平成24年9月28日
科学やテクノロジーが急速に進展することによって、私たちの生活は今までになく便利になりましたが、その一方で、科学技術の発達は社会の中に存在するさまざまな境界を曖昧にし、私たちに根源的な問いを突きつけています。
例えば、ロボット工学や人工生命の研究が目指す「機械の生命」は、人間と人間でないものの境界とは何かという問いを投げかけています。そのような機械と人間の境界の他にも、私たちの社会の中には、人間と動物、男性と女性、自己と他者、リアルとバーチャルといったさまざまな境界があります。その境界線上には、どちらともつかないもの、曖昧なものが存在しますが、私たちはそれらに驚き、恐れると同時に理解しようと試みています。
本展覧会では、「アノニマス・ライフ 名を明かさない生命」ということばを手がかりに、機械と人間を分かつ自明であったはずの「生」の意味を問い直すとともに、テクノロジーの発達が新たな光を当てたアイデンティティの問題をテーマとするアーティストによる映像作品、写真作品をはじめ、ロボット工学の研究成果やデザイン分野の表現などを紹介します。
平成24年11月17日(土)〜平成25年3月3日(日)※(注記)2 11:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
(京王新線 初台駅東口から徒歩2分)
一般・大学生:500円(400円)※(注記)3/高校生以下無料
制作:株式会社サンケイビル 株式会社ブリーゼアーツ
制作協力:株式会社米朝事務所
製作指揮:石黒浩
製作:株式会社アークエストスタジオ
©株式会社ブリーゼアーツ・株式会社米朝事務所
今夏、落語家で人間国宝の桂米朝米寿記念にあわせて公開された《米朝アンドロイド》を展示。本人そっくりに作られた人間型ロボットは、上方伝統文化の落語を未来型ロボットで後世に残したいという意図で企画されました。自分の風貌に酷似した人間型ロボットを開発した大阪大学教授の石黒浩が製作を指揮し、《米朝アンドロイド》は非常に人間らしい振る舞いをします。
「エレベーター・ガール」シリーズと呼ばれる一連の写真作品を展示。個性を払拭され、均質化された外観、訓練された立ち居振る舞いを備える「エレベーター・ガール」は、消費社会が生んだ「サイボーグ」のようです。近代的な建物の閉塞した空間の中に閉じ込められた彼女たちは、充足感とも戸惑いともつかない表情を見せています。
ニューヨークに住む友人の家に向かう道中を撮影した映像作品。高嶺は着ている服、靴、帽子などを、道ばたで出会った人と交換しながら友人のもとを目指します。次々と衣服を取り替えて行くそのさまは、衣服という自己のアイデンティティを脱ぎ捨て、様々な他者のアイデンティティを身にまとうことを暗示しながらも、カメラにおさめられたその様子は、笑いを誘うユーモアにあふれています。
Photography: Takuya Shima
靴デザイナーの串野真也とのコラボレーションにより「歩くと靴のかかとから菜の花のタネが地中に植えられ、歩いたあとから菜の花が咲いていく」不思議なハイヒールを展示。本展覧会では、《菜の花ヒール》を展示するとともに《菜の花ヒール》をテーマにした新作映像を発表します。
会期中、関連イベントの開催など、さまざまな展開を予定しております。
詳細は、別途ICCホームページ(https://www.ntticc.or.jp/新規ウィンドウで開く)にてお知らせします。
報道発表資料に記載している情報は、発表日時点のものです。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。
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