現行入管法の課題
令和5年2月
「現行入管法の課題」
(出入国在留管理庁HP)
出入国在留管理の現状1
国際慣習法上、国家は外国人の入国に当たり、ルールを定め、これに違反した場合は国外へ退去が可能退去強制手続等帰国したくない
(送還忌避)
不法残留
(約5万8,000人)
(注)令和4年7月1日時点
不法就労
重大犯罪で有罪
大多数は帰国している
(注)過去8年(H26年〜R3年)の在留特別許可率 約71%
送還を妨げる理由(法の不備等) 結果として生じる問題
〇 送還までの間、原則入管施設に収容
⇒ 送還忌避者の収容の長期化
〇 収容に代わる措置なし
〇 病気等のため一時的に収容を解くに過ぎない仮放免許可
を柔軟に運用
⇒ 逃亡防止措置が十分でなく、逃亡事案が多数発生
〇 送還を逃れるため、難民認定申請の誤用・濫用が疑われ
る事案が発生
⇒ 難民認定の審査処理期間の長期化により、本来保護すべ
き者の迅速な救済が困難
送還できない
令和3年12月末時点で
累計3,224人
1 難民認定手続中は送還が一律停止
⇒ 現行法上、難民認定手続中の外国人は、申請の回数や理由等を問わず、我が
国で殺人等の重大犯罪を犯した者やテロリスト等であっても退去させることが
できない
2 退去を拒む自国民の受取を拒否する国の存在
⇒ 自主的に帰国する場合は入国を認めるが、退去を拒み、強制的に送還される
自国民については、受取を拒否する国が存在
3 送還妨害行為による航空機への搭乗拒否
⇒ 送還するための航空機の中で激しく抵抗した場合、機長の判断により搭乗を
拒否され、送還が物理的に不可能となる
日本人と外国人が安全・安心に暮らせる社会を実現するため、外国人への差別・偏見を無くし、
人権を尊重することが必要
外国人にもルールを守り、許可された在留資格・在留期間の範囲内で活動してもらうことが必要
退去強制事由
(注記) 中には上記事由が重複する者も存在
在留特別許可
自発的に帰国
退去強制に応じる
共生社会の実現
適正な出入国在留管理
〇 ウクライナ避難民等を安定的に保護するための制度的な枠
組みがない
その他の問題1 出入国在留管理の現状2
保護すべき者は保護している
〇 外国人入国者数:約3,119万人(R1実績(コロナ前))
退去強制(送還):8,140人
出 国 命 令 :6,560人 (注記) H29〜R2平均
在 留 特 別 許 可:1,388人
〇 送 還 忌 避 者: 3,224人
被 収 容 者: 79人
被 仮 放 免 者:2,546人
仮放免逃亡者: 599人
〇 送 還 忌 避 者 :3,224人(1,629人)
〇 うち前科を有する者:1,133人(424人)
〇 刑期別
懲役7年以上 : 98人(44人)
懲役5年以上7年未満 : 91人(40人)
懲役3年以上5年未満(実刑):141人(45人)
懲役1年超3年未満 (実刑):185人(60人)
〇 罪種別:2,620件
1薬物関係法令違反 :672件
2入管法違反 :504件
3窃盗・詐欺 :340件
4交通関係法令違反 :326件
5傷害・暴行・恐喝等:161件
(注記) 同一人が複数の罪名に当たる犯罪をした場合にはそれぞれ計上
(注記) 罪種別の分類には未遂を含む
仮放免者の逃亡事案が多発している
送還忌避者の実態961121702763283624155990100200300400500600H26年末 H27年末 H28年末 H29年末 H30年末 R1年末 R2年末 R3年末
(人)
(注記) 括弧内の数値は難民認定申請中の者
(注記) 許可率は、各年において新規に受理した異議申出件数と比較した在留特別許可件数の割合
(注記) R3の急増は、新型コロナウイルス感染症の影響により帰国困難となったことが配慮されたもの
<参考>在留特別許可率の推移
<参考>仮放免逃亡者数の推移
⇒ 病気等のため一時的に収容を解く仮放免許可を柔軟
に運用するなどし、大半の者は収容していない
⇒ 他方で、仮放免許可後に逃亡し当局から手配中の者
が年々増加している(R3年は前年比で約44%増)
63.7% 64.0%
50.4% 49.8%
64.4% 64.2%
80.7% 90.7%0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3
H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3
在留特別許可 2,291 2,023 1,552 1,255 1,371 1,448 1,478 8,793
異議申出件数 3,596 3,163 3,078 2,522 2,128 2,256 1,832 9,697
(注記) 令和3年12月末時点
(注記) 令和3年12月末時点(%)(速報値)
R4年末時点で約1,400人
6住居等侵入 :108件
7強盗・強盗致傷: 59件
8性犯罪 : 38件
9殺 人 : 8件
10その他 :404件2 0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
20,000
平成7年 平成10年 平成13年 平成16年 平成19年 平成22年 平成25年 平成28年 令和元年
52 147 242 133 260 216 353 250 336 426 384 954 816 1,599 1,388
1,202
1,867
2,545 3,260
5,000
7,586
10,901
19,629
10,493
10,375
3,936
2,413
難民認定制度の現状
難民認定手続中は送還が一律停止 ⇒ 難民認定制度の誤用・濫用が疑われる事案の発生
【事例1】
1 不法入国後の「殺人、入管法違反」により、懲役12年の実刑判決
2 上記1刑務所出所後、入管施設に収容中に難民認定申請し、現在仮放免中(現在、難民認定申請2回目審査中)
【事例2】
1 正規在留中の「強制わいせつ致傷」により、懲役4年の実刑判決【前科1】
2 上記1刑務所出所後、入管施設に収容中に難民認定申請し、その後、仮放免許可
3 上記2仮放免許可後、「強姦致傷」により、懲役6年の実刑判決【前科2】
4 上記3刑務所出所後、現在入管施設に収容中(現在、難民認定申請3回目審査中) (注記) 全て令和3年12月末時点の状況
〇 参与員が、入管として見落している難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができません。
〇 ほかの参与員の方、約百名ぐらいおられますが、難民と認定できたという申請者がほとんどいないのが現状です。
〇 観光、留学、技能実習などの正規のビザで入ってきた後に、本来の目的から外れた段階で難民申請をするケースや、また、
中には、不法滞在や犯罪で退去強制手続に入ってから難民申請するケースも多く(後略)
〇 難民の認定率が低いというのは、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということを、皆様、是非御理解ください。
R3.4.21 衆議院法務委員会 参考人質疑(難民審査参与員発言(概要))
7年間で約16倍超
難民認定
申請数
難民認定数 人道配慮数
H22年 1,202人 39人 363人
H23年 1,867人 21人 248人
H24年 2,545人 18人 112人
H25年 3,260人 6人 151人
H26年 5,000人 11人 110人
H27年 7,586人 27人 79人
H28年 10,901人 28人 97人
H29年 19,629人 20人 45人
H30年 10,493人 42人 40人
R1年 10,375人 44人 37人
R2年 3,936人 47人 44人
R3年 2,413人 74人 580人
難民認定申請者数及び庇護状況(庇護数等)の推移
平成30年1月
・初回申請者にも振分けの結果を踏まえて、
在留や就労を認めない措置を実施
・再申請者は原則として在留を認めない措置を実施
平成22年4月
・難民認定申請から6か月経過後に一律に就労を認める運用開始3(速報値)
R4年:約200人
(注記) 全て令和3年12月末時点の状況
【事例1】
1 不法入国後の「覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反等」により、懲役4年、罰金40万円の実刑判決
2 上記1刑務所出所後、入管施設に収容中に難民認定申請し、その後、仮放免許可
3 上記2仮放免許可後、「覚醒剤取締法違反」により、 懲役4年、罰金20万円の実刑判決
4 上記3刑務所出所後、入管施設に収容、その後、再び仮放免許可されたが、逃亡し、現在手配中
【事例2】
1 正規在留中の「強盗傷人、窃盗、薬物及び劇物取締法違反等」により、懲役7年6月の実刑判決
2 上記1刑務所出所後、入管施設に収容中に難民認定申請し、その後、仮放免許可
3 上記2仮放免許可後、「窃盗」により、懲役2年2月の実刑判決
4 上記3刑務所出所後、入管施設に収容、その後、再び仮放免許可されたが、逃亡し、現在手配中(現在、難民認定申請1回目審査中)
【事例3】
1 正規在留中の「傷害致死」により、懲役7年の実刑判決
2 上記1刑務所出所後、入管施設に収容、その後、仮放免許可されたが、逃亡し、現在手配中
送還忌避者に退去を義務付ける法律がない ⇒ 送還妨害行為の発生
例 地域 理由 前科
1 中南米 機内で大声を上げ激しく抵抗。機長判断により、搭乗拒否されたもの
1強姦、恐喝、強姦未遂、恐喝未遂 懲役6年
2公務執行妨害 懲役10月
2 アフリカ 機内で大声を上げ激しく抵抗。機長判断により、搭乗拒否されたもの
大麻取締法違反、関税法違反 懲役6年
罰金200万円
平成28年以降、送還を中止せざるを得ないほどの送還妨害行為が11件(10人)発生しており、うち8人が前科又は前歴を有している
退去を拒む自国民の受取を拒否する国の存在
【事例1】
1 不法残留中の「覚醒剤取締法違反、関税法違反」により、懲役12年、罰金500万円の実刑判決
2 上記1受刑中に難民認定申請
3 上記1刑務所出所後、入管施設に収容、現在仮放免中(現在、難民認定申請1回目審査中)
【事例2】
1 正規残留中の「大麻取締法違反、覚醒剤取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反等」により、懲役8年、罰金400万円の実刑判決
2 上記1刑務所出所後、入管施設に収容中に難民認定申請し、その後、仮放免許可
3 上記2仮放免許可後、「覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反等」により、
懲役5年6月、罰金100万円の実刑判決、現在受刑中
仮放免者の逃亡事案が多発4(注記) イランは平成28年1月を最後に、我が国からの送還忌避者の送還を受け入れていない
(注)拒食し、治療を拒否していたもの
(注記) 送還を忌避するイラン人(323人)のうち、
薬物関係法令違反の有罪判決を受けた者は175人
(懲役1年を超える者は160人)
送還忌避によって生じている問題について

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