1日本国法務省、外務省、厚生労働省及び警察庁と タジキスタン共和国労
働・移民・雇用省との間の在留資格「特定技能」を有する外国人材に係
る制度の適正な運用のための情報連携の基本的枠組みに関する協力覚書
(仮訳)
日本国法務省、外務省、厚生労働省及び警察庁(以下「日本の省庁」
と総称する。
)並びに タジキスタン共和国労働・移民・雇用省(以下「タ
ジキスタン共和国の省」
という。)は、
日本国政府が在留資格
「特定技能」
を付与した一定の専門性・技能を有する人材(以下「特定技能外国人」
という。
)を受け入れる制度(以下「本制度」という。
)の運用において、
特定技能外国人の送出し・受入れに係る両国間の協力を通じて相互の利
益を強化することについての見解を共有する。この見解に基づき、日本
の省庁とタジキスタン共和国の省
(以下
「両国の省庁」
と総称する。)は、
次のとおり協力することを決定した。
1.目的
この協力覚書は、タジキスタン 共和国から日本国への特定技能外国
人の送出し及び受入れの 円滑かつ適正な推進を通じて特定技能外国人
を保護しつつ、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れを確
保し(特に、悪質な仲介機関の排除)
、特定技能外国人の送出し・受入
れ及び日本国での在留に関する問題を解決するとともに、本制度の適
正な運用のための協力を通じて両国の相互の利益の強化に向けた情報
連携の基本的枠組みを定めることを目的とする。
2.連絡窓口
両国の省庁は、
この協力覚書に基づく協力を効果的に実施するため、
両国の連絡窓口を次のとおりそれぞれ指定する。
(1)日本国
出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課
(2)タジキスタン共和国
労働・移民・雇用省移民庁法務・人事・特任局
3.協力の枠組み
この協力覚書に基づく協力は、それぞれの国において効力を有する
法令の範囲内で行われる。
日本の省庁又は タジキスタン 共和国の省は、
他方の国の省庁又は省の書面による同意なしに、この協力覚書の枠組
みにおける協力及び情報共有を通じて取得した他方の国の省庁又は省
の秘密の情報を第三者に開示しない。
4.情報連携の基本的枠組み 2(1)情報共有
両国の省庁は、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れ
を確保するため並びに特定技能外国人の送出し・受入れ及び日本国
で の 在 留 に 関 す る 問 題 を 解 決 す る た め に 必 要 又 は 有 益 な 情 報 を 速
やかに共有する。この情報には、特定技能外国人に係る求人・求職
に関与する両国内の仲介機関
(個人及び法人の双方を含む。
以下
「特
定技能外国人仲介機関」という。
)による次の行為に該当するものに
関する情報を含む。
(a) 保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、特定技能外国人
又 は 特 定 技 能 外 国 人 に な ろ う と す る 者 ( 以 下 「特 定 技 能 外 国 人
等」という。)、
その親族又はそれらの者の関係者の金銭その他の
財産を管理すること。
(b) 契約の不履行について違約金を課す契約その他の不当に金銭
その他の財産の移転を予定する契約を 署名すること。
(c) 暴行、脅迫、自由の制限その他特定技能外国人等の人権を侵
害する行為。
(d) 日本国における出入国管理制度上の手続又は査証制度上の手
続に関し、不正に許可又は査証等を受けさせる目的で、偽造さ
れた、変造され た又は虚偽の文書若しくは図画を行使し、又は
提供する行為。
(e) 特定技能外国人等から徴収する手数料その他の費用について、
当該外国人等に算出基準を示さず、かつ、その額及び内訳を十
分に認識させないで、当該費用を徴収する行為。
(2)問題是正等のための協議
両国の省庁は、この協力覚書の1.の目的を達成するため、定期
又は随時に協議を行い、本制度の適正な運用のために改善が必要と
される問題の是正に努める。主な協議内容は次のとおりとする。
(a) 本制度に係る両国の政策の実施及び変更に関する事項
(b) 特定技能外国 人仲介機関の適正さの確保に関する事項(必要
な是正措置の在り方を含む。)(c) 特定技能外国人の送出し・受入れに係る各種審査、日本国内
の不適正な受入機関又は在留資格「特定技能1号」を有する外
国人材に対する支援(在留資格「特定技能1号」を有する特定
技 能 外 国 人 が 在 留 活 動 を 安 定 的 か つ 円 滑 に 行 う こ と が で き る
ようにするための職業生活上、日常生 活上又は社会生活上の支
援 を い う 。
) を 行 う 不 適 正 な 機 関 及 び タ ジ キ ス タ ン 共 和 国 内 の
不適正な送出機関に対する是正措置に関する事項
(d) 特定技能外国人の技能及び日本語能力の測定試験( 以下「試
験等」と総称する。
)の適正な実施に関する事項 3(e) 特定技能外国人の日本国での在留管理に関する事項
(f) 上記(a)から(e)までに掲げるもののほか、本制度その他これ
に 関 連 す る 両 国 の 出 入 国 又 は 労 働 に 係 る 制 度 の 適 正 な 運 用 に
関する事項
5.試験等における協力
日本の省庁及び特定技能外国人の受入れを所管する省 庁(以下「日
本の関係省庁等」と総称する。
)は、試験等を適切に実施する。タジキ
スタン共和国の 省は、日本の関係省庁等から、当該試験等の実施及び
関連する日本語教育に係る事業その他の日本の関係省庁等が関与する
日本語能力の測定試験に関連する事業に係る協力を求められたときは、
タジキスタン共和国の省は可能な範囲でこれに協力する。
また、日本の関係省庁等及び タジキスタン 共和国の 省は、試験等に
関し、別人による受験、試験等の合格を証する文書の偽造又は変造そ
の他の不正な行為に関する情報を得たときは、
この協力覚書の4 .(1)の枠組みに準じ、当該情報を速やかに共有する。
6.日本の省庁の約束
日本の省庁は、日本国の関係 法令に従い、タジキスタン共和国から
の特定技能外国人の受入れに関する 以下の約束を行う。
(1)特定技能外国人を日本国に送り出す意図を有する タジキスタン共
和国の送出機関(以下「送出機関」という。
)であって タジキスタン
共 和 国 の 省 の 認 定 を 受 け た も の の 情 報 を タ ジ キ ス タ ン 共 和 国 の 省
か ら 受 領 し た 場 合に は 、 当 該 情 報 を日 本 国 に お い て 公表 す る こ と。
(2)タジキスタン 共和国の省から、7 .(4)に定める認定の取消しに
関する情報を受領した場合には、当該情報を日本国において公表す
ること。
(3)受入機関に対して改善命令を発出した場合には、 タジキスタン共
和国の省に対して 当該改善命令を通 報すること及び登 録支援機関一
覧をタジキスタン 共和国の省と共有すること。
(4)タジキスタン共和国からの特定技能外国人の受入れに関する照会
をタジキスタン共和国の 省から受けた場合には、必要な情報を提供
すること。
7.タジキスタン 共和国の省の約束
タジキスタン共和国の省は、
タジキスタン共和国の関係法令に従い、
タジキスタン共和国からの特定技能外国人の送出しに関して 以下の約
束を行う。
(1)送出機関が基準を満たしているか否かの審査を行い、当該機関が
タ ジ キ ス タ ン 共 和 国 の 省 の 認 定 基 準 を 満 た し て い る と 認 め る 場 合 4には、認定を与えること。
(2)上記(1)に規定する認定を与えた場合には、 タジキスタン 共和国
内の認定送出機関の名称その他の情報を公表すること。また、認定
送出機関の情報を日本の省庁に提供すること。
(3)認定送出機関が認定基準に適合しない活動その他の適切でない活
動 を 行 っ た と 思 わ れ る 旨 の 通 報 を 日 本 の 省 庁 か ら 受 け た 場 合 に は 、
問題となっている当該送出機関を調査し、当該送出機関に対して必
要 な 指 導 及 び 監 督 を 行 い 、 そ の 結 果 を 日 本 の 省 庁 へ 提 供 す る こ と 。
(4)タジキスタン共和 国内の認定された送出機関に対し、 タジキスタ
ン共和国の特定技能外国人を適切な方法で選定し、及び送り出すた
めに指導を行うこと。また、送出機関が認定基準を満たさなくなっ
たと認める場合には、認定を取り消し、その結果を日本の省庁に通
報すること。
(5)日本の省庁から、受入機関に対して発した改善命令及び登録支援
機関の一覧について情報の提供を受けた場合には、当該情報を タジ
キスタン共和国において公表すること。
(6)タジキスタン共和国からの特定技能外国人の送出しに関する照会
を日本の省庁から受けた場合には、必要な情報を提供すること。
8.その他
日本の省庁は、特定技能外国人の受入れ分野ごとに、この受入れに
より不足する人材が確保されたと認める場合には、日本国の出入国に
関する法令の規定に従い、特定技能外国人の受入れを一時的に停止す
ることができる。この場合において、日本の省庁は、 タジキスタン共
和国からの特定技能外国人及びその扶養を受ける配偶者又は子(特定
技能外国人の在留資格が「特定技能2号」である場合に限る。
)の在留
に関する事項については、特定技能外国人とその受入機関との雇用契
約の状況、実施状況及び生活状況等を考慮の上、日本国の出入国に関
する法令に基づき 、適切に対処する。
タジキスタン 共和国の省は、特定技能外国人及び配偶者等の日本国
における在留が認められなかった場合には、これらの者の タジキスタ
ン共和国への円滑な帰国を確保するため、在日本国 タジキスタン共和
国大使館とともに、日本の省庁の要請に応じ、臨時旅券の発給等必要
な手続を行うことに努める。
9.枠組みの見直し等
この協力覚書の内容は、両国の書面による同意により、必要に応じ
て修正又は補足される。
10.言語等 5この協力覚書は、タジキスタン共和国から、その開始のために必
要 な 国 内 手 続 き が 完 了 し た 旨 の 書 面 に よ る 通 知 を 外 交 ル ー ト を 通
じて受領した日に開始される。こ の協力覚書は、日本の省庁または
タジキスタン共和国の省 のいずれかが、この協力覚書の終了を希望
する意向を他方に伝えた日から 6月後に終了する。
この協力覚書の解釈又は実施により生じた紛争は、両国の省庁が
相互に協議及び交渉することにより友好的に解決される。
この協力覚書は、英語により二通作成され、 2024年8 月5日
に 東 京 で 、 ま た 2 0 2 4 年 8 月 8 日 に ド ゥ シ ャ ン ベ で 署 名 さ れ た 。
日本国法務省のために タジキスタン共和国労働・移民・雇用
省のために
日本国外務省のために
日本国厚生労働省のために
日本国警察庁のために

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