【水上の女神〜レーサーの素顔(332)】竹井奈美/ボートレース

攻めの姿勢を貫いた、見事な復活Vだった。7月の福岡オールレディースの優勝戦に2号艇で出場した竹井は、2コースからの強烈なツケマイで快勝。2021年6月の江戸川オールレディース以来4年ぶり10度目の優勝を飾った。

「優勝できてうれしいというよりもホッとしました。あの節は流れとか、展開とかが良かったですね」

5日目の準優まで9戦8連対と好リズムだったことは確かだが、「(2コースから)差して優勝は無理だと思っていました。勝つなら上を握るしかない」と勝負どころでも持ち味を発揮することを選択した強い気持ちが勝利を引き寄せた。

昨年2月のGIIレディースオールスター(びわこ)を最後に2度目の産休に入っていた竹井は、今年4月の若松で復帰。優勝した7月の福岡を含めて、女子戦を中心にコンスタントな活躍を見せている。

「(母になって)レースに対する気持ちは変わらないです。レースで子供と離れるのはさみしいけど、どうせ会えないなら優勝して帰りたいと考えています」

しばらくは仕事と育児に奮闘する日々が続きそうだが、SGやGIなど上の舞台への思いを聞くと「まだ全然考えていません」と答えが返ってきた。

「SGで走る選手と比べると操縦とか調整力とか、全ての部分が足りない。伸びしろしかないです」

現状の実力を冷静にとらえて、さらなるレベルアップに挑む。貪欲に〝強さ〟を求める姿はこれからも変わらない。(立山友基)

=次回は11月7日に掲載

■しかく竹井 奈美(たけい・なみ) 1989(平成元)年7月31日生まれ、36歳。福岡県出身。104期として2009年5月に福岡でデビュー。夫は同じ福岡支部で75期の桂林寛(54)。趣味は旅行、ドライブ。好きな食べ物は和食全般。26日開幕の鳴門一般戦に出場予定。151センチ、48キロ。血液型A。