84第8章第3章第1章第2章第4章第5章第6章第7章第8章第9章第10章第11章第12章
外国人と税金
外国人であっても、一定の要件に当てはまる場合には、税金を納める必要があります。税
金を納めなければならない例として、次のようなものがあります。
• 日本国内で働いて得た収入がある人
→原則として所得税を納める必要があります。
• 1月1日現在で日本に住所がある人
→住民税を納める必要があります。
(前年の所得に応じて課税されます。)また、外国人でも、旅行などでホテルに泊まったり、食事をしたりすると、消費税を負担
する必要があります。
「国税」と「地方税」
日本の税金は、どこに納めるかによって、
「国税」と「地方税」に区分されます。・ 国に納める税金を「国税」といいます。代表的なものに、
「所得税」があります。・ 住んでいる都道府県や市区町村に納める税金を「地方税」といいます。代表的なものに、
「住
民税」があります。
所得税
所得税は、1月1日から 12 月 31 日までの1年間に生じた個人の所得にかかる税金です。
所得税の計算は、
1 収入-経費など=所得金額(A)
2 所得金額(A)-いろいろな控除(1-3参照)=課税所得金額(B) 3 課税所得金額(B)×ばつ税率
で計算します。
税率は、課税所得金額(B)が多くなるほど段階的に高くなる仕組みとなっています。1税金 858 税金第3章第1章第2章第4章第5章第6章第7章第8章第9章第10章第11章第12章
1-1 納税義務者と課税の対象となる所得の範囲
次の居住の形態区分に応じて、所得税の対象となる所得の範囲が異なります。
(1)居住者
日本国内に「住所」がある人、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」がある人((2)非永住者は除きます)
該当する人を「居住者」といいます。→ 国外源泉所得を含む全ての所得が所得税の対象となります。
「住所」と「居所」・
「住所」とは、個人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは、客観的事実(日本で
就労しているかどうか、配偶者その他の生計を一にする親族が日本に住んでいるかどうかなど)
によって判定します。・
「居所」とは、人が相当期間継続して居住する場所であるが、生活の本拠という程度には至ら
ないものをいいます。
(2)非永住者
「居住者」
のうち、
日本の国籍がなく、
かつ、
過去 10 年以内において国内に住所又は居所があっ
た期間の合計が5年以下である人
該当する人を「非永住者」といいます。→ 1国外源泉所得以外の所得と、2国外源泉所得で、国内において支払われたもの又は
国外から送金されたものが所得税の対象となります。
(3)非居住者
「居住者」、「非永住者」以外の人(外国に住所がある人など)を「非居住者」といいます。→ 日本国内で勤務した給与や、日本国内での人的役務の提供に起因する報酬などの、国
内源泉所得のみが所得税の対象となります。 868 税金第3章第1章第2章第4章第5章第6章第7章第8章第9章第10章第11章第12章
1-2 所得税の確定申告と納税
所得税は、その年に生じた所得の金額とそれに対する所得税の金額を自分で計算して、申
告期限までに税務署に確定申告書を提出し、源泉徴収(1-4参照)された所得税などとの
過不足を精算します。この手続を「確定申告」といいます。
(1)確定申告が必要な人
給与の支払を受けている人については、その大部分は、所得税等が源泉徴収(1-4参照)
された後、年末調整(1-4参照)によって精算されるため、確定申告は不要です。
ただし、次のような人は、原則として、確定申告を行う必要があります。
• 給与の支払を1か所から受けていて、かつ、給与所得や退職所得以外の所得の金額の
合計額が 20 万円を超える人
• 2か所以上から給与の支払を受けていて、かつ、年末調整をされなかった給与の収入
金額と、給与所得や退職所得以外の所得の金額との合計額が 20 万円を超える人
• 給与以外の事業や株取引などにより所得を得ており、所得税の計算の結果、税金がか
かる人 など
なお、確定申告により納める税金がある人は、期限までに納税者が自分で納付する必要が
あります(税務署から納付に関する通知などはありません。)。
納付には、次の方法があります。
1 口座振替
2 ダイレクト納付(e-Tax による口座振替)やインターネットバンキング
3 インターネット上でのクレジットカード納付
4 スマートフォンで Pay 払いを利用した納付(スマホアプリ納付)
5 現金での納付(コンビニエンスストアや銀行、郵便局、税務署の窓口)
(2)確定申告をすれば所得税が戻る人
• 所得控除(1-3参照)があることなどにより、源泉徴収(1-4参照)された所得
税などが納め過ぎになっている場合には、確定申告により所得税が還付されます。郵便
局や銀行口座への振込によって受け取ります。
• 源泉徴収などによって納め過ぎた所得税がない場合には、
還付される所得税はありません。
(3)確定申告及び納税の期限
各年分の所得税について、確定申告の相談及び申告書の受付は、翌年の2月 16 日から3
月 15 日までです。
(注記) 税務署の閉庁日(土・
日曜・祝日等)
は、
原則として、
税務署での相談及び申告書の受付は行っておりません。
所得税の確定申告分の納税の期限は、3月 15 日です。
(注記) この期限(3月 15 日)が、土・日曜・祝日等に当たる場合は、翌日以降の平日が期限となります。 878 税金第3章第1章第2章第4章第5章第6章第7章第8章第9章第10章第11章第12章
(4)日本から出国する場合
• 日本に住所及び居所がなくなる場合、原則として出国前にその年の給与について年末調整
を受けることになります。

(1)のように確定申告が必要となる場合には、出国前に確定申告及び納税を行う必要が
あります。
• 出国した後で、確定申告や納税などの手続を行う必要がある場合には、日本国内に居住す
る納税管理人を選び「納税管理人の届出書」を所轄税務署に提出してください。出国後に納
税管理人が本人に代わって手続を行うことになります。
1-3 主な所得控除
各個人の事情を考慮し、次に当てはまる場合には、所得税の計算上、一定の金額を控除し
ます。
(1の計算式を参照)
なお、
非居住者(1-1(3)
参照)
である場合には、
適用できる控除の種類が限定されます。
(1)親族を扶養している場合
• 親族を扶養している場合で、扶養されている人の合計所得金額が 48 万円以下(2019
年以前は 38 万円以下)であるなど一定の要件を満たす場合には、一定の金額の所得控除
を受けることができます。
• 扶養している親族が、非居住者(1-1(3)参照)である場合には、
「親族であるこ
とがわかる書類(戸籍の写しなど)
」及び「扶養していることがわかる書類(金融機関か
ら送金した際の書類など)
」を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際に提示す
る必要があります。
• 2023 年以降は、扶養している親族が、年齢 30 歳以上 70 歳未満の非居住者である場
合で、以下のいずれにも該当しない場合には、所得控除を受けることができません。
1 その親族が留学により日本に住所及び居所がなくなった親族である。
2 その親族が障害者である。
3 その年において、生活費又は教育費に充てるための支払を 38 万円以上、自分がその親族
にしている。
(2)配偶者がいる場合
• 配偶者がいる場合で、一定の要件を満たす場合には一定の金額の所得控除を受けるこ
とができます。
• 配偶者が、非居住者(1-1(3)参照)である場合には、
「配偶者であることがわか
る書類(戸籍の写しなど)
」及び「扶養していることがわかる書類(金融機関から送金し
た際の書類など)
」を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際に提示する必要が
あります。 888 税金第3章第1章第2章第4章第5章第6章第7章第8章第9章第10章第11章第12章
(3)社会保険料を納めた場合
自分又は生計を一にする配偶者やその他の親族の社会保険料(健康保険・国民年金・厚生
年金保険など)を納めた場合には、その納めた金額について所得控除を受けることができま
す。
(4)生命保険料などを支払った場合
自分が一定の生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合には、一定
の金額の所得控除を受けることができます。
(5)医療費を支払った場合
自分又は生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費が一定額を超えるときは、その医
療費の額に応じた所得控除を受けることができます。
1-4 源泉徴収と年末調整
• 給与の支払を受けている外国人は、雇用主から給与の支払を受ける際に、所得税が差し引
かれる(源泉徴収される)ことになります。
• その年最後に給与の支払を受ける際に所得税の精算(年末調整)が行われます。
• 給与の支払者から、その支払金額等を記載した「源泉徴収票」が給与の支払を受ける人
に交付されることとなっています。
1-5 租税条約による特例
出身国と日本との間で租税条約が締結されている場合には、一定の要件を満たすことによ
り、所得税が軽減又は免除されることがあります。 898 税金第3章第1章第2章第4章第5章第6章第7章第8章第9章第10章第11章第12章
住民税
2-1 住民税とは
• 1月1日現在で住所がある(あった)都道府県と市区町村に納める税金のことです。
• 前年の1月1日から 12 月 31 日までに会社から受け取った給与等によって計算された
額を納める
「所得割」
と受け取った給与等に関係なく一定額を納める
「均等割」
があります。
• 都道府県に納める住民税は、市区町村に納める住民税と合わせて市区町村に納めます。
2-2 住民税の納付
• 住民税の納め方には2通りあります。
1 特別徴収
会社が、あらかじめ、支払われる給与から住民税を差し引き、市区町村に納め
ます。会社や工場で働く人はこれが原則であり、自分で市区町村に住民税を納め
る必要はありません。
2 普通徴収
市区町村から「住民税を納めてください」という書面が届くので、自分で、こ
の書面と書面に書かれている税額を納めるための金額を持って市区町村((注記))に
納めます。
((注記))
納める方法についても、市区町村から届く書面に記載されています。
2-3 その他
• 住民税については、次の点に注意してください。
1 1月1日現在で住所がある(あった)市区町村に税金を納める必要があり、.1月2日以降に日本から出国した場合でも、住民税を納める必要があります。
2 特別徴収(2-21参照)によって住民税を納めている人が、会社を辞めるこ
とになった場合は、納めていない住民税を普通徴収(2-22参照)の方法によっ
て納める必要がありますが、会社に、納めていない住民税の全額を支払われる給
与や退職金から差し引いてもらい、市区町村に納めてもらう方法もあります。
3 日本から出国するまでに住民税を納めることができない場合は、出国する前に、
日本に住んでいる人の中から、自分に代わって税金の手続を行う人(納税管理人)
を定めて、住んでいる市区町村に届け出る必要があります。2 90
8 税金第3章第1章第2章第4章第5章第6章第7章第8章第9章第10章第11章第12章
消費税
商品を購入したときやサービスの提供を受けたときは、消費税
が 10%かかりますが、お酒・外食を除く飲食料品を購入したとき
の税率は、軽減税率8%となります。
自動車を持っている人が納める税金
4-1 自動車税/軽自動車税
(1)自動車税/軽自動車税環境性能割
自動車や軽自動車を購入したら
自動車や軽自動車を購入した人は、自動車税/軽自動車税環境性能割を納めます。
(環境性能割の税率は、自動車・軽自動車の燃費性能等によって決まります。)(2)自動車税/軽自動車税種別割
自動車を持っていれば
4月1日現在で自動車(排気量が 660cc 超の車)を持っている人は、自動車税種別割を
納めます((注記))。(税額は、排気量等によって決まります。)((注記))
納める金額や納める方法等については、都道府県から届く書面にその旨記載されています。
軽自動車を持っていれば
4月1日現在で軽自動車(排気量が 660cc 以下の車)などを持っている人は、軽自動車
税種別割を納めます((注記))。(税額は、排気量等によって決まります。)((注記))
納める金額や納める方法等については、市区町村から届く書面にその旨記載されています。
4-2 自動車重量税
自動車や軽自動車の車検などを受けるとき
車検などの際に自動車や軽自動車の重量等に応じて、自動車重量税を納めます。34 918 税金第3章第1章第2章第4章第5章第6章第7章第8章第9章第10章第11章第12章
固定資産税
• 1月1日現在に次のものを持っている場合には税金を納めます。
1 土地 2 家屋 3償却資産
• 償却資産を持っている場合には、申告が必要です。
• 税額は、資産の価格を基に市区町村が算出します。
• 税金は、資産が所在する市区町村に納めます。
税金に関する問合せ先
6-1 国税に関する問合せ
国税に関する問合せは、次を利用してください。
(1)電話相談センター
国税に関する一般的な相談について、次の「電話相談センター」で英語による相談を集中
的に受け付けています。
・東京国税局電話相談センター 03-3821-9070
・大阪国税局電話相談センター 06-4965-8298
・名古屋国税局電話相談センター 052-971-2059
(2)タックスアンサー(よくある税の質問)
よくある税の質問に対する一般的な回答を税金の種類ごとに調べることができます。
https://www.nta.go.jp/english/taxes/index.htm
(3)国税庁ホームページの案内
国税に関する申告・納税などに役立つ情報を提供しています。
詳細は次のウェブサイトで確認してください。
https://www.nta.go.jp/english/index.htm56 928 税金第3章第1章第2章第4章第5章第6章第7章第8章第9章第10章第11章第12章
6-2 地方税に関する問合せ
地方税に関する問合せは、次を利用してください。
1 総務省ウェブサイトの案内
外国人の方の個人住民税について紹介しています。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/
czaisei_seido/individual-inhabitant-tax.html
2 詳しいことは、住んでいる各都道府県、各市区町村に問い合わせてください。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /