意 見 書(概 要)
〜共生社会の在り方及び中長期的な課題について〜
外国人との共生社会の実現のための有識者会議
令和3(2021)年11月
目指すべき外国人との共生社会(三つのビジョン)
多様性に富んだ
活力ある社会
個人の尊厳と人権を
尊重した社会
安全・安心な社会1「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のための国際目標
を定めたSDGsの理念等を踏まえた、目指すべき共生社会の三つのビジョン
目指すべき外国人との共生社会
(三つのビジョン)
これからの日本社会を共につくる一員として
外国人が包摂され、全ての人が安全に安心して
暮らすことができる社会
様々な背景を持つ外国人を含む
全ての人が社会に参加し、能力を
最大限に発揮できる、多様性に富
んだ活力ある社会
外国人を含め、全ての人がお互
いに個人の尊厳と人権を尊重し、
差別や偏見なく暮らすことができ
る社会
1 円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組
3 ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援
2 外国人に対する情報発信・外国人向けの相談体制等の強化
4 共生社会の基盤整備に向けた取組
目指すべき外国人との共生社会の三つのビジョンを実現するための四つの重点事項2目指すべき外国人との共生社会の三つのビジョンを実現するため、中長期的に取り組むべき課題とし
て、以下の四つの重点事項を取り上げ、それぞれについて取組の方向性を取りまとめた。
(注記) 支援を行うに当たっては、「外国にルーツを持つ者」にも配慮した施策を形成すべき。
政府に対しては、正確に実態を把握し、共生社会の在り方及び共生社会を実現するために行う施策を
示し、それらをKPI(Key Performance Indicators、成果指標)を採り入れた中長期的な行動
計画として取りまとめていただくことを強く期待
我が国における在留外国人の状況の変化13在留外国人数
在留外国人の現状
我が国の総人口
約289万人(令和2年末現在)【令和元年末過去最高】
約1億2,623万人(令和2年10月1日現在)
我が国の総人口に占める割合
外国人労働者数
2.29%(令和2年現在)【令和元年過去最高】
約172万人(令和2年10月末現在)【令和2年10月末過去最高】
市区町村
我が国における在留外国人の状況の変化2
国籍・地域別4くろまる「永住者」が全体の4分の1強を占める状況に変化はないが、「技能実習」、「技術・
人文知識・国際業務」の増加が顕著
くろまる「韓国」及び「朝鮮」、「ブラジル」の在留者数が減少。一方で、「ベトナム」の在留
者数が大幅に増加
在留資格別
くろまる20歳代は、「留学」、「技能実習」、「技術・人文知識・国際業務」の割合が高い。
くろまる40歳代半ばから60歳代半ばまでの女性は、「永住者」が6割以上を占めている 。
在留外国人数及び構成比の変化
市区町村
男女別・年齢別・在留資格別在留外国人数
くろまる20歳代は、「留学」、「技能実習」、「技術・人文知識・
国際業務」の割合が高い。
くろまる40歳代半ばから60歳代半ばまでの女性は、「永住者」が
6割以上を占めている 。
円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組(重点事項1)
くろまる日本語教室が開催されていない市区町村に居住
する外国人住民
約58万人(令和2〔2020〕年11月時点)
→日本語教育を受ける機会が十分に提供されて
いない
日本語教育等の機会提供
くろまる生活オリエンテーションについて、実施の有無
やその内容が異なる(居住する地方公共団体の
施策の有無や内容が異なる)
→我が国の習慣・社会制度に対する理解度に違
いが生じ得る状況
現状・課題5くろまる日本語教師の資質・能力にばらつきがある
くろまる日本語教師の待遇が必ずしも十分ではないな
ど長期的なキャリア形成が困難
→日本語教師の質の向上や量的確保が課題
日本語教育の質の向上等
ライフステージに応じた体系的な日本語学習
くろまる外国人がライフステージに応じて身に付け
る必要がある日本語レベルに基準等がない
→外国人が自らのニーズやレベルに応じ、
体系的に日本語学習を積み上げていくこと
が困難
主な取組の方向性
<外国人が生活のために必要な日本語等を習得できる環境の整備>
くろまる生活のために必要なレベルの日本語の習得を目的とする日本語教育及び社会にスムーズに定着するための生活オリエンテーションの機会提供
くろまる在留資格手続等あらゆる機会を捉えて学習できることを案内・発信
くろまる出入国在留管理庁等は連携してカリキュラム、教材の作成、オンライン講座等の実施の検討
<ライフステージに応じ、体系的に日本語を学習することができる環境の整備>
くろまる外国人が学習ニーズやレベルに応じた日本語教育機関を選択できるよう日本語能力の評価基準(日本語教育の参照枠)を活用し、各機関の教育水準を
明示できる仕組みの構築
<日本語教育の質の向上、専門人材の確保に資する取組の推進>
くろまる「公認日本語教師(仮称)」の資格の創設及び日本語教師の長期的なキャリア形成が可能となるような仕組みの構築
生活のために必要な日本語や、我が国の習慣・社会制度に関する知識を習得できるよう環境整備を行う
外国人に対する情報発信
現状・課題6外国人向けの相談体制
主な取組の方向性
外国人に対する情報発信・外国人向けの相談体制等の強化(重点事項2)
<外国人の目線に立った情報発信の強化>
くろまる情報内容の工夫(何を伝えるか)
・提供する情報の基準等を定めたガイドラインの作成
くろまる情報の伝え方(どう伝えるか)
・文字情報のほか視覚情報により内容を理解してもらえるよう工夫
くろまる伝達手段の工夫
・マイナポータルを活用した、オーダーメイド型・プッシュ型の情報
発信
<外国人が抱える問題に寄り添った相談体制の強化>
くろまる一元的相談窓口等への支援の強化
・外国人受入環境整備交付金の交付要件の見直しの検討、一元的相談
窓口の設置促進等
くろまる地域における関係機関の連携・外国人支援者ネットワーク構築の
推進
・FRESCと同様に複数機関が連携して対応する相談窓口の設置等
・民間支援団体等を通じた国の支援情報の提供や外国人が抱える問題
の迅速かつ的確な把握が可能となる仕組みの構築
くろまる関係省庁の施策(新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に対す
る在留外国人等への支援策を含む。)が発信されているが、外国人が
自らの置かれている状況に応じ、情報を適切かつ迅速に選択すること
が困難
くろまる各種支援情報の伝達手段と外国人が情報を入手する媒体のミスマッチ
等により、必要とする支援に関する情報の不達
くろまる外国人の増加や国籍の多様化等から通訳の確保が困難
くろまる外国人受入環境整備交付金の使途が地域の実情に応じて幅広く活用で
きていない
くろまる外国人が抱える問題は多様複雑であり、関係機関の緊密な連携が一層
必要になっている
くろまる地方公共団体の職員等が日本語能力が十分ではない外国人とのコミュ
ニケーションに苦労している
外国人が必要とする支援に迅速かつ確実にアクセスできるよう、情報発信や相談体制の強化を通じた環境整備を行う
→外国人が必要とする支援に迅速かつ確実にアクセスできるような形で
情報発信されていない
→外国人が必要とする支援に迅速かつ確実にアクセスできるような相談
体制が構築されていない
現状・課題7主な取組の方向性
ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援(重点事項3)
くろまる就学、進学、就職等ライフステージを移行する際(継ぎ目)に課題
に直面
くろまる各ライフステージについても更なる支援が必要
→各ライフステージの外国人を取り巻く実態や課題を把握できて
いない
→「継ぎ目」における支援の実施が重要になってきている
乳幼児期
(0〜5歳頃)
学齢期
(6〜15歳頃)
青壮年期
(16〜64歳頃)
高齢期
(65歳頃〜)
<「乳幼児期」、「学齢期」及び「青壮年期」初期を中心とした外国人に対する支援(妊娠、出産、子育て、就学、進学等
の支援)>
くろまる外国人の親子が地域社会で孤立しないための支援を目的とした実態調査及びニーズの把握等、子育てしやすい環境の整備
くろまる外国人の子供の就学促進に向けた就学状況の把握(一体的管理・把握)、プレスクールの設置支援等
くろまる学習意欲を高めるためのロールモデルの提供等、外国人の子供に対するトータルなキャリア形成支援(高校入学試験における特別定員枠・受
検上の特別な配慮)
<「青壮年期」を中心とした外国人に対する支援(就労等の支援)>
くろまる外国人とのコミュニケーションツールとしてやさしい日本語の導入を促進し、相互に理解し合う環境整備を実施
くろまる受入れ企業による一定の費用負担の下、就労の安定やキャリアアップ支援を目的とした研修や職業訓練の機会を従業員に提供
<「高齢期」を中心とした外国人に対する支援(介護等の支援)>
くろまる外国人の置かれている状況や支援ニーズを把握し、外国人を含む全ての人の理解が得られるものとなるよう、支援の在り方について検討
実態を把握し、各ライフステージ及び各ライフサイクルに応じたきめ細かな支援を行う
ライフステージごとに日本社会に参加するための支援
ライフステージに応じた支援
ライフサイクルに応じた支援 ライフステージを移行しながら生活していくに当たり必要な支援(継ぎ目における支援)
(課題の例)
・全高校生等(特別支援学校の高等部は除く。)の中途退学率が1.3%で
あるのに対し、日本語指導が必要な高校生等(特別支援学校の高等部は
除く。)の中途退学率は9.6%
雇用・労働
子育て・教育に関する支援
高齢者に対する支援
現状・課題8主な取組の方向性
共生社会の基盤整備に向けた取組(重点事項4)
くろまる学校、職場、地域 など社会の様々な場面において外国人に対する差別や
偏見が存在
くろまる政府統計等の中で、「国籍」等が調査項目として採用されている統計は
限られており、外国人の生活に係る実態を十分に把握することが困難
1 共生社会の実現に向けた意識醸成
くろまる民間支援団体等との連携による情報収集が不十分
くろまる各関係機関が提供可能な支援をコーディネートする人材の育成等が必要
くろまる外国人の利便性の向上や適正な在留管理の実現のため、出入国在留管理庁にお
いてマイナンバー制度との連携等を通じた在留管理に必要な情報の効率的な取
得が必要
くろまる外国人が社会に参加し、能力を最大限発揮できるよう後押しするという観点
からの取組が不十分
くろまる社会参加に意欲を持つ外国人に活躍の場を広げていくことが必要
5 外国人の社会参加
くろまる日本の文化や習慣、税や社会保障等の社会制度についての理解が十分で
なく、意図せず公的義務を履行しない人等が存在
3 外国人の生活状況に係る実態把握
<共生社会の実現に向けた意識醸成>
くろまる外国人との共生に係る啓発月間を設けるなどして、外国人との共生についての関心と理解を深めるための取組を推進
くろまる幼児教育・学校教育等における共生のための教育の導入について検討
<社会制度等の知識修得のための仕組みづくり>
くろまる納税や社会保険料の納付等の公的義務に係る情報を、生活オリエンテーションで提供するとともに、その後も継続的に周知
<外国人の生活状況に係る実態調査のための政府統計の充実等>
くろまる政府統計の充実等による外国人の生活状況に係る実態把握、当該実態に基づく施策の企画・立案及びKPIに基づく施策の進捗
管理の実施
<共生社会の基盤整備のための情報収集強化及び関係機関間の連携強化>
くろまる民間支援団体や支援をコーディネートする人材に対する情報提供、財政的な支援を含む支援策を検討
くろまる総合的な支援をコーディネートする人材の育成・認定制度の検討
目指すべき共生社会を実現するため、意識醸成、社会制度等の知識修得の仕組みづくり等の基盤整備を行う
→全ての人々が多様性を尊重し、また、個々の能力を最大限に発揮できるような、
目指すべき共生社会の実現に向けた基盤整備が不十分
2 社会制度等の知識修得のための仕組みづくり
4 外国人に対する支援や在留管理のための情報収集及び関係機関間の連携

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