保健学専攻 言語聴覚学分野

Field of Speech, Language, and Hearing Sciences

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高度専門職を育成し、社会に貢献

言語聴覚学は、音声・聴覚系の構造・機能・病態に関する基礎的あるいは臨床的研究を行うこと、言語機能を含む高次脳機能に関する原理を明らかにすること、さらには摂食嚥下のメカニズムを明らかにすることにより、それらの障害の発生機序、評価・訓練・治療方法を総合的に探究する学際的な分野です。言語聴覚学分野では、互いに関連する多様な障害の構造を解明することによって、音声、聴覚、言語、摂食嚥下機能そして認知機能などに障害を持つ人々のQOL向上と維持を目的として、有効な治療や支援方法を探求できる人材を育成します。

トピックス

発展途上国における補聴器装用効果評価の試み -JICA活動を通じて-

写真提供:今井健志朗さん/JICA

本学大学院には国際協力機構(JICA)と連携したプログラム(青年海外協力隊等プログラム)があります。2015年度修了の平井香織さんは、この制度を利用して、アフリカの聴覚障害支援学校に派遣されている青年海外協力隊員として言語聴覚学分野に入学しました。「現地では、日本で当たり前となっている制度や検査方法が確立されていないため、支援内容を理解してもらうための努力と教育システムの構築が必要でした。まず手始めには海外から寄付された補聴器の管理、対象児の聴力レベルの把握、補聴器装用指導を行いますが、その前に養育者に対して補聴器の必要性や教育の必要性を説明しなければなりませんでした。現地にいるオーストラリア国のオージオロジストと協力をしながら、測定機器が不十分な状況で、聴覚関係の機器をできるだけ使用せずに適正な装用閾値を推定する方法、補聴器の効果を客観的に提示できるように現地語による語音聴力検査の開発などを計画しました。教育に対する国民の理解が不十分な中で補聴器装用がもたらす教育の効果、派遣国に客観的な語音聴取能力の評価方法を定着させるために、インターネットを利用して本学教員の指導のもとに現地で調査を行った後、帰国し、論文としてとりまとめました。」(平井さん)

特色

深い専門的知識と論理的思考力を備えた人材の育成

言語聴覚学分野では基礎的あるいは臨床的研究を推進し、日常の臨床活動のエビデンスを提供するとともに新たな言語訓練法を提案することに加え、高度専門職業人として社会のニーズに応えられる、より深い知識と論理的思考力を備えた人材の育成を教育目標としています。

大学院ならではの施設・設備

大学院生室は言語聴覚学分野の教員研究棟と同じ棟にあり、各専門領域の教員に気軽に質問することができます。専用パソコンも設置されています。実験実習棟には音声音響分析の機器、各種言語検査機器や訓練教材、防音室には聴力検査機器や補聴器・人工内耳関係の設備が揃っています。

臨床に根ざした視野の広い研究の実践

言語聴覚学分野は、臨床に根ざした幅広い領域にテーマを求めて研究に取り組んでいます。近年の研究には、健常成人における努力嚥下時の音響特性について(藤原、2019)、高次脳機能障害における自動車運転再開の神経心理学的研究(佐藤、2024)などがあります。

研究テーマ例

(注記)テーマタイトルをクリックすると担当教員の教員紹介をご覧いただけます。

定型発達児または言語発達障害児における音韻および韻律的分析
言語(発達)障害児の指導および環境に関する検討
読み書き障害児の言語および指導プログラムの検討
弁別素性に基づく音韻障害の治療
脳血管疾患による失語症および読み書き障害の症例研究
脳損傷後の高次脳機能障害に対するリハビリテーションと支援
変性性認知症患者における質感認知障害に関する研究
雑音負荷による文章音独自の発生音圧、音読時間、基本周波数の変化の検討
大学生のイヤホンまたはヘッドホンの使用状況と耳症状および聴力に関する調査
健常成人における努力嚥下時の音響特性について
教育・保育担当者の(あるいは、現任STの)構音障害認知に関する研究
嚥下色を美味しく見せるために(嚥下食の色彩について)
摂食嚥下障害患者の器質的・機能的口腔ケアとその嚥下性肺炎予防効果
摂食嚥下障害患者と口腔機能:口腔ケアと誤飲性肺炎
接触・嚥下障害患者の食事介助時の体位について
口腔機能障害への機能回復訓練
脳卒中後のdysarthria話者における病変部位による発話の音響特徴の違い
舌圧測定器を用いた新しい舌運動機能の指標と構音運動機能との関係性

履修モデルと1週間のスケジュール

(注記)ご自身の履修科目等により異なりますので、一例として参考にしてください

黒字
対面授業を表します。
赤字
メディア授業を表します。メディア授業には同時双方向型、オンデマンド型の形式があり、曜日時限が指定されている場合は、同時双方向または、同時双方向とオンデマンドとの組合わせで実施します。
オンデマンド型は、曜日時限の指定がないため自身のペースで進めることができます。
集中講義は、土日や夏休み、冬休みなどを利用して実施します。
緑字
自主的な研究活動を表します。所属する分野によって「ゼミ」や「勉強会」と称し、共同で研究活動を実施する場合もあります。個人で、あるいは他の研究生とともに、あるいは指導教員の指導の下で各自の研究を進めますので、曜日時限は各自の都合に合わせて設定します。

フルタイム院生の例

1年次前期

1時限9:00〜10:30 2時限10:40〜12:10 3時限13:10〜14:40 4時限14:50〜16:20 5時限16:30〜18:00 6時限18:10〜19:40 7時限19:50〜21:20
研究
研究
自然科学系
研究方法論
アカデミック
・スキルズ
言語聴覚学特論
スポーツ
集中講義
オンデマンド型 疫学の基礎と応用、統計解析評価学特論

1年次後期

1時限9:00〜10:30 2時限10:40〜12:10 3時限13:10〜14:40 4時限14:50〜16:20 5時限16:30〜18:00 6時限18:10〜19:40 7時限19:50〜21:20
研究
言語聴覚・摂食
嚥下機能学演習
研究
高次脳機能学演習
集中講義
オンデマンド型

2年次前期

1時限9:00〜10:30 2時限10:40〜12:10 3時限13:10〜14:40 4時限14:50〜16:20 5時限16:30〜18:00 6時限18:10〜19:40 7時限19:50〜21:20
研究
言語聴覚・摂食
嚥下機能学演習
研究
高次脳機能学演習
研究
集中講義
オンデマンド型

2年次後期

1時限9:00〜10:30 2時限10:40〜12:10 3時限13:10〜14:40 4時限14:50〜16:20 5時限16:30〜18:00 6時限18:10〜19:40 7時限19:50〜21:20
研究
研究
研究
研究
集中講義
オンデマンド型

社会人院生の例

1年次前期

1時限9:00〜10:30 2時限10:40〜12:10 3時限13:10〜14:40 4時限14:50〜16:20 5時限16:30〜18:00 6時限18:10〜19:40 7時限19:50〜21:20
仕事
仕事
仕事
仕事 自然科学系
研究方法論
アカデミック
・スキルズ
仕事 言語聴覚学特論
集中講義
オンデマンド型 疫学の基礎と応用、統計解析評価学特論

1年次後期

1時限9:00〜10:30 2時限10:40〜12:10 3時限13:10〜14:40 4時限14:50〜16:20 5時限16:30〜18:00 6時限18:10〜19:40 7時限19:50〜21:20
仕事
仕事 言語聴覚・摂食
嚥下機能学演習
仕事
仕事 高次脳機能学演習
仕事
集中講義
オンデマンド型

2年次前期

1時限9:00〜10:30 2時限10:40〜12:10 3時限13:10〜14:40 4時限14:50〜16:20 5時限16:30〜18:00 6時限18:10〜19:40 7時限19:50〜21:20
仕事
仕事 言語聴覚・摂食
嚥下機能学演習
仕事
仕事 高次脳機能学演習
仕事
研究
集中講義
オンデマンド型

2年次後期

1時限9:00〜10:30 2時限10:40〜12:10 3時限13:10〜14:40 4時限14:50〜16:20 5時限16:30〜18:00 6時限18:10〜19:40 7時限19:50〜21:20
仕事
仕事
仕事
仕事
仕事
研究
集中講義
オンデマンド型

修了後の進路

  • 医療施設(病院、リハビリテーションセンター等)言語聴覚士
  • 保健施設(介護老人保健施設、デイケアセンター等)言語聴覚士
  • 福祉施設(特別養護老人ホーム、デイサービスセンター等)言語聴覚士
  • 大学教員
  • 言語聴覚士養成機関教員
  • 教育機関(小中学校、特別支援学校等)教員
  • 博士後期課程進学

分野長メッセージ

臨床上の問題を科学的に解決していく力を培う

吉岡 豊保健学専攻 言語聴覚学分野長

成人や小児の言語療法を行っていると、症状把握が不十分であることから、どのようにアプローチしていけばよいのかわからない状況に遭遇すると思います。そのような時は同じような症例がないかを研究誌などで探すのではないでしょうか。それは他人の研究を利用していることにほかなりません。

大学院では実験的な研究をしなければならないと考えておられる人もいるかもしれません。しかし、大切なことは得られたデータを基に論理的・科学的に思考する力を身につけることです。よい臨床は厳密に構成された実験的な訓練になると考えています。よりよい臨床を実践し、患者様にさらに貢献できるステップアップした言語聴覚士になりたいと考えておられる方々の入学をお待ちしています。

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