【ベテラン記者コラム(795)】角田裕毅が来季シート喪失...見通せない日本人F1ドライバーの将来

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レッドブルで来季、正ドライバーのシートを失い、テスト兼控えドライバーとなることが決まった角田裕毅©Getty Images / Red Bull Content Pool

今季の自動車F1シリーズが幕を閉じた。レッドブルで来季、正ドライバーのシートを失い、テスト兼控えドライバーとなることが決まった角田裕毅はドライバー部門で総合17位に終わった。姉妹チームのレーシングブルズで今季の開幕を迎え、第3戦の日本グランプリ(GP)からレッドブルに移籍。初の表彰台が期待されたが、第8戦から7戦連続で10位以内の入賞を逃し、最高位は第17戦アゼルバイジャンGPの6位にとどまった。

「まだ終わっていない。一度はシートを離れることになるが、最高のF1ドライバーになる夢はまだ諦めていない」

レッドブルの正ドライバーは今季、総合5連覇は逃したものの8勝を挙げたマックス・フェルスタッペン(オランダ)とレーシングブルズの新人で3位に1度入ったアイザック・アジャ(フランス)。レーシングブルズはリアム・ローソン(ニュージーランド)が残留し、今季F2でレースをしていたアービッド・リンドブラッド(英国)とともに正ドライバーを務める。

同情すべき点はある。成績不振のローソンと入れ替わる形でレッドブルに昇格。マシンの特性を把握できないまま、ぶっつけ本番の闘いを強いられた。フェルスタッペン最優先のチーム方針の中、戦略ミスで足を引っ張られる場面も見られた。レッドブルのローラン・メキエス代表は「これまでのF1の5シーズンで裕毅は完璧なレーサーに成長した。チームを代表して彼の貢献に感謝する」と声明を出した。

角田がシートを失ったことで26年は6年ぶりに日本人が不在となる。レーシングブルズの控えドライバーを担当した岩佐歩夢は、日本のスーパーフォーミュラで初の総合優勝を果たしたが、レッドブル系列2チームのドライバー候補には挙がることはなかった。

来季は角田と岩佐を支援するホンダが5年ぶりにF1に復帰し、アストン・マーチンにパワーユニット(PU)を供給する。元総合王者フェルナンド・アロンソ(スペイン)は2026年限りでの現役引退を示唆し、チームオーナーを父に持つランス・ストロール(カナダ)の実力には常に疑問が付きまとう。ただ、控えドライバーはジャック・クロフォード(米国)に決まっており、日本人ドライバーが付け入る余地はなかった。

02年にF1に参戦し、リーマン・ショックによる経営不振により、1度も優勝しないまま09年シーズン終了後に撤退したトヨタは、昨季から小松礼雄氏が代表を務めるハースと車両開発などの分野で業務提携している。来季は冠パートナーとなり、チーム名をトヨタ・ガズー・レーシングの頭文字を取って「TGRハースF1チーム」として参戦する。平川亮が控えドライバーに名を連ねているがF1復帰は明言おらず、日本人F1ドライバーの将来は見通せない状況となっている。(江坂勇始)

記者:江坂勇始

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