1【日本国法務省、外務省、厚生労働省とタイ王国労働省との間の技能実習制度
に関する協力覚書】
(仮訳)
日本国法務省、外務省、厚生労働省(以下「日本の省」と総称する。
)及びタ
イ王国労働省(以下「タイの省」という。
)は、技能実習制度が、技能、技術及
び知識(以下「技能等」という。
)をタイに移転すること、タイの経済の発展を
担う人材育成に寄与すること、ひいては、国際協力を推進することを目的とす
るものであることについて見解を共有した。この見解に基づき、日本の省とタ
イの省(以下「両省」と総称する。
)は、技能実習制度を適正に推進するため、
次のとおり決定した。
1 目的
この協力覚書(以下「覚書」という。
)は、両省の間で技能実習生の送出し
及び受入れに関する責務を定めることにより、技能実習制度を通じて日本国
からタイへの技能等の移転を適正かつ円滑に行い、ひいては国際協力を推進
することを目的とする。
2 日本の省の責務
この覚書に基づく協力を開始した後、日本の省は、適当と認められる場合
には在タイ日本国大使館及び日本国総領事館と協力しつつ、日本国の関係法
令に従い、タイからの技能実習生の受入れに関して次の責務を果たす。
一 技能実習生を日本国に送り出すことを意図する送出機関(以下「送出機
関」という。
)であって、別添1に記載する送出機関の認定基準(以下「認
定基準」という。
)を満たすとしてタイの省が認定したもの(以下「認定送
出機関」という。
)に係る情報を日本の省がタイの省から受領した場合は、
当該情報を日本国において公表すること。
二 タイの技能実習生については、認定送出機関が送り出した技能実習生の
みを受け入れること。ただし、日本の省は、認定送出機関から送り出され
る技能実習生であっても、当該技能実習生に係る技能実習計画が認定され
ない場合等には、当該技能実習生を受け入れないことができる。
三 送出機関の推薦状を、タイの省による送出機関の認定をもって代えるこ
ととすること。
ただし、
タイの省が送出機関の認定のための手続を終了し、
日本の省に認定送出機関の完全なリストを提供することを条件とする。
四 日本の省が別添3の証明書を受領することを条件として、認定送出機関
の完全なリストを受領した後、公的機関による技能実習生の推薦状を要求
しないこと。
五 日本の省がタイの省から認定送出機関の認定の取消しの情報を受領した 2場合には、当該情報を日本国において公表すること。
六 日本の省が、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関
する法律(以下「法」という。
)第 36 条に従い、日本の監理団体に対して、
許可の取消し、業務停止命令若しくは改善命令による行政措置をとった場
合、又は、法第 15 条に従い、実習実施者に対して、技能実習計画の認定取
消し若しくは改善命令による行政措置をとった場合は、タイの省にその結
果を通知すること。
七 日本の省がタイの省から技能実習制度の運営の状況、当該制度の見直し、
又は当該制度の対象職種の追加に関する照会を受けた場合には、必要な情
報を提供すること。
3 タイの省の責務
タイの省は、
タイの関係法令に従い、
技能実習生の送出しに関して次の責務
を果たす。
一 技能実習生の団体監理型技能実習への申込みを適切に日本国の監理団体
に取り次ぐことができるものとして公的機関が行う送出機関の推薦(第 25
条第1号に規定する推薦)は、タイの省以外の公的機関には行わせないこ
と。
二 技能実習生を日本国に送り出すことを意図する送出機関について、認定
基準を満たしているかどうかの審査を行い、当該機関が認定基準を満たし
ていると認める場合には、その認定を与えること。
三 前項に定める認定を行ったときは、当該送出機関の名称その他の情報を
公表すること。また、当該送出機関の情報を別添2に記載する様式により
日本の省に提供すること。
さらに、タイの省が日本の省に対して認定送出機
関の完全なリストを提供するまでの間、タイの省が日本に技能実習生を送
り出すことが適切と認める送出機関の推薦状を継続して発行すること。
四 タイの省が、認定送出機関が認定基準に適合しない行為その他の適切で
ない行為を行ったのではないかとの通報を日本の省から受けた場合には、
当該認定送出機関を調査し、必要な指導及び監督を行い、その結果を日本
の省に報告すること。
五 タイの認定送出機関に対し、技能実習生を適切な方法で選定し、及び送
り出すために指導し、タイの省が、認定送出機関が認定基準を満たさなく
なったと認める場合には、認定を取り消し、その後その結果を日本の省に
通報すること。
六 タイの省が日本の省から照会を受けた場合には、認定送出機関に対する
指導及び監督に関する実績、送出機関の認定に関する実績、タイへの技能
移転の需要のある職種に関する事項等について、必要な情報を提供するこ
と。 34 連絡部局の指定
両省は、
この覚書に基づく活動を効果的に実施するため、
両国の連絡及び調
整に係る連絡窓口を次のとおりそれぞれ指定する。
一 日本については、外国人技能実習機構国際部。ただし、この覚書の修正
及び補足並びにこの覚書に基づく協力の終了の希望についての窓口は、法
務省入国管理局入国在留課及び厚生労働省人材開発統括官付海外人材育成
担当参事官室。
二 タイについては、
労働省雇用局。
同局は、
この覚書に係る業務の一部を、
在日本国タイ王国大使館労働担当官事務所に委託することができる。
5 問題の解決
両省は、この覚書に基づく活動の実施又は当該実施に関連して生じる問題
(技能実習生の失踪の発生、不法残留の技能実習生の送還等を含む。
)につい
て協議し、友好的に、かつ、適当な場合には外交ルートを通じ、それぞれの国
における関係する省庁と緊密に協力し解決する。
日本におけるタイの技能実習
生保護のため、外国人技能実習機構は、実地検査、母国語相談ホットライン、
転籍支援システム及び一時的な宿泊を提供する枠組みを通じて、
在日本国タイ
王国大使館労働担当官事務所と協力する。
6 法令の範囲内の実施
この覚書に基づく協力は、それぞれの国において効力を有する法令の範囲
内で行われる。両省は、他方の省の書面による同意なしに、この覚書の枠組
みにおける協力及び情報交換を通して他方の省から取得した秘密の情報を公
開しない。
7 情報共有及び協議
両省は、この覚書に基づく技能実習制度に関する情報共有のために、定期
的に会合を開催する。両省の代表者は、必要に応じ随時協議する。両省は、
適当と認める場合には、外交ルートを通じて協議を行う。
8 その他
一 この覚書に基づく協力は、その署名の日から開始する。
二 この覚書に基づく協力は、
その署名の日から5年続くものとし、
いずれか
一方の省から、
終了する日の60日前までに延長しないことを希望する旨の書
面による通告がない限り、
自動的に5年間延長される。
いずれか一方の省が
この覚書に基づく協力を上述の5年の期間が満了する前に終了することを
希望する場合には、
終了することを希望する日の60日よりも前に他方の省に 4対し書面によりその意図を通告することにより終了する。
三 この覚書の内容は、
両省の書面による同意により、
必要に応じて修正又は
補足される。
この覚書は、英語により作成され、2019 年3月 27 日に日本国東京において署
名された。
日本国法務省のために タイ王国労働省のために
日本国外務省のために
日本国厚生労働省のために 5<別添1>
送出機関の認定基準
1 送出機関は、次の全ての基準を満たしている必要がある。
一 技能実習制度の目的を理解して技能実習を行い、
帰国後にその成果を発揮
してタイの経済の発展に寄与する意欲のある者のみを適切に選定して、
日本
への送出を行うこととしていること。
二 技能実習生又は技能実習生になろうとする者(以下「技能実習生等」とい
う。
)から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて
公表し、
当該手数料その他の費用の詳細について技能実習生等に十分に理解
をさせるために説明すること。
三 技能実習を修了してタイに帰国した者が修得した技能等を適切に活用で
きるよう、就職先のあっせんその他の必要な支援を提供すること。
四 技能実習制度の適正な実施及び技能実習生の保護に関し、
日本国の法務大
臣、
厚生労働大臣又は外国人技能実習機構からの要請に応じること。
当該要
請には、
技能実習を修了して帰国した者に対するフォローアップ調査を含む。
五 送出機関又はその役員について、
日本国又はタイにおいて拘禁刑又はこれ
よりも重い刑を言い渡されている場合、
その刑の執行の終了又はその刑の執
行の免除から少なくとも5年を経過していること。
六 タイの法令に従って事業を行うこと。
七 送出機関又はその役員が、
過去5年以内に、
次に掲げる行為を行っていな
いこと。
(a)技能実習に関連し、保証金の徴収、その他の目的など理由のいかんを問
わず、技能実習生等、その親族又はそれらの者の関係者等の金銭その他
の財産を管理する行為
(b)技能実習に係る契約の不履行について、違約金を科す契約、又は金銭そ
の他の財産の不当な移転を予定する契約を締結する行為
(c)暴行、脅迫、自由の制限等の技能実習生等の人権を侵害する行為
(d)技能実習制度上の手続及び日本における出入国管理制度上の手続に関
し、不正に許可等を受けさせる目的で、偽造された、変造された又は虚
偽の文書若しくは図画を行使し、又は提供する行為
八 技能実習の申請を日本の監理団体に取り次ぐに当たり、
技能実習生等、その親族又はその関係者等が、
七(a)及び(b)に定める行為に関与していないこ
とについて確認することとしていること。 6九 技能実習生の失踪対策の重要性を認識し、
日本の監理団体と協力して、失踪対策に努めること。
十 技能実習の申請を適切に日本の監理団体に取り次ぐために必要なその他
の能力を有すること。
2 タイの送出機関の認定については、タイの省は、2019 年3月 27 日から手続
を開始し、認定送出機関の完全なリストを日本の省に対して 2019 年8月1日
までに提供する。日本の省は、2020 年2月1日以降、当該リストに記載され
ているタイの認定送出機関からの技能実習生のみを受け入れる。 7<別添2>
作成日:
認 定 送 出 機 関 の 概 要
機関名:
代表者の氏名:
所在地:
電話番号: Fax:
Email:URL:設立年月日:
認定年月日(有効期間)
: ( まで有効)
業種及び主要業務:
資本金:
売上げ(直近年度):常勤職員数(うち送出し業務従事者数):実施責任者名: (役職)
(住所)
(電話番号) (Fax)
(Email)
日本国内における連絡先等:
(氏名又は名称)
(代表者の氏名(法人の場合))(住所)
(電話番号) (Fax)
(Email) 8<別添3>
作成日:
証明書
タイ労働省(以下「当省」という。
)は、認定送出機関*が日本国に派遣する技能実習生
は、技能実習を行うに適切と認める。ただし、当省が適当でないと認めて別途個別に技能
実習に関する協力覚書4-1において指定された日本国の連絡窓口に通知する者を除く。
*「認定送出機関」とは、当省により認定された送出機関のことをいう。
タイ労働省
(署名)

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