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造船・舶用工業分野特定技能1号試験実施要領
国土交通省海事局船舶産業課
1.目的
「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」
(平成 30 年 12 月
25 日閣議決定)の3(1)オ及び(2)ウに基づき定められた「
「特定技能」に係る試
験の方針について」
(令和2年1月 30 日出入国在留管理庁)に従い、造船・舶用工業分
野の特定技能 1 号に係る技能試験に関し、その公正かつ適正な実施を図るために必要
な事項を定めるものとする。
2.試験概要
(1) 試験言語
試験言語は日本語とする(必要に応じてルビを付す)
。ただし、専門用語等につい
ては他の言語を併記することができるものとする。
(2) 実施主体
本試験は、造船・舶用工業分野特定技能 1 号試験(以下「技能試験」という)と称
し、その実施主体は、次のとおりとする。
実施主体:一般財団法人日本海事協会(以下「協会」という)
所在地:東京都千代田区紀尾井町 4 番 7 号
(3) 実施方法
1 技能試験は、実技試験及び学科試験によって行う。
2 実技試験は、業務区分ごとに試験を行う。
3 学科試験は、ペーパーテスト方式により業務区分ごとに試験を行う。
(4) 事業年度における実施回数、実施時期及び実施場所
1 技能試験は、受験者又は受験者が所属等する団体・機関・組織等(以下、
「申請
者」という)の申請により、国内外で随時実施する。
2 技能試験は、原則として、実技試験及び学科試験を同一会場で同一日に実施す
る。
3 技能試験は、原則として、申請者の準備した試験会場に試験監督者を派遣し、
当該申請者の準備した機械設備等を利用する出張試験方式により実施する。
(5) 受験資格者
試験を受験できる者は、試験日において、満 17 歳以上の者とする。ただし、国内
で受験する者にあっては在留資格を有する者を対象とし、退去強制令書の円滑な
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執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限ある機関
の発行した旅券を所持していない者を除く。
なお、令和2年1月30日付け出入国在留管理庁発出に係る「
『特定技能』に係る
試験の方針について」によれば、試験に合格することができたとしても、そのこと
をもって「特定技能」の在留資格が付与されることを保証したものではなく、試験
合格者に係る在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更申請がなされたとし
ても、必ずしも在留資格認定証明書の交付や在留資格変更の許可を受けられるも
のではなく、また、在留資格認定証明書の交付を受けたとしても、査証申請につい
ては、
別途外務省による審査が行われ、
必ずしも査証の発給を受けられるものでは
ないとのことであり、その旨を受験案内において周知することとする。
(6) 試験実施時の注意事項
国外試験の実施に当たっては、現地の関連法令及び規則を遵守し、実施する。
(7) 受験申請
協会が別に定める方法により、申請者が申請する。
(8) 受験料
1 協会は国土交通省と協議の上、実費を勘案し、技能試験に関する受験料の額を
定め、公表する。ただし、協会は当該受験料に加え、各々の技能試験の実施に
よって必要となる追加の経費を、実費を勘案して徴収することができる。
2 収納した受験料等は、次に掲げる場合を除き返戻しない。
ア 受験申請が受理できないと認められた場合
イ 協会の責めに帰すべき理由がある場合
ウ 自然災害等により、試験が実施できない場合(代替の試験が実施された場
合を除く)
(9) 合否の通知方法
協会は、
受験者の実技試験及び学科試験の結果を記載した結果証明書を発行し、申請者に送付する。
3.試験実施体制
(1) 試験問題作成体制
1 協会は、技能試験の公正かつ適正な実施を図るため、造船・舶用工業分野特定
技能試験有識者委員会(以下、
「委員会」という)を設置する。
2 委員会は、協会が選任する委員 4 名以上をもって組織する。
3 協会は、試験に関し高い見識を有する者であって、造船・舶用工業について専
門的な技能、技術又は学識経験を有する者のうちから、委員を選任する。
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4 委員会の職務は、次のとおりとする。
ア 技能試験の範囲及び試験基準案の審査・決定
イ 試験問題及び採点基準の決定
ウ 技能試験の運営状況の確認・助言
エ その他前各号に関する事項の検討
(2) 試験実施体制
試験監督者は、以下の選任基準のいずれかに該当する者を協会が選任する。
1 協会が別に定める検査員選任規則により選任された船舶検査員及び専門検査員
2 協会が上記1に掲げる者と同等以上の知識又は経験を有すると認める者
(3) 試験の適切な運用をフォローする体制
国土交通省は、協会に対し、本試験に関して必要な報告を求め、指示を行うことが
できる。また、国土交通省は、協会が法令、本実施要領若しくは上記指示に違反し
た場合には、その選定を取り消すことができるものとする。
4.試験水準
技能試験の水準は、造船・舶用工業分野の業務に即戦力として従事できる一定の専門
性・技能を有することを確認する観点から、実務経験2年程度の者が、事前に当該試験
の準備を行わず受験した場合に、7割程度合格できる水準とする。
5.試験科目
(1) 業務区分
技能試験は、以下の業務区分ごとに試験を実施する。
1 溶接
2 塗装
3 鉄工
4 仕上げ
5 機械加工
6 電気機器組立て
(2) 学科試験
学科試験では、安全衛生並びに各業務区分の作業全般に係る業務上必要となる知
識及び能力を確認する。試験時間は 60 分、問題数は 30 問とし、真偽法(しろまる×ばつ式)
とする。
(3) 実技試験
実技試験では、
各業務区分の業務上必要となる技能水準を確認する。
各業務区分の
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試験詳細は別紙1のとおりとする。
6.合否の基準
学科試験及び実技試験の合格をもって、技能試験の合格とする。
(1) 学科試験
正答率が 60%以上を合格とする。
(2) 実技試験
各業務区分の合否基準は別紙2のとおりとする。
7.試験の不正防止策
(1) 試験監督者は、
協会から受領した学科試験問題の厳重な管理、
旅券等による受験者
の本人確認等のなりすまし防止、
持ち物検査の実施、
携帯情報端末等の管理の徹底、
試験中の適切な巡回などの不正防止対策を講じる。
(2) 技能試験において、
試験監督者等が不正行為を確認した場合は、
試験監督者の判断
に基づき、その受験者の試験を中止し、その受験者を退場させる。
(3) 試験監督者は、
受験者が試験中に、
他の受験者の迷惑になるような行為をした時は
注意し、これに従わない時は、試験監督者の判断に基づき、その受験者の試験を中
止し、その受験者を退場させる。
(4) 試験監督者は、(2)又は(3)に該当する場合、適切な措置を講じた後、速やかに協会
に報告する。
(5) 協会は、
不正の手段によって技能試験を受け、
又は受けようとした者に対しては、
その試験を受けることを禁止し、合格の決定を取り消し、又は 5 年以内の期間を
定めて技能試験を受けることができないものとすることができる。
8.試験結果の公表方法
協会は、
法務省又は国土交通省の要請に応じて、
受験者数及び合格者数並びに受験者の
情報を報告する。
9.その他必要事項
(1) 書類の保存
1 協会は、技能試験を実施したときは、受験者の情報、試験結果等を記載した帳
簿(以下、
「受験者台帳」という)を作成し、保管する。
2 書類の保存期間は、原則として、答案は試験実施の翌年度の始期から起算して
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2 年、
受験申請書、
結果証明書再交付申請書及び受験者台帳は、
同 10 年とする。
(2) 合格の取り消し
1 技能試験の受験に関して、次に掲げる不正行為が結果証明書等の交付後に判明
した時は、協会は、当該不正行為を行った者に対してその技能試験の合格を取
り消すとともに、既に交付した結果証明書等を返還させる。
ア 技能試験の問題等秘密事項について試験関係者に情報提供を求め、かつ、
これを受けたとき
イ 受験申請書の記載内容に偽りがあったとき
ウ その他不正行為があったとき
2 合格を取消した場合は、申請者及び受験者に対して合格を取り消した理由を記
載した文書によって通知する。
(3) 結果証明書の有効期限
結果証明書の有効期限は、結果証明書の発行日から 10 年後とする。
(4) 結果証明書の再交付
1 結果証明書の再交付は、
申請者からの申請により 1 回に限り行うことができる。
ただし、
結果証明書の発行日から 10 年に満たない時点で申請のあった場合に限
る。
2 結果証明書の再交付の申請は、協会が定める結果証明書再交付申請書を協会に
提出して行うものとする。
3 協会は、結果証明書再交付申請書の提出があった場合、審査の上、再度結果証
明書を作成し、受験者本人又は申請者に対し交付する。この場合の結果証明書
には「再交付」である旨の表示をする。
(5) 秘密保持義務等
技能試験に関する業務に携わる者及び携わった者は、職務上知り得た秘密を他に
漏らし、又は盗用してはならない。
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(別紙1)実技試験詳細
1.溶接
(1)協会が別に定める試験母材を用い、次の1から7により溶接を行う。
1 溶接方法は、
「手溶接」、「半自動溶接」、「ティグ溶接」のいずれかとする。
2 製品の種類は、
「板材」とする。
3 継手の種類は、
「突合せ溶接」とする。
4 母材の種類は、
「普通鋼」、「ステンレス鋼」、「アルミニウム合金」のいずれかと
する。
5 母材の厚さは、
「9mm 以上」とする。
6 溶接姿勢は、
「下向」とする。
7 継手の詳細は、
「片面溶接 裏当てあり」とする。
(2)実技試験の免除
受験者が、
協会が交付した溶接士技量資格に係る技量証明書であって、
以下のいず
れも満たし、かつ、申請時点で有効なものを有する場合は、当該技量証明書の提示
をもって実技試験は免除する。
1溶接方法:
「手溶接」、「半自動溶接」又は「ティグ溶接」
2製品の種類:
「板材」
3継手の種類:
「突合せ溶接」
4母材の種類:
「普通鋼」、「ステンレス鋼」又は「アルミニウム合金」
5母材の厚さ:4.5mm 以上
6溶接姿勢:
「下向」、「横向」、「上向」又は「立向上進」
7継手の詳細:
「片面溶接 裏当てあり」、「片面溶接 裏当てなし」、「両面溶接 裏
堀りあり」又は「両面溶接 裏堀りなし」
2.塗装
協会が別に定める金属板に対して,協会の指示に従い次の作業を行う。
1 素地調整
2 マスキング
3 エアレススプレー、エアスプレー、ローラ又は刷毛を用いた塗装
3.鉄工
協会が別に定める材料を用い、協会の指示に従い次の1から4の作業を含む組立て作
業を行う。
1 けがき
2 ガス切断
3 曲げ作業
4 仮付け溶接
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4.仕上げ
協会が別に定める材料及び工具を用い、協会の指示に従い所定の精度に仕上げ加工し、
組合せ作業を行う。
5.機械加工
協会が別に定める材料及び工作機械を用い、加工図その他協会の指示に従い切削加工
を行い、所定の寸法、精度に仕上げる。
6.電気機器組立
協会が別に定める材料及び工具を用い、協会の指示に従い、器具の取付、電線の圧着接
続、配線作業等を含む組立作業を行う。
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(別紙2)実技試験合否基準
1.溶接
溶接された試験材に対し、以下を満足することを合否の基準とする。
(1)外観試験
有害と認められる割れ、ブローホール、アンダーカット、その他欠陥があってはな
らない。
(2)曲げ試験又は放射線透過試験
有害と認められる割れ、融合不良、溶込み不良、その他欠陥があってはならない。
2.塗装
塗装された金属板に対し、以下を満足することを合否の基準とする。
1 塗装にむら、ゆず肌がないこと
2 塗装膜厚が指示した膜厚以上であること
3 指示のとおりマスキングされ、かつ、当該マスキング箇所に塗料の付着がないこと4 指示以外の塗装、マスキング等がされていないこと
3.鉄工
組み立てられた材料に対し、以下を満足することを合否の基準とする。
1 ガス切断した個所に大きなうねりがないこと
2 指示した寸法、誤差範囲内に組み立てられていること
3 仮付け溶接に剥離がないこと
4 指示以外の切断、溶接その他の加工がなされていないこと
4.仕上げ
仕上げられた材料に対し、以下を満足することを合否の基準とする。
1 指示された表面粗さに仕上げられていること
2 指示されたすき間になるよう仕上げられていること
3 その他指示のとおり仕上げられていること
4 指示以外の加工がなされていないこと
5.機械加工
機械加工された材料に対し、以下を満足することを合否の基準とする。
1 指示に従い機械加工されていること
2 指示された寸法及び精度であること
3 指示以外の加工がなされていないこと
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6.電気機器組立
組み立てられた製作物に対し、以下を満足することを合否の基準とする。
1 指示に従い器具が取り付けられ、かつ、配線されていること
2 制御回路を有する場合は、指示のとおり動作すること
3 指示以外の器具の取付け、配線がなされていないこと

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