犯罪捜査における個人識別情報等の取扱いに関する意見書
本意見書について
日弁連は、2025年6月19日付けで「犯罪捜査における個人識別情報等の取扱いに関する意見書」を取りまとめ、同月23日付けで、内閣総理大臣、法務大臣、警察庁長官、国家公安委員会委員長及び個人情報保護委員会委員長宛てに提出しました。
本意見書の趣旨
1 被疑者の個人識別情報である指掌紋等データの収集・抹消手続に関し、法律で以下の事項を定めること。
(1) 指掌紋等データの収集は、当該事件の捜査に必要である場合に限ること。
(2) 身体の拘束を受けていない被疑者について収集する場合には、当該捜査に指掌紋データあるいは顔写真データが必要であること、収集した指掌紋等データは他の捜査に利用する場合があること、法律で定められた時期に抹消すること、被疑者が収集について承諾しなくても事実上帰宅させてもらえないなどの不利益を受けることはないことなど、重要な事項を明記した書面を示し、その説明をして被疑者の承諾を得ること。
(3) 指掌紋記録等 及び被疑者写真記録 の抹消時期を以下のとおりとすること。
1 無罪判決(心神喪失の場合を除く)が確定したとき及びこれと同等に犯罪の成立を認定できなかったとき(有罪判決確定後に再審無罪判決が確定したとき、送検されなかったとき、送検後に検察が「嫌疑なし」「嫌疑不十分」により不起訴処分にしたとき)
2 有罪判決を受け刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者、及び執行猶予判決を受けた者が罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したとき
3 起訴猶予処分を受けた者又は心神喪失を理由として無罪判決を受けた者が罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したとき
4 指掌紋等データに係る者が死亡したとき
(4) 元被疑者に指掌紋等データの抹消請求権を認めること。
2 警察庁、警視庁及び道府県警察本部が管理運用しているNシステムの設置運用について以下の事項を法律で定めること。
(1) 保存目的は盗難車両や手配車両等のナンバーの検索確認に限定すること。
(2) (1)の目的に即した合理的な保存期間を設定し、期間経過後は抹消すること。
(3) Nシステムの設置状況及び運用実績を定期的に公表すること。
(4) 被疑者・被告人が開示請求した場合には警察はこれに応じること。
3 個人情報保護委員会は、個人情報の保護に関する法律の規定に基づき、警察庁、警視庁及び道府県警察本部における指掌紋等データの取扱いやNシステムが適正に運用されるよう監視の役割を十分に果たすこと。
(※(注記)本文はPDFファイルをご覧ください)