1技能実習生の妊娠・出産に係る不適正な取扱いに関する実態調査について
(結果の詳細)
第1 調査の概要
1 概要
一部の技能実習生が監理団体、実習実施者又は送出機関(以下「監理団体等」
という。)から妊娠・出産等に関して不適正な取扱いを受けている実態があると
の指摘がなされていることを踏まえ、外国人技能実習機構による実地検査の機
会を捉えて、
技能実習生に対し、
直接聴取を行うことにより実態把握を行ったも
の。
2 聴取方法
外国人技能実習機構が行う実地検査の際に、調査票(多言語に翻訳)を用い
て直接聴取を実施した。
3 実施期間
令和4年8月5日から同年 11 月 15 日まで
4 聴取事項
(1)妊娠・出産に関する制度の周知状況
(2)監理団体等による不適正な取扱いの有無 等
5 回答数・回答者の属性
回答を得た技能実習生数は650名であった。その内訳は以下のとおり。
・ 国籍別(ベトナム194名、フィリピン94名、インドネシア89名、中国77名、ミ
ャンマー70名、カンボジア64名、タイ62名)
・ 段階別
(団体監理型1号194名、
団体監理型2号353名、
団体監理型3号103名)
・ 職種別
(農業関係100名、
漁業関係3名、
建設関係0名、
食品製造関係197名、
繊維・衣服関係89名、機械・金属関係38名、その他移行対象職種213名、非移行
対象職種10名) 2第2 調査の結果
1 妊娠・出産に係る制度の認知・説明状況に関すること
1妊娠・出産を理由とした不利益取扱いの禁止、2出産のための休暇、3妊娠
に係る相談窓口・出産一時金の制度、4外国人技能実習機構に相談できること、
5帰国後に再入国して実習が可能であることについて、
「説明を受けて知ってい
る」と回答した者の割合はそれぞれ、59.1%、37.8%、32.5%、45.1%、34.2%
となり、
「説明を受けていないので知らない」と回答した者の割合は、25.8%、
44.8%、53.2%、38.2%、52.3%となっている。国籍別の状況は、図2〜6のと
おりとなっている。
図1:
「次のことを知っていますか?また、監理団体やあなたが今働いている会社
(実習実施者)
、送出機関から説明を受けたことがありますか?」への回答
図2:
「日本では、妊娠・出産を理由とした解雇等の不利益な取扱いは法律で禁止さ
れていること」への回答 3図3:
「妊娠しても技能実習を続けたい場合、出産のための休暇を取りながら続けら
れること」への回答
図4:
「妊娠した場合に相談できる窓口や、子どもが生まれたときに利用できる一時
金などの制度があること」への回答 4図5:
「妊娠したことを理由に解雇されそうになったり、帰国するよう言われたと
き、外国人技能実習機構に相談できること」への回答
図6:
「帰国して出産した場合、出産後に再度入国して技能実習を再開できること」
への回答 52 監理団体、実習実施者又は送出機関による不適正な取扱いに関すること
(1)不適正な発言
1不適正な発言の有無
監理団体等から不適正な発言を受けたことがある技能実習生の割合は、
26.5%となっている。
国籍別でみると、
タイ
(41.9%)
の割合が最も高く、
インドネシア
(39.3%)、フィリピン
(31.9%)、ベトナム
(25.8%)、カンボジア
(21.9%)、中国
(19.5%)
と続き、ミャンマー(2.9%)が最も低くなっている。国籍別の状況は図8のと
おりとなっている。
図7:
「あなたは、監理団体や会社(実習実施者)
、送出機関から、
「妊娠したら仕
事を辞めてもらう(帰国してもらう)
」という内容のことを、直接、言われたこ
とはありますか?」への回答
図8:国籍別の状況 62不適正な発言を誰から受けたか
監理団体等から不適正な発言を受けたことがある技能実習生のうち、
送出機
関から言われた者の割合が73.8%と最も高く、監理団体が14.9%、実習実施者
が11.3%となっている。国籍別の状況は、図10のとおりとなっている。
図9:
「あなたは、監理団体や会社(実習実施者)
、送出機関から、
「妊娠したら仕
事を辞めてもらう(帰国してもらう)
」という内容のことを、直接、言われたこ
とはありますか?」に対して「ある」と回答した者について、
「誰から言われま
したか?」への回答(複数回答可(注記)1)
図10:国籍別の状況(複数回答可(注記)1)
(注記)1 一人の技能実習生が、監理団体、実習実施者又は送出機関のうち、複数の者から不適正な発言を受けたと回
答しているものが含まれることから、回答の延べ数(195件)は、不適正な発言を受けたことがあると回答し
た技能実習生数(172名)を上回っている。 7(2)不適正な契約
1不適正な契約の有無
監理団体等との間で不適正な内容を含む契約を締結したことがある技能実
習生の割合は、5.2%となっている。
国籍別でみると、カンボジア(10.9%)の割合が最も高く、中国(10.4%)、フィリピン
(7.4%)、インドネシア
(6.7%)、タイ
(3.2%)、ベトナム
(2.1%)
と続き、ミャンマーは0人であった。国籍別の状況は、図12のとおりとなって
いる。
図11:
「あなたは、監理団体や会社(実習実施者)
、送出機関との間で、
「妊娠し
たら仕事を辞める(帰国する)
」という内容の書類にサインしたことはありま
すか?」への回答
図12:国籍別の状況 82不適正な契約を誰との間で結んだか
監理団体等との間で不適正な内容を含む契約を締結したことがあると回答
した技能実習生のうち、
送出機関との間で不適正な内容を含む契約をした者の
割合が70.3%と最も高く、監理団体が21.6%、実習実施者が8.1%となってい
る。国籍別の状況は、図14のとおりとなっている。
図13:
「あなたは、監理団体や会社(実習実施者)
、送出機関との間で、
「妊娠し
たら仕事を辞める(帰国する)
」という内容の書類にサインしたことはありま
すか?」
に対して
「ある」
と回答した者について、
「誰との間の書類ですか?」
に対する回答(複数回答可(注記)2)
図14:国籍別の状況(複数回答可(注記)2)
(注記)2 一人の技能実習生が、監理団体、実習実施者又は送出機関のうち、複数の者と不適正な契約を結んだと回答
しているものが含まれることから、回答の延べ数(37件)は、不適正な内容を含む契約を締結したことがある
と回答した技能実習生数(34名)を上回っている。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /