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2|一元的相談窓口の取組事例
ここでは、実際に外国人受入環境整備交付金を活用して一元的相談窓口を設
置・運営している地方公共団体の特徴的な取組等を紹介します。なお、以下に
紹介する自治体情報、窓口の概要等は全て本書作成時点(令和5年度)のもの
ですので、御留意願います。
(1)長野県
自治体情報
人口 うち外国人 外国人割合 国籍TOP3 在留資格TOP3
2,043,798 人 38,151 人 1.87%
1中国
2ベトナム
3ブラジル
1永住者
2技能実習
3定住者
(注記)「人口」、「うち外国人」は、令和5年1月1日時点総務省「住民基本台帳に基づく人
口、人口動態及び世帯数」による。以下同じ。
(注記)「外国人割合」は、小数点以下第3位を四捨五入している。以下同じ。
(注記)「国籍TOP3」、「在留資格TOP3」は、令和4年12月末時点出入国在留管理庁
「在留外国人統計」による。以下同じ。
窓口の概要
しかく運営形態 委託(公益財団法人 長野県国際化協会)
しかく対応言語 8言語(日本語・英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語・フ
ィリピノ語・タイ語・ポルトガル語)
(注記)電話通訳で15言語以上に対応。
しかく相談対応日程表
月 火 水 木 金 土 日
開設日 しろまる しろまる しろまる しろまる しろまる しろまる
第 1、3 を除く 第 1、3 のみ
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特徴的な取組1(出張相談会)
しかく背景・経緯
・ 県の面積が広く、77の市町村があり、その全ての市町村に外国人が暮らし
ている。
・ 県では、外国人がどこに暮らしても困ったときに相談でき、安心して生活で
きる環境づくりを進めるため、一元的相談窓口である長野県多文化共生相談セ
ンターを設置し、相談対応や情報提供等を行っている。また、中長期的には、
最も身近な住民サービスの提供機関である市町村が外国人からの相談に対応で
きる体制構築を目指している。
・ この中で、長野県多文化共生相談センターに来所して相談したい外国人が遠
方に暮らしている場合、移動に係る負担が大きいことが課題だった。
・ そこで、「外国人が身近な場所で相談できる機会の提供」と「市町村・関係
機関との連携強化」を目的に、出張相談会を実施している。
しかく事業概要
・ 10か所で出張相談会を実施している。
・ 実施する地域は、市町村に対する開催希望の調査結果を基本に、外国人住民
数や外国人相談窓口の設置市町村、地域バランス等により選定している。
・ 出張相談会を長野県多文化共生相談センター
による単独実施とするのではなく、市町村や関係機
関と連携して実施している。単独実施としない理由
は、外国人の利便性を高めることに加え、市町村・
関係機関との連携強化や相談対応ノウハウの提供を
行うことで、全県における体制づくりを進めること
を目的としているため。
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・ 市町村・関係機関と連携した実施とするため、開催調整に当たっては、セン
ター長が直接訪問等を行い、実施目的や実施、広報の方法について説明を行っ
ている。
しかく課題・評判
・ 外国人への広報が課題。広報を届けるため、長野県多文化共生相談センター
のウェブサイトをはじめ、開催市町村や国際交流団体等にも周知協力をいただ
き展開したが、まだまだ届かないことが多いと感じている。
・ 出張相談会に来た相談者からは、「これまで役所は馴染みがないところだっ
たが、相談会をきっかけに行くことができた。」との声をいただいた。また、
参加した自治体からは、「相談会をきっかけに外国人住民と接点ができた。」
「相談内容を的確に把握することができ、担当課で対応することができた。」
「市町村では有していないスキルを提供してもらうことができる。」といった
声をいただいており、県下自治体のスキルアップにも役立っている。
出張相談について
出張相談の取組は、都道府県に限らず、福島県福島市や、埼玉県川口市、兵庫県
姫路市など多くの自治体で実施されています。
面積が広い自治体や、外国人集住地域を抱える自治体には特に参考になる取組と
思われます。
出張相談の実施場所については、長野県のように開催希望調査をして、希望があ
った地域で行う方法のほか、主要駅や外国人向けのイベント、日本語教室等、外国
人が集まる場所・機会を捉えて行う方法もあります。
出張相談に伴う広報費、相談員の旅費等についても外国人受入環境整備交付金の
対象経費となりますので、詳細については外国人受入環境整備交付金担当までお問
合せください。
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特徴的な取組2(外国人相談対応研修会)
しかく背景・経緯
・ 県内の在留外国人は年々増加しており、定住化や国籍等の多様化、外国人を
取り巻く制度変更をはじめとした環境変化等の複合的な要因により、外国人か
らの相談内容は複雑になっている。
・ 近年の相談対応においては、相談内容に関する知識や相談に対応する技術等
の習得が必要であるばかりでなく、相談に連携して対応する関係機関との、役
割分担や連携方法についての相互理解が求められている。
・ このことから、外国人からの相談に対応する職員が円滑な相談対応を行うた
め、「必要な知識・技術の習得」及び「連携体制の構築」を目的とした研修会
を実施している。
しかく事業概要
全6回の研修会を実施。
・ 対象:長野県多文化共生相談センター相談員
ただし、市町村や関係機関等で外国人相談対応を担う者も参加できること
としている。
・ 実施方法:オンライン (新型コロナウイルス感染症の感染対策のため)
・ 研修内容や研修講師の選定方法:
外国人相談対応に精通したアドバイザーが中心となり、相談対応実績を参
考に、必要な研修内容を選定している。研修講師については、研修内容に
応じて依頼している。
・ 実施に当たっての工夫:
研修会を知識・技術を習得するのみの場とするのではなく、「関係機関等
との連携体制の構築」につながる内容としている。例えば、講師について
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は、今後の相談対応で連携につながるように関係する機関を中心に選定を
行った。
しかく評判
参加者からは、
・「相談員としてどうしたらよいか漠然とした思いがあったが、解決した。(市
町村相談員)」
・「研修会をとおして関係機関の方と話すことができてよかった。(市町村相談
員)」
・「関係機関の取組について理解が深まり、対応時の繋ぎ先が明確になった。
(県相談員)」
等の感想が聞かれた。
都道府県の役割について
外国人受入環境整備交付金は、都道府県及び市町村に交付されるため、それ
ぞれにおいて一元的相談窓口が設置されることが想定されます。
そのような中で、長野県の一元的相談窓口のように、県下の自治体に対して
指導的役割を果たすとともに、県と市町村が連携して取組を進めることで、県
全体の多文化共生の取組を推進することも可能であり、長野県の取組は、都道
府県の役割を示すものとして好事例であると思われます。

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