1日本国法務省,外務省,厚生労働省及び警察庁と
ベトナム国労働・傷病兵・社会問題省との間の在留資格「特定技能」を有する
外国人に係る制度の適正な運用のための基本的枠組みに関する
協力覚書(仮訳)
日本国法務省,外務省,厚生労働省及び警察庁(以下「日本の省庁」と総称する。)並びにベトナム国労働・傷病兵・社会問題省(以下「ベトナムの省」という。
)は,日本国
政府が在留資格「特定技能」を付与して一定の専門性・技能を有する人材(以下「特定技
能外国人」という。
)を受け入れる制度(以下「本制度」という。
)の運用において,特定
技能外国人の送出し・受入れに係る両国間の協力を通じて相互の利益を強化することにつ
いての見解を共有する。この見解に基づき,日本の省庁とベトナムの省(以下「両国の省
庁」と総称する。
)は,次のとおり協力することを決定した。
1.目的
この協力覚書は,特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れの確保(特に,悪質
な仲介機関及び特定技能外国人に係る不法行為の排除)並びに特定技能外国人の送出し・
受入れ及び日本国での在留に関する問題の解決のための基本的枠組みを定めることによ
り,それぞれの国の法令に基づき,ベトナム国から日本国への特定技能外国人の送出し・
受入れの円滑かつ適正な推進を通じて特定技能外国人を保護するとともに,
本制度の適正
な運用のための協力を通じて両国間の相互の利益を強化することを目的とする。
2.連絡窓口
両国の省庁は,
この協力覚書に基づく協力を効果的に実施するため,両国の連絡窓口を
次のとおりそれぞれ指定する。
(1)日本国
出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課
(2)ベトナム国
労働・傷病兵・社会問題省海外労働局
3.協力の枠組み
この協力覚書に基づく協力は,
それぞれの国において効力を有する法令の範囲内で行わ
れる。一方の国の省庁又は省は,他方の国の省庁又は省の書面による同意なしに,この協
力覚書の枠組みにおける協力及び情報共有を通じて取得した他方の国の省庁又は省の秘 2密の情報を開示しない。
4.情報共有及び協力
(1)情報共有
両国の省庁は,特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れを確保するため
並びに特定技能外国人の送出し・受入れ及び日本国での在留に関する問題を解決す
るために必要又は有益な情報を速やかに共有する。これには,特定技能外国人に係
る求人及び送出し・受入れに関与する両国内の仲介機関による次の行為に関する情
報を含む。
(a)保証金の徴収その他名目のいかんを問わず,特定技能外国人又は特定技能外国
人になろうとする者(以下「特定技能外国人等」という。),その親族又はそれ
らの者の関係者の金銭その他の財産を管理すること。 (b)
契約の不履行について違約金を課す契約その他の不当に金銭その他の財産の移
転を予定する契約をすること。
(c)暴行,脅迫,自由の制限等,特定技能外国人等の人権を侵害すること。
(d)日本国における出入国管理又は査証手続に関し,許可,査証その他の証書を不
正に取得する目的で,偽造された,変造された又は虚偽の文書若しくは図画を
行使し,又は提供すること。
(e)特定技能外国人等から,それぞれの国の法令により認められていない手数料そ
の他の費用を徴収すること、特定技能外国人等に算定基準を示さず,かつ,そ
の額及び内訳を理解させないで,手数料その他の費用を徴収すること又は特定
技能外国人等から両国の省庁に明確かつ完全に報告を行わず,費用を徴収する
こと。(f)ベトナムからの特定技能外国人の求人及び受入れに関連する両国の法令に違反
するその他の行為。
(2)問題等解決のための協力
両国の省庁は,この協力覚書の1.に定める目的を達成するため,定期又は随時
に協議し,本制度の適正な運用のために改善が必要とされる問題の解決に努める。
主な協議内容は次のとおりとする。
(a)本制度に係る両国の政策の実施及び変更に関する事項
(b)特定技能外国人仲介機関の本覚書4(1)に関連する事項(必要な是正措置
の在り方を含む。) (c)特定技能外国人の送出し・受入れに係る各種審査並びに日本国内の不適正な 3 受入機関又は在留資格「特定技能1号」を有する外国人材に対する支援(在留
資格「特定技能1号」を有する特定技能外国人が当該在留資格に基づく活動を
安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上,
日常生活上
又は社会生活上の支援をいう。
)を行う不適正な機関及びベトナム国内の海外
雇用サービスを提供する不適正な企業に対する是正措置に関する事項
(d)特定技能外国人の技能及び日本語能力試験の適正な実施に関する事項
(e)特定技能外国人の日本国での在留管理に関する事項
(f)日本での就労を目的として「留学」の在留資格を取得することを防止するた
めの協力に関する事項
(g)職種及び就業地域に関する事項
(h)本制度その他これに関連する両国の出入国又は労働に係る制度の適正な運用
に関する事項であって,上記(a)から(g)までに掲げる事項以外のもの
に関する事項
5.技能及び日本語能力試験における協力
(1)日本の省庁及び特定技能外国人の受入れを行う分野を所管する省(以下「日本の
省庁等」という。
)は,ベトナムでの特定技能外国人の技能及び日本語能力試験
(以下「試験」という。
)の内容を準備し,その実施に関する計画(時間,場所
及び受験料を含む。
)に対するベトナムの省の同意を得る。
(2)日本の省庁等は,受験する候補者の一覧及び試験に合格した候補者の一覧をベト
ナムの省に提供する。
(3)ベトナムの省は,必要に応じて試験を監督するための職員を派遣し,日本の省庁
等からベトナムにおいて実施される試験に関する要請を受けた場合は,可能な範
囲で協力する。
(4)試験及び受験の申請に関する情報は,ベトナムの省の同意を得て,在ベトナム日
本大使館のウェブサイトに掲載される。
(5)別人による受験,合格を証する文書の偽造又は変造その他の不正な行為等の試験
における違反行為を発見した場合は,両国の省庁はこの協力覚書の定めに従って,
解決のために,当該情報を共有する。
6.日本の省庁の約束
日本の省庁は,日本国の関連法令に基づき,ベトナムからの特定技能外国人の受入れ
に関する次の約束を行う。 4(1)ベトナムの関連法令に基づき,必要な手続を完了したベトナムからの特定技能外
国人であって,この協力覚書7(7)及び7(8)に定めるベトナムの省が承認
した推薦者表に掲載されたもの(次に掲げるものを含む。
)のみを受け入れるこ
と。
(a)ベトナムの省から許可を与えられたベトナム国内の海外雇用サービスを提供
する機関(以下「送出機関」という。
)によって送り出された者。
(b)日本国内に現在在留し,特定技能外国人として働くために受入機関によって
直接採用された者(次に掲げるものを含む。)。
(i)技能実習2号又は3号を修了したベトナムからの技能実習生等試験を
免除された者。
(ii)日本国内において少なくとも2年間の課程を修了してその証書を取得
する学校を修了し,試験合格後「特定技能」への在留資格変更申請を
行ったベトナムからの留学生。
(2)日本語教育,技能訓練,特定技能外国人の雇用契約終了後の帰国費用を含む渡航
費用その他の費用であってベトナムの規則を考慮に入れて特定技能外国人を送
り出すために必要なものに関して,受入機関の費用分担についての原則をガイド
ラインに含めること。
(3)ベトナムの省から特定技能外国人を日本国に送り出す意図を有する送出機関に係
る情報を受けた場合には,当該情報を日本国において公表すること。
(4)ベトナムの省から送出機関の許可の取消しに係る情報を受けた場合には,当該情
報を日本国において公表すること。
(5)受入機関に対して改善命令(改善命令の根拠となる調査の結果を含む。
)を行った
場合には,ベトナムの省に対して当該命令を通報すること及び登録支援機関の一
覧をベトナムの省と共有すること。
(6)特定技能外国人が在留資格「特定技能1号」をもって在留する間,受入機関が適
切な住居の確保に係る支援を提供することを確保すること。特定技能外国人が住
居について定期的に支払う費用に関して,受入機関が実際の費用より多く徴収す
ることを禁止すること。
(7)4(2)に定める不正な行為を行った登録支援機関又は受入機関に関する情報を
ベトナムの省から受けた場合は,調査し,必要な解決を行い,及びベトナムの省
に当該結果を報告すること。
(8)退学若しくは除籍された生徒,失踪した技能実習生又は難民の在留資格を申請し
ている者等,欠格事由に該当する日本に在留しているベトナム国籍の者が日本国
において実施される技能試験を受験することを禁止すること。 5(9)ベトナムからの特定技能外国人の受入れに関する照会をベトナムの省から受けた
場合には,必要な情報を提供すること。
(10)ベトナムからの留学生による特定技能外国人への在留資格変更に関連して,基
本的人権の尊重の観点から,日本での就労を目的とした留学制度の濫用を防ぐた
めに教育機関の厳正な審査を含む適切な措置を講ずること。
(11)ベトナムの規則(禁止された職業や区域に関連するものを含む。
)に従って,必
要な手続を完了していないベトナムからの特定技能外国人を受け入れないこと。
7.ベトナムの省の約束
ベトナムの省は,ベトナムの関連法令に従い,ベトナムからの特定技能外国人の送出
しに関して次の約束を行う。
(1)ベトナムの送出機関が特定技能外国人の送出しに関連する基準を満たしているか
について審査を行い,基準を満たしていると認める場合に承認すること。ベトナ
ムの関連法令に反する不適正な行為(特定技能外国人の採用の見返りとして,送
出機関若しくは従業員から金銭,航空券,ホテル代,接待を要求し,若しくは受
領する行為又はベトナムの規則により禁止された職業や区域において働かせる
ために特定技能外国人を派遣する行為を含む。
)をした受入機関に送出機関がベ
トナムからの特定技能外国人を送り出すことを許可しないこと。(2)(1)に規定する承認を与えたときは,送出機関の名称その他の情報を公表し,及
び当該送出機関の情報を日本の省庁に提供すること。
(3)送出機関が基準に適合しない活動その他の適切でない活動を行ったと思われる旨
の通報を日本の省庁から受けた場合には,当該送出機関を調査し,必要な指導及
び監督を行い,その結果を日本の省庁に報告すること。
(4)受入機関に対して行った改善命令又は登録支援機関の一覧についての情報提供を
日本の省庁から受けた場合には,当該情報をベトナムにおいて公表すること。
(5)ベトナムからの特定技能外国人を適切な方法で選定し,及び送り出すため,送出
機関を指導し,送出機関が基準を満たさなくなったと認める場合には,許可を取
り消し,結果を日本の省庁に通報すること。
(6)この協力覚書6(2)に言及する手数料若しくは費用を規定する関係規則を作成
すること又はそのような規則を定めるようベトナムの権限を有する当局に提案
すること。
(7)特定技能外国人になろうとする者が日本の所管省庁で在留資格「特定技能」を申
請する手続を完了できるよう本協力覚書の添付1にある推薦者表を作成するこ
と。 6(8)在日本国ベトナム大使館労働管理部に対し,
「特定技能」への在留資格変更に関す
る報告を受けるよう指導し,この協力覚書6(1)
(b)に記載された者につい
て添付2にある推薦者表を作成すること。
(9)ベトナムからの特定技能外国人の送出しに関する照会を日本の省庁から受けた場
合には,必要な情報を提供すること。
8.特定技能外国人の権利
日本国内に在留する特定技能外国人は,この協力覚書の6(2)及び(6)に関連する
権利を含む日本国の出入国及び労働に関する法令その他関連法令に基づく権利を有する。
9.言語,開始,期間及び終了
この協力覚書は,
2019年5月16日に東京において,
2019年5月20日にハノ
イにおいて英語により二通に署名された。
この協力覚書に基づく協力は,
署名日から5年
続くものとし,
いずれか一方の国の省庁から他方の国の省庁に対し,
遅くとも有効期限の
60日前までに終了の意向が示されない限り,
自動的に5年間延長する。
いずれか一方の
国の省庁が5年を待たずにこの協力覚書の終了を希望する場合には,
終了する日の90日
前までに他方の国の省庁に対し書面により通告する。
この協力覚書の内容は,
両国の省庁の書面による同意により,
必要に応じて修正又は補
足される。
日本国法務省のために ベトナム社会主義共和国労働・傷病兵・
社会問題省のために
日本国外務省のために
日本国厚生労働省のために
日本国警察庁のために 7添付1
海外労働部用
特定技能外国人表
1.海外雇用サービスを提供する認可されたベトナムの企業に関する情報
(名称):(認可番号):(代表者の氏名):(住所):(電話番号)
: (ファックス番号):2.日本の受入機関に関する情報
(名称):(認可番号):(代表者の氏名):(所在地):(電話番号)
: (ファックス番号):3.労働期間 しろまる年からしろまる年まで
4.特定技能外国人に関する情報
1号特定技能外国人 2号特定技能外国人

項番 氏名 生年月日 性別 旅券番号 職業 出国予定日
この推薦状は,署名日から1年間有効
(日付)
海外労働部(DOLAB)南東アジア・日本課によって承認された。
(署名及び印) 8添付2
在日本国ベトナム労働管理部門用
特定技能外国人表
1.登録支援機関に関する情報
(名称):(認可番号):(代表者の氏名):(所在地):(電話番号)
: (ファックス番号):2.日本の受入機関に関する情報
(名称):(認可番号):(代表者の氏名):(所在地):(電話番号)
: (ファックス番号):3.労働期間 しろまる年からしろまる年まで
4.特定技能外国人に関する情報
1号特定技能外国人 2号特定技能外国人
項番 氏名 生年月日 性別 旅券番号 従前の
在留資格(*)
職業
(*)
「特定技能」
へ在留資格を変更する以前の在留資格に関する情報を明記とすること。
この推薦状は,署名日から1年間有効
(日付)
在日本国ベトナム労働管理部門によって承認された。
(署名及び印)

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