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第 4 章 出入国在留管理庁による在留支援の取組
出入国在留管理庁在留支援課では、外国人受入環境整備交付金以外にも様々な支援を行ってい
ます。以下に一元的相談窓口の運営に役立つと思われる在留支援課の取組を紹介します。
1|受入環境調整担当官による支援
受入環境調整担当官は地方公共団体との窓口役として、平成31年4月から地
方出入国在留管理局に配置されています。
地方公共団体の要望を踏まえ、一元的相談窓口に地方出入国在留管理局職員を
相談員として適宜派遣するほか、相談業務に従事する地方公共団体職員等に対し
ての情報提供や研修(コラム「出入国在留管理庁、地方出入国在留管理局主催の
研修会について」(P.68)参照)、また、外国人の受入れ環境整備に係る地
方公共団体や民間支援団体等の関係機関からの意見聴取等を行っています。
このような、受入環境調整担当官の取組等により、地方公共団体との連携・協
力、地域における情報収集等を充実・強化等することを通じて、地域における多
文化共生施策の推進を図っています。
なお、受入環境調整担当官が重点的に取り組む外国人の受入環境整備業務のう
ち、地方公共団体が関連するものは以下のとおりです。受入環境調整担当官の支
援は、一元的相談窓口設置の有無に関わらず行われます。御相談・御要望がある
場合は、各地方局の受入環境調整担当官に御連絡願います。
■しかく受入環境調整担当官が重点的に取り組む業務(抄)
・地方公共団体との連携・協力の推進
(1)地方局職員による相談員としての対応
(2)一元的相談窓口の相談員同士による意見交換等の開催
・外国人支援に携わる者との連携・協力の推進
(1)外国人支援に携わる者との意見交換等の強化
(2)外国人支援に携わる者と連携した外国人に対する情報伝達の推進
(3)外国人支援に携わる者のネットワークの構築の推進
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・地域における国の機関等との連携・協力の推進
・相談対応事例等の収集
(1)一元的相談窓口等における対応事例の収集
(2)外国人の受入環境整備の促進に資する事例の収集
・その他
(1)FRESC の周知等
(2)外国人生活支援ポータルサイト及び生活・就労ガイドブックの周知等
(3)やさしい日本語の普及活動
(4)一元的相談窓口設置・運営ハンドブックの周知
(5)地方公共団体や外国人支援者からの意見・要望の収集及び共有
(6)外国人受入環境整備交付金に係る要望・意見の収集
・配置官署の住所及び連絡先
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受入環境調整担当官の様々な取組
受入環境調整担当官による支援は上記第4章1(P.86)のとおりですが、実際に
は地域ごとに在留する外国人の数や国籍等に相違があり、そのニーズや必要とする支
援策が異なる現状がある中で、各地方出入国在留管理局においては地域の実情を踏ま
えてそれぞれの活動を進めています。その中からいくつか事例を御紹介します。
■しかく東京出入国在留管理局及び同局横浜支局
令和2年11月から四半期に一度程度、「外国人相談窓口連絡会」を実施していま
す。これは、(交付金を活用しているかに関わらず)外国人相談窓口の実務者同士で
情報共有を行う場を設け、情報・知識の共有による相談対応の質の向上、外国人相談
窓口などの相互協力・連携の促進を行うことを目的として、管内の希望自治体が参加
して行うオンライン会合です。
毎回異なるテーマを設定し、テーマに係る取組や事例に対する対応方法について意
見交換を行います。なお、テーマに応じて法テラス等の専門機関に助言をお願いする
こともあります。
これまでの主なテーマは次のとおりです。
○しろまる 相談員のスキルアップ方法について
○しろまる 外国籍を持つ中高生の進路(就学・就職)について
○しろまる ウクライナから日本への避難民に対する取組について
○しろまる 外国人相談窓口におけるコーディネーターの必要性と役割について
○しろまる 離婚・未婚での出産に関する相談について
○しろまる 消費生活相談について
○しろまる 災害時における外国人相談窓口の対応について
○しろまる 就労支援、雇用保険に関する相談について
▲さんかく連絡会にオンライン参加する職員の様子
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受入環境調整担当官の様々な取組(つづき)
令和元年4月に、名古屋入管の声掛けにより東海地方の民間支援団体が名古屋入管に
集まり、共生社会の課題等について話し合う等の経緯を経て同年7月にネットワークと
して立ち上がりました(※(注記))。
定期的に会合を開いて支援団体が現場
で経験された課題等について認識を深め、
また、名古屋入管からネットワークを通
じて在留外国人に情報を発信するなどし
て名古屋入管と支援団体の情報交換・意
見交換の場としており、この取組がより
良いものとなるよう引き続き活動してい
ます。
(※(注記))外国人との共生社会実現に向けたロードマップ(令和4年6月14日外国人材の
受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定(令和5年6月9日一部変更))施策番号
16及び総合的対応策(令和5年度改訂版)施策番号22では、民間支援団体等の
外国人支援者の活動の現状・課題を把握するとともに、外国人支援者同士が連携し
て効率的・効果的に外国人に対する支援を行うことができるように外国人支援者の
ネットワークを構築するとされています。受入環境調整担当官は、これらの関係者
を往訪し意見交換の機会を設ける等して、地域の実情を踏まえてネットワーク構築
に取り組んでいます。
▲さんかく令和3年3月に開催された活動報告会の様子
令和3年6月に、名古屋入管1階インフォメーションセンター内にFRAT
(Foreign Residents
Assistance Team)を開設し、
個別具体的な専門相談を庁舎内で実施できるよう
にしました。関係機関と連携しながら入管手続き
以外の相談にも対応しています。
▲さんかくFRATの様子
■しかく名古屋出入国在留管理局
〇外国人支援・多文化共生ネットの設立
〇FRATの開設
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現在、外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)には、国の在留支援に
関係する4省庁8機関が集まっており、外国人や支援者等からの複数の機関に関係
する相談について、連携して対応しています。
各地域における外国人等の利便性の向上のため、FRESCの取組を参考に、地
方公共団体と地方出入国在留管理局、労働局、法テラス、外国人支援団体等の外国
人支援に携わる者が連携・協力し、合同相談会を実施しています。
令和4年度は、地方出入国在留管理局が企画したほか、全国のイベントなどで在留
相談やFRESCの周知を行うなどの形でも、合同相談会の取組を進めました。令
和5年度の合同相談会についても実施中ですので、御興味を持ってくださった場合
は、地方出入国在留管理局にお問合せいただくか、出入国在留管理庁ホームページ
を御確認ください。
▲さんかく令和5年度の大阪における合同相談会の様子 ▲さんかく令和5年度の大阪における合同相談会のチラシ
■しかく外国人支援センター「地方出入国在留管理局が参加する相談会の情報」
https://www.moj.go.jp/isa/support/
fresc/fresc01.html#tihou-soudan
合同相談会 〜地方版FRESCを目指す取組について〜
▶各合同相談会のお知らせは、
上記 URL の FRESC のページで、
随時更新を行っています。
相談会情報については、左記のような
形で掲載しております。
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2|相談事例の共有
受入環境調整担当官の取組等を通じて得た相談対応における好事例等の一元的
相談窓口での相談対応に際しての有益な情報は、必要に応じてとりまとめて全国
の地方公共団体に共有を図っています。
3|通訳支援事業の実施
出入国在留管理庁では、在留外国人の増加に伴い、地方公共団体の行政窓口に
おいて、外国人の理解できる言語での相談対応や情報提供・発信等の必要性が高
まっている中、通訳等の人材を十分に確保できず、外国人への対応に支障をきた
している地方公共団体もあることから、令和3年度及び同4年度において、地方
公共団体の行政相談窓口を対象に電話通訳による通訳支援事業を試行実施してき
ました。
この試行実施の結果を踏まえ、令和5年4月1日からは、通訳支援事業を本格
実施しています。また、ウクライナ避難民の方からの相談対応に係るウクライナ
語、ロシア語の通訳支援についても実施しています。
令和5年4月現在、対応している言語は、英語、韓国語、中国語、スペイン
語、ポルトガル語、フィリピノ語、ベトナム語、ネパール語、インドネシア語、
タイ語、クメール(カンボジア)語、ミャンマー語、モンゴル語、フランス語、
シンハラ語、ウルドゥー語、ベンガル語、ウクライナ語、ロシア語の19言語と
なっております。本サービスの利用料は無料ですが、通話料は利用者負担です。
多言語対応の手段を用意することにお困りの地方公共団体におかれましては、
是非この機会に御検討ください。
■しかく通訳支援事業への問合せ先
〇 登録・利用方法など技術的な事項に係る問合せ(令和5年度)
株式会社 BRIDE MULTILINGAL SOLUTIONS(旧 株式会社 BRICK‘s)
Mail:tsuyaku-shien@bricks-corp.com TEL:03-5366-6018
〇 その他のことに関する問合せ
出入国在留管理庁在留管理支援部在留支援課在留支援連携係
Mail: zairyushien01@moj.go.jp (LGWAN 用アドレス)
zairyushien01@i.moj.go.jp (上記以外)
御質問等ありましたら、左記の
問合せ先まで御連絡ください。
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一元的相談窓口における電話・映像通訳や翻訳機の活用
〇 交付金により一元的相談窓口の運営を支援している地方公共団体における翻訳
機と電話・映像通訳の全国で見た場合の利用率は、翻訳機が約8割、電話・映像
通訳が約6割となっています(令和4年度交付金実績)。
○しろまる このうち、電話・映像通訳については、利用にかかわらず一定のコストがかか
ることもあり、特に対象が少ない小規模な窓口での利用率が低い傾向がありま
す。そういった中、出入国在留管理庁では、多言語対応に苦慮している地方公共
団体がある状況も踏まえ、電話通訳による通訳支援事業を実施しています。
○しろまる 出入国在留管理庁による通訳支援事業については、例えば以下のような導入事
例があります。是非、活用を御検討ください。なお、この通訳支援事業により交
付金の条件にある多言語要件を満たすことも可能です。
1 初めての多言語対応として導入
2 通訳人や翻訳機の配置を行っている地方公共団体において補完的に導入
3 従来活用していた電話・映像通訳の対象外の言語・時間外の対応を目的に導入
☞(参考)コラム「通訳人、入管庁通訳支援事業(電話通訳)、翻訳機を組み合わせた多言語対応
(新潟県)」(P.14)にて、2のように補完的に通訳支援事業を活用している地方公共団体として
新潟県の取組を紹介しています。
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4|国等の制度の紹介
一元的相談窓口においては、国及び関係機関と連携することにより相談者に適
切な情報が提供されることが期待されているところ、随時、一元的相談窓口に対
して国及び関係機関の制度等について情報提供を行っています。例えば、当庁関
連であれば入国・在留関連及び外国人の受入れ環境整備に関する新たな施策や制
度改正等に係る情報のほか、外国人等からの相談に資する各種情報を適時共有し
ています。
また、出入国在留管理庁の設置と共に立ち上げられた「外国人生活支援ポータ
ルサイト」では、在留外国人やその支援者の方々に対して、多言語化された有用
な情報(入国・在留手続、労働・雇用、教育・日本語学習、医療、年金・社会保
険、税金、住宅、防災等)を掲載しています。
上記ポータルサイトには、在留外国人が適切な相談場所に辿り着くことができ
るようにするための「困ったときの問合せ先」や、地方公共団体等が設置してい
る外国人向けの「地域における相談窓口一覧」なども掲載しています。一元的相
談窓口での相談対応で役立つ情報もあると思います。是非、御活用ください。
https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/index.html
■しかく外国人生活支援ポータルサイトのページ
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5|やさしい日本語の普及
国や地方公共団体等におけるやさしい日本語の活用を促進するため、2020 年
2 月から「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」に関する有識者会議
を開催し、同年 8 月に「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を作成
しました。
また、2022 年 7 月から「話し言葉のやさしい日本語の活用促進に関する会
議」を開催し、同年 10 月に「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン〜
話し言葉のポイント〜」、2023 年3月に「在留支援のためのやさしい日本語ガ
イドライン 別冊やさしい日本語の研修のための手引」を作成しました。
このガイドライン等については、出入国在留管理庁ホームページの「外国人生
活支援ポータルサイト」において公開しています。また、地方公共団体や関係省
庁への周知、地方公共団体職員への研修を実施するなど、やさしい日本語の普
及・活用を推進しています。
■しかくやさしい日本語ガイドラインのページ
やさしい日本語
イメージキャラクター
「ことりん」
https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/plainjapanese_guideline.html
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6|生活・就労ガイドブック
出入国在留管理庁では、在留外国人が我が国において安全・安心に生活・就労
できるようにするために必要な基礎的情報(在留手続、労働関係法令、社会保
険、防犯、交通安全等)をまとめた「生活・就労ガイドブック」を政府横断的に
作成し、出入国在留管理庁ホームページの「外国人生活支援ポータルサイト」に
おいて、16言語(※(注記))で掲載しています。
※(注記) 日本語(やさしい日本語版を含む)、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガ
ル語、ベトナム語、ネパール語、タイ語、インドネシア語、ミャンマー語、クメール
語(カンボジア語)、フィリピノ語、モンゴル語、トルコ語、ウクライナ語。
■しかく生活・就労ガイドブックのページ
https://www.moj.go.jp/isa/guidebook_all.html
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出入国在留管理庁在留支援課の役割について
■しかく 法務省(出入国在留管理庁)が外国人受入れ環境の整備を担うこととなった経緯
「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)
において、一定の専門性・技能を有する外国人の受入れを拡充するために新たな在
留資格を創設することとされ、併せて、外国人の受入れ環境整備を行うために法務
省が総合調整機能をもって司令塔的な役割を果たし、関係省庁、地方公共団体との
連携を強化することになりました。これを受け、平成30年7月24日の閣議でそ
のことが決定されるとともに、政府一体となって総合的な検討を行うため「外国人
材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」が設置されました。この第3回会議にお
いて、外国人を適正に受け入れて共生社会の実現を図ることにより日本人と外国人
が安心して安全に暮らせる社会の実現に寄与するという目的を達成するため、その
目指すべき方向性を示した「総合的対応策」が決定されました。
■しかく 在留支援課の役割
上記平成30年7月24日付け閣議決定に基づき、法務省における総合調整機能
の下、関係府省が連携を強化し、地方公共団体とも協力しつつ、外国人の受入れ環
境の整備を効果的・効率的に進めることになり、平成30年12月に出入国管理及
び難民認定法と併せて法務省設置法の改正が行われました。その改正により、平成
31年4月に出入国在留管理庁が設置されることとなり、その際に在留支援課が設
置されました。在留支援課の役割については、法務省組織令第82条に記載があり
ます。
法務省組織令(抄)
(在留支援課の所掌事務)
第82条 在留支援課は、次に掲げる事務をつかさどる。
1 在留支援(本邦に適法に在留する外国人が安定的かつ円滑に在留す
ることができるようにするための支援をいう。次号において同じ。)
に関する事項の企画及び立案、調整並びに推進に関すること
2 地方公共団体及び民間の団体が行う在留支援の支援に関すること。