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原子力安全規制の転換
「放射線の有害な影響から人と環境を守る」との強い決意のもとに、「安全上の最新の知見を施設及びその運用に反映する規制」「事業者自らが不断に安全
性向上に向けて取り組む責任」を確立するとともに、「法令による透明化」により、国民の目に見えるようにする。
 安全規制体系の基本理念が成文化されていない。ま
た、国際整合性に関する基本的方針が不明確。
 事故の「発生防止」に偏り、「万一過酷事故(シビアアク
シデント)が発生した場合にも今般のような放射性物質
の大量放出を起こさない」ための備えが欠如。自主保
安による対応の限界。
 安全に関する新知見や新技術を、施設に的確に反映
したり、リスク情報を規制に反映させることにより、世界
最高水準の安全レベルを維持するシステムの欠如。
 原子力施設の安全確保の第一義的責任を負う事業
者の安全意識の欠如。(単に規制をクリアすればよい
という考え方にとどまり、施設の安全性の向上に向けた
意識が低かった)。
 事故の原因想定において、自然現象に起因する共通
原因多重故障に対する備えの不足。複合災害という
視点も欠如。
 安全対策の有効性に対する過信、慢心による検査・
審査の形骸化。
【事故の教訓、内外からの指摘】
1.「想定外」への対応〜過酷事故(シビアアクシデント)も考慮した安全規制への転換
(1)施設に対する規制基準の抜本的な強化
(交流・直流電源の多重・多様性確保、設備内部への水の浸入防止、格納容器のベント(排気)システムの改善等)
(2)これまで事業者の「自主的取組」と位置づけてきた事故発生時の対策(アクシデントマネジメント)を、法令による規制対象に
(3)炉毎に、施設の設計及び運用における安全対策の総合的なリスク評価を義務づけ、結果を国に届け出るとともに、公表を義務づけ
2.最新の知見による規制〜最新の知見を既存施設にも反映する規制への転換
(1)最新の技術的知見を技術基準に取り入れ、既に許可を得た施設に対しても新基準への適合を義務づける、いわゆるバックフィット制度を導入
(2)安全性向上につながる施設改造に対する届出制度の導入
(3)多数の原子力施設に導入が可能な設備・機器等に対する型式承認制度を導入
3.高経年化炉対策としての「40年運転制限制」を導入
発電用原子炉については、運転開始後40年を超えては運転ができないこととし、例外として、原子炉設置者から延長の申請があった場合に、
1施設自体の経年劣化の評価
2運転期間中に的確に原子炉施設の保全を遂行する技術的能力
を審査し、問題がないものに限り一定期間の運転延長を承認する制度を導入
4.事業者責任の明確化〜事業者自らの安全性向上への取組責任を明確化
(1)事業者が第一義的に災害防止のために必要な措置を講ずる義務を有する旨を明確化
(2)運転開始以降のみならず、設計・建設段階からの品質管理活動を行うことを法令により義務づけ
(3)炉毎に、安全対策の総合的なリスク評価を義務づけ、国への届出と公表を義務づけることにより、「見える化」し、社会評価に供する。(1(3)の再掲)
5.災害発生時等の国民の生命・健康の保全確保の徹底
(1)災害が発生した施設(例:東電福島原子力発電所)に対する安全規制措置の導入(施設の指定、計画策定・遵守、検査等)
(2)公共の安全の維持又は災害防止のための使用停止等の緊急措置命令の導入
6.原子力安全規制の一本化〜電気事業法との分離
(1)電気事業法の原子力発電所に対する安全規制(工事計画認可、使用前検査等)を、原子炉等規制法に一本化
(2)原子炉等規制法の目的、許可等の基準から「原子力の開発及び利用の計画的な遂行」を削除し、安全の観点からの規制を明確化
(3)原子炉等規制法の目的として、放射性物質の施設外への異常放出を防ぐことを明示し、「人と環境を守る」ことの実効性を高めることを明確化
【原子力基本法、原子炉等規制法見直しのポイント】(7つの転換)】
〇 原子力基本法の見直し
しろまる 原子力利用における安全の確保は、原子力安全に関する国際的な動向を踏まえ、「放射線による有害な影響から人と環境を守る」ために行う
ことを明文で規定。
〇 原子炉等規制法の見直し
「東京電力福島原子力発電所における事
故調査・検証委員会」中間報告、
「原子力事故再発防止顧問会議」提言等
の指摘から

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