場所は埼玉県富士見市鶴馬とあるが、土地勘がないのでイメージが湧かない(苦笑)。ちょっと待った。では「富士見麦酒醸造所 大泉学園クラフトビール工房」とはなんぞや? こちらもネットで検索すると、上福岡の姉妹店のようで、ビール醸造所を併設しているとある。つまり、今回飲んだ「上福岡駅・西口」シリーズは、富士見市鶴馬の醸造所ではなく、大泉学園クラフトビール工房に併設する醸造所で造られたというわけだ。
10月30日の上福岡クラフトダイニングに戻る。
僕が最初にオーダーしたのは「レッドエール」。見た目は薄めのブラウン。一口飲むと最初に焙煎(ばいせん)麦芽の甘みとコクを感じた。その後、エールらしい香りが追いかけてくる。苦みもそこそこあって悪くない。醸造経験ゼロからスタートして5年。その間にスキルを磨いてきたことがわかる。
メニューの説明書きはこうだ。<ゆっくり飲むのにちょうど良い♪赤銅色が特徴のエールビール。カラメルのような香ばしい香りとモルトの甘みとコクが感じられます>。飲んで思った通りのことが書かれていた(カンニングしてませんよ)。須藤さんはヴァイツェンから始めていた。
2杯目は「ブラックIPA」。見た目は名前通り真っ黒。ブラックIPAについては、なにもIPAにしなくてもいいじゃんと思うことが多い(インクホーンの「SQUARED CROWS」を除く。このビールに興味のある方は連載135を読んでください)ので警戒していた(笑)が、飲んでみると焙煎麦芽の味わいは大きく主張していなかった。ブラックIPAとはいいながらホッピーではなく、やっぱりポーターやスタウトっぽさの方が強いが、IPAに寄せようとする意図と努力は感じられた。苦みは何度か飲むうちに感じられるようになった。
ブラックIPAの説明書きは<真っ黒なIPAを造りました!ポップの苦み、香りが特徴のIPAに、ローストモルトのコクをプラス。見た目に反し、すっきりとした喉越しが楽しめます!>。
3杯目か4杯目にこれを飲んだ須藤さんが「ギネスのスタウトより、よっぽどコクがありますよ」と聞き捨てならないことを言うではないか。えっ?と思ったが、実際にギネス樽生(スタウトかどうかは不明)と飲み比べてみると、明らかにギネスよりコクも苦みもあった。ギネスってこんなにスムーズな飲み口で軽かったっけ?