長期的な基本的方向を提示する2023年度から2027年度までの5か年の「デジタル田園都市国家構想総合戦略」が閣議決定された。さらに、2023年12月にはデジタル行財政改革の動きなどを踏まえ、「デジタル田園都市国家構想総合戦略(2023改訂版)」が閣議決定されるとともに、2024年6月には、「デジタル行財政改革取りまとめ2024」(2024年5月デジタル行財政改革会議決定)がとりまとめられた。

2024年10月には、「地方こそ成長の主役」との発想に基づき、地方がそれぞれの特性に応じた発展を遂げることができるよう、日本経済成長の起爆剤としての大規模な地方創生策を講ずるため、「デジタル田園都市国家構想実現会議」を発展させ、内閣総理大臣を本部長とする「新しい地方経済・生活環境創生本部」が設置された。同本部での議論を踏まえ、同年12月に地方創生2.0の「基本的な考え方」が決定され、2025年6月には、今後10年間集中的に取り組む地方創生2.0の「基本構想」が閣議決定された。

また、この「基本的な考え方」においてデジタル・新技術の徹底活用が柱の一つとして掲げられたことも踏まえ、総務省においては、2025年2月から、情報通信審議会情報通信政策部会において、日本の地域社会・経済を取り巻く状況、AIを含むデジタル技術の最新動向を踏まえた、地域社会DXの推進に向けた情報通信政策の在り方について審議されており、同年夏頃の答申が予定されている。

また、AIの活用をはじめとして、地方でDXを推進し、「地方創生2.0」を実現するためには、ゲームチェンジャーとして期待される「光電融合技術」を活用した「オール光ネットワーク」を中核とする新たなデジタルインフラの実現が切り札となる。近年、デジタル分野において海外依存が高まる中、安全保障の観点からも、こうしたデジタルインフラの中核となる技術・システムの競争力を強化し、海外展開を進めることが必要となる。

そのため、2025年5月、総務省は「DX・イノベーション加速化プラン2030」を公表した1(図表Ⅱ-2-1-1)。今後、「デジタルインフラ整備計画2030」及び「デジタル海外展開総合戦略2030」に基づき、DX・イノベーションの加速化に強力に取り組むこととしている。

図表Ⅱ-2-1-1 DX・イノベーション加速化プラン2030

【関連データ】デジタル田園都市国家構想実現会議

URL:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/index.html別ウィンドウで開きます

【関連データ】新しい地方経済・生活環境創生本部

URL:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_chihousousei/index.html別ウィンドウで開きます



1 「DX・イノベーション加速化プラン2030」の公表(2025年5月23日)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000340.html別ウィンドウで開きます

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本編
第Ⅰ部 特集 広がりゆく「社会基盤」としてのデジタル
1 社会生活におけるデジタルの浸透・拡大
2 企業活動におけるデジタルの浸透・拡大
4 日常生活、企業活動におけるデジタルサービスの重要性・不可欠性
1 AIの技術開発における現状と動向
2 AI利用の現状
1 海外ビッグテック企業の台頭
2 対応の方向性
1 主な課題の概要
第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題
第1章 ICT市場の動向
第1節 ICT産業の動向
5 ICT分野の研究開発の動向
第2節 電気通信分野の動向
2 我が国における電気通信分野の現状
3 通信分野における新たな潮流
第3節 放送・コンテンツ分野の動向
1 放送
2 コンテンツ市場
第4節 我が国の電波の利用状況
第5節 国内外におけるICT機器・端末関連の動向
1 国内外のICT機器市場の動向
2 国内外のICT端末市場の動向
第6節 プラットフォームの動向
第7節 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の動向
5 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の新たな潮流
第8節 データセンター市場及びクラウドサービス市場の動向
第9節 AIの動向
第10節 サイバーセキュリティの動向
2 サイバーセキュリティの現状
第11節 デジタル活用の動向
1 国民生活におけるデジタル活用の動向
2 企業活動における利活用の動向
3 行政分野におけるデジタル活用の動向
第12節 郵政事業・信書便事業の動向
1 郵政事業
2 信書便事業
第2章 総務省におけるICT政策の取組状況
第1節 総合的なICT政策の推進
1 現状と課題
第2節 電気通信事業政策の動向
1 概要
3 公正な競争環境の整備
4 デジタルインフラの整備・維持
5 電気通信インフラの安全・信頼性の確保
6 電気通信サービスにおける安心・安全な利用環境の整備
7 電気通信紛争処理委員会によるあっせん・仲裁など
第3節 電波政策の動向
1 概要
2 デジタルビジネス拡大に向けた電波政策
3 デジタルインフラ整備の推進
4 先進的な電波利用システムの推進
6 電波利用環境の整備
第4節 放送政策の動向
1 概要
3 放送事業の基盤強化
4 放送コンテンツ制作・流通の促進
6 放送ネットワークの強靱化、耐災害性の強化
第5節 サイバーセキュリティ政策の動向
1 概要
2 重要インフラ等におけるサイバーセキュリティ
3 サイバー攻撃対処能力の向上と新技術への対応
4 地域をはじめとするサイバーセキュリティの底上げに向けた取り組み
第6節 ICT利活用の推進
1 概要
3 インターネット上の偽・誤情報等への対応
4 安全・安心な情報の利用環境の整備
第7節 ICT技術政策の動向
1 概要
4 量子技術
第8節 ICT国際戦略の推進
1 概要
3 デジタル経済に関する国際的なルール形成などへの貢献
6 二国間関係における国際連携
第9節 郵政行政の推進
1 概要
2 郵政行政の推進
3 国際分野における郵政行政の推進
資料編
付注

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