1日本国政府とインドネシア共和国政府との間の技能実習制度に関する
協力覚書
日本国政府(以下「GoJ」という。
)及びインドネシア共和国政府(以下「GoI」
という。)(以下「両政府」と総称する。
)は,
技能実習制度が,技能,技術及び知識(以下「技能等」という。
)を日本国から
インドネシア共和国に移転すること,インドネシア共和国の経済の発展を担う
人材育成に寄与すること,ひいては,日本国とインドネシア共和国との間の二
国間協力を推進することを目的とするものであることについて見解を共有した。
この見解に基づき,両政府は,技能実習制度を適正に推進するため,次のとお
り決定した。
1. 定義
一 「技能実習」とは,企業単独型技能実習及び団体監理型技能実習をいう。
二 「企業単独型技能実習」とは,日本の公私の機関のインドネシアにある事
業所又は日本の公私の機関と密接な関係を有するインドネシアの公私の
機関の職員であり,在留資格「技能実習」を有するインドネシア国民が,
これらの日本の公私の機関との雇用契約に基づいて技能等に係る業務に
従事することをいう。
三 「団体監理型技能実習」とは,在留資格「技能実習」を有するインドネシ
ア国民が以下の双方の活動に従事することをいう。
a. 日本の営利を目的としない法人により受け入れられて技能等を修得
するために必要な講習を受けること。
b. 当該法人による実習監理を受ける日本の公私の機関との雇用契約に
基づいて,
当該日本の公私の機関の本邦にある事業所において当該技
能等を必要とする業務に従事すること。
四 「技能実習計画」とは,GoJ の現行法令に従った,各技能実習生のための技
能実習の実施に関する計画のことをいう。
五「技能実習生」
とは,
技能実習に従事するインドネシア国民のことをいう。
六 「送出機関」とは,技能実習生を日本に送り出すことを GoI から認められ
た,インドネシアの認可職業訓練機関,登録企業又は政府機関のことを
いう。
七 「認定基準」とは,技能実習生を日本に送り出すことが適切であるとして
GoI から認定されるために,送出機関が満たさねばならない別添1に記載
されている一連の基準をいう。認定基準は,この協力覚書(以下「覚書」
という。
)の不可分な一部を構成する。 2八 「認定送出機関」とは,認定基準を満たし,GoI によって技能実習生を日本
に送り出すことを認定された送出機関のことをいう。
九 「監理団体」とは,GoJ の現行法令に従い監理を行う許可に基づき,実習監
理事業に従事する日本の営利を目的としない法人をいう。
2. 目的
この協力は,
技能実習生の送出し及び受入れを行うための両政府の責務を定め
ることにより,
技能実習制度を通じて日本国からインドネシア共和国への技能
等の移転を適正かつ円滑に行い,
ひいては二国間協力を推進することを目的と
する。
3. 連絡部局
両政府は,
覚書に基づく活動を効果的に実施するため,
連絡及び調整を目的と
する連絡窓口を次のとおりそれぞれ指定する。
一 日本国
法務省及び厚生労働省の認可法人である外国人技能実習機構
(以下
「OTIT」
という。
)国際部
二 インドネシア共和国
労働省(以下「MoM」という。
)職業訓練・生産性向上総局実習開発局
4. 実施
一 覚書の実施は,それぞれの国における関係法令の範囲内で行われる。
二 覚書の実施に関する日本国の権限ある当局は法務省,外務省及び厚生労
働省,また,インドネシア共和国の権限ある当局は MoM。
三 両政府は,技能実習制度の実施に関し,OTIT を含む日本の関連機関及び
インドネシア共和国の駐日外交使節団との定期的な連絡と調整を確立す
る。
5. 情報共有及び協議
一 両政府は,覚書に基づく技能実習制度に関する協力について,定期的に
協議を行い,及び,情報を共有し,並びに必要に応じ外交上の経路を通
じて随時協議する。
二 いずれか一方の政府は,他方の政府の書面による同意なしに,この覚書
の枠組みにおける協力及び情報交換を通して他方の政府から取得した秘
密の情報を公開しない。 36. GoJ の責務
覚書に基づく協力を開始した後は,GoJ は次の責務を負う。
一 GoI から認定送出機関のリストを受領した場合は,当該情報を公表する
こと。
二 法施行規則で定められた要件を満たし,
かつ認定された技能実習計画に
基づき認定送出機関から送り出される技能実習生のみを受け入れるこ
と。
三 GoI が提供する認定送出機関のリストを,GoI が提供する送出機関の推
薦状の代替として認めること。
四 GoJ の現行法令に従って,定期的な調整の際に最新の技能実習生数を提
供すること。
五 GoI から認定送出機関の認定の取消しの情報を受領した場合には,当該
情報を日本国において公表すること。
六 監理団体の完全なリストを GoI に提出し,
当該情報を日本国において公
表すること。
七 監理団体に対して許可の取消し又は業務停止命令若しくは改善命令の
発出等のあらゆる行政措置を講じた場合は,その結果をGoIと共有する
こと。
八 GoJがGoIから技能実習制度の実施状況,当該制度のあらゆる見直し,又
は当該制度の対象職種の追加等に関する照会を受けた場合には,必要な
情報を提供すること。
九 日本国における技能実習生に対する保護についてGoIと協力すること。
7. GoI の責務
覚書に基づく協力を開始した後は,GoI は次の責務を負う。
一 認定送出機関のリストから成る推薦を発行及び公表すること。
当該公表
は,MoM 以外の公的機関により行われないこと。
二 日本国に送り出される技能実習生のリストを発行し,GoJ に提供するこ
と。
三 送出機関を認定する前に,
送出機関が認定基準を満たしていることを審
査し,及び確保すること。
四 認定送出機関の名称,その他の情報を公表すること。
五 覚書の不可分の一部を構成する別添2に規定される様式により,
認定送
出機関のリストに関する情報を GoJ に提供すること。
六 認定送出機関が認定基準に適合しない行為又はその他の適切でない行
為を行った疑いがある場合には,当該認定送出機関を調査し,必要な指 4導及び監督を行う等,適切な措置を講じ,その結果を GoJ に共有するこ
と。
七 認定送出機関に対し,技能実習生の選定及び送出しを適切に行うため,
指導すること。
八 認定送出機関が認定基準を満たさなくなったと認める場合には,
認定を
取り消し,当該取消しを GoJ に通報すること。
九 GoJ が実施するインドネシア共和国への帰国後の技能実習生による修得
した技能等の活用状況に関するフォローアップ調査に協力すること(特
に,可能な限り多くの元技能実習生から正確な回答が得られるよう認定
送出機関を指導する。)十 認定送出機関に対する指導及び監督の記録,
送出機関の認定に関する記
録及びインドネシア共和国において技能移転の需要のある実習の分野
の類型に関する事項等について,
求められた情報を GoJ に提供すること。
8. 問題の解決
両政府は,覚書に基づく活動の実施又は当該実施に関連して生じる問題につ
いて互いに協議し,当該問題を友好的に,かつ,緊密な協力において解決す
る。
9. 開始,修正,期間及び終了
一 覚書は,その署名の日から開始する。覚書の継続期間は5年とし,相互
の書面による同意によりさらに5年間延長される。
二 いずれか一方の政府が覚書に基づく協力の修正をその開始後に希望す
る場合には,当該政府は書面によりその意図を表明する。
三 いずれか一方の政府は,覚書を終了することを希望する日の遅くとも
90 日前に他方の政府に対し書面によりその意図を通告することにより,
いつでも覚書を終了することができる。
以上の証拠として,下名は,各自の政府から正当に委任を受けてこの覚書に署
名した。
2019年6月25日にジャカルタで,英語,日本語及びインドネシア語によ
りそれぞれ二通の原本に署名した。この覚書の解釈に相違がある場合は,英語
の本文による。 5日本国政府のために
石井正文
特命全権大使
インドネシア共和国政府のために
ムハンマド・ハニフ・ダキリ
労働大臣 6<別添1>
送出機関の認定基準
1 送出機関は,次の全ての基準を満たしている必要がある。
一 技能実習制度の目的を理解して技能実習に従事し,
帰国後にその成果を活
用してインドネシア共和国の経済の発展に寄与する意欲のある者のみを
適切に選定して,日本への送出しを行うこととしていること。
二 技能実習生になろうとする者から徴収する手数料その他の費用について,
算出基準を明確に定めて公表し,当該手数料その他の費用の詳細につい
て技能実習生になろうとする者に十分に理解をさせるために説明するこ
と。
三 インドネシア共和国からの出国前及び出国後の技能実習生から,
二項に従
って基準が規定されているもの以外の手数料を徴収しないこと。
四 技能実習を修了してインドネシア共和国に帰国した者が修得した技能等
を適切に活用できるよう,就職先のあっせんその他の必要な支援を提供
すること。
五 技能実習制度の適正な実施及び技能実習生の保護に関し,
日本国の法務大
臣,厚生労働大臣又は外国人技能実習機構からの要請に応じること。当
該要請には,技能実習を修了して帰国した者に対するフォローアップ調
査への協力を含む。
六 送出機関又はその役員について,
日本国又はインドネシア共和国において
拘禁刑若しくは法人については行政上の制裁措置又はこれよりも重い刑
を言い渡されている場合,その刑の執行の終了又はその刑の執行の免除
から少なくとも5年を経過していること。
七 インドネシア共和国の法令に従って全ての事業を行うこと。
八 送出機関又はその役員が,
過去5年以内に,
次に掲げる行為を行っていな
いこと。
(a)技能実習に関連し,保証金の徴収,その他の目的など理由のいかんを
問わず,技能実習生等,その親族又はそれらの者の関係者等の金銭そ
の他の財産を管理する行為
(b)技能実習に係る契約の不履行について,違約金を科す契約又は金銭そ
の他の財産の不当な移転を予定する契約を結ぶ行為 7(c)暴行,脅迫,自由の制限等の技能実習生及び技能実習生になろうとす
る者の人権を侵害する行為
(d)技能実習制度上の手続及び日本における出入国管理制度上の手続に
関し,不正に許可を受けさせる目的で,偽造された,変造された又は
虚偽の文書若しくは図画を行使し,又は提供する行為
九 技能実習の申請を日本の監理団体に取り次ぐに当たり,
技能実習生及び技
能実習生になろうとする者,
その親族又はその関係者等が,
八(a)及び(b)
に定める行為に関与していないことについて確認すること。
十 技能実習生の失踪対策の重要性を認識し,
日本の監理団体と協力して,失踪防止に努めること。
十一 技能実習の申請を適切に日本の監理団体に取り次ぐために必要なその
他の能力を有すること。
2 インドネシア共和国の送出機関の認定について,GoI は,
(2019年7月
1日)から手続を開始し,認定送出機関の完全なリストを GoJ に対して(2
020年1月1日)までに提供する。GoJ は,
(2020年5月1日)以降,
当該リストに記載されているインドネシアの認定送出機関からの実習生の
みを受け入れる。 8認定送出機関リスト
番号 組織名称 住所 URL
実習責任者 日本での連絡先(あれば)
氏名 電話 Email
責任者
氏名
住所 電話 Email
<別添2>

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