150th ANNIVERSARY

特集

法曹養成制度の改革
〜社会のニーズに応える法曹を育てる〜

従来の法曹養成

従来の法曹養成の仕組みは、司法試験の合格者が、2年間の司法修習(1999年(平成11年)4月開始の司法修習からは1年6か月)を経て、法曹(裁判官・検察官・弁護士)になるというものでした。

司法試験合格者数は、1990年(平成2年)まで年間500人程度で推移し、その後1993年(平成5年)に700人台、1999年(平成11年)に1,000人台、2004年(平成16年)に1,400人台と増加しました。その一方で、司法試験の合格率は数パーセントにとどまり、受験競争の弊害も指摘されていました。

司法試験合格者数の遷移図
日本弁護士連合会編著「弁護士白書2024年版」より抜粋

法科大学院制度の創設と法科大学院の開校

2001年(平成13年)6月に取りまとめられた「司法制度改革審議会意見書」は、社会・経済の発展に伴い、法曹に対する需要が量的に拡大し、かつ質的にも一層多様化・高度化していくと予想し、司法制度改革の3つの柱の1つとして「司法制度を支える法曹の在り方(人的基盤の拡充)」を掲げました。その実現のために、司法試験による「点」による選抜ではなく、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度を整備することとし、その中核として、法曹養成に特化した法科大学院が設けられることになりました。

そして、2004年(平成16年)4月に法科大学院68校が開校し(総学生数5,767名)、翌年4月にはさらに6校が開校して計74校になりました。2006年(平成18年)3月に最初の法科大学院修了生(既修者コース)が、翌年3月に未修者コースの最初の修了生がそれぞれ誕生し、新しい司法試験に挑みました。

法科大学院では実務との架け橋を強く意識した教育を行うこととされ、多くの弁護士が実務家教員などの立場で法科大学院教育に携わることとなりました。また、法科大学院制度の発足に伴い、司法修習期間は1年間となりました。

法曹コースの開始

法科大学院は、初年度(2004年度(平成16年度))に7万人超の志願者を集めたものの、その後、志願者・入学者ともに減少していきました。2008年度(平成20年度)は4万人をわずかに下回る程度だった志願者数は、2009年度(平成21年度)には3万人を下回り、2016年度(平成28年度)に1万人を下回りました。2011年度(平成23年度)には法科大学院1校が募集を停止するに至り、その後、40校が募集を停止し、既に22校が廃止しています(2025年(令和7年)10月現在)。

こうした法科大学院が直面する厳しい状況の要因の一部として、司法試験の合格率の低迷や受験資格取得までの時間的・経済的負担が重いという課題が浮き彫りになりました。

そこで、2019年(令和元年)6月に、法曹になるまでの時間的・経済的負担を軽減し、法曹志望者・法科大学院志願者を増加させることを目的とした法改正がなされました。その内容は、大学の法学部などに「法曹コース 」を設けて、法科大学院の既修者コースの教育課程を一貫的に接続する体系的な教育課程に編成し、大学を3年間で卒業して法科大学院の既修者コースを2年間で修了するという、「3+2」と呼ばれる制度を設け、かつ法科大学院在学中の最終年次に司法試験を受験できるというものです。

これを受けて、2020年(令和2年)4月に法曹コースが開始され、2023年(令和5年)から法科大学院在学中の司法試験受験が可能となりました。

参考:弁護士になるには

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