最 終 報 告 書
令和5年 11 月 30 日
技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議
目 次
第1 はじめに.................................................... 1
第2 見直しに当たっての基本的な考え方............................ 1
1 見直しに当たっての三つの視点(ビジョン).................... 1
2 見直しの四つの方向性........................................ 2
3 留意事項.................................................... 2
第3 提言........................................................ 3
【提言のポイント】.............................................. 3
1 新たな制度及び特定技能制度の位置付けと両制度の関係性等【総論】 6
2 新たな制度の受入れ対象分野や人材育成機能の在り方............ 9
3 受入れ見込数の設定等の在り方............................... 12
4 新たな制度における転籍の在り方............................. 14
5 監理・支援・保護の在り方................................... 20
6 特定技能制度の適正化方策................................... 25
7 国・自治体の役割........................................... 29
8 送出機関及び送出しの在り方................................. 32
9 日本語能力の向上方策....................................... 34
10 その他(新たな制度に向けて)............................... 37
第4 おわりに................................................... 40
「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」名簿 . 41
「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」開催実績 ...42 1第1 はじめに
本有識者会議、すなわち技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有
識者会議は、法律(注)に基づく検討を行う時期に差し掛かった技能実習制度及
び特定技能制度の施行状況を検証し、
課題を洗い出した上、
外国人材を適正に受
け入れる方策を検討するため、令和4年 11 月 22 日、外国人材の受入れ・共生に
関する関係閣僚会議
(平成 30 年7月 24 日閣議口頭了解)
(以下
「関係閣僚会議」
という。
)の下に設置されたものである。
令和4年 12 月 14 日の第1回有識者会議以降、技能実習制度及び特定技能制
度の利用者や関係者からのヒアリングも行いつつ、各界の有識者 15 名による自
由かっ達な議論を進めてきた。令和5年5月 11 日には、それまでの議論を踏ま
えた中間報告書(以下「中間報告書」という。
)を関係閣僚会議の共同議長であ
る法務大臣に提出した。
この中間報告書においては、
我が国の人手不足が深刻化
する中、
外国人が我が国の経済社会の担い手となっている現状を踏まえ、
外国人
の人権に配慮しつつ、我が国の産業及び経済並びに地域社会を共に支える一員
として外国人の適正な受入れを図ることにより、我が国で働く外国人が能力を
最大限に発揮できる多様性に富んだ活力ある社会を実現するとともに、我が国
の深刻な人手不足の緩和にも寄与するものとする必要があるという観点から、
一定の検討の方向性を示した。
その上で、本有識者会議は、その後も、この方向性を踏まえ、技能実習制度及
び特定技能制度の在り方をより具体化すべく、更に検討を行った。
最終的に、計 16 回にわたる議論、計 28 回の関係者ヒアリングを経て、今般、
今後の技能実習制度及び特定技能制度の在り方について一定の結論を得るに至
ったことから、政府への提言として、本書のとおり最終報告書を取りまとめ、関
係閣僚会議へ提出することとしたものである。
(注)外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成 28 年法律
第 89 号)附則第2条及び出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正す
る法律(平成 30 年法律第 102 号)附則第 18 条第2項
第2 見直しに当たっての基本的な考え方
1 見直しに当たっての三つの視点(ビジョン)
現在、技能実習制度及び特定技能制度を取り巻く状況として、国内におい
て、
特に地方や中小零細企業を中心に人手不足が深刻化し、
外国人が我が国の 2経済社会の担い手となっているという実情がある。国際的な人材獲得競争が
激しさを増している中では、
我が国は、
外国人材の確保について正面から検討
すべき段階に来ている。
他方で、
現行の技能実習制度については、
人材育成等の観点から原則として
転籍ができないことや監理団体による監理・支援が十分でない場合があるこ
となどが、人権侵害や法違反の背景・原因となっている旨指摘されている。
このような状況を踏まえ、技能実習制度及び特定技能制度を見直すに当た
っては、国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国になるよ
う、三つの視点(ビジョン)、すなわち、
1 外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること
2 外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みを作ること3 全ての人が安全安心に暮らすことができる外国人との共生社会の実現に
資するものとすること
に重点を置き、見直すこととする(注1)。
2 見直しの四つの方向性
技能実習制度及び特定技能制度の在り方の見直しは、次の四つの方向性に
沿って行うものとし、第3のとおり提言することとする。
1 技能実習制度を人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とするな
ど、実態に即した見直しとすること
2 外国人材に我が国が選ばれるよう、
技能・知識を段階的に向上させた上で
その結果を客観的に確認できる仕組みを設けることによりキャリアパスを
明確化し、新たな制度から特定技能制度へ円滑な移行を図ること
3 外国人の人権保護の観点から、一定の要件の下で本人の意向による転籍
を認めるとともに、監理団体・登録支援機関・受入れ機関の要件厳格化や関
係機関の役割の明確化等の措置を講じること
4 外国人材の日本語能力が段階的に向上する仕組みを設けることなどによ
り、外国人材の受入れ環境を整備する取組(注2)とあいまって、外国人と
の共生社会の実現を目指すこと
3 留意事項
技能実習制度及び特定技能制度の在り方を見直すに当たっては、以下の二
つの点に留意する必要がある。
1 現行制度の利用者等への配慮
現行の技能実習制度及び特定技能制度は、
技能実習生・特定技能外国人、
監理団体、登録支援機関、受入れ機関(実習実施者・特定技能所属機関)等
の多くの利用者等がいることから、その見直しによりこれらの者に無用な
混乱や問題が生じないよう、
また、
不当な不利益や悪影響を被る者が生じな
いようきめ細かな配慮をすること 32 地方や中小零細企業への配慮
上記1のとおり、
国内の人手不足は、
とりわけ地方や中小零細企業におい
て深刻となっている。
今回の見直しにより、
新たな制度及び特定技能制度は、
いずれも人材確保を目的とするものとすることから、特に地方や中小零細
企業において人材確保が図られるように配慮すること
(注1)当該三つの視点は、令和3年 11 月に関係閣僚会議の共同議長である法務大臣に提出
された「外国人との共生社会の実現のための有識者会議」における意見書(共生社会の
在り方及び中長期的な課題について)における「目指すべき外国人との共生社会(三つ
のビジョン)」、すなわち、
1 これからの日本社会を共につくる一員として外国人が包摂され、全ての人が安全
に安心して暮らすことができる社会(3)
2 様々な背景を持つ外国人を含む全ての人が社会に参加し、能力を最大限に発揮で
きる、多様性に富んだ活力ある社会(2)
3 外国人を含め、全ての人がお互いに個人の尊厳と人権を尊重し、差別や偏見なく
暮らすことができる社会(1)
に対応している。
なお、「ビジネスと人権」に関する国際的枠組みである「ビジネスと人権に関す
る指導原則」
が 2011 年に国連人権理事会において全会一致で支持されており、
我が
国においては、これを踏まえて 2020 年(令和2年)に「『ビジネスと人権』に関す
る行動計画(2020-2025)」を策定・公表し、2022 年(令和4年)には「責任ある
サプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定して企業に求
められる人権尊重の取組の促進を図るなどの施策を行っている。
(注2)政府においては、
「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」
(令和4年
6月 14 日関係閣僚会議決定。令和5年6月9日一部変更)、「外国人材の受入れ・共
生のための総合的対応策」
(平成 30 年 12 月 25 日関係閣僚会議決定。令和5年6月
9日改訂)等に基づき、外国人材の受入れ環境の整備が進められている。
第3 提言
【提言のポイント】
しろまる 制度の枠組み
・ 現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消し、
人手不足分野におけ
る人材確保や、基本的に3年間の就労を通じた育成期間で特定技能1号の
技能水準の人材に育成することを目指す新たな制度を創設して、適正化方 4策を講じた特定技能制度と連続性を持たせる。
〔提言11・2・3〕
・ 現行の企業単独型技能実習のうち、
新たな制度とは趣旨・目的を異にする
ものの、
引き続き実施する意義のあるものは、
新たな制度とは別の枠組みで
の受入れを検討する。
〔提言15〕
しろまる 外国人の人材確保の仕組み
・ 新たな制度の受入れ対象分野は、
現行の技能実習制度の職種等を機械的に
引き継ぐのではなく、
新たな制度と技能実習制度の趣旨・目的の違いを踏ま
え、新たに設定するものとする。また、新たな制度は、人手不足分野におけ
る特定技能1号への移行に向けた人材育成を目指すものであることから、
受入れ対象分野を特定技能制度における
「特定産業分野」
に限るものとする。
〔提言21〕
・ 新たな制度においても、
特定技能1号と同様に、
受入れ対象分野ごとに受
入れ見込数を設定して受入れ上限数として運用する。
〔提言31〕
・ 新たな制度及び特定技能制度は、受入れ見込数や受入れ対象分野は適時・
適切に変更できるものとし、それらの設定や特定技能評価試験のレベルの
評価等は有識者・労使団体等で構成する新たな会議体の意見を踏まえて政
府が判断するものとする。
〔提言32・3〕
・ 新たな制度及び特定技能制度においては、
技能実習制度における地域協議
会を参照して同様の協議会を組織し、業所管省庁だけでなく自治体も積極
的に参画して、地域産業政策としての外国人材の受入れ環境の整備等に取
り組む。
〔提言72・5〕
しろまる 外国人の人材育成の仕組み
・ 新たな制度で外国人が従事できる業務の範囲は、
現行の技能実習制度より
も幅広くして特定技能制度における業務区分と同一としつつ、当該業務区
分の中で修得すべき主たる技能を定めて計画的に育成・評価を行う。
〔提言
22〕
・ 新たな制度では、
外国人が就労開始前までに日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)
に合格すること又は相当の日本語講習を受講す
ることを要件とした上で、
外国人の技能修得状況等を評価するため、
受入れ
機関は、新たな制度による受入れ後1年経過時までに技能検定試験基礎級
等及び日本語能力A1相当以上の試験
(日本語能力試験N5等)
を外国人に
受験させる。
〔提言23、91〕
・ 新たな制度から特定技能1号への移行時には、
技能検定試験3級等又は特
定技能1号評価試験及び日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験 5N4等)
の合格を要件とし、
受入れ機関が外国人に当該試験を受験させる。
〔提言23、61、91〕
・ 特定技能1号から特定技能2号への移行時には、
従前の特定技能2号評価
試験等の合格に加え、
日本語能力B1相当以上の試験
(日本語能力試験N3
等)の合格を要件とする。
〔提言66、91〕
・ 特定技能外国人に対する支援にキャリア形成の支援を加えるとともに、業所管省庁は育成・キャリア形成プログラムを策定する。
〔提言64、73〕
しろまる 外国人の人権保護・労働者としての権利性の向上
・ 新たな制度において、
現行の技能実習制度で認められている
「やむを得な
い事情がある場合」
の転籍の範囲を拡大・明確化し、
手続を柔軟化する。
〔提
言42〕
・ 外国人本人の意向による転籍は、
以下の要件をいずれも満たす場合に同一
業務区分内に限り認める。
〔提言43・6〕
ア 同一の受入れ機関における就労期間が1年超
イ 技能検定試験基礎級等及び日本語能力A1相当以上の試験(日本語能
力試験N5等)の合格
ウ 転籍先となる受入れ機関が、転籍先として適切であると認められる一
定の要件を満たすこと
・ 外国人技能実習機構を新たな機構に改組(改組後の組織について、以下
「新たな機構」
という。)し、
新たな制度の対象となる外国人に対する支援・
保護機能を強化するとともに、特定技能外国人への相談援助業務も行わせ
る。
〔提言51〕
・ 各自治体は、
共生社会の実現や地域産業政策の観点からの受入れ環境の整
備、
外国人相談窓口の整備や、
外国人の生活環境等を整備するための取組を
推進する。
〔提言75〕
・ 外国人が来日前に安心して働ける受入れ機関を選択できるように、
受入れ
機関に係る情報の透明性を高めるとともに、外国人の負担の軽減の観点か
ら、送出機関に支払う手数料等を受入れ機関と外国人が適切に分担する仕
組みを導入する。
〔提言82・4〕
しろまる 制度の適正化・実効性確保
・ 新たな機構の監督指導機能や支援・保護機能を強化し、
そのために必要な
体制等を整備するとともに、
労働基準監督署、
地方出入国在留管理局等との
連携を強化する。
〔提言51・2〕
・ 監理団体、
登録支援機関、
受入れ機関及び送出機関の適正化を図るため要 6件の厳格化等を行う。特に、監理団体については、独立性・中立性や受入れ
機関数等に応じた職員の配置・相談対応体制を担保するなどした上で、
新た
に許可を受けるべきものとし、機能を十分に果たせない監理団体は許可し
ない。
〔提言53・5、64、81・4〕
・ 優良な監理団体、
登録支援機関及び受入れ機関に対しては、
そのインセン
ティブとなるよう、各種申請書類の簡素化等の優遇措置を講じる。
〔提言5
4・6、65〕
・ 制度所管省庁が制度全体の適正化の中心的役割を果たすとともに、
業所管
省庁が業界全体の実情を踏まえて、
受入れの適正化を促進する。
〔提言72・3〕しろまる その他
・ 政府は、人権侵害行為に対しては現行制度下でも可能な対処を迅速に行
う。
〔提言 101〕
・ 政府は、
移行期間を十分に確保するとともに丁寧な事前広報を行い、
現行
制度を利用している外国人や受入れ機関等に不当な不利益を生じさせず、
また、
制度の移行による急激な変化を緩和するため、
必要な経過措置を設け
ることを検討する。
〔提言 101・2〕
・ 政府は、
新たな制度及び特定技能制度について、
適切な情報発信等を行い、
関係者の理解を促進する。
〔提言 103〕
・ 政府は、
新たな制度の施行後も、
新たな制度の運用状況について不断の検
証と必要な見直しを行う。
〔提言 104〕
1 新たな制度及び特定技能制度の位置付けと両制度の関係性等【総論】
【提言】
1 現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消し、我が国社会の人
手不足分野(注)における人材確保と人材育成を目的とする新たな制度
(以下「新たな制度」という。
)を創設する。人材確保に関しては、人権
の保護を前提とした上で、地方における人材確保も図られるようにする。
2 新たな制度は、
未熟練労働者として受け入れた外国人を、
基本的に3年
間の就労を通じた育成期間において計画的に特定技能1号の技能水準の
人材に育成することを目指すものとする。
3 特定技能制度は、人手不足分野において即戦力となる外国人を受け入
れるという現行制度の目的を維持しつつ、制度の適正化を図った上で引
き続き存続させる。 74 家族帯同については、現行制度と同様、新たな制度及び特定技能制度
(特定技能1号に限る。
)においては認めないものとする。
5 現行の技能実習制度で行われている企業単独型の技能実習のうち、新
たな制度の趣旨・目的に沿うものについては、監理・支援手段等の適正化
を図った上で新たな制度で引き続き実施することを可能とする。
また、国際的に活動している企業における1年以内の育成のような、新たな制度
とは趣旨・目的を異にするものであっても、
引き続き実施する意義がある
ものについては、
適正性を確保するための手段を講じつつ、
既存の在留資
格の対象拡大等により、新たな制度とは別の枠組みで受け入れることを
検討する。
(注)生産性向上や国内人材確保のための取組を行った上でなお人材を確保すること
が困難な状況にあるため、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の
分野をいう。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1について
現行の技能実習制度は、
人材育成を通じた国際貢献を制度目的とし、
労働
力の需給調整の手段として行われてはならないという基本理念を掲げてい
るにもかかわらず、技能実習生が現に経済社会の担い手となって国内の企
業等の貴重な労働力として受け止められており、制度目的と運用実態のか
い離が指摘されている。
この点について、
中間報告書においては、
技能実習制度が人材育成に加え、
事実上、
人材確保の点において機能していることを直視し、
このような実態
に即した制度として抜本的に見直すべく、現行の技能実習制度を廃止して
人材確保及び人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきである
という方向性を示したところである。
その後の議論においても、
問題を解消
して新たな制度を提案するとの方向性には、委員の総意として異論はなか
った。
そこで、1のとおり提言する。
なお、新たな制度の名称については、
「育成就労制度」とする案があり、
おおむね賛同が得られたため、その旨付言する。
(2)提言2について
新たな制度の具体的な位置付けについては、中間報告書提出後の議論に
おいて、現行の技能実習1号及び2号の実習期間に相当する3年間の就労
及び育成の期間を通じて、未熟練労働者を特定技能1号の技能水準の人材
に育成するものとすべきとの意見が複数あった。 8これに対しては、業種によっては技能実習3号までの実習期間に相当す
る5年間の制度とすべき、技能修得のために必要な期間は業種により異な
る場合があることも考慮すべきといった意見も一部あったが、3年間の人
材育成期間で特定技能への移行を目指すシンプルな制度にすべきという意
見もあり、このような観点を踏まえた制度とする必要があると考えられた。
そこで、2のとおり提言する。
なお、
新たな制度により得られる効果として、
就労を通じた育成後には、
外国人が国内で引き続き就労する場合は特定技能1号や特定技能2号にス
テップアップしながら活躍することにつながるとともに、帰国する場合は
そのスキルを本国で生かすことで我が国の国際貢献にも資することとなる
という意見もあったため、その旨付言する。
(3)提言3について
中間報告書においては、
特定技能制度について、
深刻な人手不足に対応す
るため、
制度を見直して適正化を図った上、
人材確保と人材育成を目的とす
る新たな制度との調和を図りつつ、引き続き活用していく方向で検討すべ
きであるという方向性を示したところであり、このような方向性について
は、その後の議論においても特段の意見等はなかった。
そこで、3のとおり提言する。
(4)提言4について
新たな制度及び特定技能1号により入国・在留する外国人の家族帯同の
可否については、
特定技能2号に移行するまでの間、
家族帯同が認められな
いとすれば、
外国人にとって日本で働く魅力に欠けることや、
留学等の在留
資格で一定要件の下で家族帯同が認められている点とのバランスを欠くと
指摘する意見があった。
その一方で、
外国人本人の扶養能力や、
医療や子女教育といった受入れ環
境の観点から、家族帯同を認めることには慎重であるべきといった意見が
あったほか、家族帯同は入国から 10 年経過後に認めるべきといったヒアリ
ング結果もあった。
このような意見を踏まえると、
家族帯同については、
新たな制度及び特定
技能1号においては原則として認めないものとするのが相当と考えられた。
そこで、4のとおり提言する。
ただし、
この点については、
新たな制度から特定技能1号の間の最長8年
間の在留中に家族ができたり、
子が生まれたりすることがあり、
そのような
場合には、人権への配慮の観点から柔軟な対応が必要であるとの意見もあ
ったため、その旨付言する。
(5)提言5について 9現行の技能実習制度における企業単独型技能実習については、不適正事
例の僅少さや技能移転への貢献を理由にその維持を求める意見があり、特
定技能への移行に向けた人材育成を目指す新たな制度の趣旨・目的に沿う
ものについては、監理や支援手段等の在り方について適切な見直しを行い
つつも、引き続き活用できるようにすることが相当と考えられた。
一方で、国際的に活動している企業が技能の向上を目的として1年以内
などの短期間の育成を行う場合等については、3年間で特定技能1号の技
能水準の人材を育成することを目指す新たな制度にはなじまない可能性が
あるので、一定の要件を設けた上で「企業内転勤」の在留資格による受入れ
を可能とすることも考えるべきとの意見もあり、既存の在留資格の対象を
拡大するなどして一定の範囲で受け皿を用意し、新たな制度とは別の枠組
みで受け入れるよう検討するのが相当と考えられた。
そこで、5のとおり提言する。
2 新たな制度の受入れ対象分野や人材育成機能の在り方
【提言】
(受入れ対象分野)
1 新たな制度の受入れ対象分野については、現行の技能実習制度の職種
等を機械的に引き継ぐのではなく、
新たな制度と技能実習制度の趣旨・目
的の違いを踏まえ、新たに設定するものとする。その際、新たな制度が人
手不足分野における特定技能1号への移行に向けた人材育成を目指すも
のであることから、
新たな制度の受入れ対象分野は、
特定技能制度におけ
る「特定産業分野」が設定される分野に限ることとし、国内における就労
を通じた人材育成になじまない分野については、新たな制度の対象とせ
ず、特定技能制度でのみ受け入れることを可能とする。
(人材育成・技能評価)
2 新たな制度は特定技能1号の技能水準の人材に育成することを目指す
ものであるため、
外国人が従事できる業務の範囲については、
外国人が現
行の技能実習よりも幅広く体系的な能力を修得できるよう、特定技能の
業務区分(注1)と同一としつつ、人材育成の観点から、当該業務区分の
中で修得すべき主たる技能を定めて計画的に育成・評価を行うものとす
る。
3 受入れ機関は、技能修得状況等を評価するため、外国人に対して、
しろまる 育成開始から1年経過時までに、技能検定試験基礎級等及び日本語
能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等) 10しろまる 育成終了時までに、技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験
及び日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)
をそれぞれ受験させるものとする(注2)。4 従事させる業務の内容について、現行の特定技能制度において季節性
のある分野と整理している農業・漁業については、
その業務の実情に応じ
た受入れ・勤務形態も認めることを検討する。
(注1)農業分野の「耕種農業全般」、「畜産農業全般」等、特定技能外国人が従事する
ことになる業務の区分をいい、各業務には、当該業務に従事する日本人が通常従
事することとなる関連業務も含まれる。
(注2)ただし、日本語能力に関しては、現行の技能実習制度における取扱いを踏ま
え、
各受入れ対象分野でより高い水準の試験の合格を要件とすることを可能とす
る。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1について
現行の技能実習制度においては、人材育成を通じた国際貢献という制度
目的を踏まえて、
その対象とする職種等が定められている。
しかしながら、
当該職種等は、人材確保が困難な状況にあるため外国人により不足する人
材の確保を図る必要があるものとして定められる特定技能制度における特
定産業分野とは必ずしも一致していない。
この点について、
中間報告書においては、
新たな制度及び特定技能制度に
ついては、外国人がキャリアアップしつつ国内で就労し活躍できる分かり
やすい制度とする観点から、新たな制度から特定技能制度への移行が円滑
なものとなるよう、両者の対象職種や分野を一致させる方向で検討すべき
であるという方向性を示したところであり、
この方向性については、
その後
の議論においても特段の異論はなかった。
その上で、
新たな制度の受入れ対象分野については、
技能実習制度との制
度目的の違いを踏まえて新たに設定すべきとの方向性で議論がなされ、そ
の対象分野は、特定技能制度の受入れ対象分野と一致させるべきとする意
見が多くあった。
もっとも、
新たな制度の受入れ対象分野は、
特定技能制度の受入れ対象分
野である特定産業分野に機械的に一致させるのではなく、その妥当性や必
要性の観点から丁寧に検討すべきであるといった意見もあり、特定産業分
野の全てを新たな制度での受入れ対象分野とするのではなく、新たな制度
による人材育成を行う必要性等も踏まえて設定されるのが相当と考えられ
た。 11その上で、新たな制度が人手不足分野における特定技能1号への移行に
向けた人材育成を目指すものであることから、新たな制度の受入れ対象分
野は、特定技能制度における特定産業分野が設定される分野に限ることが
適当であると考えられた。また、特定産業分野の中には、我が国における3
年間の就労を通じた人材育成を行わせる必要性が乏しいなど、新たな制度
になじまない分野も想定されるところ、
そのような分野は、
新たな制度の対
象とせず、特定技能制度でのみ受け入れることを可能とすることが適当で
あると考えられた。
そこで、1のとおり提言する。
(2)提言2について
現行の技能実習制度においては、
職種・作業が細分化されている上に従事
できる業務が限定されており、技能実習生のキャリアが広がりにくいとの
意見があった。
この点について、中間報告書においては、人材育成の観点から、外国人が
修得する主たる技能等について、
育成・評価を行うことによる技能の向上の
見える化を前提として、特定技能制度への移行を見据えた上で体系的な能
力を身に付けるといった観点に立って幅広い業務に従事することができる
方向で検討すべきであり、
その際には、
修得した技能の習熟度を客観的に測
定することが重要であるという方向性を示した。
その後の議論においては、
現行の技能実習制度と同様、
軸となる業務の設
定及びその評価の仕組みを求める意見や、基本的な技能の修得から特定技
能1号に相当する技能の修得へ進むといった計画的な育成と段階に応じた
評価やキャリアアップの重要性を指摘する意見があり、
新たな制度では、現行の技能実習制度よりも幅広く体系的な能力を修得できるよう、特定技能
制度の業務区分に相当する幅広い業務に従事させるものとしつつ、人材育
成の観点から、
修得する主たる技能を定めた上で計画的に育成・評価を行う
べきとの方向性について、意見の一致を見た。
そこで、2のとおり提言する。
(3)提言3について
外国人が修得した技能や日本語能力の評価については、
まず、
外国人が当
該技能等について特定技能1号の技能水準に達したことを確認するため、
育成終了時までに、
特定技能1号への移行に必要となる試験
(下記6の提言
1参照)を受入れ機関において外国人に受験させることを義務付けるべき
との方向性に異論はなかった。
また、
本人の意向による転籍の要件として技
能検定試験基礎級等及び日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験
N5等)
の合格を要するものとすること
(下記4の提言3参照)
との関係や、 12技能等の修得状況を適時に確認して特定技能1号に円滑に移行する観点か
ら、
現行の技能実習1号修了時に相当する1年を経過するまでに、
受入れ機
関において、当該試験を外国人に受験させることを義務付けるべきとの意
見があった。
そこで、3のとおり提言する。
なお、
技能検定試験や特定技能1号評価試験について、
レベルのばらつき
があることや労働安全衛生上の視点が不足していることなどを指摘し、下
記3の提言3記載の新たな会議体での議論も通じてその適正化を図るべき
との意見や、
試験の合格率を受入れ機関の育成能力、
適正性の評価において
考慮すべきとの意見があったため、その旨付言する。
また、
入国時点で日本語能力A1相当以上の試験
(日本語能力試験N5等)
合格を必須とすべきとの意見もあったが、
この点については下記9の(1)で詳述する。
(4)提言4について
現行の技能実習制度では、季節性のある業務を行う農業関係の技能実習
において、農業協同組合等と個々の農業従事者が連携することで年間を通
じた技能実習を行うことを可能としている。
また、
現行の特定技能制度では、
農業分野及び漁業分野について、季節による作業の繁閑や作目等の収穫の
ピーク時期の差異等といった特性を有していることを踏まえ、受入れ機関
による直接雇用形態のほか、労働者派遣形態による受入れを認めている。
新たな制度で外国人に従事させる業務の分野にも、農業や漁業といった
季節によって業務に繁閑があるものもあり得るため、このような分野にお
いて、実態に即して新たな制度の下で適切に育成を実施できるようにすべ
きとの意見があった。その一方で、受入れ・勤務形態の内容によっては人材
育成・労働安全衛生上の支障が生じるのではないかといった点や、
季節性等
の拡大解釈の可能性といった点を懸念する意見もあったため、検討に当た
っては、慎重な選定や分野の限定が必要であると考えられた。
そこで、4のとおり提言する。
3 受入れ見込数の設定等の在り方
【提言】
1 新たな制度は人手不足分野の人材確保も目的の一つとするものである
ため、日本人の雇用機会の喪失や処遇の低下等を防ぐ観点及び外国人の
安定的かつ円滑な在留活動を可能とする観点から、現行の特定技能制度
の考え方にのっとり、
受入れ対象分野ごとに受入れ見込数を設定し、
これ 13を受入れの上限数として運用する。新たな制度における受入れ見込数の
設定に当たっては、特定技能制度における受入れ見込数との関係性にも
留意する。
2 新たな制度及び特定技能制度における受入れ見込数や受入れ対象分野
は、
国内労働市場の動向や経済情勢等の変化に応じて適時・適切に変更で
きるものとし、真に人材を必要とする分野等に必要な人員が行き渡るよ
うにする。
3 新たな制度及び特定技能制度における受入れ見込数の設定、受入れ対
象分野等の設定、特定技能評価試験等のレベルや内容の評価等について
は、有識者や労使団体などの様々な関係者等で構成する新たな会議体が
業所管省庁や業界団体等からの説明・情報共有に基づき議論した上での
意見を踏まえ、
制度全体としての整合性に配慮しつつ、
政府が判断するも
のとする。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1について
特定技能制度においては、
政府基本方針に基づき、
分野別運用方針によっ
て特定技能外国人の受入れ見込数を定め、当該見込数を特定技能1号の外
国人の受入れ上限数として運用することとされている。
これに対し、
現行の
技能実習制度においては、労働力の需給の調整の手段として行われてはな
らないという基本理念も踏まえ、受入れ見込数は設けられていない。
しかし、
新たな制度は、
特定技能制度と同様に人手不足分野における人材
確保も目的の一つとするものであるため、現行の特定技能制度の考え方に
のっとって、
受入れ見込数を設け、
受入れ上限数として運用するのが相当と
考えられた。
その上で、
受入れ見込数については、
新たな制度及び特定技能制度のそれ
ぞれで設定されるのか、あるいは両制度を合わせた受入れ見込数が設定さ
れるのかといった点の整理が必要であるとの意見があった。この点につい
ては、現行の技能実習制度が人材確保の点で機能している実情があること
も踏まえ、まずは技能実習制度の解消によって各分野においてどの程度の
人手不足が生じることになるのかといった点を確認した上で、改めて検討
すべきと考えられた。
そこで、1のとおり提言する。
(2)提言2及び3について
受入れ見込数及び受入れ対象分野については、経済情勢等の変化に応じ
て柔軟に変更できる運用とすべきという意見や、人手不足が深刻化してい 14る地方において安定的に人材が確保できる制度とすべきという意見があっ
た。
受入れ見込数及び受入れ対象分野の設定に当たっては、有識者や労使団
体等の様々な関係者等で構成する会議体において検討した上、会議体の意
見を踏まえて政府が判断するという方向性で議論がなされた。
併せて、
会議
体は、
技能や日本語能力に係る試験のレベル、
内容等が業種や業務の実態に
即しているかの評価等も行うべきであるといった意見もあった。
また、
会議体における検討に当たっては、
特定産業分野における現状や生
産性向上等の取組状況を把握する観点から、業所管省庁、業界団体、分野別
協議会及び地域協議会(下記7の提言2参照)と連携し、その説明・情報共
有等を受けて行うべきであるといった意見があった。
そこで、2及び3のとおり提言する。
4 新たな制度における転籍の在り方
【提言】
(基本的な考え方)
1 新たな制度における転籍については、
まず、
現行の技能実習制度におい
て認められている
「やむを得ない事情がある場合」
の転籍の範囲を拡大か
つ明確化する。
また、
人材育成の実効性を確保するための一定の転籍制限
は残しつつも、
人材確保も目的とする新たな制度の趣旨を踏まえ、
外国人
の労働者としての権利性をより高める観点から、一定の要件の下での本
人の意向による転籍も認める。(「やむを得ない事情がある場合」の転籍)
2 「やむを得ない事情がある場合」の転籍については、例えば労働条件に
ついて契約時の内容と実態の間で一定の相違がある場合を対象とするこ
とを明示するなど、その範囲を拡大・明確化し、例えば職場における暴力
やハラスメント事案の確認等の手続を柔軟化する。
その上で、
転籍が認め
られる範囲やそのための手続について、関係者に対する周知を徹底する。
(本人の意向による転籍)
3 上記2の場合以外は、
計画的な人材育成の観点から、
3年間を通じて一
つの受入れ機関において継続的に就労を続けることが効果的と考えられ
るものの、
以下の要件をいずれも満たす場合には、
本人の意向による転籍
も認める。
ア 同一の受入れ機関において就労した期間が1年を超えていること
(注1) 15イ 技能検定試験基礎級等及び日本語能力A1相当以上の試験(日本語
能力試験N5等)に合格していること(注2)
ウ 転籍先となる受入れ機関が、例えば在籍している外国人のうち転籍
してきた者の占める割合が一定以下であること、転籍に至るまでのあ
っせん・仲介状況等を確認できるようにしていることなど、
転籍先とし
て適切であると認められる一定の要件を満たすものであること
(本人の意向による転籍に伴う費用分担)
4 本人の意向により転籍を行う場合、転籍前の受入れ機関が支出した初
期費用等のうち、転籍後の受入れ機関にも分担させるべき費用について
は、
転籍前の受入れ機関が正当な補塡を受けられるよう、
転籍前の在籍期
間や転籍前の受入れ機関による当該外国人に対する初期の育成に係る負
担等を勘案した分担とするなど、その対象や分担割合を明確にした上で、
転籍後の受入れ機関にも分担させるなどの措置をとることとする。
(転籍支援)
5 転籍支援については、
受入れ機関、
送出機関及び外国人の間の調整が必
要であることに鑑み、新たな制度の下での監理団体(下記5の提言3参照)が中心となって行うこととしつつ、
ハローワークが外国人技能実習機
構に相当する新たな機構
(下記5の提言1参照)
等と連携するなどして転
籍支援を行うこととする。
また、
悪質な民間職業紹介事業者等が関与する
ことで外国人や受入れ機関が不利益を被ることがないよう、転籍の仲介
状況等に係る情報の把握など、必要な取組を行う。
(転籍の範囲)
6 転籍の範囲は、人手不足分野における人材確保及び人材育成という制
度目的に照らし、現に就労している業務区分と同一の業務区分内に限る
ものとする。
(育成途中で帰国した者への対応)
7 育成を終了する前に帰国した者については、新たな制度でのこれまで
の我が国での滞在期間が通算2年以下の場合
(注3)、新たな制度により、
それまでとは異なる受入れ分野・業務区分での育成を目的とした再度の
入国を認めることとする。
(悪用防止及び適切な人材育成のための措置)
8 上記の転籍等に係る制度の悪用防止や、
適切な人材育成を促すため、上記2の提言3に係る試験の合格率等を受入れ機関及び監理団体の許可等
の要件や優良認定の指標とする。
(注1)本人の意向による転籍については、従前認められていなかった転籍が認めら
れることによる急激な変化を緩和することの必要性に留意する。 16(注2)日本語能力に関しては、育成開始後1年経過時までに受験させる試験の内容
(上記2の提言3参照)を踏まえ、各受入れ対象分野でより高い水準の試験の
合格を要件とすることを可能とする。
(注3)新たな制度で複数回我が国に滞在した場合、その通算の滞在期間が2年以下
であれば再度の入国が可能であり、再度の入国後の滞在を含めた新たな制度で
の滞在期間は、
5年が上限となる
(ただし、
下記6の提言3により再受験に必要
な範囲で最長1年の在留継続があり得る。)。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1について
現行の技能実習制度では、限られた期間内に計画的かつ効率的に技能等
を修得する観点から、
一つの実習先で実習を行うことを原則とし、
人権侵害
行為等、
「やむを得ない事情がある場合」を除き、転籍すなわち実習実施者
の変更を認めていない。
このような転籍制限の存在が、
実習実施者と技能実
習生との間に過度な支配従属関係を生じさせ、様々な人権侵害を発生させ、
深刻化させる背景・原因となっている旨指摘されており、
中間報告書におい
ても、
人材育成に由来する転籍制限は残しつつも、
制度趣旨及び外国人の保
護を図る観点から、従来よりも転籍制限を緩和する方向で検討すべきであ
るとの方向性を示したところである。
この点について、
上記方向性を前提に議論を重ねた結果として、
以下に述
べるとおり、
「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大かつ明確
化するとともに、一定の転籍制限は残しつつも本人の意向による転籍を認
めるなどの形で、上記方向性を具体化するに至った。
そこで、1のとおり提言する。
(2)提言2について
転籍については、
まず、
人権侵害や法違反等があった場合の救済の方策を
講じることが必要と考えられる。
しかしながら、
現行の技能実習制度におい
ては、
「やむを得ない事情がある場合」の具体的要件が定められておらず、
どのような場合を指すのかが必ずしも明らかではないという問題がある。
そこで、例えば労働条件について契約時の内容と実態の間で一定の相違
がある場合を
「やむを得ない事情がある場合」
の対象とすることを明示する
など、
その要件を拡大するとともに明確化することが必要であり、
そのよう
な方向性について、特段の異論はなかった。
加えて、現行の技能実習制度における「やむを得ない事情がある場合」の
転籍については、その立証責任が技能実習生に負わされていることなどを
指摘し、
転籍の実効性を確保する上では、
特に職場における暴力やハラスメ 17ントなどの事案では個別の事情に応じて立証手段を簡素化するなど、柔軟
な対応を行う必要があるとの意見があった。
また、
このような転籍の範囲や
手続等については、外国人をはじめとする関係者に対して適切に周知しな
ければならないといった意見があった。
そこで、2のとおり提言する。
(3)提言3について
本人の意向による転籍については、
人材育成の観点から、
3年間を通じて
一つの受入れ機関において就労を継続することが効果的であるとの意見も
多くあり、また、国内の労働法制や国際的な批判に鑑み、本人の意向による
転籍を一定の範囲で認めるべきとの方向性について、おおむね異論はなか
った。
もっとも、
このような転籍については、
これを無制限に認めることで人材
育成が阻害され制度目的を達成できなくなるという懸念や、受入れ機関側
がそれまで人材育成・確保のために掛けてきたコストをどのように考慮す
るか等の問題がある。そのため、転籍の時期、回数等について一定の制約を
設けるべきとの方向性で議論が進められた。
まず、転籍の時期及び回数については、人材育成の観点から、3年間で1
回に限ることとすべきなどとの意見もあったが、
民法及び労働基準法上、有期雇用契約の場合には1年を超えれば退職が可能であることや、ILO(国
際労働機関)
に対するヒアリングでも、
当該民法等の規定との整合性をとる
ことに一定の合理性があるとの指摘があったことを踏まえ、少なくとも1
年経てば転籍制限を緩和すべきとの意見が大勢であった。
他方、一度転籍を行った上で再度転籍を行う場合に同様の就労期間の制
限を設けるか否かについては、これを設けるべきではないとの意見もあっ
た。しかし、頻繁な転籍は受入れ機関、外国人双方にとって望ましくないと
する意見も多くあり、
上記のとおり、
労働法制上も1年間の転籍制限が認め
られていることを踏まえると、
本人の意向による転籍の場合、
2回目の転籍
についても、同一の受入れ機関での勤務が1年を超えていることを要件と
するのが相当と考えられた。
その他の要件としては、現行の技能実習1号(技能実習1年目)における
目標として技能検定試験基礎級等の合格が掲げられていることを踏まえ、
新たな制度の目的の一つである人材育成の実効性を確保する観点から、転
籍の要件としても、技能検定試験基礎級等の合格を求めることが考えられ
た。
また、
日本語能力については、
就労開始前に日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)
の合格又は相当の日本語講習の受講を求めてい 18ることを踏まえ、
一定程度の育成が図られていることを確認するために、転籍の要件として、
日本語能力A1相当以上の試験
(日本語能力試験N5等)
の合格を求めることが考えられた。
これらに加えて、新規に外国人を採用する受入れ機関との不平等や悪質
な民間職業紹介事業者等の関与が生じないようにするとともに、転籍先の
受入れ機関で適切に人材育成が行われることを担保するため、転籍先の受
入れ機関に対しても、
受入れ中の外国人のうち、
転籍してきた者の占める割
合が一定以下であること、
転籍に至るまでのあっせん・仲介状況等を確認で
きるようにしていること、その他所属する外国人の技能検定試験等の合格
率や人材育成体制等の一定の条件を設けることが望ましい旨の意見があっ
た。
そこで、3のとおり提言する。
なお、
転籍の要件に関しては、
労働契約上の拘束力と在留資格の変更許可
の関係性にも留意すべきとの意見があったので、その旨付言する。
また、
本人の意向による転籍制限の緩和については、
従前認められていな
かった転籍が短期間で認められることにより地方や中小零細企業からの人
材流出が生じないか懸念があるなか、
急激な変化を緩和するため、
必要な経
過措置等を設けるなどすべきであるとの意見があり、その旨を(注1)に記
載した上、経過措置等の内容について、下記 10 の提言2において詳述する
こととする。
(4)提言4について
提言3のとおり本人の意向による転籍を認めることを前提に、転籍前の
受入れ機関が負担した初期費用等に関する転籍前後の受入れ機関間での分
担の在り方が問題となった。
この点については、初期費用の基準の不明確さやコスト負担を理由に転
籍を受け付けない受入れ機関が生じ、結果的に転籍が制限されることが懸
念されるなどとして、転籍先の受入れ機関に負担させることに消極的な意
見があった。
もっとも、
多くの意見は、
転籍先の受入れ機関にとって過度な負担になれ
ば転籍制限の緩和の実効性が損なわれかねないことを懸念しつつも、転籍
前の受入れ機関が正当な補塡を受けられるよう配慮する必要性を認め、明
確かつ合理的な基準を設けた上で、一定の範囲で初期費用等を転籍先の受
入れ機関に負担させるべきであるとの方向性で共通していた。
また、
初期費用等の分担の具体的な方法については、
受入れや育成に要し
た費用のうち請求できる範囲の明確化や就労期間等に応じた分担方法の設
定などのガイドラインを設け、ルール遵守を徹底する取組が重要になると 19いった意見があった。
こうした点も踏まえ、転籍前後の受入れ機関における初期費用等の分担
方法に係る基準を設定するなどして、その明確化を図ることが相当と考え
られた。
そこで、4のとおり提言する。
(5)提言5について
現行の技能実習制度においては、
「やむを得ない事情がある場合」に該当
し、
転籍を認める場合には、
監理団体が新たな実習先を確保するものとし、
必要に応じて外国人技能実習機構が監理団体に情報提供を行うなどの運用
がなされている。
提言3のとおり、
新たな制度において本人の意向による転
籍を認めた場合、
転籍件数の増加が見込まれ、
悪質な機関による不利益を受
ける外国人が生じることを防ぐ必要があるため、転籍の制限緩和の実効性
を損なわせないよう、
適切な能力等を有する者が、
適切に当該外国人に対す
る支援等を行う仕組みを構築する必要があると考えられた。
そして、
このような転籍支援については、
新たな制度の下では監理団体の
みならずハローワークが外国人技能実習機構を改組した新たな機構(下記
5の提言1参照)
等と連携するなどして行うことが相当との意見があり、この点に特段の異論はなかった。なお、この点については、監理団体ではなく
ハローワークや新たな機構がその中心的役割を担うべきとして、ハローワ
ークの人員拡充や職員研修等による体制整備を求める意見もあったが、技
能実習制度における上記運用も参照し、まずは監理団体が中心となって転
籍支援を行うものとするのが相当と考えられた。
また、
民間職業紹介事業者による転籍支援については、
そもそも民間事業
者の参入を認めるべきではないとする意見もあったが、現に特定技能制度
においても多く活用されている状況等を踏まえると、その参入を排除する
ことは困難であると考えられた。
このほか、
転籍の仲介者等に係る情報の開
示や、職業紹介優良事業者認定制度による認定を受けた職業紹介事業者の
積極的な活用等により、悪質な事業者の関与を防止すべきとの意見があっ
た。
そこで、5のとおり提言する。
なお、
正規の転籍の手続によらず失踪等した外国人についても、
事情に応
じて正規の手続に復帰する余地を残しておくことが重要であり、監理団体
等が必要な転籍支援等を行うべきとの意見もあったため、その旨付言する。
(6)提言6について
提言3のとおり本人の意向による転籍を認めた場合に、異なる業務区分
への転籍を認めるべきかが問題となった。 20この点については、
人材育成の観点に加え、
賃金水準が高い産業に人材が
流出するなどの事態が生じることへの懸念等から、異なる業務区分への転
籍に対して消極的な意見が多くあった。これに加え、提言7のとおり、一旦
帰国した後に異なる分野・業務区分で再度入国する余地も残ることから、本人の意向による転籍については、同一の業務区分の範囲内に限るのが相当
と考えられた。
そこで、6のとおり提言する。
(7)提言7について
人材育成を通じた技能等の移転による国際貢献を目的とする現行の技能
実習制度では、帰国後の再実習は原則として認めていない。また、新たな制
度における転籍については、
提言6のとおり、
同一の業務区分に限るのが相
当と考えられる。
この点について、
人材確保も目的とする新たな制度においては、
外国人が
本人事情や分野・業務区分のミスマッチ等を理由として帰国した後、
改めて
異なる分野・業務区分での育成を目的として再度入国することを妨げる理
由はなく、そうした場合に限っては再チャレンジの機会を認めるべきとの
意見があり、これに対する特段の異論はなかった。
他方、
この場合でも、
未熟練労働者の立場で無制約の再入国を認めるのは
相当ではなく、再入国を認める期間には一定の制約を設けるべきとの意見
があった。
その具体的な期間としては、
新たな制度によるこれまでの我が国
での滞在期間が通算2年以下の場合とし、入国後の滞在を含めた新たな制
度での滞在期間を最長でも通算5年とすることについて、特段の異論はな
かった。
そこで、7のとおり提言する。
(8)提言8について
新たな制度の下での転籍等に係る制度が適正に運用されるためには、各
種試験の合格率等から、真摯な育成等が行われているか否かを判断するこ
とが有用であると考えられ、
これらの点については、
受入れ機関及び監理団
体の許可等の要件や、優良認定の指標とすべきといった意見があった。
そこで、8のとおり提言する。
5 監理・支援・保護の在り方
【提言】
新たな制度及び特定技能制度が円滑かつ適切に運用され、
また、
外国人に
対する支援や保護が適切に行われるよう、
以下のとおり、
両制度に関わる各 21機関等による監理・支援・保護体制を強化する。
(外国人技能実習機構)
1 外国人技能実習機構を改組の上、受入れ機関に対する監督指導機能や
外国人に対する支援・保護機能(転籍支援や相談援助業務を含む。)を強
化するとともに、
特定技能外国人への相談援助業務
(母国語相談等)
を行
わせることとし、
このような機能を適切に果たすため、
必要な体制等を整
備する。
2 労働基準監督署等との間での相互通報の取組を強化し、重大な労働法
令違反事案に対して厳格に対応する。
また、
新たな制度で受け入れる外国
人のみならず、
特定技能外国人の保護の観点からも、
地方出入国在留管理
局との連携を強化し、不適正な受入れ機関等に対して厳格に対応する。
(監理団体)
3 新たな制度においても、就労を通じた人材育成の適正な実施の監理等
を行う監理団体を設ける。
新たな制度の下での監理団体については、
国際
的なマッチング機能や受入れ機関及び外国人に対する支援等の機能を適
切に果たすことができるよう、受入れ機関と密接な関係を有する監理団
体の役職員の監理への関与の制限、外部者による監視の強化等により独
立性・中立性を担保するとともに、受入れ機関数等に応じた職員の配置、
財政基盤や外国語による相談対応体制の確保に係る許可要件を設け、送
出機関からのキックバック、供応を禁止することとし、制度施行に伴い、
新たに許可を受けるべきものとする。その際、監理団体に対しては、新た
な許可要件にのっとり厳格に審査を行い、機能が十分に果たせない監理
団体は許可しないものとする。
4 新たな制度の下での監理団体にとってより良い監理支援のインセンテ
ィブとなるよう、
優良事例等の公表、
優良な監理団体に対する各種申請書
類の簡素化や届出の頻度軽減などといった優遇措置を講じる。
(受入れ機関)
5 新たな制度の下での受入れ機関については、
人材育成の観点から、
現行
の技能実習制度における受入れ機関ごとの受入れ人数枠を含む育成・支
援体制等の要件を適正化して設定するとともに、
人材確保の観点から、現行の特定技能制度における分野別協議会への加入等の要件を設けた上
で、その他より適切性を確保するために必要な要件を新たに設けること
を検討する。また、外国人の前職要件等、現行の技能実習制度の国際貢献
目的に由来する要件については撤廃する。 226 新たな制度の下での受入れ機関にとってより良い受入れのインセンテ
ィブとなるよう、
優良事例等の公表、
優良な受入れ機関に対する各種申請
書類の簡素化や届出の頻度軽減などといった優遇措置を講じる。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1及び2について
中間報告書においても方向性を示したとおり、現行の技能実習制度にお
いて、外国人技能実習機構による法令に基づく監督指導や相談窓口等の援
助は一定の役割を果たしており、
適正な受入れに不可欠であることから、新たな制度においても、同機構を改組してその役割に応じた体制を整備した
上で、引き続き活用するのが相当である。
その上で、
新たな機構に求められるべき役割については、
失踪防止の観点
からの監理団体等に対する監督指導権限の機能拡大や職員増員及び予算拡
大による体制強化、
ハラスメントや転籍に係る相談対応の強化、
外国人材の
受入れ環境の調整を行う「支援調整担当」や法的な専門家の設置など、様々
な意見があり、
大きな方向性として、
受入れ機関及び監理団体に対する監督
指導や外国人に対する支援・保護機能を強化すべきこと、
労働基準監督署等
の関係機関との連携の強化によって労働法令違反事案に対して厳格に対応
すべきことについては、異論がなかった。
また、新たな機構は、新たな制度のみならず、特定技能制度に関わる業務
も一括して担うべきとの意見も複数あった。
この点については、
一挙に業務
を拡大することが可能かについてはなお慎重に検討する必要があるものの、
地方出入国在留管理局との連携の強化によって不適正な受入れ機関等に対
する厳格な対応をとった上で、
少なくとも、
特定技能外国人への相談援助業
務を行うことについては実現するのが相当と考えられた。
さらに、新たな機構には、その機能を適切に果たすため、十分な職員の配
置や、立入り調査に係る適切な権限や必要な体制の整備を行うべきとの意
見があった。
そこで、1及び2のとおり提言する。
(2)提言3について
現行の技能実習制度における監理団体は、
国際的なマッチング機能、
受入
れ機関に対する監理・指導、外国人に対する保護・支援等の機能を担ってい
る一方、一部の団体において適切にその役割を果たせていないことが指摘
されている。このことから、中間報告書においては、そのような不適正な団
体を厳しく適正化又は排除するため、
監理団体の受入れ機関からの独立性・
中立性を確保しつつ、監理・保護・支援に関する要件を厳格化するといった 23方向性を示した。
まず、監理団体の独立性・中立性に関しては、多くの監理団体の役員等が
受入れ機関の役員等を兼ねていることについて、監督者と被監督者が同一
では本来求められる機能を果たせないとして、兼職を全面的に禁止すべき
との意見があった。もっとも、これに対しては、現行の監理団体のうち大多
数が中小零細企業により組織された事業協同組合等によって占められてい
る実情を踏まえると、役員の兼職を禁止するのは現実性を欠き困難である
とする意見や、いわゆるペーパー団体の設立を招くだけで実効性が乏しい
とする意見があった。
他方、兼職を全面的に禁止すべきとの意見に対する代替的な案として示
された、受入れ機関との密接な関係を有する監理団体の役職員の監理への
関与を制限するという案や、外部者による監視を強化するという案に対し
ては、特段の異論はなく、これらによって監理団体の独立性・中立性の強化
を行うべきという方向性でおおむね意見の一致を見た。
なお、
外部者による
監視については、現状、多くの監理団体で、弁護士、行政書士、社会保険労
務士等が外部監査人として選任されている実情があるところ、これらの有
資格者等の選任を義務付けた上、その氏名の公表等の措置を講じておくべ
きといった意見もあった。
また、
監理団体の許可要件については、
何らかの問題が生じた受入れ機関
について、
外国人から速やかに相談を受け、
又は受入れ機関への監査や指導
を通じて問題を把握・指導できるような職員体制が必要である、
財政的基盤
がぜい弱な団体や監理を行う受入れ機関が1者のみの小規模団体を排除す
べき、送出機関からのキックバックや供応を受けることを排除すべきとい
った意見があり、十分な監理業務体制を確保しなければならないという方
向性について、特段の異論はなかった。
そして、
新たな制度への移行に際しては、
不適正な監理団体を排除するた
め、
現行の監理団体の自動的移行は認めず、
改めて新たな制度における許可
要件の適合性を確認すべきとの意見があり、この点に異論はなかった。
そこで、3のとおり提言する。
なお、
監理団体の許可に当たっては、
現行の技能実習制度における労働政
策審議会監理団体審査部会又は同等の公的な会議体による審査が必要であ
るとの意見があった。
また、
監理団体が受入れ機関から徴収する監理費について、
公的な機関が
受入れ機関から徴収して監理団体に交付する仕組みにすべきとの意見や、
監理団体の事業継続性や安定性を向上させる観点から、監理団体にNPO
法人並みの収益事業や内部留保を認めるべきとの意見もあった。もっとも、 24これらについては、まずは上記の要件厳格化等を行った後の運用状況を踏
まえ、
更なる見直しの要否を判断するのが相当と考えられたことから、
その
旨付言する。
(3)提言5について
現行の技能実習制度では、
適正な人材育成を行う観点から、
受入れ機関の
規模に応じた技能実習生の受入れ人数枠の設定、技能実習責任者及び技能
実習指導員の配置といった受入れ体制に係る要件を設けている。新たな制
度でも、
制度目的の一つである人材育成の観点から、
これらの要件を設けつ
つ適正化すべきという方向性に異論はなかった。
また、新たな制度が特定技能制度と同様に人材確保も制度目的の一つと
するものであることを踏まえ、特定技能制度において受入れ機関に求めら
れる要件を参照し、分野別協議会への加入といった要件を設けるべきとの
意見があった。
そのほか、
受入れ機関による外国人に対する人権侵害行為を
防止するなど、労働者保護の観点からの要件設定も必要である旨指摘する
意見もあった。
なお、
現行の技能実習制度においては、
技能等の移転を通じた国際貢献と
いう制度目的から、外国人が我が国で従事しようとする業務と同種の業務
に母国で従事した経験を有することといういわゆる前職要件を設けている。
当該要件については、労働安全衛生等の確保の観点からメリットがあると
してこれを維持すべきとする意見もあったが、ブローカーが手数料を取っ
て前職の証明書を発行するなどの問題があることを指摘する意見等もあり、
制度目的を抜本的に見直す新たな制度においては、もはや当該要件を維持
するのは適当ではないと考えられた。
そのほか、
上記目的に由来する受入れ
の要件等についても、撤廃することが相当と考えられた。
そこで、5のとおり提言する。
(4)提言4及び6について
新たな制度において適切に外国人の受入れや監理支援がなされるために
は、提言3や5のように不適正な監理団体や受入れ機関に対する規制を強
化すると同時に、優良な監理団体や受入れ機関に対するインセンティブと
なる制度を設けるのが効果的である。具体的には、優良事例の公表、提出書
類の簡素化や審査期間の短縮、監査回数の軽減などを提案する意見があり、
これらに対する特段の異論はなかった。また、特に監理団体について、各監
理団体の事業活動に対する評価を公表することも必要であるとする意見も
あった。
そこで、4及び6のとおり提言する。 256 特定技能制度の適正化方策
【提言】
1 新たな制度において育成がなされた外国人の特定技能1号への移行に
ついては、従前の技能検定試験3級等以上又は特定技能1号評価試験の
合格に加え、日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)の
合格を要件とする(注)。ただし、日本語能力試験の要件については、当分の間は、当該試験合格
に代えて、認定日本語教育機関等における相当の日本語講習を受講した
場合も、その要件を満たすものとする。
2 新たな制度を経ない特定技能1号の在留資格取得については、従前の
とおり、
特定技能1号評価試験等及び日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)
の合格を要件とする。
新たな制度において育成途中
の外国人がこれらの試験に合格した場合の特定技能1号への在留資格変
更の在り方については、上記4の提言3の本人の意向による転籍の要件
等も踏まえて検討するものとする。
3 新たな制度で育成を受けたものの、特定技能1号への移行に必要な試
験等に不合格となった者については、同一の受入れ機関での就労を継続
する場合に限り、再受験に必要な範囲で最長1年の在留継続を認める。
4 特定技能外国人に対する支援については、支援業務を委託する場合に
は、
その委託先を登録支援機関に限ることとした上、
支援業務が適切にな
されるよう、
登録支援機関について、
支援責任者等の講習受講や支援の委
託元となる受入れ機関数等に応じた職員の配置の要件を設け登録要件を
厳格化するとともに、
支援実績や支援委託費等の開示を義務付け、
情報の
透明性を高める。また、本人の希望も踏まえ、特定技能2号の在留資格取
得に向けた1号特定技能外国人のキャリア形成の支援も行わせることと
する。
5 特定技能外国人の受入れ機関については、特に登録支援機関を利用し
ない場合に適切な支援を行えるよう、上記4も踏まえてその要件を適正
化するとともに、
より良い受入れのインセンティブとなるよう、
優良事例
等の公表、優良な受入れ機関に対する各種申請書類の簡素化や届出の頻
度軽減などといった優遇措置を講じる。
6 特定技能2号の在留資格取得については、従前の特定技能2号評価試
験等の合格に加え、
日本語能力B1相当以上の試験
(日本語能力試験N3
等)の合格を要件とする。 26(注)上記2の提言3の(注2)のとおり、日本語能力に関しては、現行の技能実習制
度における取扱いを踏まえ、各受入れ対象分野でより高い水準の試験の合格を要
件とすることを可能とする(2、6において同じ。)。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1について
現行の技能実習制度及び特定技能制度において、技能実習を経ないいわ
ゆる試験ルートにより特定技能1号の在留資格を得るためには、学科試験
及び実技試験からなる特定技能1号評価試験及び日本語能力A2相当以上
の試験(日本語能力試験N4等)の合格が要件とされている。これに対し、
技能実習を経て特定技能1号の在留資格を得るいわゆる技能実習ルートの
場合には、
これらの試験の合格は必ずしも要件にはなっておらず、
技能検定
試験3級若しくは技能実習評価試験の実技試験の合格、又は技能実習2号
を良好に修了していることで足りるものとされている。
その上で、新たな制度における特定技能1号への移行の要件の在り方に
ついては、新たな制度を特定技能1号の技能水準の人材に育成するための
制度と明確に位置付けることを踏まえ、改めて移行の要件を検討する必要
があると考えられた。
この点、まず、新たな制度においては、特定技能の業務区分に相当する幅
広い業務に従事させつつ、
人材育成の観点から、
中心となる技能を定めた上
で育成及び評価を行うべきであり(上記2の提言2参照)
、具体的な評価方
法については、技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験によって行
うべきという意見が大勢であった。
なお、従前、技能検定試験3級等に合格せずとも、実習を「良好に修了」
していれば可としていた点については、特定技能への移行に当たっては適
正な技能評価が重要であるといった意見や、スキルの向上が試験で確認さ
れることが重要であるといった意見があったことを踏まえ、新たな制度に
おいて、そのような救済措置は撤廃すべきという結論に至った。
また、
新たな制度によって受入れの対象とする外国人は、
特定技能1号に
移行し、業種によっては特定技能2号にも移行して人手不足分野において
活躍し、かつ、長期的に我が国に滞在することが期待される人材である。こ
のため、
業務上の必要性や共生社会実現の観点、
更には当該外国人が自身の
権利行使を適切になし得るようにするという観点から、新たな制度から特
定技能1号に移行する際にも、
試験ルートの場合と同様、
何らかの尺度で日
本語能力を担保する必要があるという方向性で議論が進められた。
そして、この点については、日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力 27試験N4等)の合格を要件としつつ、当分の間は、当該試験合格に代えて、
認定日本語教育機関等における相当の日本語講習を受講した場合も、その
要件を満たすものとすることが適当と考えられた(下記9の提言1参照)。そこで、1のとおり提言する。
(2)提言2について
特定技能制度については、
人手不足分野において一定の専門性・技能を有
し即戦力となる人材を確保することを目的とするものであることから、新
たな制度による育成を経ない外国人が特定技能1号の在留資格を得るには、
現行の特定技能制度におけるいわゆる試験ルートに係る要件を引き続き用
いることが適当である。
その上で、新たな制度での3年間の途中で特定技能1号に係る試験に合
格した外国人の特定技能1号への移行の取扱いについては、育成途中での
移行を認めるべきではないとの意見もあったが、試験ルートによる新規入
国が認められる以上、一定の要件の下で移行を認めるのが相当と考えられ
た。
さらに、
移行を認めるべき具体的な範囲については、
特定技能1号に移行
した後は転籍に係る制限がなくなることを前提に、転籍に係る制限の抜け
穴として入国の足がかりに利用されることへの懸念や、当初の受入れ機関
のコスト負担への配慮の観点を踏まえ、本人の意向による転籍の要件等を
踏まえて検討すべきとの方向性でおおむね意見の一致を見た。
そこで、2のとおり提言する。
なお、
具体的な要件としては、
一定期間の同一企業での就労継続を要件と
すべきとの意見や、
同一の産業分野に限るべきとの意見があった一方で、まずは試験のレベルや内容について、就労を通じて得られる労働安全衛生等
の知識等に関する内容を含む適切なものとすることで対応すべきであり、
特別な制限を設けるべきではないなどとの意見もあったことから、その旨
付言する。
(3)提言3について
新たな制度においては、育成期間を終えて特定技能1号に移行する場合
には、
提言1のとおり、
技能検定試験や日本語能力試験といった一定の試験
の合格等を要件とするのが相当である。
しかしながら、
こうした要件を設ける一方で、
希望を持って我が国を就労
先として選択した外国人を、1回の試験不合格をもって直ちに帰国させる
ことは配慮に欠ける面があり、
制度の魅力を失わせかねないため、
試験不合
格者に対する救済措置を検討することが必要と考えられ、このような方向
性に異論はなかった。 28なお、
在留継続を認める期間は2年間とすべきとの意見や、
在留継続期間
中の支援等の責任を監理団体及び受入れ機関に負わせるべきとの意見もあ
ったが、
この点については、
あくまでも外国人への配慮のための措置である
ことや、監理団体及び受入れ機関の負担等を考慮してバランスをとった制
度内容とする必要があると考えられた。
そこで、3のとおり提言する。
(4)提言4について
特定技能制度において登録支援機関が担っている外国人に対する支援の
機能は重要である一方、
登録支援機関の中には、
職業生活から日常生活まで
の全般的な支援を行うことができていないものも少なくないとの意見があ
り、
中間報告書においては、
登録支援機関の支援の在り方の見直しを検討す
るとともに、
機能を十分に果たせないような機関については、
監理団体と同
様に厳しく適正化又は排除する必要があるとの方向性を示した。
この点について、まず、現行制度上、1号特定技能外国人に対する支援業
務の委託先は登録支援機関に限定されていないため、登録支援機関の要件
厳格化の結果、登録支援機関を利用しない受入れ機関の増加という悪影響
を招くおそれがあると考えられた。
そのため、
支援業務を委託する場合には、
その委託先については登録支援機関に限るなどすべきとの意見があり、こ
の点について特段の異論はなかった。
また、登録支援機関については、外国人への支援を適切に行えるよう、支
援責任者等の講習受講の義務化や支援を適切に行えるような人員要件を設
けることで体制強化を行った上、
登録支援機関の登録更新の際、
新たな登録
要件に基づき登録の可否を判断することが考えられ、この点についても特
段の異論はなかった。
さらに、
登録支援機関については、
支援実績や手数料等の開示を義務付け、
これにより情報の透明性を高めるべきとの意見があった。
なお、
登録支援機関については、
許可制の導入や受入れ機関への監督機能
の追加、
手数料額の上限の設定といった見直しを求める意見もあった。
もっ
とも、
これらの点については、
まずは登録要件の厳格化や情報の透明性の向
上、
更には受入れ機関に係る許可要件を厳格化すること
(上記5の提言5参照)によって運用の適正化が期待される部分もあるため、
今回の提言におい
ては、まずは上記のとおりの対応を行うことが相当と考えられた。
その他、
今回の見直しにおいては、
特定技能2号への移行も見据えた外国
人のキャリア形成を支援すべきとして、登録支援機関の支援業務に特定技
能2号の在留資格取得に向けた支援等を追加すべきとの意見があった。
そこで、4のとおり提言する。 29(5)提言5について
特定技能制度における受入れ機関についても、新たな制度における受入
れ機関と同様に適正化を図るのが相当であり、特に登録支援機関を利用し
ない場合にも特定技能外国人の適切な支援をなし得るよう、受入れ機関の
要件を適正化して全体の底上げを図るべきとの意見があった。
また、
特定技能制度における受入れ機関についても、
上記5の提言4及び
6と同様、優良な受入れ機関に対するインセンティブとなる仕組みを設け
るという方向性に異論はなかった。
そこで、5のとおり提言する。
(6)提言6について
特定技能2号の在留資格取得については、
従前、
特定技能2号評価試験等
の合格のみを要件としていたところ、
これに加え、
日本語能力試験等の合格
を要件とすべきとの意見があり、この点に特段の異論はなかった。
具体的な日本語能力の水準については、
様々な意見が示され、
特定技能2
号は在留期間更新の上限がなく家族帯同も可能であるため、エビデンスに
基づく慎重な検討が必要との意見や、
各分野の業務内容等に応じて、
求める
日本語能力の水準等を個別に決めていくことが必要という意見もあったも
のの、日本語能力B1相当以上の試験(日本語能力試験N3等)の合格を要
件とすることについて、おおむね意見の一致を見た。
そこで、6のとおり提言する。
7 国・自治体の役割
【提言】
1 地方出入国在留管理局、新たな機構、労働基準監督署、ハローワーク等
の関係機関が連携し、外国人の不適正な受入れ・雇用を厳格に排除し、的
確な転籍支援等を行う。
2 制度所管省庁は、
業所管省庁との連絡調整、
業所管省庁や関係機関への
助言、
送出国との連携の強化等、
制度全体を適正に運用する上での中心的
な役割を果たすものとし、技能実習制度における地域協議会を参照して
同様の協議会を組織することなどにより、地域の特性を踏まえた新たな
制度及び特定技能制度の適正化等を図るものとする。
3 業所管省庁は、
受入れ対象分野の受入れガイドラインや育成・キャリア
形成プログラム
(新たな制度から特定技能1号への移行だけでなく、
特定
技能1号から特定技能2号への移行を含む。
)を策定するなどして受入れ
の適正化を促進するほか、
業界特有の事情に係る相談窓口の設置、
優良受 30入れ機関に対する支援等の優遇措置、不適切な引き抜きを防止するため
に必要な措置等を講じるなど、外国人の受入れ環境の整備等に資する取
組を行う。
これらの取組等については、
特定技能制度における分野別協議
会を新たな制度でも活用するなどして業界団体等と連携しつつ、業界全
体の実情を踏まえて行うものとする。
4 文部科学省は、
厚生労働省及び出入国在留管理庁と連携し、
日本語教育
機関における日本語教育の適正かつ確実な実施を図り、その水準の維持
向上を図る。
5 各自治体は、
上記2の協議会に積極的に参画し、
同協議会等を通じて業
所管省庁等とともに共生社会の実現や地域産業政策の観点から外国人材
の受入れ環境の整備等に取り組むとともに、外国人受入環境整備交付金
や外国人支援コーディネーターを活用するなどして、外国人から生活相
談等を受ける相談窓口の整備や、外国人の生活環境等を整備するための
取組等を推進する。
6 政府は、
我が国で修得した技能が帰国後に生かされ、
ひいては我が国へ
の送出しにもつながるよう、育成される技能の見える化等を推進する。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1について
現行の技能実習制度に関しては、
本有識者会議での議論全体を通して、監理団体や受入れ機関による不適正な受入れ等に対する強い問題意識と、悪
質な監理団体、
登録支援機関、
受入れ機関等の排除の必要性を強調する意見
が多く示されている。
そして、
これを実現するための関係機関の連携の在り方については、
地方
出入国在留管理局及び新たな機構に加え、企業等への労働基準関係法令に
係る監督を実施している労働基準監督署や、外国人の雇用状況及び地域の
外国人材の需要を把握しているハローワークを含む外国人労働施策に関す
る関係機関の連携強化及び相互通報の必要性を指摘する意見があった。
そこで、1のとおり提言する。
(2)提言2について
現行の技能実習制度では法務省及び厚生労働省が、特定技能制度では法
務省が警察庁、
外務省及び厚生労働省と連携しつつ、
業所管省庁等の関係省
庁との調整や送出国との取決めの作成等を行っている。新たな制度及び特
定技能制度においても、
制度所管省庁は、
制度の適正な運用のための中心的
な役割を担うべきであり、その旨を明らかにすべきとの意見があった。
また、
各自治体が都道府県別の協議会等を通じ、
地域産業政策としての外 31国人材の受入れ環境の整備等に取り組むべきとの意見があったことを踏ま
え、
制度所管省庁は、
技能実習制度における地域協議会と同様の地域ごとの
協議会を組織してその機能を適正化することなどにより、地域の特性や課
題を踏まえた新たな制度及び特定技能制度の適正化、取組の標準化等を図
るのが相当と考えられた。
そこで、2のとおり提言する。
(3)提言3について
業所管省庁は、
現行の技能実習制度において、
関係省庁や業界の監理団体、
実習実施者、業界団体等を構成員とする事業協議会を設け、また、特定技能
制度においても、
特定産業分野ごとに分野別協議会を設置し、
これらの協議
会において、
関係者間の連携の緊密化や法令遵守の啓発のほか、
例えば不適
切な引き抜き防止のために必要な措置等を講ずるなど、制度の適正な運用
に向けた対応を行っている。
その上で、新たな制度の下で業所管省庁に更に期待される役割について
は、
外国人の受入れに係るガイドラインや処遇確保を含む技能育成・キャリ
ア形成に関する標準的なモデルを策定すること、産業政策の観点から人材
不足及び人材確保の状況を確認すること、
それらの際には、
分野別協議会を
活用するなどして業界団体と連携し、
統計等も利用しつつ、
受入れの現場の
実態を踏まえて業界全体として取り組むことなどを求める意見があった。
そこで、3のとおり提言する。
なお、業所管省庁に求められる役割としては、そのほかにも、分野別協議
会の機能強化を行い分野ごとの取組の標準化を図ることや、
地域・地場に必
要な投資を行い産業を活性化することなどを指摘する意見もあった。また、
上記業界団体との連携に関しては、同一業界でも複数の団体が存在する場
合があることを踏まえ、公平性の確保に留意すべきとの意見があったため、
その旨付言する。
(4)提言4について
下記9の提言3のとおり、
新たな制度及び特定技能制度においては、
外国
人に対する日本語教育の質の向上が必要不可欠である。
この点について、特に地方において日本語教育の環境整備の遅れや現状の日本語教員数の少な
さへの懸念があることから、
文部科学省及び関係者が、
日本語教育の推進に
関連する制度を活用しつつ、日本語学習の質の向上や機会の確保に向けて
取り組む必要がある旨指摘する意見があった。
そこで、4のとおり提言する。
(5)提言5について
新たな制度及び特定技能制度における自治体の役割については、共生社 32会の実現や地域産業政策の観点から、積極的に外国人材の受入れ環境の整
備等に取り組むべきとの方向性で議論がなされた。その具体的な役割とし
ては、
提言2の協議会に参画して業所管省庁等との連携を強化すること、外国人の受入れにより負担が掛かる地域に対する支援や相互理解等のための
取組を行うこと、国の支援を活用した一元的相談窓口の体制整備や国と地
域のネットワークの構築を行うこと、外国人の生活環境等を整備すること
等を求める意見があった。
また、
自治体における相談対応体制の整備、
強化を図るための財源として
は、出入国在留管理庁が実施している外国人受入環境整備交付金等をより
一層積極的に活用することなども考えられた。
さらに、外国人に対する支援の調整に当たる「支援調整担当者」の配置を
提案する意見があったところ、この点については、
「外国人との共生社会の
実現に向けたロードマップ」及び「外国人材の受入れ・共生のための総合的
対応策」を踏まえ、出入国在留管理庁において、国、自治体又はそのいずれ
かの委託等を受けた機関が運営する外国人向けの相談窓口で相談対応業務
に従事している者を対象に、
外国人に対する
「相談対応支援」、「予防的支援」
等を行う「外国人支援コーディネーター」の育成・認証を行うこととされて
いる。
令和6年度以降、
その運用状況を踏まえた配置先の拡充も検討するこ
ととされているところ、
新たな制度下において、
その活用を図ることが相当
であると考えられた。
そこで、5のとおり提言する。
(6)提言6について
近年、スキル形成を通じた国際貢献という視点が国際的に強調されてお
り、
新たな制度及び特定技能制度においては、
人材育成を通じた国際貢献を
直接の目的とするものではないものの、帰国した外国人の技能等の活用を
支援することが望ましく、
その具体的な方策として、
資格の相互認証などの
仕組みを設けるべきとの意見があった。
このような意見を踏まえ、
我が国で
修得した技能が帰国後に生かされるような仕組みを検討することが有益で
あると考えられた。
そこで、6のとおり提言する。
8 送出機関及び送出しの在り方
【提言】
1 政府は、
送出国政府との間での二国間取決め
(MOC)
を新たに作成し、
これにより、不当に高額な手数料等の徴収、監理団体・受入れ機関への供 33応やキックバック等を行う送出機関の取締りを強化するなどして、悪質
な送出機関の排除の実効性を高める。
2 政府は、各送出機関が徴収する手数料等の情報の公開を求めるなどし
て送出機関に係る情報の透明性を高め、監理団体等がより質の高い送出
機関を選択できるようにするとともに、来日後のミスマッチや労働条件
等に係る外国人と受入れ機関等の認識のそごを防止するため、受入れ機
関に係る情報の透明性も高め、外国人が安心して働ける受入れ機関をよ
り直接的に選択できるようにする(注)。3 政府は、
MOCに基づく協議等の際に、
相手国に対して他国の送出制度
の実情等に関する情報提供を行うなどして、送出国間の競争を促進する。
4 上記2の情報公開等の手段と併せ、外国人が送出機関に支払う手数料
等が不当に高額とならないようにするとともに当該手数料等を受入れ機
関と外国人が適切に分担するための仕組みを導入し、外国人の負担の軽
減を図る。
(注)外国人が受入れ機関に係る情報を直接的に把握できる仕組みとしては、例えば、
独立行政法人国際協力機構(JICA)が 2023 年8月からベトナム政府に対する
技術協力プロジェクト「ベトナム人海外就労希望者の求人情報へのアクセス支援
プロジェクト」(ベトナムの労働当局と協働の下、新たな求人システムを構
築し、正しい求人情報の提供、直接応募の推進により、高額な手数料や搾
取、ミスマッチ等をなくす仕組みを構築するもの)を開始した。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1ないし3について
現行の技能実習制度では、
かねてより、
高額な手数料等を徴収するなどの
悪質な送出機関が存在し、技能実習生が借金等を負った状態で入国するこ
とで失踪事案等を発生させている旨指摘されている。そのため、政府は、多
くの送出国との間でMOCを作成し、当局間の定期協議の場等を通じて不
適切な送出機関に係る通報や許可取消しの要請を行っており、このような
問題に対しては、新たな制度においても更なる取組を進めていく必要があ
る。
このような観点から議論を行い、送出国政府との関係でMOCを新たに
作成し、供応やキックバック等を行う送出機関の取締りを強化するという
点については、意見の一致を見た。
また、我が国と送出国が相互に、送出機関、監理団体、受入れ機関等に関
する情報提供や情報公開を行うことで、
外国人、
監理団体及び受入れ機関に
おいて選択が容易になり、
これにより、
来日後のミスマッチや労働条件等に 34係る認識のそごの防止にもつながるといった意見や、更には他国に対する
情報提供によって、送出国間の競争を促進すべきであるといった意見もあ
り、これらに対する異論はなかった。
そこで、1ないし3のとおり提言する。
なお、
この点に関連し、
送出機関の適正化のためにODAによる送出国政
府の能力構築支援や政府関連機関によるマッチング支援等を行うべきであ
るとする意見もあったが、
仮にこれらを実施するとしても、
相当の期間と費
用を要すると考えられるため、新たな制度及び特定技能制度の運用状況を
踏まえた将来的な検討事項とするのが相当と考えられた。
(2)提言4について
職業紹介のプロセスにおける外国人の負担を軽減するための方策につい
ては、
職業紹介における費用負担の国際的なルール、
送出国の送出制度や関
係法令との整合性、諸外国の受入れ制度の運用状況、費用対効果、国際労働
市場における求人側と求職者との著しい情報の非対称性を踏まえたマッチ
ングのメカニズムなどの観点から、検討やヒアリングを行った。
その結果として、ILO181 号条約等を根拠に外国人からの手数料の徴収
を制限すべきという意見もあった一方で、
手数料が送出しに係る役務に対す
る対価として支払われているものであることや、
受入れ機関の負担増加への
懸念から、手数料の徴収自体を制限するのではなく、外国人の費用負担の少
ない送出機関や送出国を優遇すべきとの意見や、
日本語学習に係る費用はあ
くまでも本人負担とすべきとの意見等があった。
このような議論を踏まえると、
具体的な方策については更なる検討が必要
と考えられるものの、
まずは外国人が送出機関に支払う手数料等が不当に高
額とならないようにした上で、
当該手数料等を受入れ機関と外国人が適切に
分担するための仕組みを導入するという方向性については、
おおむね意見の
一致を見た。
なお、外国人が負担する費用には、送出機関への手数料だけでなく、送出
機関を紹介する仲介業者への手数料も存在するが、これについては、上記提
言2のとおり、情報の透明性の向上により、より直接的に受入れ機関や送出
機関を選択可能とすること等によって負担を軽減させることが考えられた。
そこで、4のとおり提言する。
9 日本語能力の向上方策
【提言】
1 新たな制度及び特定技能制度においては、以下の試験の合格等を就労 35開始や特定技能1号、
2号への移行の要件とすることで、
継続的な学習に
よる段階的な日本語能力の向上を図る(注)。しろまる 就労開始前(新たな制度)
:日本語能力A1相当以上の試験(日本語
能力試験N5等)の合格又は入国直後の認定日本語教育機関等におけ
る相当の日本語講習の受講
しろまる 特定技能1号移行時:日本語能力A2相当以上の試験
(日本語能力試
験N4等)の合格(ただし、当分の間は、当該試験合格に代えて、認定
日本語教育機関等における相当の日本語講習の受講をした場合も、そ
の要件を満たすものとする。)しろまる 特定技能2号移行時:日本語能力B1相当以上の試験
(日本語能力試
験N3等)の合格
2 受入れ機関による支援のインセンティブとなるよう、受け入れた外国
人の日本語能力試験等の合格率など日本語教育支援に積極的に取り組ん
でいること等を確認するような要件を、優良な受入れ機関の認定要件と
する。
3 政府は、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機
関の認定等に関する法律の施行状況を踏まえつつ、
同法の仕組み
(認定日
本語教育機関や登録日本語教員)
を活用し、
外国人に対する日本語教育の
質の向上を図る。また、政府は、外国人に十分な日本語能力試験等の受験
機会を確保するなどの方策を検討する。
(注)上記2の提言3の(注2)のとおり、現行の技能実習制度における取扱いを踏ま
え、各受入れ対象分野でより高い水準の試験の合格を要件とすることを可能とす
る。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1について
現行の技能実習制度では、入国時(技能実習1号)並びに技能実習2号及
び3号への移行時には日本語能力に係る要件は設けられておらず、入国後
講習の中での日本語科目の講習の実施のみを求めている(注1)
。特定技能
制度では、
上記6の提言1のとおり、
特定技能1号のいわゆる試験ルートの
場合には、日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)の合格
が要件とされるものの、いわゆる技能実習ルートの場合及び特定技能2号
への移行の場合には日本語能力に係る要件は設けられていない。
この点については、
中間報告書では、
外国人労働者が日常生活及び職業生
活上、必要最低限の日本語能力を有することやその向上を図ることの重要
性から、
就労開始前及び就労開始後の日本語能力の担保・向上を図る方策や 36その要件化を検討することとしており、
改めて、
新たな制度及び特定技能制
度において外国人に対して求める日本語能力及びその確認方法についての
具体的な制度の在り方を議論した。
まず、
就労開始前の日本語能力に係る要件については、
技能修得及び自身
の権利保護上の便宜や、
入国後の地域社会との共生の観点から、
入国前の日
本語能力試験N5以上の試験合格を求める意見があった。
また、
就労開始後については、
在留の段階ごとに日本語能力が実際に向上
する仕組みを取り入れるため、
新たな制度による在留期間が満了し、
特定技
能1号に移行する際には、技能検定試験等の合格とともに日本語能力試験
N4以上の試験合格を必須とすべきであるといった意見があった。
もっとも、
これらの意見に対しては、
入国前に高いハードルを設けた場合
には、
分野によっては就労先として選択されなくなってしまうことや、
日本
語能力に係る試験の受験機会が僅少であることを懸念する意見、
また、
日本
語教員不足や、特に地方における日本語教育環境の整備の必要性を述べる
意見があった。
このような議論を踏まえると、新たな制度による就労開始時並びに特定
技能1号及び2号への移行時に、一定の日本語能力試験の合格をその要件
とすることも十分考えられるところであるが、
上記のとおり、
入国意欲への
影響や試験の受験機会及び教育環境が不十分であることを懸念する意見等
もあり、日本語能力試験の合格を一律に要件とすることが直ちに相当とい
えるかはなお検討の余地があると考えられた。
検討の結果、特定技能1号への移行時の日本語能力に係る要件について
は、
試験の合格を基本としつつ、
日本語教育機関認定法による新制度の運用
が浸透するまでの当分の間、試験合格に代わり、相当レベル・時間の日本語
教育の受講等を許容する案が考えられた。
そこで、1のとおり提言する。
なお、
日本語能力に係る試験については、
試験種類が乱立しておりレベル
感を統一すべきとの意見や、
「日本語教育の参照枠」
(注2)の重要性を指摘
する意見があり、今後は、
「日本語教育の参照枠」において定める日本語の
熟達度も踏まえ、必ずしも日本語能力試験のみによるのでない方法で日本
語能力を判断する仕組みを構築することが相当と考えられたので、その旨
付言する。
(注1)ただし、介護分野については、技能実習1号として入国する時点で、日本語能
力試験N4相当以上の試験に合格していること、技能実習2号移行時には、N3
相当以上の試験に合格していること又は日本語学習プランを提出して継続的に
日本語を学ぶ旨誓約していることを要件としている。 37(注2)CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を参考に、日本語の習得段階に応じ
て求められる日本語教育の内容・方法を明らかにして外国人等が適切な日本語教
育を継続的に受けられるようにすることを目的として策定された、日本語学習、
教授、評価のための枠組みであり、日本語能力の熟達度を六つのレベル(A1〜
C2(C2が最高レベル))で示しているもの。
(2)提言2について
外国人労働者の日本語能力の向上は、
日常生活のみならず、
適切な技能形
成や長期的な就労を可能とする上でも必要であり、受入れ機関において自
発的にこれを実施するインセンティブを設けることによって、段階的かつ
適切な日本語能力の向上を図る仕組みとすることが相当である。
そこで、2のとおり提言する。
(3)提言3について
日本語教育に係る費用等については、
中間報告書において、
外国人ではな
く受入れ企業等の負担としつつも、国及び自治体が日本語教育環境の整備
などの支援を適切に行いながら、日本語教育の機会を充実させる方向で検
討すべきという方向性を示した。
このような方向性については、外国人の受入れ数の増加及び入国後の継
続的な日本語学習に対応する日本語教育の体制や環境整備の必要性を訴え
る意見があったところであり、
今後は、
日本語教育機関認定法に基づく新制
度の施行状況を踏まえつつ、
同法の仕組みの活用によって、
日本語能力の習
得、向上のための環境整備及び日本語教育の質の向上を図ることが適当か
つ効果的と考えられた。
その他、
日本語能力試験が年に2回しか開催されていないとして、
十分な
受験機会を確保するための取組を行う必要があると指摘する意見があり、
これらに対する異論はなかった。
そこで、3のとおり提言する。
10 その他(新たな制度に向けて)
【提言】
1 政府は、
現行の技能実習制度から新たな制度への移行に当たっては、人権侵害行為に対しては現行制度下でも可能な対処を迅速に行う一方で、
現行制度が長年にわたって活用されてきたという経緯や、現在も多くの
技能実習生が受け入れられているという実態に留意し、移行期間を十分
に確保するとともに、丁寧な事前広報を行う。
2 政府は、現行制度を利用している外国人や受入れ機関等に不当な不利 38益を生じさせず、また、制度の移行による急激な変化を緩和するため、本
人の意向による転籍の要件である同一の受入れ機関での就労期間(上記
4の提言3ア)について、当分の間、受入れ対象分野によっては1年を超
える期間を設定することを認めるなど、必要な経過措置を設けることを
検討する。
3 政府は、新たな制度及び特定技能制度について、制度の趣旨、内容等を
適切に国内外に情報発信することにより、外国人本人その他関係者の制
度に対する理解を促進し、これによって制度目的が着実に達成されるよ
うにするとともに、制度に対する誤解等を招くことのないようにする。
4 政府は、
新たな制度の施行後も、
他の外国人材の受入れ制度との整合性
を含め、
新たな制度が制度趣旨・目的に照らして円滑かつ適切に運用され
ているか否かにつき、不断の検証と必要な見直しを行う。
【提言に至るまでの検討状況】
(1)提言1について
技能実習制度は、これまで法改正や運用の見直しを経つつ、30 年の長き
にわたり、
多くの国内外の関係者により活用されてきた。
令和5年6月末現
在、国籍・地域が様々な 35 万 8,000 人を超える技能実習生が在留し、監理
団体及び実習実施者数は合わせて6万 5,000 を超えるなど、
同制度は、
日本
全国及びアジアを中心とした諸外国において、広く、かつ、深く根付いてき
たと言える。
現行制度から新たな制度への移行に当たっては、現に我が国に在留する
外国人、技能実習での来日を考えている外国人、国内外の関係者が、今後制
度がどうなるのか、自分達が利用できるのかなどの大きな不安を抱く可能
性もある。少なくとも、来日を希望する外国人や、現行制度に適切に取り組
んでいる関係者に対して予期しない不利益や悪影響を与えることがないよ
うにするため、政府は、人権侵害行為に対する対応等、現行制度下で可能な
対処を行いつつも、
上記1から9までの各提言で示した方策につき、
必要か
つ十分な準備を行い、その状況を周知すべきである。
そこで、1のとおり提言する。
(2)提言2について
上記(1)に加えて、現行制度を適切に利用している外国人や受入れ機関
等の関係者に不当な不利益を生じさせず、
また、
制度の移行による急激な変
化を緩和するため、
新たな制度の施行時には、
必要な経過措置等を設けるこ
とが相当と考えられる。
特に、
上記4の提言3のとおり本人の意向による転
籍を一定の要件の下で認めることについては、従前認められていなかった 39転籍が認められることによって人材育成への支障や人材流出が生じないか
という懸念があり、
地方や中小零細企業等への配慮の観点からも、
急激な変
化を緩和するための措置を検討する必要がある。
そのような措置の内容として、本有識者会議では、
「同一の受入れ機関に
おいて就労した期間が1年を超えていること」という転籍の要件について、
当分の間、
・ 当該分野の業務内容に照らし、
計画的な人材育成の観点から、
1年を超
える期間、同一の受入れ機関での育成を継続する必要があると認められ
ること
・ 受入れ機関に対し、
就労開始後1年を経過した後には昇給その他待遇の
向上等を義務付けること
を条件に、
各受入れ対象分野において、
新たな会議体の意見を踏まえて2年
を超えない範囲で設定することを可能とするという案について検討を行っ
た。当該案については、これに賛同する意見も見られた一方、2年間の転籍
制限が必要以上に広く認められないようにするとともに制度の複雑化を避
けるなどの観点から、上記4の提言3に記載した要件での運用を開始した
上、
一定期間の経過後に、
それまでの運用状況を踏まえて転籍制限期間につ
いて見直しを行うものとする案等を提案する意見があった。
もっとも、こうした措置が恒常的な取扱いになることには問題があるも
のの、関係者に対して予期しない不利益や悪影響を与えることがないよう
十分な配慮を行うというのは重要な観点であり、
政府においては、
就労した
期間の要件に係る経過措置を含め、制度全体において必要な経過措置を検
討するのが相当と考えられた。
そこで、2のとおり提言する。
なお、本人の意向による転籍の要件に係る経過措置を設けるに当たって、
その期限を「当分の間」などと定めることについては、複数の委員から、終
了の条件や時期が明らかでなく恒久措置化される可能性があるなどとして
強い懸念や反対意見が示された。
その上で、
経過措置を定めた場合の終了時
期については、例えば3年などの一定の期間を定めるべきとの意見があっ
た一方、経過措置の終了時期は施行後の運用状況を見て判断すべきであり、
具体的な年数を特定するのは困難であるとする意見や、新たな会議体によ
る運用状況の確認を提案する意見もあったため、その旨付言する。
また、
昇給その他待遇の向上等の義務付けについては、
転籍制限期間を伸
長しなければ昇給等を行わなくてもよいなどと誤解されないようにすべき
との意見もあったので、併せて付言する。
(3)提言3及び4について 40上記(1)及び(2)を前提に、新たな制度に移行した後にも、制度を実効
的に機能させるためには、
制度の趣旨、
内容等について適切に国内外に情報
発信し続けることが必要不可欠である。
また、政府は、新たな制度施行後も、他の外国人材の受入れ制度との整合
性も含め、
その運用状況について、
客観的なデータに基づき継続的に検証を
行い、必要な見直しや改善を図るべきである。
そこで、3及び4のとおり提言する。
第4 おわりに
本有識者会議では、計 16 回の会議の中で、外国人材を適正に受け入れる方
策の実現に向けて、各々の専門的知見や経験に基づき、議論を重ねた。
本報告書の提言は、各委員が現行の技能実習制度及び特定技能制度が有する
数多くの課題に真正面から向き合い、その解決に向けた強い意志の下、真摯か
つ率直な検討及び議論を行った結果である。
法務省及び厚生労働省をはじめとする外国人材の受入れ・共生に関わる関係
省庁に対しては、十分に連携しつつ、この提言に基づいて必要な法令の整備や
具体的な施策、運用方法の策定等を着実に進めるとともに、併せて、他の外国
人材の受入れ制度についても、必要な見直しや改善に向けた検討を行うことを
強く期待する。
本有識者会議は、
この提言に基づき、
外国人材の適正かつ円滑な受入れが図ら
れ、
外国人の人権がより適切に保護されること、
我が国の深刻な人手不足が緩和
されること、外国人との共生社会の実現に資すること、及び、外国人材の育成に
より我が国による国際協力が更に推進されることを切に願う次第である。 41「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」名簿
(敬称略、座長及び座長代理以外五十音順)
[座 長] 田 中 明 彦 独立行政法人国際協力機構理事長
[座長代理] 高 橋 進 株式会社日本総合研究所チェアマン・エメリタス
[構 成 員] 市 川 正 司 弁護士
大 下 英 和 日本商工会議所産業政策第二部長
黒 谷 伸 一般社団法人全国農業会議所事務局長代理兼経営・人材
対策部長
是 川 夕 国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長
佐久間 一浩 全国中小企業団体中央会事務局次長
末 松 則 子 鈴鹿市長
鈴 木 直 道 北海道知事
武石 恵美子 法政大学キャリアデザイン学部教授
冨田 さとこ 日本司法支援センター本部国際室長/弁護士
冨 高 裕 子 日本労働組合総連合会総合政策推進局長
樋 口 建 史 元警視総監
堀 内 保 潔 一般社団法人日本経済団体連合会産業政策本部長
山 川 隆 一 明治大学法学部教授 42「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」開催実績
<本会議>
第1回 令和4年 12 月 14 日(水)
第2回 令和5年 1月 31 日(火)
第3回 令和5年 2月 15 日(水)
第4回 令和5年 3月 8日(水)
第5回 令和5年 4月 10 日(月)
第6回 令和5年 4月 19 日(水)
第7回 令和5年 4月 28 日(金)
第8回 令和5年 6月 14 日(水)
第9回 令和5年 6月 30 日(金)
第 10 回 令和5年 7月 31 日(月)
第 11 回 令和5年 10 月 4日(水)
第 12 回 令和5年 10 月 18 日(水)
第 13 回 令和5年 10 月 27 日(金)
第 14 回 令和5年 11 月 8日(水)
第 15 回 令和5年 11 月 15 日(水)
第 16 回 令和5年 11 月 24 日(金)
<関係者ヒアリング>
第1回 令和4年 12 月 27 日(火) GTS 協同組合、アジアコンサルティング株式会社
第2回 令和5年 1月 6日(金) NPO 法人日越ともいき支援会
第3回 令和5年 1月 12 日(木) 一般社団法人 EDAS
第4回 令和5年 1月 12 日(木)
監理団体、実習実施者・特定技能所属機関、特定
技能外国人
第5回 令和5年 1月 13 日(金) 一般財団法人外国人材共生支援全国協会(NAGOMi)
第6回 令和5年 1月 16 日(月) PERSOL Global Workforce 株式会社
第7回 令和5年 1月 16 日(月) E SU HAI COMPANY LIMITED(ESUHAI)
第8回 令和5年 1月 16 日(月) 株式会社 ONODERA USER RUN
第9回 令和5年 1月 18 日(水) 一般社団法人建設技能人材機構(JAC)
第 10 回 令和5年 1月 18 日(水)
NPO 法人移住者と連帯する全国ネットワーク
(移住連)
第 11 回 令和5年 1月 18 日(水) 日本繊維産業連盟(JTF) 43第 12 回
第 13 回
令和5年 1月 19 日(木)
令和5年 1月 19 日(木)
技能実習生
技能実習生
第 14 回 令和5年 1月 30 日(月) ILO(国際労働機関)アジアパシフィック事務所
第 15 回 令和5年 2月 2日(木)
一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)
、トヨタ自
動車株式会社
第 16 回 令和5年 2月 3日(金) ILO(国際労働機関)駐日事務所
第 17 回 令和5年 2月 6日(月) OECD(経済協力開発機構)移民課
第 18 回 令和5年 2月 24 日(金) 公益財団法人国際人材協力機構(JITCO)
第 19 回 令和5年 2月 27 日(月) 独立行政法人国際協力機構(JICA)
第 20 回 令和5年 2月 28 日(火) 独立行政法人国際交流基金(JF)
第 21 回 令和5年 3月 1日(水) 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)
第 22 回 令和5年 3月 22 日(水) ものづくり産業労働組合 JAM
第 23 回 令和5年 7月 3日(月) Myanmar And Worldwide Services Co.,Ltd
第 24 回 令和5年 7月 13 日(木) 一般社団法人大日本水産会
第 25 回 令和5年 7月 28 日(金) 特定技能外国人
第 26 回 令和5年 8月 9日(水) ILO(国際労働機関)駐日事務所(2回目)
第 27 回 令和5年 8月 31 日(木) 日本行政書士会連合会
第 28 回 令和5年 9月 5日(火) 株式会社成田空港ビジネス

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