1総合的な支援をコーディネートする人材の役割等に関する検討会の開催について(第2回)
議事要旨
日時:令和4年12月5日(月) 18:01〜20:09
場所:オンライン開催
出席者:
【出入国在留管理庁】
礒 部 哲 郎 政策課長(議長)
田 中 信 子 在留管理支援部在留支援課長補佐官(代理出席)
藤 田 小 織 参事官(研修企画)
木 村 俊 生 政策課外国人施策推進室長
【有識者】
青 山 亨 東京外国語大学副学長
石 河 久美子 日本福祉大学名誉教授
窪 田 浩 治 北九州市企画調整局国際部長
小 山 健 太 東京経済大学コミュニケーション学部准教授
東京経済大学グローバル組織・キャリア開発研究所長
田 村 太 郎 一般財団法人ダイバーシティ研究所代表理事
結 城 恵 群馬大学大学教育・学生支援機構教授
(兼担)情報学部・社会情報学研究科教授
【ヒアリング対象者】
矢 野 花 織 公益財団法人北九州国際交流協会事業推進課主任
【オブザーバー】
(総務省)
畑 山 栄 介 自治行政局国際室長
(文部科学省)
石 田 善 昭 総合教育政策局国際教育課長
渡 辺 栄 二 高等教育局参事官(国際担当)
圓 入 由 美 文化庁国語課長
(厚生労働省)
菊 田 正 明 職業安定局外国人雇用対策課海外人材受入就労対策室長
國 分 一 行 人材開発統括官付参事官(若年者・キャリア形成支援担当)
付キャリア形成支援室長2※(注記)「総合的な支援をコーディネートする人材」について、本要旨では、以下「コ
ーディネーター」と表記する。
(1)北九州国際交流協会における相談対応体制等に係るヒアリング
○しろまる コーディネーターに近い専門職としては、
北九州国際交流協会では
「相談・通訳コーディネーター」と「多文化ソーシャルワーカー」
の2つが該当する
○しろまる 「相談・通訳コーディネーター」は、基本的に相談窓口がある場所で、相
談対応をしたり、外部機関及び本人の環境などにつないだりする役割を担
っている
○しろまる 「多文化ソーシャルワーカー」は、
「相談・通訳コーディネーター」や「相
談員」
が、
相談窓口だけで対応できるものではないと判断したケースや、専門的な対応が必要だと思われる未知のもの、
深刻なもの、
複雑なもの、
難し
いものなどを担当している
○しろまる また、外部機関から直接「多文化ソーシャルワーカー」に支援を依頼され
ることも多い
○しろまる 相談窓口に寄せられるのは外国人の抱えている課題のほんの一部であり、
課題を抽出していくためには、
外部の様々な機関と連携していく必要がある
○しろまる マニュアル的ではなく、
十分な聞き取りと問題の整理をした上で、
本人に
とっての最善の解決方法で解決につなげていくことがコーディネートする
上で大事
○しろまる 外国人相談窓口には法的権限があるわけではないので、
例えば、
児童相談
所が絡むようなケースでは、児童相談所などの専門機関が中心となるよう
なコーディネートが必要
○しろまる コーディネーターには、
広く浅い知識が必要であって、
それぞれの分野の
プロフェッショナルになる必要はない
「こんな制度があったはずだから、ここに聞いてみよう」といった知識があ
ればよいと思う
〇 外国人支援に必要なスキルとして、
相談援助のスキル以外にも、
課題を発
見・整理していくスキル、
適切なリソースを把握したり活用したりするスキ
ル、ファシリテーション・コミュニケーションのスキル、政策・制度・サー
ビスを作ったり変えたりするスキル、
予測して次につなげていくスキル、広報資料を作り周知するスキルも必要
○しろまる ソーシャルワーカーや社会福祉士のマインドはコーディネーターにとっ
ても大事で、
相談援助の倫理、
支援の理由、
自分の役割等を理解したうえで、
知識及び技術を使うことが求められる
○しろまる 「多文化ソーシャルワーカー」は、社会福祉士又は精神保健福祉士の国家3資格を有しており、
かつ、
ある程度の経験年数を有していることが必要と考
えるが、コーディネーターという名称にするのであれば資格にこだわらな
くてよいと考える
○しろまる 北九州国際交流協会では外国人支援関係機関連絡会議を設置するなど、会議の場で意見交換をして良い関係を築き、日頃の相談対応の連携に生かし
ている
○しろまる コーディネーターには、
いい関係性をつくるための会議の仕掛けを作る企
画力及びファシリテーション力が必要
○しろまる 現在まで
「多文化ソーシャルワーカー」
に応募してきた人は私以外に他に
おらず、
「相談・通訳コーディネーター」については、待っていても求める
ような人材は来なかったので、人づてで説得して来てもらった
○しろまる 「相談・通訳コーディネーター」の採用試験では、履歴書や職務経歴書な
どでは分からない適性をみるために実技試験を行い、研修等では取得でき
ない適性や倫理的なもの(応募者の性格、価値観等)を見て判断している
○しろまる 「相談・通訳コーディネーター」の実技試験では、
「多文化ソーシャルワ
ーカー」
が外国人相談者役になって、
受験者がどのような相談対応をするか
を見ている
○しろまる 「多文化ソーシャルワーカー」と「相談・通訳コーディネーター」には、
外国語能力よりも、
行政機関等との連携ができ、
日本の制度を的確に理解で
きるような日本語運用能力がある人を求めている
(2)基本的考え方について
○しろまる 外国人の複雑・複合的な内容に関して適切な解決策まで導く能力について、
発見、相談、情報収集、問題の整理、解決方法に至るところまで具体的な資
質、能力を含めて検討する必要がある
○しろまる 知識や能力に加え、コーディネーターはどんな社会を目指して何のために
総合的なコーディネートを行うのかということについて、
「基本的な考え方」
の最初に記載すべき。例えば、今年6月に決定された「外国人との共生社会
の実現に向けたロードマップ」
における
「外国人との共生社会のビジョン(3つのビジョン)」が核心にあって、これに向かって外国人の共生社会の実現
を目指すということを書いてはどうか
○しろまる コーディネーターを早急に育成するという意味では、
コーディネーターが
行う相談面接支援等に必要な能力の一部を修得していることが国家資格に
より客観的に確認できることは必要不可欠である
○しろまる 相談対応業務に一定期間従事した実務経験を有することが客観的に確認
できることとすることは大事であるが、これだけでは対人支援の専門性が4あるかどうか不明であり不安が残るため、
受講者は、
対人支援の倫理及び対
人支援の基本的な考え方を理解している人を対象とした方がよい
○しろまる 対人支援の倫理・基本的なスタンスのある方に、
最新の制度に関する知識
について、
オンライン教材で幅広く理解してもらうことが大事であり、
コー
ディネーターの育成に当たっては、
継続学習を前提とした研修制度、
認証制
度が必要
○しろまる 研修会、
研究会又は学会となるかは分からないが、
個人情報等の倫理面を
配慮した上で、
対応事例について、
コーディネーター同士の情報共有のスキ
ームを併せて考えないといけない
○しろまる 最初からスキルを持つ人が多数いるわけではないため、
基礎的な研修を受
けながら、現場で業務に携わることによってスキルを身に付けていくこと
が必要であり、
例えば、
行政研修を受講した者であって、
1年くらい実務経
験を積んだものに、プラスの研修としてコーディネーターの研修を受講さ
せるのも一つの方策である
○しろまる 相談対応業務に従事した期間の計算方法、
受講における免除科目等、
実務
経験のカウント方法について検討する必要がある
○しろまる より連携機関が増えていくような外国人の受入れ環境の改善をするため
の啓発活動も、コーディネーターの役割として非常に重要だと思う
○しろまる 「専門人材を育成する研修」及び「専門人材の認証制度の創設」における
専門人材は、いわゆるコーディネーターを指すが、
「専門人材による適時適
切な情報提供」及び「専門人材間の連携」の専門人材は、コーディネーター
及び連携先の専門家も含まれていると考えられる
〇 基本的な考え方として、
「役割」
「能力」
「育成の在り方・方向性」といっ
た風な構成で考えた方が良く、また、知識や能力だけではない「適性」とい
った観点もこの制度の構築に当たって必要である
○しろまる 国際交流協会は行政とは非常に密接であり、
行政との横の連携は容易だが、
ほかの機関では必ずしも行政とは密接ではないため、国際交流協会以外の
機関に所属する人たちにとって、コーディネーターをどう位置付けるか考
える必要がある
○しろまる コーディネーターの役割として、
ソーシャルワーカーのように課題解決ま
で導くのか、
それともソーシャルワーカーが別にいて、
そこをつないでいく
のみなのかというところは、
重要なポイントであり、
ここを明確にした方が
良い
○しろまる コーディネーターには、連携先に相談者をつなげるほか、課題を解決策ま
で導くソーシャルワーカーとしての役割も含まれているかによって、人材養
成のスピードが異なってくる5○しろまる 例えば、公認心理師やキャリアコンサルタントといった専門家が総合的な
支援を行う、といったことも検討できれば良い
(3)コーディネーターの役割・能力について
〇 外国人が地域で暮らしやすくなるように受入れ環境を改善していくとい
うところが、コーディネーターに期待されている役割である
〇 コーディネーターが職業として確立されていけばこそ目指したい人も増
えて選べる状況になるので、
5年、
10年掛けて職業として確立していくと
いうことを、今年度の段階でも方向性としては示しておく必要がある
〇 一元的相談窓口に最低一人は配置し、例えば「特定技能」の在留資格で言
えば、
登録支援機関にも配置するなど、
さまざまな組織でコーディネーター
として引き続き活躍できるのであれば、
自治体や国際交流協会では有期雇用
であってもキャリアアップは見込める。
地域の色々なところに配置されてい
けば、支援人材としてスキルを積み続けることも可能であると思われる
○しろまる 例えば、
社会福祉協議会の職員は雇用が安定しているけれども、
交流協会
の職員はどんどん変わっていくという点で温度差が出てしまうので、コー
ディネーターの雇用形態が有期雇用ではなく、しっかり生活ができるよう
にならないといけない
○しろまる 「2 求められる能力」の中の「各種支援メニュー」という表記では類型
化されるイメージがあるので、
「各種支援内容」を行うことと記載した方が
良い
○しろまる 「コーディネーターの行動規範(倫理)
」について、ソーシャルワーカー
の倫理綱領を参考資料として研修に活用するのは可能だが、コーディネー
ター固有の倫理として作成するのは非常に難しい
○しろまる 最初の研修を受講しただけでは、
スーパービジョン及びコーチング等を用
いて、他のコーディネーターに助言及び指導することは難しい
○しろまる コーディネーターの役割について、
コーディネーターが適切にコーディネ
ートできるよう、
社会資源を充実させ、
連携先が豊富にあるような制度設計
にしないといけない
○しろまる コーディネーターの役割について、
連携先が現在充実していないため、コーディネーターが複雑・複合的な相談内容の切り分け及び適切な連携先の
教示だけやったとしても、
課題の解決まで導けない可能性がある。
短期間で
早急にコーディネーターを育成することを踏まえると、今回のコーディネ
ーターは基礎的なカテゴリーの専門人材だと位置付けしないといけない
〇 コーディネーターは個別支援を通じて把握した課題の提供等により外国
人の受入れ環境の改善への協力を行うのに対して、
改善を行うのは、
国や自6治体であって、
これらがリソースを拡充することで、
受け入れ環境を改善す
ることであると理解しており、
これは、
検討しなければならない課題として
報告書へ記載することが必要
○しろまる 予防的支援について、
予測される課題をあらかじめコーディネーター自ら
が見通す力量が必要だが、
コーディネーターが初級だとすると、
力量として
更に難しいのではないか
○しろまる 初期的な研修のほか、
実務経験及び研修を加えていくことによって、
外部
の連携先とより緊密な連携を図りながら、連携しやすい環境を整備できる
人材を育成していくことが必要
○しろまる 問題点の引き出しと相談内容の理解に関する知識と技術について、
異文化
理解を通じて外国人の相談者との信頼関係を構築し、問題を適切に把握す
る力に変えられると良い
○しろまる コーディネーターの役割について、
分野横断的な支援プランの作成
(解決
すべき順序等を含む)
は重要であり、
コーディネーターの相談対応支援の中
にそのことを明確に記載すべき
○しろまる 連携先になると想定される人たちもコーディネーター養成研修を受け、地域全体として様々なところに配置されれば、コーディネーターがスキルを
積み続けることが可能
○しろまる ソーシャルワーカーの資格がなくても、
伴走支援等でしっかり外部と連携
できれば、コーディネーターでも解決に導くことができる
○しろまる コーディネーターに求められる予防的支援について、
連携先との情報共有
によって、
相談機関の窓口でも予防的支援が可能になるので、
コーディネー
ターが全て行う必要はない