出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議平成三十年十二月八日参議院法務委員会政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。一本法附則第二条の趣旨を踏まえ、人材確保が困難な状況にある地域において外国人労働者により不足する人材を確保するための具体的措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。二特定技能外国人が日本人と同等額以上の適正な賃金の支払いを受け、公正な処遇を受けるよう、関係省令等に適切な規定を設け、必要があると判断された場合には、報酬の適正性に関する判断基準等を検討するとともに、特定技能雇用契約の適格性を厳正に審査し、関係機関の緊密な連携の下、受入機関及び登録支援機関に対し、賃金の支払状況や支援の実施状況等についての監督を十分に行い、不正行為があったときは厳正に対処すること。三技能実習に関する制度及び外国人留学生が出入国管理及び難民認定法第十九条第二項の許可を受けて行う報酬を受ける活動に関する制度の運用の実態を検証し、その結果に基づいて、制度又は運用の見直しその他の必要な措置を講ずること。四外国人労働者及びその家族に関する社会保障制度及び日本語教育を含む教育制度の在り方について、これら制度の適切な運用を確保しつつ共生社会を実現する観点から検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。五特定技能制度の運用については、生産性向上や国内人材の確保のための取組を十分に行ってもなお人手 不足の状況にある分野であることを客観的データ等を用いて適切に判断し、かつ、所要の技能を有することを試験等により正確に判定するなど、制度の趣旨を遵守するとともに、特定技能外国人の受入れにより日本人労働者の労働条件低下を招くことがないよう、関係機関の連携の下、状況に応じ、当該分野の受入れ停止を含む適切な対応をとるものとすること。六分野別運用方針に記載する受入れ見込み数は、政府が国会答弁で述べたとおり、当該分野の雇用情勢全般に関わる事項についての大きな変化が生じない限り、受入数の上限として運用すること。七特定技能外国人の送出国における悪質なブローカーの介在等を防止しつつ有為の外国人材を受け入れるため、送出国当局とも連携しつつ、実効性のある方策を講ずること。八不法滞在者等を不法に雇い入れる雇用主や不法就労をあっせんする悪徳ブローカーの責任が重大であることに鑑み、関係機関の連携を強化し、不法就労助長行為の防止及び厳格な取締りに努めること。九我が国に適法に在留する外国人労働者の権利利益が十分に保護されること及び外国人が不当な差別を受けることなく我が国社会で共生していくことの重要性に鑑み、関係機関の連携の下、法令違反、不正行為に対する厳格な対応を行うとともに、ワンストップ型の相談窓口を設けるなどして、外国人が相談をしやすい仕組みの構築を検討すること。十近年の我が国の在留外国人数の増加を踏まえ、在留外国人からの永住許可申請に対しては、出入国管理及び難民認定法第二十二条第二項の要件の適合性について、厳格に審査を行うこと。右決議する。

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