1関係者ヒアリング結果概要
1 日時
令和5年10月26日(木)16時02分〜17時28分
2 場所
オンライン
3 対象者
島根県
文化国際課 調整監 吾郷 裕子 氏
公益財団法人しまね国際センター
事業推進課 課長 仙田 武司 氏
主任 古曳 町子 氏
4 対応者
出入国在留管理庁政策課外国人施策推進室 平林室長 ほか
5 内容
(相談員の体制、相談対応の現状について)
○しろまる 相談コーディネーターは1名である。今年2年目の正規職員で、複雑複合
的な支援と外部機関との連絡調整を主に行っている。
○しろまる 他に相談員が4名おり、全員非正規職員である。中国語の相談員は13年
目、英語・タガログ語の相談員はフィリピン人の相談員が2か国語を兼ねて
おり12年目、ベトナム語の相談員が4年目、ポルトガル語の相談員は日本人
で3か月である。
○しろまる 相談員の国籍は日本人2名、N1の資格は持っていないがN1程度の日本
語能力の中国人1名、同じくN1資格は持っていないがN1程度の日本語能
力のフィリピン人1名、N1資格を持つベトナム人が1名という体制であ
る。
○しろまる 中国語、英語、タガログ語、ベトナム語、ポルトガル語の対応ができる相
談員の配置をしており、在留外国人もこれらの国籍の方が多い。
○しろまる 相談窓口で相談を受けることが主な業務だが、対面よりは電話での相談が
一番多いため、電話対応のほか、ベトナム語相談に関してはFaceboo
kのSNSで対応することが多い。
○しろまる 雇用する際に重視しているのは、語学力とコミュニケーション能力であ
る。雇用に関する課題は、ポルトガル語スタッフの配置が難しいと常に感じ
ている。着任しても家庭の事情で引っ越しするのでということで退職される
方や、待遇面もあり、短期間で退職するケースが続いている。
○しろまる ポルトガル語の相談員の確保に関して、派遣会社に登録して働いている通
参考資料22訳はいるが、相談員の業務が条件面で見劣りしてしまう点と、ブラジル人が
多く住む出雲市から窓口がある松江市まで電車で1時間程度かかる点が敬遠
される理由の一つになっている。
○しろまる 資格については、社会福祉士、公認心理師ともに保持している者はおら
ず、今のところ、雇用面とか待遇面で有益となる仕組みもない。
○しろまる 勤続年数が長い相談員を正規職員にする際の問題の一つとして、正規職員
としての採用職員の在り方と相談員としての専門性がマッチしていないこと
が考えられる。また、そもそも組織内における相談員の専門性の認識が不十
分だったと考えられる。そのため、外国人支援コーディネーターのような制
度で、相談員の専門性を可視化いただけるのはありがたい。
○しろまる 相談窓口の認知度は高まってきているが、日本人以外からの相談や、相談
員が対応可能な言語以外の相談の件数が伸び悩んでいるのが課題であるが、
他の言語に対応可能な人材を採用するには、待遇面・条件面で求職者の希望
に合わない状況が生じている。
○しろまる 日本以外の法律が関係する事例では、そもそも周辺では外国人の案件と取
り扱っている弁護士の数が少ないうえ、在留資格の改正などが重なると困難
を極めることになる。加えて、領事館・大使館からも距離が離れており、な
かなか対応が進まないのは地方ゆえの悩みである。
○しろまる 外国人住民からの相談対応に係る関係機関情報交換会というものを昨年か
ら年1回の頻度で行っている。その他、地域サポーターの連絡会議というも
のがあり、市町村の多文化共生担当課の職員に来てもらう機会もあるため、
直接会って情報交換できる状況にはある。
○しろまる 2022年度の相談者は1,520名で、日本人が399名で、外国の方が1,121名。
外国人の内訳は、一番多いのがベトナムの方で333名、次にブラジルの方が
274名、その次に欧米諸国となっている。
○しろまる 今年4月から9月までのところでは531名。国としては日本人が一番多く
て136名で、次がブラジルの134名、ベトナム110名となっており、やはりベ
トナムやブラジル国籍の方が多い。ベトナム人の相談員に確認したところ、
相談員の感覚としては在留資格「技術・人文・国際」の方と在留資格「特定
技能」の方が大体半々ぐらいという印象だった。ブラジルについてはほとん
どが日系人からの相談である。
○しろまる 相談件数は2022年度が2,308件、今年の4月から9月までのところが707件
である。通訳依頼が最も多い。
○しろまる 相談員が対応できない言語での相談に対しては、22言語対応のコールセン
ターを使って三者通話で対応するが、相談者自身が電話を使えないケースで
は対応が困難だった。また、対応していない言語でのSNSでの相談は対応3ができず難しかった。
〇 相談員が対応できる言語の相談件数が増えるという傾向がある。
○しろまる そのほか対応が難しかった事例としては、外国人同士の婚姻・離婚に関す
る手続きの相談や、親族訪問で来日したが新型コロナウイルス感染症の影響
で帰国できなくなった方への対応、アフガニスタンなどの避難民の支援など
があった。住民票が無い方、作れない方への支援は地方単独では動けない状
況があった。
(育成体制について)
○しろまる 相談員に対して、可能な限り相談対応に役立ちそうな研修への参加は促し
ている。相談対応に必要な制度等に関する専門知識、相談のつなぎ先に関す
る知識、対人援助に関する知識、言語力を含む通訳者としての技術などを身
につけてもらいたいと思っている。一方で、相談員から積極的に能力を身に
付ける機会を求める声はあまりない。理由としては雇用面・待遇面が不安定
であるため、自らスキルアップを求める状態ではないと思われる。
○しろまる 育成に関する課題としては、相談員が話す言語を職員側が理解できていな
いため、通訳技術や対応をきちんと評価することができないことである。あ
とは短期で相談員が変わると、いちから育成しなければいけないという課題
もある。
(外国人支援コーディネーターの養成研修について)
○しろまる 相談業務で必要な能力が網羅された研修は今まで無かったため、専門家の
方に説明をしていただけるということで本当に業務に役立つと思うので、参
加させてもらえたらと思っている。参加費用の負担については支援をお願い
したい。
○しろまる あとは外国籍の相談員が参加する可能性があるので、できるだけ分かりや
すく説明してもらいたい。ベテランの相談員でも日本の法律に関する説明が
多いものだとついてくのが大変そうに感じる。
○しろまる 同国人同士のネットワークが作れるとよいと考えている。
(在留外国人統計の可視化について)
○しろまる 出入国在留管理庁ホームページで公表されている情報以上の詳細なデータ
について、個別に窓口に照会した際には、共有いただけるとありがたい。
○しろまる ハローワークにて外国人雇用状況届出のまとめを毎年出しているが、公表
されている以上のデータが無いうえ、出入国在留管理庁が公表しているデー
タと差がある。今後ますます外国人の受入れが進む中、現場で支援する我々4としても、もう少し細かいデータがあると色々な支援が考えやすいと思って
いる。
○しろまる 以前、中学校卒業後高校に進学していない16、17歳ぐらいの外国籍の子ど
もが仕事をしているのか、どういう状況なのかを見たいと思ったものの、上
手くいかなかった。
(国に対する要望)
○しろまる 技能実習生や特定技能の受入企業への指導について、なかなか我々として
は、企業に対する要望があってもそれを言える機関がない、少ないように感
じている。技能実習生や特定技能の方と企業との間でトラブルが生じた際に
指導できる体制を整えていただくというか、何かできることがあればお願い
したいと支援側としては感じている。
○しろまる 今も臨床心理士の方から月一回アドバイスをいただく機会はあるが、その
先生からも「私は外国人の専門ではない」と言われてしまう。異文化のこと
も含めた色々なメンタルケアに関する専門家が中央にいて、相談員が困った
ときに相談できるような体制があるとありがたい。
(外国人の孤独・孤立の状況)
○しろまる 日本人の場合だと近くに家族や親戚がいて何かしらサポートを受けられる
ケースも多いが、特に単身で引っ越してきた外国人だと頼りになる知人もお
らず、周りの日本人ともコミュニケーションが取れなくて孤立するケースは
あると感じている。1関係者ヒアリング結果概要
1 日時
令和5年11月8日(水)13時30分〜14時37分
2 場所
オンライン
3 対象者
東京都江戸川区
介護保険課 課長 山野辺 健 氏
係長 本城 智也 氏
主査 髙津 舞 氏
係員 儀保 由奈 氏
4 対応者
出入国在留管理庁政策課外国人施策推進室 平林室長 ほか
5 内容
(地域包括支援センターの概要)
○しろまる 江戸川区の地域包括支援センターは、本室18ヶ所、分室9ヶ所で区内に合
計27ヶ所あり、それぞれを江戸川区から社会福祉法人等に委託している。
○しろまる 業務は法律で定められた介護予防事業のマネジメントや高齢者とその家族
への支援、権利擁護、ケアマネージャーへの支援のほか、それら4つの法定
事業の関連事業を実施しており、地域における介護の窓口としての役割を果
たしている。
○しろまる 地域包括支援センターのほかに、地域共生社会の拠点として「なごみの家」
を区内9ヶ所に設置し、高齢者に限らず様々な方からの相談を受け付けてい
る。今後は重層的支援事業に移行する予定もあり。
○しろまる 地域包括支援センターは介護保険事業として運営されているため、費用は
介護保険特別会計から支出されている。
○しろまる 普段から必要に応じて様々な関係機関と連携しているが、出入国在留管理
庁との連携実績は恐らく無い。外国人が相談に来ることはあるが、出入国に
関する相談が無いと考えられる。
(職員体制)
○しろまる 地域包括支援センターには保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーの
3職種をそれぞれ最低1人ずつ置くことが決まっている。これに加えて、江
戸川区では認知症地域支援推進員と、相談補助やケアマネジメントを行うた
め保健師・社会福祉士・主任ケアマネージャー・ケアマネージャーなどを22人、事務職員1名の合計7名を1つの地域包括支援センターに配置すること
を可能としている。
○しろまる 地域包括支援センターの職員は原則常勤だが、保健師、社会福祉士、主任
ケアマネージャーの3職種以外の職員の中には非常勤職員もいる。非常勤の
場合は週5日以外の勤務形態もある。
○しろまる 職員の勤務年数については、地域包括支援センターが始まった平成18年か
ら勤務されている方から今月入職した方まで様々である。
○しろまる 10月1日現在、区全体で、保健師14人、看護師12人、社会福祉士37人、主
任ケアマネージャー26人、ケアマネージャー26人、介護福祉士1人、社会福
祉主事2人が在籍している。専門職は資格を保有していることが入職の条件
であるため、資格取得のためのインセンティブ制度は設けていない。ただし、
勤務年数が長い方には一定の加算を付ける仕組みを設けている。
○しろまる 職員の雇用・待遇に関する課題としては介護人材不足があり、求人への応
募が無い状況である。また、採用後の定着・育成面での課題も残っている。
○しろまる やりがいはあるものの近年相談件数が増加し、非常に多忙なため辞めてし
まうということもある。
(相談対応の現状)
○しろまる 地域包括支援センターでの外国人からの相談はあまり多くない。ある地域
包括支援センターに聞くと、月平均で2、3件程度とのことである。その中
では中国人からの相談が多い。
○しろまる 外国人が相談に来る時には、日本語が分かる家族や知人が付き添ってくる
ことが多く、言葉が通じずに困るというケースは少ない。また、各地域包括
支援センターには通訳アプリが入ったタブレット端末が配布されているため、
日本語ができない方の相談に対応する仕組みは整えている。加えて、区の取
組として、タブレット端末を使った多言語によるオンライン通訳システムを
導入しており、外国人の来庁が多い一部の窓口に配置している。各言語に精
通している通訳にオンラインで画面をつなぎ、通訳付きの相談を可能とする
仕組みを整備している。
○しろまる 相談内容も介護保険やサービス等に関するものが多く、その後の対応とし
ては、内容に応じて区や介護事業所などの適切な機関に繋いでいる。
○しろまる 現場で感じた課題を関係機関に共有する仕組みについては、区が毎月、地
域包括支援センターとの意見交換の場を設けており、その意見交換の場で課
題を拾っている。3(育成体制)
○しろまる 一般に地域包括支援センターの職員を対象とした研修は東京都が実施して
おり、区では虐待対応や介護予防に関する会議を設けることで職員の質を
図っているが、東京都でも区でも外国人に特化した研修は特に実施していな
い。
○しろまる 地域包括支援センターの育成に関する課題としては、相談内容が複雑化し
ているため、複雑化した事例に対応できる職員を多く育成しなければならな
いという点である。
(外国人支援コーディネーター養成研修への参加意向)
○しろまる 仮に地域包括支援センターの職員が外国人支援コーディネーター養成研修
の受講対象となった場合、各職員の研修については自発的なものとして考え
ているため、職員本人が必要だと考える場合には受講するだろう。ただ、現
状のカリキュラムは外国人の一元的相談窓口の職員が受講するための内容に
なっていると思われるため、地域包括支援センターという「介護」に特化し
た場所における外国人からの相談への対応方法が身に着く研修になれば職員
も受講の必要性を感じるだろう。
○しろまる 国が外国人との共生施策を推進するものとして、受講が必要だという方針
を示す場合には、研修費用の助成を求めることも考えられる。また、実際に
受講することになった場合の課題としては、地域包括支援センターの業務が
かなり逼迫しているので、参加した際のサポートや柔軟なカリキュラム設定
をお願いしたい。例えば、受講科目を絞る、より長い期間での受講を認める
などが考えられる。
○しろまる 行政側が受講の必要性を認定して受講させる方針であれば、勤務時間内に
業務として受講してもらうことになると考えている。