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(5)北九州市
自治体情報
人口 うち外国人 外国人割合 国籍TOP3 在留資格TOP3
929,396 人 14,346人 1.54%
1韓国・朝鮮
2中国
3ベトナム
1特別永住者
2留学
3永住者
窓口の概要
しかく運営形態 補助金交付(公益財団法人 北九州国際交流協会)
しかく対応言語 5言語(日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語)
(注記)対面の他、タブレット端末や電話通訳を利用し計23言語に対応(言語数は
変わる可能性あり)
しかく相談対応日程表
月 火 水 木 金 土 日
開設日 しろまる しろまる しろまる しろまる しろまる - -
特徴的な取組1(多文化ソーシャルワーカー)
しかく背景・経緯
・ 平成20年度に北九州国際交流協会に外国人相談窓口を開設、平成21年度
に行政通訳の派遣を開始したが、相談窓口における多言語対応や通訳派遣だけ
では解決しない相談も多くあった。また、外国人相談者側の言葉や習慣の問題
以外にも、外国人市民に関する制度や文化が行政職員側に十分に知られている
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わけではないことから、双方にアプローチしながら問題を解決することを目指
して、令和元年度に多文化ソーシャルワーカーを配置した。
しかく事業概要
・ 相談員では対応できない深刻な相談や、窓口対応だけでは解決できない複雑
な相談に対して、外国人支援の知識・経験を有するソーシャルワーカー(社会
福祉士)がケース会議への参加やアウトリーチを行うなど、各専門機関と連携
しながら継続的な支援を行っている。
・ 相談窓口の相談員だけでなく、区役所、学校、児童相談所などから、ソーシ
ャルワーカーへの依頼につながるケースも多い。相談窓口にまで届いてこない
問題の方が深刻な場合もあるため、ソーシャルワーカーの役割として、関係機
関との協力による問題の早期発見・予防にも努めている。
・ 相談員に対する研修やスーパービジョンを随時行い、スキルアップを図って
いるほか、「外国人支援関係機関連絡会議」の開催や、関係機関へ講師として
出向くなど、市全体での外国人支援の質の向上を目指した取組をソーシャルワ
ーカーが中心となり実施している。
しかく評判
・ ソーシャルワーカーの配置前にはなかったような相談が増え、また、手遅れ
になる前の早めの対応もできるようになった。相談窓口を利用した外国人家族
からは「ソーシャルワーカーがいなければ帰国するしかなかった。つらいとき
も支えてくれてありがとう」、外国人女性からは「配置される前は市外のNP
Oを頼っていた。北九州は本当に暮らしやすい」といった声が聞かれた。
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特徴的な取組2(相談通訳コーディネーター)
しかく背景・経緯
・ 相談内容によっては、相談者・公的機関(区役所や学校等)・医療機関や多
文化ソーシャルワーカーの依頼に基づき相談者への言語サポート目的で通訳の
手配を行うことがある。この通訳を調整する相談通訳コーディネーターは、相
談対応も行い、かつ多文化ソーシャルワーカー業務との関連性が大きいため、
事務職ではなく専門職として配置した。
しかく事業概要
・ 相談通訳コーディネーターは、依頼内容に応じた通訳者の人選、通訳実施ス
ケジュールの調整、及び依頼元との関係づくりを行う。
・ 必要に応じて通訳者に同行し、ことばの橋渡しだけでは十分な支援効果が得
られないと判断した場合には、多文化ソーシャルワーカーに対応を依頼するこ
とがある。依頼をするかどうか、また、そのタイミングについて判断力が必要
となる。
・ 英語での相談対応ができ、コーディネーション力が極めて高いことを要件と
して、経験年数や資格よりも、外国人相談の本質への理解と丁寧な資質・能力
を重視した人選を行っている。
しかく評判
・ 相談員・多文化ソーシャルワーカーと連携して、タイムリーできめ細かな対
応が可能となっている。
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特徴的な取組3(臨床心理士によるメンタルヘルス相談)
しかく背景・経緯
・ 外国人相談窓口を開設する以前に、月に一度の専門家による相談会を開始し
た。現在も行政書士による「入国・在留・ビザ手続相談」、弁護士による「法
律相談」はそれぞれ月に一度行っているが、心理カウンセリングは、要望があ
るごとに日時の調整を行い実施する形式に変更した。
しかく事業概要
・ なるべく話しやすい環境にするために、通訳者を介さずにカウンセリングを
行えるよう、英語のできる臨床心理士 1 名、中国語のできる臨床心理士 1 名に
協力してもらい実施している。
・ 相談者から「臨床心理士に相談したい」という依頼があった場合や、多文化
ソーシャルワーカーが必要と判断した場合に、予約制で実施している。
しかく評判
・ 件数としては多くはないものの、相談窓口に寄せられる相談の中にはメンタ
ルヘルスに絡むものがあり、相談窓口だけでは対応が困難であるため、いざと
いう時にスムーズに専門家につなげることができ助かっている。
・ 「クリニックを受診し
たことがあるが日本語で
気持ちを伝えるのが難し
かった。英語でカウンセ
リングをしてくれる所を
ずっと探していた」など
と喜ばれている。
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一元的相談窓口での様々な取組
これまでにも紹介したように、一元的相談窓口では、単に窓口で相談対応するだけ
でなく、外国人住民が安心・安全に暮らすことができるよう様々な取組をしていま
す。次のような取組も外国人受入環境整備交付金の交付対象となるため、一元的相談
窓口事業の参考にしてください。
しかく同行支援
浜松市、神奈川県横須賀市、長野県松本市、北九州市などの自治体では、伴走型の
支援を担う役職の配置等を行い、外国人相談者の依頼に応じる等して外国人相談者に
寄り添った対応を行っています。
相談者からは、相談員等が外部の関係機関での手続等に付き添うことで落ち着いて
対応でき、ありがたいといった声があるようです。
しかく生活オリエンテーション
総務省が令和2年9月に公表した「地域における多文化共生推進プラン」(改訂)
では、コミュニケーション支援の一環として「外国人が地域住民としての生活を開始
してからできるだけ早い時期にオリエンテーションを実施し、行政情報や日本社会の
習慣等について学習する機会を提供する。」とされています。
愛知県大府市、三重県四日市市などの自治体では、外国人受入環境整備交付金を活
用して在留外国人への生活オリエンテーション事業を実施しています。
具体的には、転入手続等の機会を捉えて多言語のチラシや生活ガイドブックを基に
行政情報や生活に必要な情報(健康保険、ごみの出し方等)、日本語学習に関する情
報等について生活オリエンテーションを実施する場合が多いようです。上記の愛知県
大府市では予め、転入等の手続をした外国人を一元的相談窓口に案内するようにして
います。このほか、外国人向けのイベントや日本語教室などの外国人が集まる場所で
複数人の外国人に対して実施する方法も効果的と考えられます。
これらは、目指すべき共生社会を実現するため、外国人が我が国の習慣や社会制度
等の知識を習得するための仕組みづくりを行っているものといえます。

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