造船・舶用工業分野特定技能2号試験実施要領
令和5年2月
令和6年8月改正
国土交通省海事局船舶産業課
1.目的
「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」
(平成 30 年 12 月 25
日閣議決定)の3(1)オ及び(2)ウに基づき定められた「
『特定技能』に係る試験の方
針について(令和2年1月 30 日出入国在留管理庁)
(以下「試験方針」という。)」に従
い、造船・舶用工業分野の特定技能2号に係る技能試験に関し、その公正かつ適正な実施
を図るために必要な事項を定めるものとする。
2.試験概要
(1)試験言語
試験言語は日本語とする(必要に応じてルビを付す。)。ただし、専門用語等について
は他の言語を併記することができるものとする。
(2)実施主体
本試験は、造船・舶用工業分野特定技能2号試験(以下、
「技能試験」という。
)と称
し、その実施主体は、次のとおりとする。
実施主体:一般財団法人日本海事協会(以下、
「協会」という。)所在地:東京都千代田区紀尾井町4番7号
(3)実施方法
1 学科試験は、ペーパーテスト方式により業務区分ごとに試験を行う。
2 実技試験では、2号特定技能外国人に求められる熟練した技能を有しているか否かを
判断するため、業務区分ごとに作業試験を実施する。
(4)事業年度における実施回数、実施時期及び実施場所
1 技能試験は、受験者又は受験者が所属等する団体・機関・組織等(以下、
「申請者」
という。
)の申請により、国内外で随時実施する。
2 技能試験は、原則として、申請者の準備した試験会場に試験監督者を派遣し、当該申
請者の準備した機械設備等を利用する出張試験方式により実施する。
(5)受験資格者
試験を受験できる者は、以下の要件を満たす者とする。
・ 試験日において、満 17 歳以上の者。ただし、国内で受験する者にあっては在
留資格を有する者を対象とし、退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法
務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限ある機関の発行した旅券を所持
していない者を除く。
・ 試験日の前日までに造船・舶用工業において複数の作業員を指揮・命令・管理
する監督者としての実務経験を2年以上有する者とする。なお、証明に当たっ
ては、別紙様式1及び2の誓約書を併せて提出することとする。
なお、試験方針によれば、試験に合格することができたとしても、そのこと
をもって「特定技能」の在留資格が付与されることを保証したものではなく、
試験合格者に係る在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請がな
されたとしても、必ずしも在留資格認定証明書の交付や在留資格変更の許可を
受けられるものではなく、また、在留資格認定証明書の交付を受けたとして
も、査証申請については、別途外務省による審査が行われ、必ずしも査証の発
給を受けられるものではないとのことであり、その旨を受験案内において周知
することとする。
(6)試験実施時の注意事項
国外試験の実施に当たっては、現地の関連法令及び規則を遵守し、実施する。
(7)受験申請
協会が別に定める方法により、申請者が申請する。
(8) 受験料
1 協会は国土交通省と協議の上、実費を勘案し、技能試験に関する受験料の額を定め、
公表する。ただし、協会は当該受験料に加え、各々の技能試験の実施によって必要と
なる追加の経費を、実費を勘案して徴収することができる。
2 収納した受験料等は、次に掲げる場合を除き返戻しない。
ア 受験申請が受理できないと認められた場合
イ 協会の責めに帰すべき理由がある場合
ウ 自然災害等により、試験が実施できない場合(代替の試験が実施された場
合を除く。)(9)合否の通知方法
協会は、受験者の試験の結果を記載した結果証明書を発行し、試験実施後(溶接区分
においては、曲げ試験実施後)
、1か月以内に申請者に送付する。
3.試験実施体制
(1)試験問題作成体制
1 協会は、技能試験の公正かつ適正な実施を図るため、造船・舶用工業分野特定技能試
験有識者委員会(以下、
「委員会」という。
)を設置する。
2 委員会は、協会が選任する委員4名以上をもって組織する。
3 協会は、試験に関し高い見識を有する者であって、造船・舶用工業について専門的な
技能、技術又は学識経験を有する者のうちから、委員を選任する。
4 委員会の職務は、次のとおりとする。
ア 技能試験の範囲及び試験基準案の審査・決定
イ 試験問題及び採点基準の決定
ウ 技能試験の運営状況の確認・助言
エ その他前各号に関する事項の検討
(2)試験実施体制
試験監督者は、以下の選任基準のいずれかに該当する者を協会が選任する。
1 協会が別に定める検査員選任規則により選任された船舶検査員及び専門検査員
2 協会が上記1に掲げる者と同等以上の知識又は経験を有すると認める者
(3)試験の適切な運用をフォローする体制
国土交通省は、協会に対し、本試験に関して必要な報告を求め、指示を行うことがで
きる。また、国土交通省は、協会が法令、本実施要領若しくは上記指示に違反した場
合には、その選定を取り消すことができるものとする。
4.試験水準
技能試験の水準は、特定技能2号において求められる技能水準が現行の専門的・技術的
分野の在留資格を有する外国人と同等又はそれ以上の高い専門性・技能を要する技能を
有することを確認する観点から、溶接区分においては、全ての溶接姿勢で適切に溶接を
行うことができる技能を問うものとする。また、塗装区分及び鉄工区分においては、技
能検定1級と同等の水準とする。
5.試験科目
(1)業務区分
技能試験は、以下の業務区分ごとに試験を実施する。
1 溶接
2 塗装
3 鉄工
(2) 学科試験
1 管理能力等確認試験(塗装及び鉄工区分のみ実施。
)では、各業務区分の管理に関す
る知識を確認する。試験の詳細については別紙1のとおりとする。
2 安全衛生等確認試験では、安全衛生等に関する知識を確認する。試験の詳細につい
ては別紙1のとおりとする。
(3)実技試験
実技試験では、各業務区分の業務上必要となる技能水準を確認する。各業務区分の試験
の詳細については別紙1のとおりとする。
6.合否の基準
学科試験及び実技試験の合格をもって、技能試験の合格とする。合否基準は別紙2のと
おりとする。
7.試験の不正防止策
(1)試験監督者は、協会から受領した管理能力等確認試験問題及び安全衛生等確認試験問
題の厳重な管理、旅券等による受験者の本人確認等のなりすまし防止、持ち物検査の
実施、携帯情報端末等の管理の徹底、試験中の適切な巡回などの不正防止対策を講じ
る。
(2)技能試験において、試験監督者等が不正行為を確認した場合は、試験監督者の判断に
基づき、その受験者の試験を中止し、その受験者を退場させる。
(3)試験監督者は、受験者が試験中に、他の受験者の迷惑になるような行為をした時は注
意し、これに従わない時は、試験監督者の判断に基づき、その受験者の試験を中止
し、その受験者を退場させる。
(4)試験監督者は、(2)又は(3)に該当する場合、適切な措置を講じた後、速やかに協会
に報告する。
(5)協会は、不正の手段によって技能試験を受け、又は受けようとした者に対しては、そ
の試験を受けることを禁止し、合格の決定を取り消し、又は5年以内の期間を定めて
技能試験を受けることができないものとすることができる。
8.試験結果の公表方法
協会は、法務省又は国土交通省の要請に応じて、受験者数及び合格者数並びに受験者の情
報を報告する。
9.その他必要事項
(1)書類の保存
1 協会は、技能試験を実施したときは、受験者の情報、試験結果等を記載した帳簿
(以下、
「受験者台帳」という。
)を作成し、保管する。
2 書類の保存期間は、原則として、答案は試験実施の翌年度の始期から起算して2
年、受験申請書、結果証明書再交付申請書及び受験者台帳は、10 年とする。
(2)合格の取消し
1 技能試験の受験に関して、次に掲げる不正行為が結果証明書等の交付後に判明した時
は、協会は、当該不正行為を行った者に対してその技能試験の合格を取り消すととも
に、既に交付した結果証明書等を返還させる。
ア 技能試験の秘密事項について試験関係者に情報提供を求め、かつ、これを
受けたとき
イ 受験申請書類の記載内容に偽りがあったとき
ウ その他不正行為があったとき
2 合格を取り消した場合は、申請者及び受験者に対して合格を取り消した理由を記載し
た文書によって通知する。
(3)結果証明書の有効期限
結果証明書の有効期限は、結果証明書の発行日から 10 年後とする。
(4)結果証明書の再交付
1 結果証明書の再交付は、申請者からの申請により1回に限り行うことができる。ただ
し、結果証明書の発行日から 10 年に満たない時点で申請のあった場合に限る。
2 結果証明書の再交付の申請は、協会が定める結果証明書再交付申請書を協会に提出し
て行うものとする。
3 協会は、結果証明書再交付申請書の提出があった場合、審査の上、再度結果証明書を
作成し、受験者本人又は申請者に対し交付する。この場合の結果証明書には「再交
付」である旨の表示をする。
(5)秘密保持義務等
技能試験に関する業務に携わる者及び携わった者は、職務上知り得た秘密を他に漏ら
し、又は盗用してはならない。
別紙1 試験詳細
I.学科試験詳細
試験時間: 60 分
1.管理能力等確認試験詳細(塗装及び鉄工区分のみ実施。)
出題形式 : 多肢択一法、10問
出題範囲 : 安全衛生管理に関する問題(6問)
管理能力に関する問題(4問)
2.安全衛生等確認試験詳細
出題形式 : 真偽選択法(×ばつ式)、30問
出題範囲 : 安全衛生一般(10問)
各業務区分に関する知識・技能(文章問題 10 問、図表問題 10 問)
II.実技試験詳細
1.溶接
試験時間 : 60 分
作業試験詳細 :
試験の種類は、次の(1)又は(2)から選択する。
(1)手溶接又は半自動溶接の場合
1 溶接方法は、
「手溶接(MW)」、
「半自動溶接(SW)
」のどちらかとする。
2 製品の種類は、
「板材(P)
」とする。
3 継手の種類は、
「突合せ溶接(B)
」とする。
4 母材の種類は、
「普通鋼(CS)」、
「ステンレス鋼(SU)」、
「アルミニウム合金(AL)
」の
いずれかとする。
5 母材の厚さは、
「12mm 以上」とする。
6 溶接姿勢は、
「上向(PE)」、
「立向上進(PF)
」の両方とする。
7 継手の詳細は、
「片面溶接 裏当てあり(ss mb)」、
「片面溶接 裏当てなし(ss nb)」のどちらかとする。
(2) TIG 溶接の場合
1 溶接方法は、
「TIG 溶接(TW)
」とする。
2 製品の種類は、
「板材(P)
」とする。
3 継手の種類は、
「突合せ溶接(B)
」とする。
4 母材の種類は、
「普通鋼(CS)」、
「ステンレス鋼(SU)」、
「アルミニウム合金(AL)の
いずれかとする。
5 母材の厚さは、
「3mm 未満」とする。
6 溶接姿勢は、
「上向(PE)」、
「立向上進(PF)
」の両方とする。
7 継手の詳細は、
「片面溶接 裏当てあり(ss mb)」、
「片面溶接 裏当てなし(ss nb)」のどちらかとする。
2.塗装
試験時間 : 60 分
作業試験詳細 :
特定技能2号実技試験問題(塗装)の仕上がり状態図に指示された塗装をする。
1 吹付け塗装方法は、
「エアレススプレー塗装機」、「エアスプレー塗装機」のどちらか
とする。
2 準備した被塗装物(試験体)を指定された塗装仕様に従って塗装する。
3 塗装作業に先立ち、塗装面の素地調整を行う。
4 必要に応じてマスキングを施す。
5 指定された箇所のエッジ部分についても塗装を行う。
3.鉄工
試験時間 : 120 分
作業試験詳細 :
特定技能2号実技試験問題(鉄工)の製作図に指示された製品を製作する。
1 試験問題「試験材料の準備」で指示されたとおりに材料を準備する。
2 試験問題「鉄工作業試験の作業内容」で指定する要領に従って製作する。
3 受験者の仮付け溶接方法は「手溶接」又は「半自動溶接」のどちらかとする。
4 受験者の切断方法は「ガス切断」とする。
別紙2 試験合否基準
I.学科試験
1.管理能力等確認試験
正答率が 60%以上かつ安全衛生管理に関する問題、管理能力に関する問題それぞれの正答
率が 50%以上である場合を合格とする。
2.安全衛生等確認試験
正答率が 60%以上を合格とする。
II.実技試験
1.溶接
溶接された試験材に対し、以下を満足することを合否の基準とする。
(1) 外観試験
有害と認められる割れ、ピット、アンダーカット、その他欠陥があってはならな
い。
(2) 曲げ試験又は放射線透過試験
有害と認められる割れ、融合不良、溶込み不良、その他欠陥があってはならない。
2.塗装
準備された試験体に対し、以下を満足することを合否の基準とする。
(1)各評価対象面が指定された膜厚範囲内で塗装されている。
(2)指定されたエッジ部が適正に塗装されている。
(3)塗膜表面にタレ、ゆず肌等の塗膜欠陥があってはならない。
3.鉄工
製作された製品に対し、以下を満足することを合否の基準とする。
試験問題「仕上がりの基準」に指定する製品寸法及び仕上がりの全項目を満たしている。
年 月 日
2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る誓約書(受験者用)
一般財団法人日本海事協会 殿
受験者
氏名
生年月日
国籍・地域
在留カード番号
造船・舶用工業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針
に規定する2号特定技能外国人に求められる監督者としての実務経験の就業期間に
ついては下記のとおり試験日の前日までに2年を満たします。記(1)申請する業務区分
(2)監督者としての実務経験の就業期間1事業者名・住所
就業期間 年 月 日 〜 年 月 日2事業者名・住所
就業期間 年 月 日 〜 年 月 日
(注記)転職や離職などによって監督者として就労していない期間がある場合は、監督者
として就労していた期間ごとに記載すること。
(注記)本誓約書の提出日から試験日の前日までの間に、監督者としての実務経験が2年
を満たすことが不可能となった場合は、試験実施主体に遅滞なく報告すること。
誓約欄
記載事項に事実と相違がある場合には、関係法令により罰せられるほか、合格が
取り消される可能性があることを理解した上で、記載事項に相違がないことを誓約
いたします。
受験者氏名
(様式1)
年 月 日
2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る誓約書(事業者用)
一般財団法人日本海事協会 殿
事業者名
住所
役職・証明者氏名
連絡先
下記(1)に示す受験者の、造船・舶用工業分野における特定技能の在留資格に
係る制度の運用に関する方針に規定する2号特定技能外国人に求められる監督者と
しての実務経験の就業期間については下記(2)のとおり試験日の前日までに2年
を満たします。記(1)受験者
フリガナ
氏名
生年月日
国籍・地域
申請する業務区分
(2)監督者としての実務経験の就業期間
就業期間
1 年 月 日 〜 年 月 日
2 年 月 日 〜 年 月 日
(注記)監督者として就労していない期間がある場合は、監督者として就労していた期間
ごとに記載すること。
(注記)本誓約書の提出日から試験日の前日までの間に、監督者としての実務経験が2年
を満たすことが不可能となった場合は、試験実施主体に遅滞なく報告すること。
誓約欄
記載事項に事実と相違がある場合には、関係法令により罰せられる可能性がある
ことを理解した上で、記載事項に相違がないことを誓約いたします。
事業者名
証明者氏名
(様式2)

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