1関係者ヒアリング結果概要
1 日時
令和5年11月29日(水)13時15分〜14時30分
2 場所
オンライン
3 対象者
茨城県坂東市民生委員児童委員協議会
全国民生委員児童委員連合会評議員(茨城県民生委員児童委員協議会会長)
倉持 嘉男 氏
坂東市保健福祉部社会福祉課
主幹 野口 晋司 氏
浜松市民生委員児童委員協議会
会長(中区民生委員児童委員協議会会長/八幡地区民生委員児童委員協議
会会長) 杉山 晴康 氏
副会長(南区民生委員児童委員協議会会長/芳川南地区民生委員児童委員
協議会会長)犬居 和賀代 氏
事務局長(浜松市社会福祉協議会 地域支援課長)宇佐美 嘉康 氏
4 対応者
出入国在留管理庁政策課外国人施策推進室 平林室長 ほか
5 内容
(民生委員の概要)
【坂東市】
○しろまる 坂東市内には全部で89名の民生委員がいる。そのうち84名が地区担当の民
生委員、5名が主任児童委員である。
○しろまる 主な役割として高齢者、特に一人暮らしの方の見守りを行っている。その
他では地域の相談支援と社会福祉協議会などの関係団体にボランティアとし
て参加している。
○しろまる 担当地区の区長や自治会長、前任の民生委員が推薦する方が民生委員にな
ることが多い。
○しろまる 看護師資格を持っている民生委員は承知しているが、社会福祉士及び公認
心理師等の資格を持っている方については承知していない。
○しろまる 民生委員となってもらうに当たって重要なのは、「地域から信頼される方
かどうか」である。民生委員は地域で活動し地域に貢献できる方である必要
があるので、区長などの推薦を求めているのは、信頼できる人に民生委員に
なってもらいたいという趣旨である。一方で、なり手不足のため、民生委員2を高齢の方にもお願いしている状況ではある。
○しろまる 坂東市には外国籍の民生委員はいない。
【浜松市】
○しろまる 浜松市には民生委員が1,237名おり、そのうち主任児童委員は110名である。
○しろまる 地域をよく知っている人に民生委員になってもらうため、就任するに当
たっては自治会長の推薦をもらうことにしている。
○しろまる 民生委員になる要件として求めているものではないため、国家資格を持っ
ている民生委員もいるとは思うが特段把握はしていない。
○しろまる 民生委員となってもらうに当たって重要なのは、地域へ貢献したいという
思いを持っていること。
○しろまる 浜松市には外国籍の民生委員はいない。
(民生委員の相談対応の現状)
○しろまる 外国人住民に関連する相談としては、例えば宗教的な集会に参加する外国
人が、路上駐車や交通ルール違反をしてしまうことがあり、地域の方から相
談が来ることはある。一方で、外国人から民生委員への相談はあまりない。
理由としては、外国人が新たに住む場合には、既に市内に住んでいる同国人
のコミュニティを頼ることが多く、例えば市役所の手続においても、日本語
を話せる友人を連れてくるので、そういったコミュニティを頼れずに困って
いるという相談は外国人の数からすると多くないと思われる。
○しろまる ワクチンの予防接種について、本国と日本を行き来しているような場合、
接種記録を適切に把握できないことがあるほか、自国で接種する希望があっ
た際に、適切な案内ができず対応に苦慮したという事例は聞いたことがある。
○しろまる 以前、一度離婚した外国人で、子どもを学校に通わせたいがどうすればよ
いか、という相談を受けたことがあったが、最近は未就学児に対する対応を
教育委員会において一元的に対応するようになったので、最近はそのような
相談はなくなった。
○しろまる 未就学児童について、それほど多くはないと思っているが、数としては把
握はしていない。しかし、本国には義務教育がないなどの文化的な違いから
か、子どもを毎日学校に通わせることを理解されない方々もいる。
○しろまる 相談内容に応じて、社会福祉協議会と連携を行うことはある。
○しろまる 外国人からの民生委員への相談はほとんどなく、直接、国際交流協会へ相
談している外国人はいるかもしれないが、民生委員として、外国人からの相
談の実態は把握していない。
○しろまる 技能実習生や就労目的で来日している外国人の場合、企業などが主に相談3を受けているようなので、民生委員の出番が少ないように感じている。
(育成体制)
○しろまる 相談対応の課題はやはり言語の壁である。外国人の親よりも子どもの方が
日本語が堪能であり、子どもが通訳をして相談対応したということもあった。
ただ、外国人からの相談対応件数自体が少ないため、民生委員から新たな技
能・知識習得を求める声は出ていない。
○しろまる 言葉が分からなくても、何で困っているのか、どういった支援先につなげ
ればいいのかが分かるような資料があるとよいと思っている。
○しろまる 近年は、民生委員が3年程度で代わってしまうため、新任の方が多い。そ
のような方々に新たな知識・技能を身に付けてくれというのは難しい。よっ
て、民生委員が多言語対応するというよりは、例えば社会福祉協議会などに
外国語を話せる方が常駐していただくことができればよいと思っている。
(外国人支援コーディネーター養成研修への参加意向)
○しろまる 予防的支援という意味であれば、民生委員もその担い手になると思われる
ため、研修全体ではなく、予防的支援を部分的に受講できるような扱いがあ
れば受講できると思う。
○しろまる 民生委員も就任される方々の年齢が60代、かつ任期が3年という状況であ
るため、そのような民生委員に研修を受講してもらうとしても、その効果は
薄いと考えている。
○しろまる 言葉の壁の問題について、外国語を話せる福祉職の方が社会福祉協議会に
いることが望ましいが、そのような募集もないため、通訳を利用している。
しかし、通訳は福祉に関する専門家ではないないため、十分に内容を伝えら
れていないケースもある。福祉の専門性もあり、外国語を話せる方が外国人
支援コーディネーターになっていただけるのが最も望ましい。
(外国人の孤独・孤立)
○しろまる 個人の孤独・孤立の問題というより、文化の違いによって、外国の方のコ
ミュニティが日本社会の中で孤立している事例がある。特にコロナ禍では文
化の違いもあり、マスクをしない外国人と地域の住民とトラブルがあったと
いうことも聞いている。また、空き家を購入し、土地の周りを高い塀で囲っ
てしまう外国人もおり、周りから様子が見えないため、近隣の日本人が怖
がって近寄らない、ということがある。
○しろまる 市から民生委員に対して65歳以上の独居、あるいは高齢者のみの世帯の情
報が共有されている。これは住民基本台帳に基づく情報なので、短期滞在者4や不法残留者などの住民基本台帳に載っていない方は把握できない。また、
把握した情報に基づいて複数回訪問しても、結局会うことができずそれ以上
の調査が滞ってしまった事例もあった。
〇 住民基本台帳に載らない外国人については当市でもなかなか把握ができな
い。支援を必要としている、困っている方がいるかもしれないが、支援の網
から漏れてしまっていることはあると思っている。
(国に対する要望)
〇 外国人支援においては、言葉の壁がやはり大きく、福祉の知識と外国語の
知識をもつ人材がいるとありがたい。そのような方が社会福祉協議会に配置
されると民生委員と連携をより強めることができる。
以上