60第6章第3章第1章第2章第4章第6章第7章第8章第9章第11章第12章第10章第5章
医療機関
1-1 医療機関の種類
• 日本には多くの医療機関があり、それぞれ役割が分かれています。軽度の病気やけが
であれば、身近な診療所に行きましょう。
1 診療所・クリニック 日常的な病気やけがの治療の場合
2 中小病院 手術や入院が必要な場合や救急医療を要する場合
3 大病院 重症の救急患者や高度な医療を要する場合
• 病院や診療所では、
健康保険証を提示してください。健康保険証を提示しなかった場合、
医療費が全額自己負担となります。
• 病気やけがの状況によって、受診科目が決まります。受診科目によって、実際にどの
ような病気やけがを診てもらえるのか、下記に例として示します。
内 科 消化器、呼吸器、循環器、泌尿器、血液、内分泌、神経など内臓器官の
病気の診断や主に薬剤を使った手術以外の治療を行います。かぜをはじ
めとした一般的な病気の診断や治療も行います。
外 科 癌や外傷による内臓の病気を手術を中心に治療を行います。
小 児 科 小児の病気の治療を行います。
整形外科 骨、関節、筋、腱といった運動に関連する器官やそれらに関わる神経の
病気の治療を行います。
眼 科 眼に関連する病気の治療を行います。
歯 科 歯に関連する病気の治療・矯正・加工などを行います。
産 科 妊娠、分娩、新生児など、出産に関連した病気などの治療を行います。1医療 616 医療第3章第1章第2章第4章第6章第7章第8章第9章第11章第12章第10章第5章
1-2 医療機関を探す
• 医療機関は、次のような方法で探すことができます。
1 住んでいる地域の市区町村が発行する広報誌
2 インターネット
3 各都道府県がウェブサイトなどで提供している医療情報ネット
(注記)
このほか、訪日外国人旅行者向け日本政府観光局(JNTO)サイトでも外国語で医療機関(都道府県が
指定する外国人を受け入れる拠点的な医療機関等)を検索することができます。
https://www.jnto.go.jp/emergency/jpn/mi_guide.html
• 加えて、次のところに相談することもできます。
1 住んでいる地域の市区町村
2 医療安全支援センター((注記))
((注記)) 都道府県、保健所を設置する市及び特別区に約 400 か所設置されています。詳細は次のウェブサイト
で確認してください。
https://www.anzen-shien.jp/center/
• また、日本語が話せない人は、次のようなところへ相談することができます。
1 住んでいる地域の市区町村
2 住んでいる地域の国際交流協会
3 特定非営利活動法人
(NPO 法人)
(外国語で相談に応じてくれることがあります) 626 医療第3章第1章第2章第4章第6章第7章第8章第9章第11章第12章第10章第5章
医療保険
日本に住む人は国籍に関係なく公的医療保険に加入することになります。社会全体で負担
をシェアすることで、医療費の自己負担分を減らして良質で高度な医療を受ける機会を平等
に保障する仕組みとなっています。
2-1 健康保険
(1)加入要件
健康保険への加入が義務付けられている会社(事業所)に勤めていて、健康保険に加入す
る必要がある人
1 正社員、法人の代表者、役員
2 次の5つの要件を全て満たす人
• 1週間の決まった労働時間が 20 時間以上
• 2か月を超えて使用される見込みがあること
• 毎月の賃金が8.
8万円以上
• 学生以外
• 従業員 101 人(令和6年 10 月以降は 51 人)以上の会社に勤務
3 パートタイマー、アルバイトなどであって、週の労働時間が.
30 時間未満であっても、同じ会社(事業所)の正社員の.
1週間の決まった労働時間の4分の3以上働いている人
(2)保険料
健康保険の保険料は、原則として会社と被保険者が半分ずつ負担します。被扶養者につい
ては、保険料の負担がありません。
(3)給付内容
医療費の自己負担
保険を利用した医療費の一部負担(自己負担)割合は、
• 6歳(小学校就学前)未満.
........................ 2割
• 70 歳未満.
..................................................... 3割
• 70 歳から 74 歳まで.
.................................. 2割(現役並所得者は3割)2 63
6 医療第3章第1章第2章第4章第6章第7章第8章第9章第11章第12章第10章第5章
療養費
• 就職直後で保険証が手元にないとき
• ギプスなどの治療用装具を購入したとき
• 医師が必要と認めたあんま・はり・きゅう・マッサージなどを受けたとき
• 海外で診療を受けたとき など
その治療などにかかった費用をいったん全額自己負担し、その後、申請して認められると、
一部負担(自己負担)以外が療養費として受給できます。
高額療養費
医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院時の食事負担や差額ベッド代などは含みませ
ん。
)が、1か月で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。最終的な
自己負担額となる毎月の「負担の上限額」は、加入者が 70 歳以上かどうかや、加入者の所
得水準によって異なります。
移送費
病気やけがで移動するのが難しい患者が、医師の指示で一時的・緊急的な必要があり、移
送された場合は、次の要件を全て満たしていると、移送費が現金で受給できます。
• 移送により適切な診療を受けたこと
• 移送の原因である疾病又は負傷により移動をすることが著しく困難であったこと
• 緊急その他やむを得なかったこと
傷病手当金
被保険者(加入者)が病気やけがなどのために働くことができず、仕事を連続して3日間
休み、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。
支給される期間は、支給開始日から通算して1年6か月です。
出産育児一時金
被保険者(加入者)又はその被扶養者が出産したとき、出産に要する経済的負担を軽減す
るために支給される制度です。支給額は1児につき原則として 50 万円です。
出産手当金
健康保険の被保険者が出産のため会社を休んだときは、出産(予定)の日以前 42 日(多
胎妊娠の場合は、98 日)から出産後 56 日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象と
して出産手当金が受給できます。 646 医療第3章第1章第2章第4章第6章第7章第8章第9章第11章第12章第10章第5章
家族療養費
被扶養者の病気やけがに対しては、
家族療養費が受給できます。
その支給の範囲・受給方法・受給期間などは、被保険者(加入者)に対する療養の給付と同じです。
2-2 国民健康保険
(1)加入要件
• 住民登録を行っている人で、職場の健康保険の対象でない 75 歳未満の人は、国民健康
保険に加入することになります。
• 外国人については、次のいずれかに該当する人を除いて、国民健康保険に加入する必
要があります。
1 在留期間が3か月以下((注記))
2 在留資格「短期滞在」 3 在留資格「特定活動」のうち、
「医療を受ける活動」又は.
「その人の日常の世話をする活動」をする人
4 在留資格「特定活動」のうち、
「観光、保養その他.
これらに類似する活動」をする人
5 在留資格「外交」
6 不法滞在などで在留資格のない人
7 日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国の人で、本国政府からの社
会保険加入証明書(適用証明書)の交付を受けている人
((注記)) 在留期間が3か月以下でも、在留資格が次のいずれかの場合で、資料により3か月を超えて在留する
と認められる人は、加入できます。
• 在留資格「興行」
• 在留資格「技能実習」
• 在留資格「家族滞在」
• 在留資格「特定活動(上記3又は4に該当する場合を除きます。)」
(2)加入・脱退手続
国民健康保険への加入・脱退手続((注記))は、
住んでいる市区町村で行います。詳しいことは、
住んでいる市区町村に問い合わせてください。
((注記))
次の人は国民健康保険を脱退する手続が必要となります。
1 現在住んでいる市区町村から別の市区町村に引越しする人
2 職場の健康保険に加入した人 など 656 医療第3章第1章第2章第4章第6章第7章第8章第9章第11章第12章第10章第5章
(3)保険料
保険料は、世帯を単位として計算され、加入者の所得や人数などによって決定されます。
世帯主が保険料を納める納付義務者になります。
(注記)
所得や生活状況などにより、保険料が軽減される場合があるため、詳しいことは、住んでいる市区町村
に問い合わせてください。
(4)給付内容
医療費の自己負担
保険を利用した医療費の一部負担(自己負担)割合は、次のとおりです。
• 6歳(小学校就学前)未満.
........................ 2割
• 70 歳未満.
..................................................... 3割
• 70 歳から 74 歳まで.
.................................. 2割(現役並み所得者は3割)
療養費
• 加入直後で保険証が手元にないとき
• ギプスなどの治療用装具を購入したとき
• 医師が必要と認めたあんま・はり・きゅう・マッサージなどを受けたとき
• 海外で診療を受けたとき など
その治療などにかかった費用をいったん全額自己負担し、その後、申請して認められると、
一部負担(自己負担)を超える部分が療養費として受給できます。
高額療養費
医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院時の食事代や差額ベッド代などは含みません。)が、1か月で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。最終的な自己負
担額となる毎月の「負担の上限額」は、加入者が 70 歳以上かどうかや、加入者の所得水準
によって異なります。
移送費
病気やけがで移動するのが難しい患者が、医師の指示で一時的・緊急的な必要があり、移
送された場合は、次の要件を全て満たしていると、移送費が現金で受給できます。
• 移送により適切な診療を受けたこと
• 移送の原因である疾病又は負傷により移動をすることが著しく困難であったこと
• 緊急その他やむを得なかったこと 666 医療第3章第1章第2章第4章第6章第7章第8章第9章第11章第12章第10章第5章
出産育児一時金
被保険者が出産したとき、
出産に要する経済的負担を軽減するために支給される制度です。
支給額は1児につき原則として 50 万円です。
2-3 後期高齢者医療制度
(1)加入要件
75 歳になったら
• 住民登録を行っている人で、75 歳以上の人は、後期高齢者医療制度
に加入することになります。
• 65 歳から 74 歳までの人で、一定の障害があると認定を受けた人も
加入することができます。
• それまで加入していた健康保険(国民健康保険、健康保険組合、協会けんぽ、共済組
合など)は、脱退することになります。
• 75 歳以上の外国人については、次のいずれかに該当する人を除いて、後期高齢者医療
制度に加入する必要があります。
1 在留期間が3か月以下((注記))
2 在留資格「短期滞在」
3 在留資格「特定活動」のうち、
「医療を受ける活動」又は「その人の日常の世話
をする活動」をする人
4 在留資格「特定活動」のうち、
「観光、保養その他これらに類似する活動」を.
する人
5 在留資格「外交」
6 不法滞在などで在留資格のない人
7 日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国の人で、本国政府からの社
会保険加入証明書(適用証明書)の交付を受けている人
(注記)
在留期間が3か月以下でも、在留資格が次のいずれかの場合で、資料により3か月を超えて在留すると
認められる人は、加入できます。
• 在留資格「興行」
• 在留資格「技能実習」
• 在留資格「家族滞在」
• 在留資格「特定活動(上記3又は4に該当する場合を除きます。)」
(2)加入・脱退手続
後期高齢者医療制度への加入・脱退手続は、
住んでいる市区町村で行います。
詳しいことは、
住んでいる市区町村に問い合わせてください。 676 医療第3章第1章第2章第4章第6章第7章第8章第9章第11章第12章第10章第5章
なお、現在住んでいる市区町村から都道府県をまたぐ別の市区町村に引越しをする人など
は、後期高齢者医療制度を脱退する手続が必要となります。
(3)保険料
保険料は、加入者全員が同額を負担する均等割額と被保険者の所得に応じて負担する所得
割額の合計額となります。
会社の健康保険などの被扶養者であった人や所得・生活状況などにより保険料が軽減され
る場合があります。詳しいことは、住んでいる市区町村に問い合わせてください。
(4)給付内容
医療費の自己負担
保険が適用される医療を受ける場合の一部負担(自己負担)の割合は医療費の1割となり
ます。ただし、現役並みの所得がある人は3割負担となります。
また、2022 年 10 月1日から、現役並みの所得がある人以外で一定以上の所得がある人
は1割から2割負担となります。
療養費
• 加入直後で保険証が手元にないとき
• ギプスなどの治療用装具を購入したとき
• 医師が必要と認めたあんま・はり・きゅう・柔道整復などを受けたとき
• 海外で診療を受けたとき など
その治療にかかった費用をいったん全額自己負担した場合、申請して認められると、一部
負担(自己負担)を超える部分が治療費として受給できます。
高額療養費
医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院時の食事代や差額ベッド代などは含みません。)が、1か月の一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。最終的な自己負
担額となる毎月の「負担の上限額」は、加入者の所得水準によって異なります。
移送費
病気やけがにより移動することが難しい患者が、医師の指示で移送された場合は、次の要
件を全て満たしていると、移送費が現金で受給できます。
• 移送により適切な診療を受けたこと
• 移送の原因である疾病又は負傷により移動をすることが著しく困難であったこと
• 緊急その他やむを得なかったこと 686 医療第3章第1章第2章第4章第6章第7章第8章第9章第11章第12章第10章第5章薬• 薬は、薬局やドラッグストアで購入することができます。
• 病気やけがの治療に薬を使用することがありますが、薬には副作用があるので、使い
方には注意が必要です。
• 薬についてわからないことがあれば、薬局やドラッグストアにいる薬剤師、登録販売者
に相談してください。
(注記) 登録販売者は、処方箋を受けずに購入できる薬(OTC 医薬品)の一部を販売することができます。
3-1 薬局
薬局では、医師が発行した処方箋に基づいて、薬剤師が調剤を行い、服薬指導の上、薬を
受け取ることができます。また、OTC 医薬品を購入することができます。
3-2 ドラッグストア
OTC 医薬品に関しては、薬局と同様に購入することができます。しかし、ドラッグスト
アでは処方箋を受け付けていません。3

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /