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10)糖尿病による腎不全と透析(日常生活の留意点)

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10)糖尿病による腎不全と透析(日常生活の留意点)

(1)糖尿病による腎不全の特徴

最近、糖尿病による慢性腎不全の患者さんが著しく増加してきています。
血糖コントロールの悪い状態が長期間続きますと、いろいろな合併症が現れますが、とくに腎臓の障害は糖尿病性腎症とよばれます。
糖尿病になって10年以上経過すると発症しやすくなり、蛋白尿が出始めると危険信号です。
高血圧もしっかりと治療しないと、腎臓の障害はますます進行します。
やがて全身のむくみ(浮腫)があらわれるようになり、腎臓の働きも低下(腎機能障害)して、ついには透析療法が必要になります。
糖尿病の患者さんは、血液透析か腹膜透析(CAPD)のいずれも選択できますので、担当の医師とよく相談してください。
強いていえば、心臓病や循環器疾患をもつ患者さん、血管の動脈硬化がつよくてシャントが作りにくい方、眼底出血のある方などはCAPDが向いているといえましょう。

(2)糖尿病食から透析食へ

透析療法に移行すると、これまで慣れ親しんできた糖尿病食から全く異質な透析食に変更する必要がでてきます。
透析療法を受けている患者さんは栄養不良になりやすいので、カロリーはやや多めにとる必要があります(糖尿病であっても体重1kgあたり30kcalを目安に)。
ただし、腹膜透析(CAPD)を受けている患者さんは、腹膜から透析液中の高濃度の糖が体内に吸収されるため、カロリー摂取量を若干控えめにしてください。
カリウム制限はとくに重要で、1日1.5gを超えないように注意し、カリウムが多く含まれている食品(生野菜、果物、芋類、海藻、ブロッコリーなど)をとりすぎないように気を付けてください。
さらに、水分制限と塩分制限にも気を配りましょう。

(3)糖尿病の治療薬について

透析療法期になると経口糖尿病薬の使用は原則的に避けるべきです。
薬の効果が長時間持続して、思わぬ低血糖発作を起こしかねないからです。
ただし、腸管から糖の吸収を遅らせる作用のある糖尿病薬(αグルコシダーゼ阻害薬)は、体内に吸収されないので腎不全状態でも使用することができます。
インスリン注射は、腎不全状態になると投与量が少なくて済むようになります。
透析導入前と比べて、少量のインスリンでも効きすぎることがありますので、低血糖に注意して下さい。
なお、腹膜透析(CAPD)を受けている患者さんは腹腔内にインスリンを投与(実際には透析液バッグ内にインスリンを注入することになる)しますが、詳しい方法については医師の指示を受けて下さい。

(4)日常生活の留意点

日常生活一般については,疲労の残らない程度でおこない、家事についても同様です。
勤務も疲労を感じない程度の座ってする仕事ならよろしいが、超過勤務や残業は控えましょう。
適度な運動はストレスの解消と体力の維持のためにも望ましいのですが、散歩やラジオ体操程度がよいでしょう。
糖尿病網膜症(眼底出血)や神経障害のつよい方は、運動が逆効果になりますので、必ず医師の指示を受けて下さい。



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