法務省業務継続計画
(首都直下地震編)
決 定 平成20年 6月27日
修 正 平成22年 7月 2日
平成25年 3月29日
平成26年 6月23日
平成27年 4月10日
平成30年 4月 1日
平成31年 4月 1日
令和 4年10月 3日
令和 6年 3月25日
法務省業務継続計画推進会議
目 次
.....................................................................
第1章 目的・基本方針等 1
.....................................................................
第1節 計画策定の背景 1
...........................................................................
第2節 計画の目的 2
..........................................
第3節 防災業務計画と業務継続計画の関係 2
..............................................................................
第4節 基本方針 2
...............................................................
第2章 対象組織等と想定災害 3
...........................................................................
第1節 対象組織等 3
........................................................................
第1 適用対象組織 3
....................................
第2 各局部課等における対策及び資料の整備 3
..............................
第3 首都圏の所管各庁における業務継続計画策定 3
......................................................
第2節 想定する危機的事象の特定 4
...................................................
第3節 社会における被害状況の想定 5
....................................
第4節 本計画における当省等の被害状況の想定 5
.....................................................................
第3章 非常時優先業務等 6
.........................................................
第1節 非常時優先業務等の特定 6
.....................................................................
第2節 業務影響度分析 7
..................................................................
第3節 非常時優先業務等 7
..............................................................................
第1 管理事務 7
...............................................................
第2 継続すべき重要業務 8
....................................
第4章 業務継続のための備え(執行体制の確立) 9
...............................................................
第1節 指揮命令系統の確保 9
第1 ...............................................................
本省幹部の職務代行 9
...................................................
第2 各局部課等における職務代行 9
..................................................................
第2節 連絡体制の確保等 9
............................................................
第1 自衛消防隊等との調整 9
...............................................................10
第2 官邸リエゾンの確保
..........................................10
第3 国会連絡調整事務における連絡体制
...........................................................................10
第4 情報の発信
.............................................10
第5 職員家族との連絡手段構築の推進
...............................................................10
第6 事業者との連絡体制
......................................................11
第7 地方公共団体との連絡体制
..................................................................11
第3節 非常時優先業務等
..................11
第1 非常時優先業務等担当者とその代替職員の選定・確保
............11
第2 非常時優先業務等進行管理者とその代替職員の選定・確保
..............................................................................12
第4節 参集評価
..................................................................12
第1 参集評価の実施等
...................................................12
第2 職員が不足する場合の対応等
........................................................................12
第5節 発災時の行動
.............................................12
第1 勤務時間外における発災時の行動
.............................................13
第2 勤務時間内における発災時の行動
..............................................................................14
第3 総合調整
...............................................................15
第4 帰宅困難者の受入れ
...............................................................15
第6節 計画発動の適用基準
...........................................................................15
第1 計画の発動
..............................................................................15
第2 警戒態勢
..................................................................15
第7節 通常体制への復帰
...............................................................16
第1 通常体制復帰の判断
.....................................................................16
第2 復帰情報の周知
..........................................16
第3 非常時における行政対応の記録分析
......................................................16
第4 費消した備蓄物資等の補充
....................................16
第5章 業務継続のための備え(執務環境の確保)
.................................................................................16
第1節 執務室
........................................................................16
第1 出入口の確保
...........................17
第2 オフィス家具等の転倒防止・重量物の落下防止
......................................................17
第3 消耗品等の供給体制の確保
........................................................................17
第4 定期的な点検
...........................................................................17
第2節 電力・ガス
....................................................................................17
第1 電力
....................................................................................17
第2 ガス
....................................................................................17
第3節 備蓄
............................................................17
第1 食料、飲料水等の備蓄
...............................................................18
第2 簡易トイレの設置等
..............................................................................18
第3 保存期間
............................................................18
第4 効果的な備蓄の方法等
..........................................18
第5 庁舎内営業体等における資源の活用
......................................................18
第4節 情報連絡体制の整備・強化
....................................................................................19
第1 通信
........................................................................19
第2 情報システム
.......................................19
第5節 非常時優先業務等の継続のための備え
....................................19
第1 非常時優先業務等に必要なデータの保存
第2 停電時における基幹LAN等を使用する非常時優先業務等の継続の
...........................................................................20
ための措置
..........................................20
第3 各局部課等における個別の検討事項
..............................................................................20
第6節 代替庁舎
.....................................................................20
第1 代替庁舎の確保
...............................................................20
第2 代替庁舎への移転等
..............................................................................20
第6章 訓練・教育
....................................................................................21
第1節 訓練
....................................................................................21
第2節 教育
...............................................................22
第7章 推進体制と計画の修正
.....................................................................22
第1節 本省の推進体制
............................................................23
第2節 各局部課等の推進体制
...........................................................................23
第3節 計画の修正
- 1 -
第1章 目的・基本方針等
第1節 計画策定の背景
首都地域においては、約200〜300年間隔で発生する関東大震災のよう
なマグニチュード(以下「M」という )8クラスの地震の間に、M7クラス。の直下型の地震(首都直下地震)が数回発生すると予想されている。
その首都直下地震により、人口や建物の密集地域における膨大な人的・物的
、 「 」
被害が発生するとともに 政治・行政・経済の枢要部分を担う 首都中枢機能
が被災することから、その被害は、被災地にとどまらず、我が国全体の国民生
活及び経済活動に支障が生じるほか、海外へもその影響が波及すると予想され
ている。
また 「首都中枢機能」の障害により、災害応急対策などの必要な措置を迅、速・円滑に講じることができず、その結果、その膨大な人的・物的被害が更に
拡大すると予想されている(平成17年7月中央防災会議「首都直下地震対策
専門調査会報告 。」)
政府において これらの被害を軽減する方策について検討を重ねた結果 首
、 、「都中枢機能の継続性の確保」が不可欠であるとの結論に達し、首都直下地震対
策大綱(平成17年9月中央防災会議決定)及び首都直下地震応急対策活動要
領(平成18年4月中央防災会議決定)において、首都中枢機関における地震
Business
発生時の機能継続性を確保するための計画として事業継続計画(
以下「BCP」という )の策定が必要な施策として位置付けら
Continuity Plan 。
れた。
さらに、行政の首都中枢機能である中央省庁のBCP策定作業を支援するこ
とを目的とし、平成19年6月に内閣府(防災担当)が策定した「中央省庁業
務継続ガイドライン第1版」において、中央省庁におけるBCPを「業務継続
計画」と読み替えた上で、その計画に盛り込むべき内容や計画策定手法等が具
体的に示され、また、平成19年6月21日に開催された中央防災会議におい
て、中央防災会議会長(内閣総理大臣)から「首都直下地震等の災害時にも政
府中枢機能を維持できるよう、各省庁は業務継続計画の策定を積極的に推進し
てもらいたい 」旨の発言がなされた。。これらの背景により、平成20年6月、当省における業務継続計画の基本方
針を定め、本計画を策定したものである。
その後、所要の改正を行いつつ、平成25年12月、中央防災会議の専門調
査会である首都直下地震対策検討ワーキンググループにおいて、首都直下地震
の被害想定が見直されるとともに、平成26年3月28日の閣議において、首
- 2 -
都直下地震対策特別措置法に基づき、政府業務継続計画(首都直下地震対策)
が決定されたほか、平成28年4月には「中央省庁業務継続ガイドライン第2
版(首都直下地震対策 」が、令和4年4月には「中央省庁業務継続ガイドラ)イン第3版(首都直下地震対策 (以下「ガイドライン」という )がそれぞ)」 。
れ策定されたことを踏まえ、本計画の見直しを行ったものである。
第2節 計画の目的
この計画は、首都直下地震等により法務省が被災し、使用可能な人的・物的
資源が制限される条件下において、政府として維持すべき必須の機能に該当す
る業務として非常時優先業務等を特定するとともに、非常時優先業務等がより
高い水準で継続(又は早期の再開若しくは実施。以下同じ )されるために必。要な資源の確保・配分や、このための手続の簡素化、指揮命令系統の明確化等
について必要な措置を講ずることにより、もって非常時における法務省の業務
継続のための対策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
また、自然災害全般などの発生事象により制約が生じる業務資源が共通であ
れば、その業務資源の代替となる資源・手段の確保や被害軽減の対策を実施す
ることにより、それら発生事象に基本的には共通に有効となることから、本計
画は、首都直下地震だけでなく、風水害などの他の自然災害等も対象とする。
第3節 防災業務計画と業務継続計画の関係
災害対策基本法第36条に基づく法務省防災業務計画は、災害応急対策業務
の実施体制、実施事項及び実施方法等を定めることに重点を置きながら、災害
の予防段階から復旧・復興段階までの対応計画を取りまとめたものである。こ
れに対して、業務継続計画は、法務省防災業務計画を補完し、又は相まって、
法務省が自ら被災した状況下においても、非常時優先業務等がより高い水準で
迅速に継続されるために必要な計画を定めるものである。
なお、本計画における非常時優先業務等とは、発災後直ちに開始すべき災害
応急業務と、発災後速やかに実施すべき一部の災害復旧・復興業務のほかに、
法務省防災業務計画に含まれない、発災後新たに発生する他の緊急的業務や業
務継続の優先度が高い一部の通常業務、並びにこれら非常時優先業務を実施す
るために必要な執行体制及び執務環境の確保等に係る管理事務を合わせたもの
である。
第4節 基本方針
法務省は、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利保護、国の
- 3 -
利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理並びに出入国及び外国人の在留( )。 、
の公正な管理を図ることを任務としている 法務省設置法第3条 本計画は
このような法務省の任務を踏まえつつ、次の基本方針に基づき、当省の業務継
続力の確保・向上を図るものとする。
1 業務継続に係る取組は、人材を含む資源の投入や組織内の意識統一を必要と
することから、幹部職員は、業務継続を重要課題の一つとして位置付け、強
いリーダーシップを発揮し、深く関与する。
2 危機的状況下において、応急業務若しくは災害復旧・復興対策のうち早期に
実施すべき業務又は発災後新たに発生する他の緊急的な業務を可能な限り速や
かに実施する。
3 危機的状況下において、当省の所掌事務の遅滞又は停止に伴う国民生活等へ
の影響を分析し、その影響が重大な業務の継続又は早期の再開に努める。
4 当省の業務継続力向上のため、必要な対策を検討し、その対策を計画的に実
施するよう努める。
5 当省職員(庁舎内の来省者を含む )の安全を確保する。。第2章 対象組織等と想定災害
第1節 対象組織等
第1 適用対象組織
、 ( 「 」 。)この計画の適用対象組織は 中央合同庁舎第6号館 以下 6号館 という
A棟及び赤れんが棟に所在する法務本省の内部部局の局、部並びに大臣官房秘
書課、大臣官房人事課、大臣官房会計課、大臣官房国際課、大臣官房施設課及
び大臣官房厚生管理官並びに法務総合研究所、出入国在留管理庁、公安審査委
員会及び公安調査庁 以下 適用対象組織を総じて表す場合は 本省 又は 当
( 、 「 」 「
」 、 「 」 。)省 といい 適用対象組織を各個別に指して表す場合は 各局部課等 という
とする。
第2 各局部課等における対策及び資料の整備
各局部課等は、この計画及びガイドライン等の定めるところに従い、その所
掌事務等に関し、必要な対策を講じ、連絡網等の必要な資料の整備を行うもの
とする。
第3 首都圏の所管各庁における業務継続計画策定
1 首都圏所在の所管各庁における業務継続計画策定対象組織は、最高検察庁、
、 、 、 、 、 、 、
高等検察庁 地方検察庁 区検察庁 法務局 地方法務局 矯正管区 刑務所
- 4 -
、 、 、 、 、 、
少年刑務所 拘置所 少年院 少年鑑別所 婦人補導院 地方更生保護委員会
、 、 、 、 、
保護観察所 矯正研修所 入国者収容所 地方出入国在留管理局 公安調査局
公安調査事務所及び公安調査庁研修所並びにこれらの組織の所掌事務を分掌さ
せるために設置された支所等の組織及び法務総合研究所の支所(以下「所管各
庁」という )とする。。2 業務継続計画の策定に当たっては、防災要領及びガイドライン等の定めると
ころに従い、その所掌事務等に関し、計画の策定を行うものとする。この場合
において、本省各局の長、法務総合研究所長、出入国在留管理庁長官及び公安
調査庁長官は、管下各庁に対し必要な指導・助言を行うものとし、非常時優先
業務の内容やその目標時間、目標レベル、業務の実効性を確保するための事前
対策等について、本計画及び前記第2において整備した対策等との整合を図る
ため必要な措置を講じるものとする。
第2節 想定する危機的事象の特定
この計画における想定災害は、中央防災会議で想定されている都心南部直下
地震(M7.3)とする。
これは、前記の首都直下地震対策検討ワーキンググループにおける「首都直
下地震の被害想定と対策について(最終報告 (以下「最終報告」という ))」 。
に基づくものである。
だいやまーく首都直下地震の切迫性
- 5 -
南関東で発生した地震(1600年以降、M6以上)
だいやまーく都心南部直下地震の震度分布
左:都心南部直下地震の震度分布
右:首都直下のM7クラスの地震の重ね合わせた震度分布
(注記)出典:最終報告別添資料4「首都直下のM7クラスの地震及び相模トラフ沿いのM8クラスの地震等に関する図表集」
第3節 社会における被害状況の想定
「 」 ( ) 、
想定災害とした 都心南部直下地震 の社会における被害の概要 最大 は
最終報告において次のとおり想定されている。
1 建物全壊・火災焼失:約61万棟(うち火災焼失約41.2万棟)
2 死 者:約2.3万人
3 負 傷 者:約12.3万人(うち重傷者約3.7万人)
4 避 難 者:約720万人(うち避難所生活者約290万人)
5 帰 宅 困 難 者:約800万人(うち都内は約490万人)
6 停 電 軒 数:約1,220万軒(全体の約5割。94%復旧まで
に1か月程度要する見込み)
7 断 水 人 口:約1,440万人(全体の約3割。97%復旧まで
に1か月程度要する見込み)
8 下水道機能支障人口:約150万人(全体の数%程度)
9 ガ ス 供 給 停 止 軒 数:約159万軒(全体の約2割。95%復旧までに1
か月程度要する見込み)
固定電話不通回線数:約470万回線(全体の約5割。91%復旧までに110か月程度要する見込み)
交 通 機 関 の 状 況:交通寸断の発生(一般国道及び都県道における交通11 - 6 -
機能支障、鉄道の運行停止)
第4節 本計画における当省等の被害状況の想定
本省庁舎(6号館A棟及び赤れんが棟)等の想定被害状況は、政府業務継続
計画(首都直下地震対策)及びガイドラインに基づき、次のとおりとする。
1 建 物:倒壊又は崩壊するなどのおそれは小さいが、建物内部の固定さ
れていない什器、天井等が転倒・落下し、片付け等に半日以上
要する。
2 電 気:発災後1週間は停電する (自家発電装置作動)。3 ガ ス:発災後1週間は使用不能。
4 上 水:発災後1週間は断水。
5 中水 :発災後1週間は使用不能。
(トイレ)
6 下 水 :発災後1か月は利用に支障が生じる。
7 電 話 :発災後、固定電話及び携帯電話ともに、電話回線の断線又は輻
輳(電話がかかりにくい状態)が生じ、1週間使用不能。パケ
ット通信(メール)は、遅延の可能性はあるが使用可能。
8 :発災後しばらくの間停止。
エ レ ベ ー タ ー
9 :発災後1週間は利用に支障が生じる。
イ ン タ ー ネ ッ ト情報システム:停電、上水・ガスの復旧まで利用に支障が生じる。10鉄 道:発災後、地下鉄は1週間運行停止。JR及び私鉄は1か月運行11停止。
道 路:主要道路の啓開には1週間を要する。12第3章 非常時優先業務等
第1節 非常時優先業務等の特定
首都直下地震が発生したとき、当省業務の遂行に必要となる資源が大幅に不
足する状況下においても国民の期待に応えた災害時の行政活動を展開していく
ためには、あらかじめ真に業務継続が必要な業務を特定し、当該業務の遂行に
必要となる資源の優先的確保を図り、当省の有限な資源の効率的かつ効果的な
配分等を計画的に推進する必要がある。このため、当省が行うべき所掌事務等
について、災害が発生した場合の業務の遅滞や停止による社会への影響の重大
、 。
性を個々に分析することによって 非常時優先業務等の特定を行うものとする
なお、特定に当たっては、テレワークで実施できる業務と実施できない業務
- 7 -
を精査しておくものとする。ただし、インターネット回線や電力等の利用に長
期的かつ広域に支障が生じる場合は、テレワークを利用した執務体制は極めて
困難となること及び情報システムとの接続ができなくなる場合があることに留
意する。
第2節 業務影響度分析
法務省防災業務計画に定める災害応急・復旧・復興業務、通常業務及びこれ
らの業務に含まれない新たに発生する緊急的業務について、業務影響度分析を
実施する。分析は、ガイドラインの指針に従い、個々の業務について、あらか
じめ目標レベル(行政対応がどの程度適時・適切に実施されていると言えるか
を表す指標)を定めた上、発災後から、時間経過別に、当該目標レベルへ達し
ていなかった場合の影響の重大性を評価することにより行う。なお 「影響の、重大性」の評価は下表の基準に従うものとし、この結果、発災後おおむね2週
間以内に「影響の重大性」がIII以上に達する業務を非常時優先業務等と特定す
る。
影響の重大性の評価基準表
(注記)中央省庁業務継続ガイドライン第3版に基づき作成
第3節 非常時優先業務等
業務影響度分析により特定された本省の非常時優先業務等は、次のとおりで
影響の
重大性
各業務の開始・再開が遅れることに伴う代表的な影響の内容
I 〇社会的影響はわずかにとどまる。
〇ほとんどの人は全く影響を意識しないか、意識をしてもその行政対応は許容可能な範囲で
あると理解する。
軽微
II 〇若干の社会的影響が発生する。
〇しかしながら、大部分の人はその行政対応は許容可能な範囲であると理解する。
小さい
III 〇一定程度の社会的影響が発生する。
〇社会的な批判が一部で生じ得るが、過半の人はその行政対応は許容可能な範囲であると理
解する。
中程度
IV 〇相当大きな社会的影響が発生する。
〇社会的な批判が多く発生し、過半の人はその行政対応は許容できないと考える。
大きい
V 〇甚大な社会的影響が発生する。
〇大規模な社会的批判が発生し、大部分の人はその行政対応は許容できないと考える。
甚大
- 8 -
ある。
第1 管理事務
1 安否確認
各局部課等は、当省で運用している安否確認サービス等を利用して、所属職
員及びその家族の安否を速やかに確認するとともに、同安否情報を集約の上、
大臣官房秘書課広報室等に報告するものとする。
2 被害情報等の収集
個別の災害応急対策は所管各庁において行うこととなるが、本省は、これら
の被害情報やその被害による影響等を把握し、適切な措置を執ることが求めら
れる。そのため、被害情報等の収集に当たっては、必要に応じて複数の担当者
が直ちに非常参集を開始するとともに、電話回線の輻輳を受けない衛星携帯電
話、携帯電話のパケット通信、各ネットワーク等を使用して、所管各庁・関係
機関等との連絡調整体制を早急に確立し、2時間以内を目処に正確かつ迅速な
情報の収集を行うものとする。
3 法務省災害対策本部の設置
当省全般の統一的な意思決定を行うため、速やかに、法務省防災業務計画に
おいて定められた法務省災害対策本部(以下「災害対策本部」という )の設。置をする。なお、災害対策本部は、必要があると認められたとき法務大臣によ
って設置されることから、勤務時間外の電話回線が輻輳している状況であって
、 、
も 災害対策本部の構成員や事務局員に必要な情報を伝達できる体制を整備し
もって、可及的速やかに災害対策本部が設置・機能できるよう努めるものとす
る。
4 避難誘導業務
6号館A棟の来省者や赤れんが棟の法務史料展示室の見学者等については、
その生命・身体の安全を確保することを優先的に実施するため、安全地帯への
避難誘導等の措置を速やかに講じるものとする。
5 執務環境の確保
非常時優先業務等を円滑に遂行するため、6号館A棟及び赤れんが棟におけ
る設備等の被害状況を把握し、非常電源の供給など、執務環境の確保に必要な
措置を速やかに講じるものとする。
第2 継続すべき重要業務
1 収容施設における被害状況の確認等
当省では、刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び入国者収
容所等の収容施設を所管していることから、発災後、直ちに、被害状況を把握
し、収容業務継続のための必要な対策を講じるものとする。
- 9 -
2 出入国及び在留の管理
地方出入国在留管理官署や関係機関との連絡体制を確保して、発災による入
国・在留審査業務等への影響を把握するほか、出国確認留保対象者等に係る関
係機関からの通報や照会を受理する体制の確保に努めるとともに、必要な指示
等の検討及び発出を行う。
3 国外からの人的支援の受入れ
関係機関との連絡体制を確保し、緊急災害対策本部へ要員の派遣を行うとと
もに、地方出入国在留管理官署との連絡体制の確保に努め、出入国港における
海外支援受入の調整を行う。
4 テロリズム等の防止
社会的秩序の混乱に乗じたテロリズム等の発生を未然に防止するため、発災
後、直ちに調査対象団体等における不穏動向及び当該団体等に影響を与える内
外の諸動向等について、正確かつ迅速に調査し、その調査の過程で収集・分析
した情報を速やかに官邸等の関係機関に提供するとともに、必要に応じて当該
団体等の規制処分のための準備行為を行う。
5 登記情報システム等の復旧
国民の権利・義務に直接影響する登記事務の停止等を防ぐため、発災後、登
記情報センターの被害情報を直ちに収集した上、必要に応じて、速やかに修繕
工事等を行い、早期の復旧ができるよう努めるものとする。
第4章 業務継続のための備え(執行体制の確立)
第1節 指揮命令系統の確保
非常時における混乱を防止し、非常時優先業務等を円滑に遂行するため、あ
らかじめ職務代行者やその権限範囲等を定めて指揮命令系統を明確にする措置
を講じるものとする。
第1 本省幹部の職務代行
発災後、事務次官又は官房長の不在により非常時優先業務等に著しい影響が
生じるおそれがあるときは、大臣官房秘書課長、大臣官房人事課長、大臣官房
会計課長、大臣官房国際課長、大臣官房施設課長の順位により職務の代行を行
うものとする。
第2 各局部課等における職務代行
各局部課等は、非常時における必要な職務代行の体制をあらかじめ定めるも
のとする。
- 10 -
第2節 連絡体制の確保等
第1 自衛消防隊等との調整
安全な執務環境が確保されなければ、非常時優先業務等を実施することは、
危険と言わざるを得ない。したがって、自衛消防隊として指名された者が発災
に伴い招集されたときは、消防計画(消防法)に基づいて初期消火活動等に従
事することが求められる。
自衛消防隊被指名者と第3節に定める非常時優先業務等担当者又は非常時優
先業務等進行管理者が同一であることが、非常時優先業務等の実施に著しく影
響を及ぼすおそれがあるときは、あらかじめ、異なる担当者を選定するなど、
適当な調整を図るものとする。
第2 官邸リエゾンの確保
「首都直下地震対策大綱」において、おおむね2時間以内に開設するとされ
ている緊急災害対策本部との連絡手段を確保するため、官邸に迅速に非常参集
できる職員を選定して連絡体制の構築を行うものとする。
第3 国会連絡調整事務における連絡体制
国会との連絡調整事務を的確かつ迅速に行うため、当該事務を担当する非常
、 、
時優先業務等担当者やその代替職員には より参集時間が短い職員を充てた上
携帯電話のメールアドレスの共有等により関係職員相互の連絡体制の構築を行
うものとする。
第4 情報の発信
当省関係の被害や業務の状況等を報道機関を通じて対外的に情報提供するた
め、携帯電話のメール機能やWeb171の利用も含めて報道機関との連絡体制
の構築を行うほか、法務省ホームページやSNS(ソーシャル・ネットワーク
・サービス)を活用するなどし、正確かつ迅速に国民に対して直接情報を提供
する措置を講じるものとする。なお、この場合において、日本に在留する外国
人に対しても幅広く情報を伝達できるよう、可能な限り多言語化に努めるもの
とする。
第5 職員家族との連絡手段構築の推進
職員家族の安否は、当該職員が業務に専念するための前提となることから、
電話回線が輻輳している状況においても職員とその家族間で連絡が可能となる
よう、民間事業者が提供する家族安否等確認システムや災害用伝言ダイヤル等
の手段を職員へ周知するなどの対策を講じるものとする。
第6 事業者との連絡体制
保守契約時間外や交通機能が寸断されている場合においても、確実に、運用
- 11 -
管理支援業者から必要な支援を受ける必要があることから、特に電気、ガス、
上下水道、通信、非常用発電設備や公用車の燃料等の事業者のほか、情報シス
テム、事務機器、エレベーター等の維持管理事業者との連絡体制の構築に努め
るものとする。
第7 地方公共団体との連絡体制
首都直下地震等発生時に非常時優先業務等を適切に遂行するためには、地方
公共団体におけるインフラ、ライフライン等の被害状況に関する情報収集を行
うことも必要であることから、必要に応じて、周辺の地方公共団体との連絡体
制の構築に努めるものとする。
第3節 非常時優先業務等
第1 非常時優先業務等担当者とその代替職員の選定・確保
1 非常時優先業務等担当者の選定を行うものとする。なお、非常時優先業務等
の変更や人事異動が行われた場合等は、速やかに、新たな担当者の選定を行う
ものとする。
2 非常時優先業務等担当者の代替職員の選定を行うものとする。代替職員は、
担当者が当該業務を行えないときに、その業務を行うものとする。なお、人事
、 、 。
異動が行われた場合等は 速やかに 新たな代替職員の選定を行うものとする
担当者が被災等により必要な業務に従事できない場合は、当該業務の遅滞・
停止が発生するおそれがあることや、長時間にわたり非常時優先業務等を実施
する場合には、当該職員が連続して業務に従事することとなり、業務の効率等
が維持できない事態が想定される。そこで、非常時優先業務等の遅滞・停止を
防ぎ、又は非常時優先業務等の効率等を維持するため、あらかじめ複数の代替
職員を確保した上、必要なマニュアル・チェックリスト等や連絡体制を整備す
る措置も講じるものとする。
第2 非常時優先業務等進行管理者とその代替職員の選定・確保
1 非常時優先業務等進行管理者の選定を行うものとする。
進行管理者は、必要な非常時優先業務等が的確に実施されているか否かを確
認し、必要に応じ、当該業務の代替職員等を呼び寄せるなどの措置を講じるこ
と、幹部職員や法務省災害対策本部(以下「災害対策本部」という )等との。連絡調整に関すること、通常業務体制への復帰に係る連絡調整に関すること、
非常時における行政対応の記録作成に関すること、その他非常時における連絡
調整に関することを担うものとする。なお、人事異動が行われた場合等は、速
やかに、新たな進行管理者の選定を行うものとする。
2 進行管理者の代替職員の選定を行うものとする。代替職員は、進行管理者が
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当該業務を行えないときに、その業務を行うものとする。なお、人事異動が行
われた場合等は、速やかに、新たな代替職員の選定を行うものとする。
進行管理業務の遅滞・停止を防ぎ、又は進行管理業務の効率等を維持するた
め、あらかじめ複数の代替職員を確保した上、必要なマニュアル・チェックリ
スト等や連絡体制の整備をする措置も講じるものとする。
第4節 参集評価
第1 参集評価の実施等
迅速に初動体制を確立して非常時優先業務等を実施するためには、首都直下
地震が勤務時間外に発生し、参集が不能となる職員が発生した場合などにおい
ても、非常時優先業務等を実施する上で必要な職員を執務場所に迅速に参集さ
せることができる体制をあらかじめ構築しておく必要があることから、各局部
課等は、所属する全職員を対象として、ガイドラインに基づき参集評価を実施
する。また、各局部課等は、参集評価に基づき、参集要員の氏名、担当する非
常時優先業務又は管理事務、徒歩参集時間及び発災時に当初予定していた職員
が参集できなかった場合の応援職員等について記載した参集要員名簿を作成
し、人事異動等があった場合には、参集評価を実施した上で、速やかに更新を
行うものとする。
第2 職員が不足する場合の対応等
各局部課等は、参集評価の結果を踏まえ、非常時優先業務等の継続に必要と
なる職員が不足する場合は、限られた職員で対応できるように執行体制を見直
すことや、近傍に居住する職員には発災時に担当業務にかかわらず参集を求め
るなどの方策によって参集可能な職員の拡充を図る措置を講ずる。
なお、本省庁舎が「自ら被災」した状況においては、職員をはじめとする業
務資源の量と質への直接の影響が少なかったとしても、災害応急対策業務量の
増加によって、結果的に業務資源が制約を受ける可能性がある点にも留意する
必要がある。
第5節 発災時の行動
第1 勤務時間外における発災時の行動
1 非常時優先業務等担当者及び同進行管理者の参集義務
非常時優先業務等担当者及び同進行管理者は、自己の身の安全を確保し、家
族の安否を確認した上、指示を待つことなく速やかに本省(本省以外で執務す
る場合はこの限りではない )に非常参集し、担当業務を遂行しなければなら。ない。
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2 代替職員の参集義務
非常時優先業務等担当者及び同進行管理者の各代替職員は、自己の身の安全
を確保し、家族の安否を確認した上、所定の手段によって担当の業務が実行さ
れているか否かの確認に努め、実行されていないことを了知したときは、指示
( 。)を待つことなく速やかに本省 本省以外で執務する場合はこの限りではない
に非常参集し、当該業務を遂行しなければならない。なお、業務が実行されて
いるか否か判然としないときは、非常参集を要するものとする。
(注記) 徒歩参集の場合は、悪路が想定されることから、携行品はリュックサック等に入れて両手の自由を確保した
上、スニーカー等を履いて参集することが望ましい。
(注記) 参集する場合は、身分証、筆記用具及び携帯電話のほか、可能な限りの飲食物、着替えを持参することが望
ましい。
3 非常参集免除事由
次の各号のいずれかに該当する場合は、前記1及び2にかかわらず、非常参
集することを要しないものとする。
( ) 自己若しくは家族が被災し、又はこれらの者に切迫した危険がある場合1( ) 自己又は家族の病気等の理由により活動困難な状況にある場合2( ) 他の業務で遠隔地に出張中の場合3( ) 参集途中の火災等により、参集が事実上不可能な場合若しくは生命・身体4に著しい危険が予想される場合又は救命活動に参加する必要が生じた場合
( ) 非常時優先業務等がテレワークで実施可能であると進行管理者が判断した5場合。なお、判断に当たっては、インターネット回線や電力等の利用に長期
的かつ広域に支障が生じる場合及び、情報システムとの接続ができなくなる
場合があることを考慮するものとする。
( ) その他前各号に掲げる事由に類する場合64 他の職員の行動
上記1及び2のいずれにも該当しない職員は、自己及び家族の安否情報を所
定の手段・方法により連絡した上、自宅等において待機を行うものとする。
参集の要請があったときは、直ちに参集するものとし、この場合における参
集免除事由は、上記3と同様とする。
5 参集職員の待機・宿泊場所
参集職員の待機・宿泊場所については、女性職員が安心・安全に利用できる
よう男女別とするものとし、災害対策本部が、6号館A棟及び赤れんが棟の被
害状況等を勘案した上で、決定する。なお、待機・宿泊場所の検討に当たって
は、女性職員が参画するものとする。
第2 勤務時間内における発災時の行動
1 非常時優先業務等担当者及び同進行管理者の行動
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非常時優先業務等担当者及び同進行管理者は、自己の身の安全を確保し、家
族の安否を確認した上、担当業務を遂行しなければならない。なお、発災時に
テレワーク勤務中であるときは、前記「非常参集免除事由」に該当する場合又
は担当する非常時優先業務等が本省勤務中の代替職員により遂行可能と進行管
理者が判断した場合を除き、速やかに本省(本省以外で執務する場合はこの限
りではない )に非常参集するものとする。。2 代替職員の行動
非常時優先業務等担当者及び同進行管理者の各代替職員は、自己の身の安全
を確保し、家族の安否を確認した上、非常時優先業務等担当者がテレワークや
出張等により不在の場合があることを踏まえて担当の業務が実行されているか
否かの確認に努め、実行されていないことを了知したときは、当該業務を遂行
しなければならない。なお、この場合において、発災時にテレワーク勤務中で
あるときは、前記「非常参集免除事由」に該当する場合を除き、速やかに本省
( 。
) 。
本省以外で執務する場合はこの限りではない に非常参集するものとする
3 業務遂行免除事由
業務遂行免除事由は、前記「非常参集免除事由」と同様とする。
4 他の職員の行動
上記1及び2のいずれにも該当しない職員は、自己及び家族の安否情報を所
定の手段・方法により連絡した上、非常時優先業務等の支援に関することを行
うものとする。また、災害対策本部において、職員の一斉帰宅抑制及び施設内
待機の方針が決定された場合は、当該方針が解除されるまでの間、帰宅せず施
設内に待機するものとする。
5 職員の待機・宿泊場所
発災により公共交通機関が運行を停止し、帰宅が困難である職員は、原則と
して、所属する各局部課等の事務室、応接室及び会議室等において待機・宿泊
することとし、災害対策本部構成員及び事務局員並びに各局部課等の職員のう
ち、非常時優先業務等担当者、同進行管理者及び女性職員の待機・宿泊場所に
ついては、第4章第4節第1の5の例により決定する。
6 診療所職員の行動
本省内診療所においては、負傷者が発生した場合は、消防計画等に基づき、
医師及び看護師により応急救護活動を行うものとする。また、在勤している医
師も協力して応急救護活動を行う。
第3 総合調整
本省における基礎資源が想定以上に逼迫したり、又は一部の部署における人
的資源が危機的状況に陥るなど、当省の業務継続に著しい支障が生じるおそれ
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があり、本省全般にわたる横断的な意思決定が求められるときは、災害対策本
部がこれを決断し、必要な総合調整を行うものとする。なお、一部の部署にお
いて、人的資源が危機的状況に陥った場合は、以下の手順のとおり対応するも
のとする。
1 各局部課等の進行管理者は 非常時優先業務等を行うに当たり必要な職員 代
、 (
替職員も含む )が諸事情により参集できない場合など、当該業務に必要な人。員が不足していると認めるときは、応援を要する業務の内容及び必要な人員数
を災害対策本部に申し出るものとする。
2 災害対策本部は、上記1の申出を受けたときは、他の局部課等の進行管理者
及び防災業務担当者と連絡を密にし、応援職員を選定の上、申出を行った進行
管理者に当該応援職員の所属部署名と氏名について連絡する。また、応援職員
を選定するに当たっては、当該業務を過去に通常業務として経験したことがあ
る職員がいる場合は、その者を優先して選定するものとする。
3 他の局部課等への応援が決まった職員は、速やかに応援先の局部課等の進行
管理者の指示を仰ぎ、応援を要する非常時優先業務等に従事するものとする。
第4 帰宅困難者の受入れ
首都直下地震等の発生により多数の帰宅困難者(発災時に来省していた外部
の者を含む )が発生する事態に備え、非常時優先業務等の実施に支障のない。範囲内で当省において受入れ可能な帰宅困難者の人数、受入れ場所及びその運
用方法について、庁舎管理・警備の観点と併せて検討し、マニュアルに定める
ものとする。
第6節 計画発動の適用基準
第1 計画の発動
原則として、東京23区内において、震度6強以上の首都直下地震が発生し
たとき、本計画(発災時の行動)は自動的に発動するものとする。また、上記
以外の場合における本計画の発動は、災害対策本部又は防災連絡会議の決定に
より行うものとし、これらの会議体を設置又は緊急招集するいとまがないとき
は、官房長の決定により行うものとする。
第2 警戒態勢
原則として、東京23区内において震度5弱以上〜震度6弱以下の地震が発
生したときは、警戒態勢とし、発災時の行動が遂行可能な体制を保つものとす
る。
第7節 通常体制への復帰
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第1 通常体制復帰の判断
災害対策本部は、非常時の体制から通常体制への復帰が相当であると判断し
たときは、非常時優先業務等進行管理者に対してその旨の指示を行うものとす
る。このとき、必要に応じ、本省幹部の職務代行措置を講じていた場合は、そ
の解除に関する連絡も併せて行うものとする。
第2 復帰情報の周知
非常時優先業務等進行管理者は、通常体制への復帰の指示を受けたときは、
所定の手段によって自宅待機職員等へその旨の周知を行い、迅速かつ円滑な通
常体制への復帰に努めるものとする。
第3 非常時における行政対応の記録分析
各局部課等は、非常時優先業務等進行管理者が作成する「非常時における行
政対応の記録」を取りまとめてその分析を行い、非常時優先業務等、職員参集
を含めた執行体制、執務環境、対応手順及び各種マニュアル等の効果について
評価し、必要な見直しを行うものとする。また、大臣官房秘書課広報室は、こ
れらの分析結果を取りまとめ、本計画等の効果について評価し、必要な見直し
を行うものとする。
第4 費消した備蓄物資等の補充
費消した備蓄物資等の補充を速やかに実施する。なお、当該物資の種類や数
量を十分に検討して計画的かつ有効な物資の補充・備蓄に努めるものとする。
また、応急救護活動等で費消した医薬品等の共済物資については、復旧後に
国の経費から補填する。
第5章 業務継続のための備え(執務環境の確保)
第1節 執務室
第1 出入口の確保
執務室へのスムーズな入室を
可能とし、あるいは執務室の閉
塞を防止するため、執務室出入
口付近のオフィス家具等を移動
するなどして、必要なスペース
の確保を行うものとする。
また、風水害対策として止水
板や土嚢袋等を設置対策してお
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くことが望ましいが、浸水を防止する措置を講ずることができない場合には、
業務継続に不可欠となる機器等を可能な限り高い位置に配置するよう努めるも
のとする。
第2 オフィス家具等の転倒防止・重量物の落下防止
オフィス家具等の転倒及び重量物の落下を防止するため、オフィス家具等の
固定、上段に置いてある重量物や落下のおそれがある重量物を低い位置に移動
、 。
するほか 固定された戸棚等の扉の開放防止対策等の措置を講じるものとする
また、窓ガラスの飛散防止措置の必要性を確認し、必要に応じてガラス飛散防
止フィルムの貼付等の措置を講じるものとする。
第3 消耗品等の供給体制の確保
コピー用紙やトナー等の消耗品については、常時1か月以上のストックを確
保するよう努めるものとするが、困難な場合は、継続的に供給できる体制を確
保するものとする。
第4 定期的な点検
発災後のより高い水準の執務環境を維持するため、上記第1ないし第3の措
置について、定期的に点検を行うものとする。
第2節 電力・ガス
第1 電力
自家発電設備の発電可能時間については、燃料の確保及び電力使用設備・箇
所の精査、発災時の電力供給フロアや夏期における空調機器の使用可能フロア
を限定することにより、1週間程度は商用電源の配電がなくとも業務が実施で
きるような措置を講じるものとする。また、電力供給できないフロアを使用す
る場合に備え、懐中電灯等の保管場所を定めておくものとする。
第2 ガス
ガスについては、発災時であっても供給が継続される可能性が高いものの、
安全装置により供給が一時中断し、事業者が安全確認を行いながら開栓作業を
行うまでは使用できない可能性もあるほか、仮にガス導管が損傷を受けた場合
は復旧までに1か月以上を要すると考えられるため、ガスの用途、供給形態、
庁舎内の配管の耐震性等を確認し、必要な措置を検討するものとする。
第3節 備蓄
第1 食料、飲料水等の備蓄
食料、飲料水、簡易トイレ、医薬品等生活に必要な物品の備蓄については、
以下を参考にした上、参集職員については発災後1週間の活動を、参集職員以
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外の職員等については発災後3日間の活動を念頭に置いて計画的に行うものと
する。
また、第4章第4節第2の6により行う応急救護活動処置業務に必要な医薬
品等については、本省内診療所と調整を図り、整備する。
・食料:1人1日3食
・飲料水:1人1日3l
・毛布:1人1枚
・ し尿」排泄回数:1人1日当たり平均5回程度「第2 簡易トイレの設置等
簡易トイレや仮設トイレの設置・運用に当たっては、利用者の精神的負担を
軽減させるために、可能な限り男女別に利用できる環境を整備するとともに、
障害者等への配慮を行うほか、災害発生時は廃棄物処理業者においても道路の
被災状況等により直ちに収集できない可能性があることから 「し尿」廃棄物、、 。
の一時保管場所を適切に選定するなど 職員の感染症対策を講じるものとする
第3 保存期間
備蓄物資については、有効期限や賞味期限等を踏まえて保存期間を設定し、
合理的な時期に適切に更新する必要があるほか、有効期限の表示がないものに
ついては、メーカーのWebサイト等で推奨期限を確認し、これを基準として
保存期間を設定するものとする。なお、備蓄食料の更新に当たっては、食品ロ
ス等の観点を踏まえ、有効に活用するよう努めるものとする。
第4 効果的な備蓄の方法等
物資の備蓄については、女性の視点や障害者等の多様なニーズを踏まえて適
切に行う必要があることから、その選定は、女性職員等の参画により行うもの
とする。また、備蓄物資の保管場所は、倒壊や浸水等の可能性が低く物資の運
搬が比較的容易な場所を検討するほか、6号館に入居する官署がそれぞれで備
蓄物資を調達・管理することで非効率となることも考えられるため、入居官署
間で調整を行いながら備蓄するなど、効率的な備蓄物資の調達・管理の方策を
検討するものとする。
第5 庁舎内営業体等における資源の活用
庁舎内に所在する飲食店、コンビニエンスストア等との間で、非常時におけ
る協力体制について平常時から確認しておくとともに、各店舗が管理している
、 ( )
商品等のうち 提供を受けることにつき同意を得られたもの 食料や飲料水等
については、災害対策本部がこれらの活用方法を検討する。
第4節 情報連絡体制の整備・強化
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第1 通信
1 発災時における連絡体制の整備等
電話回線が輻輳している状況においても、職員の安否確認のための連絡、人
的資源確保のための連絡及び所管各庁の被害情報を集約する必要があることか
ら、まずは携帯電話のメールによる連絡を行い、大幅に遅延するなど利用に支
障があると認められる場合には、民間事業者が提供する安否等確認システム又
は災害用伝言板(Web171)により相互連絡を行うものとする。このため、
関係職員間におけるメールアドレスの共有のほか、上記安否等確認システム等
の利用方法の周知により、連絡体制の整備・強化を行うものとする。
2 通信網の冗長化
非常時優先業務等の円滑な実施のため、固定電話、携帯電話(災害時優先電
話を含む 、インターネット回線、省内拠点間の広域ネットワーク、中央防災。)
無線、衛星携帯電話、IP無線及びMCA無線等のできるだけ多様な通信手段
を確保するとともに、訓練等によりこれらの通信手段の使い方を習熟させ、通
信網の冗長化を図る。また、迅速な指揮命令系統の確立のため、幹部職員が参
集できない場合の通信手段を検討するものとする。
第2 情報システム
1 情報システム運用継続計画の策定
首都直下地震等を原因として情報システムが停止した場合、非常時優先業務
等の継続が困難となることが想定されるほか、メールやインターネット等の情
報収集・共有・伝達手段、基幹LAN及びこれにアクセスするための認証基盤
等が利用不可能となった場合は、非常時の情報収集・共有・伝達手段が極めて
限定され、初動の対応業務そのものに深刻な影響を生じることとなる。そのた
め、大臣官房秘書課政策立案・情報管理室及び非常時優先業務等を支える情報
システムを所管する各局部課等は、当該情報システムの継続性を強化し、適切
に維持管理していくための具体的な事項を定めた情報システム運用継続計画を
策定する。
2 重要な情報システムに係る緊急時の連絡体制の確保
情報セキュリティインシデント等の発生に備え、重要な情報システムについ
て、緊急連絡先、連絡手段、連絡内容を含む緊急連絡網を、大臣官房秘書課政
策立案・情報管理室と各局部課等の間で整備するものとする。
第5節 非常時優先業務等の継続のための備え
第1 非常時優先業務等に必要なデータの保存
免震措置が施されていないサーバーが破損又は毀損した場合、電子データを
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迅速かつ円滑に引き出すことが不可能となるため、非常時優先業務等の継続に
必要なデータ・記録等を把握し、これらの電磁的記録媒体や紙ベースのファイ
ル等への保存を行うものとする。
第2 停電時における基幹LAN等を使用する非常時優先業務等の継続のための措置発災による6号館A棟等の停電時においても、基幹LAN及び省内ネットワ
ークを使用する非常時優先業務等の適正な業務継続を図る必要がある。そのた
め、当該LAN等が稼働していることを前提として、自家発電装置により給電
された6号館A棟1階公文書監理室において、各局部課等の当該業務担当者が
集中的に執務することとし、その要領を別途整備する。
第3 各局部課等における個別の検討事項
各局部課等は、6号館が被災した場合を想定し、地方支分部局等において本
省業務を代行するなど、一定の業務が継続してできるよう代替機能を確保する
等の個別の事情に応じた対策の検討を行うものとする。
第6節 代替庁舎
第1 代替庁舎の確保
、 、
本省庁舎が被災により使用できない場合の当省の代替庁舎は 九段合同庁舎
国際法務総合センター及び立川第二法務総合庁舎とする。ただし、各庁舎が被
災により使用できず業務継続が困難な場合に備えて、東京圏外における代替庁
舎の確保の必要性について、政府全体の動向を見ながら検討する。
第2 代替庁舎への移転等
代替庁舎への移転については、本省庁舎の被災状況のほか、政府における緊
急災害対策本部の設置場所等を踏まえ、災害対策本部又は防災連絡会議におい
て決定するものとし、これらの会議体を設置又は緊急招集するいとまがないと
きは、官房長が決定を行う。また、代替庁舎への移動手段、執務環境の確保及
び代替庁舎に直接参集する職員の選定等について、首都直下地震発生時におけ
る各地域の建物倒壊の危険性等を踏まえながら、継続的に検討を行うものとす
る。
参考:東京都市整備局において、各地域における地震に関する危険性を測定した「総合危険度ランク図」を公
表している。
第6章 訓練・教育
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第1節 訓練
1 目的
非常時における職員の即応力や計画の実効性の向上を図ることを目的とし、
毎年1回以上必要な訓練を行うものとする。
なお、訓練の実施に当たっては、ガイドラインに定める各訓練の企画に際し
て考慮すべき観点を踏まえ、適切に評価・検証を行うものとする。
2 基本方針
次に掲げる事項に配意の上、訓練を行うものとする。
( ) 非常時において最も重要な情報伝達網の実効性を確保すること。1( ) 非常時優先業務等担当者、同進行管理者、各代替職員及びこれ以外の職員2それぞれの非常時における適切な行動の実効性を確保すること。
3 訓練の類型
上記2の基本方針を踏まえた訓練は、以下の類型のものとし、その中からい
ずれか又は複数のものを複合させて行うことができるものとする。
( ) 安否等確認訓練1( ) 被害状況報告・集約訓練2( ) 非常参集訓練3( ) 災害対策本部設置・運営訓練4( ) 自衛消防隊等との連携による防災訓練5( ) 情報システム運用継続計画に基づく訓練6( ) その他当省の業務継続に必要な訓練74 訓練記録の作成と分析
( ) 訓練を実施したときは、経過及び結果等について記録を作成し、本計画等1改善の参考資料とするため、必要な分析を加えるものとする。
( ) 各局部課等において訓練を実施したときも上記同様に記録を作成し、第22章第1節第2において整備する対策等の改善に資するよう、必要な分析を加
えるものとする。なお、訓練記録の写し1部を大臣官房秘書課広報室へ提出
する。
第2節 教育
1 目的
本計画の実効性は、これを実施する職員の本計画に対する理解の深さ
や教育等を通じて培った知識・経験に影響される。このため、非常時優
先業務等担当者、同進行管理者及び各代替職員はもとより、それ以外の
職員であっても初期対応の応援等に加わる可能性があることから、全て
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の職員がいざというときに十分な心構えを持って業務を完遂できる、実
践に強い組織を作ることを目的とし、必要な教育を行うものとする。
2 基本方針
次に掲げる事項に重点を置いて、教育を行うものとする。
( ) 職員一人ひとりが本計画内容を理解・把握すること。1( ) 業務継続計画の趣旨を踏まえた自衛意識の高揚2( ) 人事異動等があったとき自発的に必要な資料更新をするなどの習慣の醸成3( ) 基礎資源、データ・記録、マニュアル及び情報システムなどを平時から確4認・把握することの重要性の啓発
3 人事異動後の業務継続力維持
本計画の実効性を維持するためには、人事異動等により体制の変更があった
場合でも、本計画に携わる全ての職員において、前任者から後任者に対して適
切に引継ぎを行い、組織的な対応力の低下を防止しなければならない。このた
め、前任者から後任者への引継ぎに当たっては、以下の点を踏まえて適切に行
うものとする。
( ) 引き継ぐべき文書等1・本計画及び各局部課等における業務継続計画
・非常時優先業務等の実施に関するマニュアル・業務要領等
・災害発生時における緊急連絡先一覧
・過去の訓練、教育、災害対応に関する記録
・中央省庁業務継続ガイドライン
・その他当省の業務継続に必要な資料
( ) 業務継続に関する心構え等2・非常時優先業務等の担当者等は着任の初日から責任が発生すること
・本計画に関する取組は防災担当部署のみの業務ではないこと
・本計画に関する取組の実施のためには、業務継続に関する知識等が必要で
あるため、一般的な防災の知識のみでは不足があること
・職員が円滑に参集するためには、職員個人はもとより、家族の安否確認等
を円滑に行う必要があることから、自宅・家族の防災対策を見直すこと
第7章 推進体制と計画の修正
第1節 本省の推進体制
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本省の業務継続計画を総合的かつ計画的に推進するため、本省に法務省業務
継続計画推進会議(以下「推進会議」という )を設置する。。第2節 各局部課等の推進体制
各局部課等における業務継続力の確保・向上を計画的に推進するため、その
体制の整備を行うものとする。
第3節 計画の修正
1 大臣官房秘書課広報室は、業務継続の取組や計画の妥当性を図るため第6章
第1節の3記載の訓練を適時に実施した上で、その検証作業を行い、当該作業
の結果、洗い出された問題点や是正すべき点等があると思料するときはそれを
取りまとめ、推進会議に報告することとする。また、訓練の検証結果の報告を
、 、
受けた推進会議は 具体的な問題点や是正すべき点について更なる検討を加え
改善すべきところがあれば、計画の修正を行い、一層の業務継続力の確保・向
上を目指すものとする。
2 大臣官房秘書課広報室は、政府において新たに中央省庁業務継続ガイドライ
ン及び政府業務継続計画(首都直下地震対策)等が策定されるなどした場合に
は、速やかに本計画の修正の要否を検討し、その結果を推進会議に報告するも
のとする。また、同報告を受けた推進会議は、同ガイドライン等の内容を踏ま
えて、本計画について必要な修正を行うものとする。

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