169 MHz帯電波
来るべきロボット社会到来への期待やドローンの長距離を隔てた運用や画像伝送のニーズに応えるため、総務省が2016年8月に制度化した無線局「無人移動体画像伝送システム」の周波数の一つ。無線局免許の下で運用できる。この周波数帯は、2.4 GHz帯等の従来の周波数に比べて、障害物を回り込み、周囲の構造物等を反射して遠方に届きやすい特性を持つ。本制度では、上空では10 mW、地上では1 Wまでの送信出力で運用でき、条件が良ければ、5〜10 kmの距離で遠隔制御できる可能性を有する。ただし、高速伝送はあまり得意ではないという特性がある。
砂防堰堤(さぼうえんてい)
比較的勾配が急な河川において、上流から流れてくる土砂を受け止め、貯まった土砂を少しずつ流すことにより、下流に流れる土砂の量を調節する施設。土石流が発生した場合の破壊力を弱める働きがある。豪雨などにより損壊することがあるため、その都度、点検やメンテナンスを行う必要がある。沢の奥深くに設置されている場合が多く、踏査に時間を要するとともに危険を伴うため、ドローンの活用による点検の効率化とリスク回避が求められている。
レベル3飛行
空の産業革命に向けて、社会実装(飛行技術)をレベル分けしたものを「飛行レベル」と呼び、レベル1〜レベル4が定義されている。レベル1は目視内での操縦飛行、レベル2は目視内での自動/自律飛行、レベル3は無人地帯での目視外飛行(補助者あり)、レベル4は有人地帯での目視外飛行(補助者なし)とされている。既に2022年12月にレベル4が制度化されているが、2023年12月には、更なるドローンの普及促進を目指してレベル3.5(無人地帯での補助者なしでの目視外飛行)も導入された。
出典;
(1)国土交通省資料「カテゴリ—II(レベル3)飛行の許可・承認申請に関する説明会」2023年9月
(2)国土交通省資料「ドローンのレベル3.5飛行制度の新設について」2023年12月26日
マルチホップ中継制御通信技術(コマンドホッパー)
途中に大きな障害物などがある場合、上記の169 MHz帯でも電波が急激に弱くなり、通信が届かなくなることがある。そのような場合であっても無線通信を途切れさせないようにするため、中継局を一つあるいは二つ配置し、これを経由してドローンと地上局の間で制御情報(コマンド信号)や位置情報等(テレメトリ信号)を双方向でリレー中継(マルチホップ)して通信を行う技術のこと。NICTでは、これを「コマンドホッパー」と呼んでいる。
免許が不要な周波数である920 MHz帯と免許が必要となる169 MHz帯のどちらかを選択して通信することができる。920 MHz帯の方は比較的高速にデータを送ることができるが、通信距離は1 km程度までとなるため、169 MHz帯とは用途や条件に応じて使い分けることを想定している。
刻々と位置や状態が変化していくドローンとの間で遅れることなくコマンド信号を送り、かつテレメトリ信号を受信できるようにする通信プロトコルを採用している。中継局は、ドローンに載せる場合と地上あるいは鉄塔や建物の屋上等に設置する場合がある。
ホップ数
地上局とドローンが通信する場合に、中継局を経由せずに直接通信する場合をホップ数1、中継局を一つ経由してリレー中継する場合をホップ数2、中継局を二つ経由してリレー中継する場合をホップ数3のように数えている。
コマンドホッパーでは、電波が伝わる環境によって、ホップ数1〜3を自動で切り替える機能を備えている。
今回の実験では中継局を一つだけ使用したため、ホップ数は最大2までとなっている。通信が完全に途切れた場合はホップ数を0としている。
地線(ラジアル)
線状アンテナからの電波の放射・受信効率を改善するために用いられる放射状の線状導体。アンテナに接続されたケーブル(同軸線路)の外部導体にアンテナからの電流が不必要に流れてしまうことを防ぐことで、放射・受信特性が改善されることが知られている。ドローンに搭載したアンテナの場合は、これを用いることで、ドローンのフレーム等に流れる不必要な電流も防ぐものと考えられる。