資 料1事務局資料
持続可能な保護司制度の
確立に向けた検討会
報 告 書
( 案 )
令和6年しろまるしろまる
目 次
I 保護司・保護司制度を取り巻く現状 頁
II 課題事項 頁
III 課題事項に関する検討結果 頁
1.推薦・委嘱の手順、年齢条件 頁
〔今後講じていく施策等〕 頁
2.職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化 頁
〔今後講じていく施策等〕 頁
3.待遇、活動環境 頁
〔今後講じていく施策等〕 頁
4.保護司の使命 頁
〔今後講じていく施策等〕 頁
5.保護司の安全確保 頁
〔今後講じていく施策等〕 頁
参考1 検討会構成員名簿 頁
参考2 検討会スケジュール 頁
参考3 保護司関係法規 頁
- 1 -
I 保護司・保護司制度を取り巻く現状
、 、
我が国の更生保護は 慈愛の心に基づく明治時代の免囚保護事業に源を発し
保護司を始めとする多くの民間篤志家の努力により、世界に類を見ない官民協
働態勢のもとで発展を遂げてきた。
昭和25年に保護司法が制定されて、現在の保護司制度の骨格が作られて以
降、全国の保護司は 「人は変われる」という信念のもと、同じ地域に住む隣、人の一人として、罪を犯した人や非行のある少年たちの個々の立ち直りを支援
する処遇活動を行うとともに、広報啓発や犯罪予防などの地域活動にも積極的
に取り組んできた。
平成10年には、保護司及び保護司組織の活動のこれまでの実績を踏まえ、
保護司の職務の明確化、保護司組織の法定化、地方公共団体による協力の充実
化などを目的とした、保護司法の改正が行われた。
令和3年には、第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)のサ
「 」 、
「 」
イドイベントとして開催した 世界保護司会議 において 世界保護司デー
の創設等を盛り込んだ「京都保護司宣言」が採択されるなど、"HOGOSHI"の
輪は世界への広がりを見せている。
他方で、近年、保護司の担い手確保が次第に困難となり、高齢化が進んでい
る。その背景として、地域社会における人間関係の希薄化といった社会環境の
変化に加え、保護司活動に伴う不安や負担が大きいことが指摘されて久しい。
これに対し、法務省においては、保護司の活動基盤強化と負担軽減等のため
に、保護司実費弁償金の充実、保護司会の拠点である更生保護サポートセンタ
ーの設置、保護司活動のデジタル化(保護司専用ホームページH@の導入 、)保護観察事件等担当の複数指名制の導入などを実施してきた。また、保護司適
、 、
任者の確保に向けて 地域から情報を収集するための保護司候補者検討協議会
保護司活動インターンシップ、広報を強化する保護司セミナーなどにも取り組
んできた。
しかし、保護司の減少傾向・高齢化という大きな流れには、なかなか歯止め
がかかっていない。
地域ボランティア全体が人材確保の課題に直面する中、保護司という比較的
困難な、しかし、やりがいを感じてくださることの多いボランティアに、どの
ようにすれば適任の方になっていただけるのか、そのための検討は待ったなし
の正念場を迎えている。
これまでにも、例えば、保護観察官と保護司の協働態勢の強化、公募や資格
制、報酬制などといった観点から、様々な指摘が繰り返しなされてきたところ
であるが、更に様々な角度から早急に検討を深めていく必要がある。
折しも、持続可能な社会(将来の世代のニーズを満たしつつ、現在の世代の
ニーズも満足させることができるような社会)の構築が目指される中、社会の
変化を見据え、安全で安心して暮らせる地域社会、ひいては日本社会の基盤を
なしてきた保護司制度についても、それを持続可能なものとし次世代につない
でいくことが求められている。すなわち、安全で安心して暮らせる地域社会を
実現するために、地域社会の一員として誰かが担わなくてはならない役割を果
たし続けている保護司に対して、改めて更生保護行政(更生保護官署)が真摯
に耳を傾け、保護司の価値を得心した上で、幅広い年齢層の保護司適任者が長
- 2 -
く保護司活動を継続できるような施策に取り組んでいくことが求められている
のである。
そこで、令和5年3月17日に閣議決定された「第二次再犯防止推進計画」、「 」
【 】
において 持続可能な保護司制度の確立に向けた検討・試行 施策番号64
が盛り込まれたことに基づき、令和5年5月17日付け法務大臣決定として、
「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」を設置し、検討することとさ
れた。
持続可能な保護司制度の確立に向け、今後講じていく施策は、保護司からの
具体的な要望に基づき、次世代に着実につないでいくために、できる限りのこ
とをするものでなければならない。そこで、若手からベテランに至るまで保護
司の多様な要望を広く把握し、それら一つひとつについて、どのような施策が
可能かを検討した。
もとより、価値観の多様化が著しい我が国の社会情勢の変化を予測すること
は困難であるが、次世代の保護司制度は、若手とベテランの世代間の考え方の
相違を乗り越え、幅広い年齢層の保護司が相互に協力し合える環境の下で、国
民からの理解もより広く得られるものとする必要がある。
以上の観点に立って、若手とベテランの双方の要望を可能な限り満たし、更
生保護官署及び保護司組織において真の実効性を持って運用される施策の策定
を目指すこととした。
なお、このような中、令和6年5月、滋賀県大津市において、保護司が自宅
において殺害され、担当する保護観察対象者が殺人容疑で逮捕される事案が生
( 「 」 。)。 、 、 、
じた 以下 大津事案 という この事態を受け 本検討会において 急遽
持続可能な保護司制度の前提条件ともいうべき保護司の安全確保についての議
論を行った。
- 3 -
II 課題事項
「第二次再犯防止推進計画」に盛り込まれた「持続可能な保護司制度の確立
に向けた検討・試行 【施策番号64】において 「法務省は、時代の変化に適
」 、
応可能な保護司制度の確立に向け、保護司の待遇や活動環境、推薦・委嘱の手
順、年齢条件及び職務内容の在り方並びに保護観察官との協働態勢の強化等に
ついて検討・試行を行い、2年を目途として結論を出し、その結論に基づき所
要の措置を講じる 」こととされた。。その中で挙げられている検討すべき課題事項を、保護司に委嘱され、実際に
保護司として活動していく流れに沿って 推薦・委嘱の手順 年齢条件 職、「 、 」、「
務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化」及び「待遇、活動環境」に
整理することとし、さらに、前記3つの実務的な課題事項を横断的に貫く理念
また、大
的な課題事項として 「保護司の使命」を新たに加えることとした。、津事案を踏まえて 「保護司の安全確保」を追加した。、4つの課題事項とそれに関する保護司の主な意見等は以下のとおりであ5り、これらを踏まえて検討を行った。
〔推薦・委嘱の手順、年齢条件〕
・保護司法第3条第1項(推薦及び委嘱 、第7条(任期))・公募制の導入
・委嘱時・再任時上限年齢の取扱い 等
〔職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化〕
・保護司法第8条の2(職務の遂行)
・処遇活動又は地域活動のみを行う等の担当制(保護司活動の限定)
の導入
・事件を担当することへの不安・負担の軽減
・平日夜間・休日の会合・研修実施や保護観察官の対応 等
〔待遇、活動環境〕
・保護司法第2条(設置区域及び定数 、第11条(費用の支給 、) )第13条(保護司会 、第17条(地方公共団体の協力))・会費・実費負担の取扱い
・報酬制の導入
・デジタル化の推進
・更生保護サポートセンターの在り方
・保護区・保護司会の在り方
・社会的認知度の向上・広報の在り方 等
〔保護司の使命〕
・保護司法第1条(保護司の使命 、第9条(服務))・これからの時代を見据えた保護司の使命 等
〔保護司の安全確保〕
・保護司活動における安全・安心の確保策の在り方
・保護司や家族の不安の軽減
・自宅以外の面接場所の確保 等
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III 課題事項に関する検討結果
1.推薦・委嘱の手順、年齢条件
〔現状認識〕
「推薦・委嘱の手順 、殊に適任者確保については、従来、保護司が自ら」の人脈を活用して後任者を探す方法が主流であったが、平成20年度から、
保護司活動に対する地域の理解を深め、幅広い人材から保護司の適任者を確
保するとともに、保護司候補者の推薦手続の一層の適正化を図るため、地域
の事情に精通した様々な分野の方々の協力を得て、保護区ごとに保護司候補
者検討協議会 を設置 している。
が されて
「年齢条件」については、少年との世代間ギャップの拡大を考慮し、平成
16年度から再任時上限年齢を76歳未満(新任時65歳以下)とする定年
制 を導入 した。また 「保護司制度の基盤整備に関する検討会」報告
が され 、
書において、年金(厚生年金)の受給年齢が65歳に引き上げられることや
65歳でも就業中の者が増加していることから、定年退職後に保護司活動に
意欲を示す者の委嘱を促進するため、新任時の年齢制限を1歳程度引き上げ
ることが効果的であるとの指摘がなされ、平成24年度から新任時の年齢制
限 を原則として66歳以下と した。さらに、令和3年度から、保護司
が され
本人の希望により、78歳になる前日まで再任を可能とする特例再任の取組
を導入 した。
が され
このほか、平成28年度から、保護司会が地域住民又は地域の関係機関・
団体に所属する者等に保護司活動を体験する機会を提供する 「保護司活動、インターンシップ」 を実施 しており、令和4年度からは、保護司が地
が され
域の関係機関・団体、民間企業等に対し保護司活動等について紹介すること
により、いわゆる現役世代を始め保護司適任者を確保する間口の拡大等を目
的とした 「保護司セミナー」 を実施 している。
、 が され
しかしながら 「人となりが分かるから 「保護司会の活動も大事で、協
、 。」、
調性が求められるから 」などといった理由から、依然として、保護司適任。者の確保を保護司の人脈に依存している状況にあり、この方策が地域によっ
ては限界に達しているとの指摘がある。また、平均寿命の延伸に加え、高年
齢者雇用安定法の改正(令和3年4月1日施行)により、70歳までの就業
機会を確保(努力義務)することとされたことなどから、委嘱時(新任時)
の上限年齢(66歳)との間にズレが生じているとの指摘がある。
〔課題事項に対する保護司の主な意見〕
全国の保護司に対しヒアリング等を行ったところ、主に次のような意見が
寄せられている。
1適任者確保の在り方
・地方公共団体と協働して計画的に適任者確保を進める。
・BBS会員や更生保護女性会員の中から新任保護司を推薦する。
・女性保護司適任者の確保は大きな課題。更生保護における女性の存在
は、更生保護及び犯罪予防啓発の大きな前進となる。
- 5 -
・保護司候補者検討協議会のスムーズな開催に保護観察所が積極的に関
与する。保護司・保護司会任せにしない。
・保護司候補者検討協議会が設置されていなかったり、形骸化している
保護区があることから、充実に向けた工夫が必要である。
・保護司活動インターンシップを積極的に活用する。
・新任保護司の発掘とともに、現役の保護司の早期退任を防止する方策
が必要である。
・保護司適任者確保の問題を保護司・保護司会に任せすぎなので、自治
体に協力を求めるなど保護観察所も積極的に取り組んでほしい。
・誰でもいいからと確保した結果、事件の担当を断る、研修に参加しな
いなど責任感や協調性のない保護司が増えており、保護司の質が低下
しているのではないか。
・充足率や欠員の状況に一喜一憂して不適格者を確保するのではなく、
地道に息長く適任者を確保すべき。
・適格性を欠く保護司への対応として、解嘱手続を簡素化してほしい。
2公募制の導入
・公募制による自薦を試験的に実施する。ただし、どの機関が採否の判
断をするのかが課題。保護観察所が公募・選考するべき。
・公募制に準ずる形で、保護司セミナーの実施や地方公共団体が発行す
る広報誌を通じた方法により、広く人材を求めた方が良い。
・まずは保護司や保護司会に関する認知度の向上があってのこと。でき
るだけ多くの方々、特に若い方々に知ってもらう必要がある。
・広報等をきっかけに自発的に保護司会や保護観察所に問合せがある。
必要な情報は保護観察所から保護司会へ連絡しているなど、既に公募
的な取扱いがされている。
・保護司は誰でもいいというものではない。お願いした人を推薦してい
くべき。
・保護司適任者の確保には、なり手の人柄を知る必要があることから、
保護司候補者検討協議会や保護司の人脈によることが望ましいが、保
護司の社会的認知度を高めるためにも公募制に取り組むこともあり得
る。ただし、適格性を欠く者への対応は保護観察所が行うべき。
・保護司委嘱に関しては、候補者の人物像等が把握できる推薦の形が望
ましく、公募制には不安が残る。
・時として、保護司会の中で長年培われてきた事柄に対する新任保護司
のアジテーター的言動に、違和感を覚える保護司も存在する。公募制
は制度というより、各地区の保護司会に委ねた方が良い。
3自薦者への対応
・自薦で保護司になった人は、自身が考えていた保護司活動と実際の活
動にギャップが生じ、早期に退任したり、保護司会の結束を乱すこと
がある。
・自薦の人に生じるギャップについては、事前説明を十分にするほか、
保護司活動インターンシップを活用する。
・自薦の場合は、その人となりが分からないので、保護司会としても、
その人を保護司候補者として推薦すべきか判断に迷ってしまうので、
対応手続をマニュアル化する必要がある。
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・自薦者について、保護司に適任かどうかの判断や不適として断ること
の難しさについて検討が必要である。
4年齢条件
・新任について、委嘱時原則66歳以下とされているが、近年の定年延
長により、定年退職後に地域のボランティアに参加しようという世代
を保護司に迎えることが難しくなっている。
・現役世代では、保護司活動の時間を確保することが難しいため、民間
企業の定年延長が進んでいることを踏まえ、委嘱・再任時の上限年齢
を上げたり、特例再任の期間を延ばしてはどうか。
・新任の委嘱時上限年齢を66歳以下から71歳以下に、再任の上限年
齢も76歳未満から81歳未満へと年齢条件の「5年引き上げ」が望
ましい。
・委嘱時の年齢制限をこれまでの委嘱時「原則66歳以下」から 「原、則68歳以下」にする等、引き上げることを検討してはどうか。
・委嘱時の年齢条件を70歳以下とし、再任時年齢条件を定めない。7
8歳以降の保護司活動(事件担当を含む )の制約を設けない。。・昨今の雇用情勢に鑑みれば、新任委嘱時の上限年齢は撤廃すべきであ
る。あるいは、引き上げるべきである。ただし、引き上げても、問題
の先送りに過ぎない。
・社会が大きく変化してきている昨今、新任委嘱時の上限年齢について
は柔軟に対応すべき。
、 、
・高齢化が進んでいることを理由に 定年年齢を更に引き上げることは
若い方々の新規委嘱にとって得策でない。若い保護司の中には、世代
間格差や不満を感じることがある。
・再任の上限年齢の引き上げは保護司・保護司会の高齢化を進行させ、
世代交代を阻害する要因となる。
・定年年齢は一律とすべきである。あるいは、特例再任制度の状況を見
極めるべきである。
5具備条件(保護司法第3条第1項関係)
・保護司は、人が人として、同じ地域社会の一員として、処遇を通じて
改善更生を支える役割を担っている以上、第3条の条件は当然に具備
していて欲しいものである。
・保護司適任者確保が急務の中、第3条の条件を全てクリアすることを
求めると、困難さも感じる。
6任期(保護司法第7条関係)
・現在の2年から3年に見直してもいいのではないか。
・任期について、3年、4年、5年などに延ばすべき。あるいは、短縮
、 。
することも含め 年齢や経験年数に応じて弾力的にすべきではないか
・任期は長くして、3年とか4年、5年ごとでもいいのではないか。任
期を長くすれば、保護司活動を経験・理解する機会が多くなるし、委
嘱手続の簡素化にもつながる。
・若い保護司の任期は長くすることも考えられる。
・任期はあまり長くすると、なり手の確保が難しくなる。
・自薦者を含め保護司になってもらったものの、様々な不具合があった
としても、解嘱しにくい場合もある。一つの区切りも時として必要。
- 7 -
・保護司として適格性を欠く事案や欠格事項に該当する事案が生じた場
合には、任期を待たずに解嘱できるようにしてほしい。
〔今後講じていく施策等〕
(1)保護司の人脈のみに頼るのではなく、保護司活動インターンシップや保
護司セミナーの実施、地方公共団体の広報誌等を通じた広報・周知により
保護司候補者を募集する、いわゆる公募の取組を既に実施している保護司
会があることを踏まえ、保護局において、令和6年度中に公募の取組の好
事例を共有するとともに、保護観察所においては、当該好事例を参考に、
保護司会の意向を十分に踏まえ、公募の取組を試行すること。
( ) 、 、 、
2 保護局において 令和6年度中に 自薦の保護司候補者の選考について
適任者確保の観点から、保護司活動インターンシップを活用することなど
を含むガイドラインを策定するとともに、保護観察所においては、当該ガ
イドラインを参考に、保護司会の意向を十分に踏まえ、マニュアルを作成
すること。
(3)保護観察所及び保護司会において、令和7年度から、保護司活動インタ
ーンシップや保護司セミナーへの参加、地方公共団体の広報誌等を通じて
保護司に関心を持った者や、地方公共団体の職員や職域団体の関係者であ
った者 のうち、現時点では都合により直ちには保護司に
、BBS会員など
なることができない者について、本人の意向を十分に踏まえ、将来の保護
司を始めとする更生保護ボランティアの候補者として登録するとともに、
保護司の地域活動だけでなく広く地域での更生保護活動について理解・協
力を得られるよう情報提供すること。
(4)上記(3)の登録について、保護観察所及び保護司会において、令和6
年度中から、地方公共団体や職域団体の理解・協力を得て、定年退職等が
見込まれる当該団体の職員等に対して、社会貢献活動としての保護司や更
生保護ボランティアの活動についての説明を行うとともに、適任者である
職員等を推薦してもらえるよう地方公共団体や職域団体等に対して積極的
に働き掛けること。
(5)社会経済情勢の変化に伴い、定年年齢が延長していることを踏まえ、令
和7年度から、新任委嘱時の上限年齢を撤廃すること。ただし、保護司会
における年齢層のバランスに留意すること。
(6)超高齢社会を迎えた日本社会において、できる限り長く保護司活動を継
続できることが望ましく、特例再任の取組の実施状況をよく見極めつつ、
退任年齢の引上げについて検討すること。
検討に当たっては、年齢のみならず、本人の希望や保護観察等事件の担
当を含めて保護司活動を継続することができるか等を総合的に考慮して判
断できるような仕組みができるよう留意すること。また、次世代の保護司
を育成し、層の厚い保護司組織を構築していく観点から、役職の任期・定
年について留意すること。
- 8 -
(7)上記(5)及び(6)の取組や検討に当たり、いわゆる現役世代が、早
い時期からできるだけ長く保護司活動を継続していくことが重要であるこ
とから、仕事をしながらでも保護司活動が可能となるような環境の整備に
並行して努めること。
(8)保護司候補者検討協議会について、保護観察所と保護司会が緊密に連携
し、保護区より小さな地域単位(分区・支部、小・中学校区、公民館単位
等)での開催や年間に複数回の開催により、丁寧かつ効果的に地域社会の
保護司候補者の確保を実施すること。
(9)保護司活動インターンシップや保護司セミナーの取組により、保護司の
社会的認知度が高まり、これまでとは異なる層からの保護司候補者の確保
に奏功している例もあることから、これらは保護司会主催の取組ではある
ものの、保護司会の意向を十分に踏まえ、保護司会と保護観察所との共催
にするなど、保護観察所が積極的に支援すること。
(10)保護司委嘱後に保護司活動に関する認識の齟齬が生じることを未然に
防ぐため、保護司活動インターンシップや保護司セミナーの取組において
は、個人情報の取扱いに留意しつつ、特に、処遇活動の実際の状況や保護
観察官との役割分担、犯罪予防活動や保護司会の意義について十分な理解
を得られるよう、保護観察所が積極的に支援すること。また、保護司活動
インターンシップについては、参加者が保護司活動に対する理解・関心を
高められるようにすること、参加者の保護司としての適格性を十分に確認
できるようにすることなどが重要であることを踏まえ、体系的に保護司活
動を体験する機会を提供すること。
(11)保護司の家族においては、不安や負担を感じつつも、保護司活動が円
、 、 、
滑に実施できるよう 様々な配慮や協力をしているところ 保護司活動は
保護司の家族の深い理解と協力なくして成り立たず、保護司の家族は、ま
さに保護司活動の協力者というべき存在である。
保護司の家族の不安や負担を軽減できるよう、保護司への委嘱に際し、
保護観察所及び保護司会において、保護司活動インターンシップなどの機
会を通じて、保護司候補者のみならず、その家族の参加も得ながら、保護
。 、 、
司活動について丁寧に説明すること また 保護司への委嘱後についても
保護観察所において、保護司活動の協力者である家族が互いに意見交換で
きるような機会を設けるなど、保護司の家族に対する必要な支援の充実を
図ること。
( 11)幅広い年齢層から保護司の適任者を確保するためには、いわゆる12。 、
地域の名士にとどまらない多様な保護司像が求められる その中にあって
保護司にはその基本的な資質として人格及び行動に誠実さや信頼性が求め
られることはもとより、保護司会の会員として組織的な活動に取り組むに
当たり相互に協力し合うことが要請される。また、多忙とされるいわゆる
現役世代の者であっても、地域活動を含む保護司活動のために必要最小限
- 9 -
の時間を調整・確保できさえすれば保護司の適任者たり得る。以上のこと
なども踏まえ、保護司法第3条(推薦及び委嘱)第1項各号に掲げる保護
司の具備条件及びその運用の見直しについて検討すること。
(13)幅広い年齢層から保護司の適任者を確保するためには、保護司・保護
司会とともに、保護観察所においても、関係機関・団体等に対して人材の
確保について協力を求めるなどして、保護司適任者を確保できるよう必要
な措置をとることが求められていることなどを踏まえ、保護司の推薦及び
委嘱について規定する保護司法第3条の在り方について検討すること。
( 12)保護司法第7条において、保護司の任期は、2年とするとされて14いるところ、保護司に委嘱されてから、処遇活動や地域活動といった保護
司活動を経験・理解する機会を通じて保護司としてその能力等を向上させ
ていくことが大切であるため短いといった意見がある一方、あまりに長期
の任期とすることは、保護司のなり手確保を困難にしかねないといった意
見があることを踏まえ、特に多忙とされるいわゆる現役世代にとって、保
護司になることを躊躇させる要因となることなく、保護司に委嘱後、任期
中に保護司活動を理解・経験する機会が増えることで、長く保護司活動を
継続していく意欲を喚起することができるのに十分な期間を確保するとい
う観点から、任期の見直しを検討すること。
(15)日本社会の国際化が急速に進む中、外国にルーツを持つ者の犯罪や非
行が顕在化しており、これらの者に対する保護観察等事件については、通
訳者の確保や説明文書の翻訳といった対応が講じられてきた。
一般に、公権力の行使に携わる公務員となるためには、日本国籍を必要
、 、
とするものと解されていることを踏まえつつ 国際化に更に対応するため
保護観察所において、保護司会の意向や管内地域の実情を十分に踏まえ、
外国語や外国文化に精通している人材を保護司又は保護司活動の協力者と
して確保したり、当該人材に協力を得て外国にルーツを持つ者との共生に
ついて理解を深めるための研修を実施したりするようにすること。
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2.職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化
〔現状認識〕
保護司の職務には、大きく分けて、保護観察や生活環境の調整などの「処
遇活動」と、犯罪予防活動を始めとする「地域活動」がある。主に、処遇活
動は個別に行われ、地域活動は保護司会等の組織により行われる。
処遇活動は、その内容が比較的明確だが、地域活動には様々な活動形態が
想定され、保護司法第8条の2(職務の遂行)には 「犯罪をした者及び非、行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための啓発及び宣伝の
活動 「犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防」、
を図るための民間団体の活動への協力 「犯罪の予防に寄与する地方公共団」、
体の施策への協力」などと定められている。さらに、保護司会及び保護司会
連合会に関する規則第1条(保護司の従事する事務)には、協力雇用主の確
保や雇用の促進、教育・医療・福祉の機関団体からの協力の促進、犯罪予防
活動への協力の促進などが定められている。
保護司は、地域社会において、広範かつ多岐にわたる更生保護活動を担っ
ていることから、協働態勢の一方の要である保護司が、その活動に必要な知
が さ
識や技術等を十分に修得することができるよう、保護司研修要綱 を制定
し、研修 を実施 している。
れ が され
処遇活動について、経験年数が少ないことや保護観察等事件の減少に伴い
担当指名が少ないことが、保護司の不安材料や早期退任の理由になっている
状況等を踏まえ、平成25年度から、新任の保護司が担当する事件等を対象
に、複数の保護司が事件を担当することができる保護司複数指名制 を導入がしており、令和3年度からは、保護観察事件に加え、生活環境調整事件
され
の複数指名も実施 している。
され
また、更生保護の究極の目的は、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増
進することであり、国民の誰もが犯罪被害者等となり得る社会にあって、思
、 。
いがけず被害を受けた犯罪被害者等を支援することも この目的に含まれる
犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)及び犯罪被害者等基本計
画(平成17年12月閣議決定)を踏まえ、平成19年から保護観察所に被
害者担当保護司が配置されている。
「保護観察官との協働態勢」について、更生保護法第32条(保護司)に
は 「保護司は、保護観察官で十分でないところを補い、地方委員会又は保、護観察所の長の指揮監督を受けて、保護司法の定めるところに従い、それぞ
れ地方委員会又は保護観察所の所掌事務に従事するものとする 」と定めら。れ、同法第61条(保護観察の実施者)第1項には 「保護観察における指、導監督及び補導援護は、保護観察対象者の特性、とるべき措置の内容その他
の事情を勘案し、保護観察官又は保護司をして行わせるものとする 」と定。められている。
保護司の職務内容及び保護観察官との協働態勢は密接に関連しているが、
刑事司法手続に参画する民間の保護司の役割は、単に保護観察官を補うもの
ではなく、その価値をより鮮明にすべきであるとの指摘がある。また、実際
には、量的にも保護観察官の代替としての役割を果たし、夜間・休日対応等
時間的にも保護観察官の業務を補充していることから、保護観察官と保護司
- 11 -
の関係性が、主客転倒の状態になっているのではないかとの指摘がある。
〔課題事項に対する保護司の主な意見〕
全国の保護司に対しヒアリング等を行ったところ、主に次のような意見が
寄せられている。
1保護司の職務の種類に応じた分担制(担当制)の導入
・保護司本来の職務を経験し共有することにより、保護司会活動への参
加意欲もわいてくるので、担当制の導入は反対。
・犯罪予防活動のみの保護司は必要ない。保護観察対象者や引受人等と
の経験により犯罪予防活動に対する理解が深まり、活動の在り方が一
層懸命になる。
・保護司活動に関しての初任者の理解は、概ね保護観察や環境調整など
個人としての活動が主であり、地区保護司会活動への参加に関しては
理解が進んでいない。近年は、定年延長などもあり、有職の保護司も
多くいることから、地区保護司会活動への参加が低調になりやすい。
そうした意味では、分担制も有用ではあるが、事件を担当した上で、
初めて犯罪予防活動の意義や必要性を再認識することになる。
・事件を担当する処遇活動や犯罪予防活動を始めとする地域活動を経験
した人でないと、保護司会の運営事務を担うことができないのではな
いか。これら全てを担うのが保護司である。
・地区保護司会内での担当制について、効率化や保護司の負担軽減とい
う面ではメリットも考えられるが、保護司会として組織の一体感をど
う醸成するか、違和感を覚える。
・犯罪予防活動を保護司の業務から切り離し、地域の犯罪予防活動を行
う各種団体に任せるべき。
・会計事務処理・IT業務等の従事経験がある保護司を、その専門性を
いかし、会計事務のみに特化した業務を行ってもらう担当制について
は、効率的な組織運営上のメリットはあるが、一方で、保護司活動を
限定させることにより、罪を犯した人や非行のある少年を担当し改善
更生へ導くという志を失わせかねないデメリットもある。
・実費弁償金や助成金等に関する書類が年々増えており、事務のみを行
う保護司は検討に値する。
・担当制を導入する場合、担当業務が長期間に及ぶことがないよう、期
間は2年程度に限定すべき。
・特例再任保護司は、保護司会事務担当とする。
・保護司会事務のみを担当する者は、保護司の身分を持たない者を事務
担当者として新たに配置すべき。
・保護司会に係る業務は、事務を処理する専属の事務担当者を雇用する
ことで、煩雑な事務を保護司の業務から切り離す。
・保護司会の事務については、保護司会内で工夫し、会員であるすべて
の保護司がそれぞれの得意分野をいかしながら役割を担うべきではあ
るが、事務手続については簡素化する必要がある。
2不安や負担の軽減
・保護司専用ホームページ(H@)のメッセージボードに相談できるス
ペースを設け、いつでも投稿でき、保護観察官やベテラン保護司が助
- 12 -
言を打ち返すシステムを構築できれば、不安等の軽減につながる。
・担当する事件の悩み等に対して、チャットやメーリングリストによる
助言や情報共有のシステムを構築し、夜間や休日でも保護観察官やベ
テラン保護司から適宜助言が受けられる体制づくりをする。
・講義形式の研修だけでなく、模擬面接等を取り入れるなど、面接技術
の向上につながるような工夫が必要。
・事例集・体験談・処遇のQ&A・ガイドライン等があると良い。
・最近は、複数指名制によりベテラン保護司が新任保護司をサポートし
ている。
・複数指名制を活用したり、新任保護司研修会等でベテラン保護司との
交流を深めていくことが必要。
・保護司活動は危険ではないという現実を積極的にアピールしていく必
要がある。複数指名制の積極的な導入を行う。
・事件を担当してやりがいを感じることができる環境作りが大切。
・事件を担当することに不安や孤独を感じる保護司が少なくないため、
保護司会による各保護司への相談や支援の態勢整備が必要。そのため
には、保護司会運営に係る負担の軽減や保護司会に対する保護観察所
からの支援が重要。
・事件数が多く保護司が不足している保護区では、保護司が事件に追わ
れ、事件内容も複雑になっている。先輩保護司に相談できる場合は対
処できるが、そうでない場合は対応に苦慮するため、相談先が必要。
他方で、事件を担当しない保護司が多い保護区では、やりがいを見出
せない保護司もいるため、やりがいを感じてもらえる取組が必要。
・ケースを担当して初めて保護司としての勉強が始まるのであって、複
数指名制を積極的に活用したり、担当数に偏りがないよう、保護区や
分区単位で調整するなどして、多くの保護司が事件を担当できるよう
にすべき。
・保護司の負担軽減の観点から、業者への業務委託やアルバイトスタッ
フの採用などを検討すべき。
3研修等の休日・夜間の実施
・若手保護司等現役で働いている世代は平日開催される保護司研修等へ
の参加率が低い傾向があり、他の保護司と交流する機会が少ない。現
役世代が参加しやすいよう研修内容の充実、参加方法の工夫、柔軟な
日時設定等に保護観察所が取り組むべき。
・平日の日中が主になっている定例研修を夜間や休日でも実施していく
ことなど、保護観察所が積極的に取り組むべき。
・保護観察官が休日の振替制度を活用するなど、柔軟に対応すべき。
・仕事を持つ保護司が、研修会や会合に出席し易くするためには、平日
夜間や土日の開催が必要である。
・仕事を持つ保護司のことを考えれば、平日夜間や休日の研修・会合の
実施について配慮すべき。その在り方については、常態化するのでは
なく、保護司会と保護観察官が調整しながら実施すべき。
・リモート研修を含め、総合的な工夫が必要。
・保護司同士が顔を合わせる機会を増やすため、中規模・大規模保護区
においては、分区単位での研修会・会合を多くする。
- 13 -
・研修の場に集まることで、保護司同士の交流が生まれる。保護司の横
の連携を高めるためには、そういう機会を設けることも大切。
4研修資料等のデジタル化
・保護観察官が講師をする集合研修は維持しつつ、DVDや動画で補講
が欲しいという若手保護司の要望がある。
・保護司活動を長く続けてもらうために、隙間時間を活用した自主的な
学習の材料を用意すべき。
・研修会に参加できなかった場合、サポートセンターはもとより、リモ
ートで聴講できるシステムの構築を早期に確立すべき。
・研修欠席者補講の動画を保護司専用ホームページ(H@)で配信し、
自由時間にそれを受講し結果報告することで研修参加に代える。
・テレビ会議システムを併用して本会場とサポートセンターをつなげ
て、複数会場で実施したり、他の保護区の研修を越境受講できるよう
にしてはどうか。
5保護観察官の積極的関与
・平素から保護観察官と連絡を取り合うことが大切。保護司の問い合わ
せに対して、出来るだけ具体的に、必ず何らかの答えを出すべき。保
護司に対する保護観察官のフォローが重要。
・保護観察官からの打ち返しがあることで、ノウハウや留意点に気づく
ことがある。相談相手がいないと孤独になり、早期退任につながる。
・保護観察官が保護観察対象者と初回面接を行うに当たり、新任保護司
を同席させるなどして不安の解消に努め、保護司が事件を担当するこ
とのやりがいを実感してもらうことが重要。
・複数の担当地区を抱えるなど多忙を極める保護観察官に些細なことを
問い合わせることをためらう保護司もいることから、ICTを活用し
た個別の相談などが可能な体制を整備すべき。
・保護観察官は保護司との人間関係の醸成に努めることも重要であるこ
とから、定期的に開催される保護司会役員会等の会議や各種活動に積
極的に参加すべき。
・保護観察官は、サポートセンター等で週1回程度、諸問題を抱える保
護司と面談すべき。保護観察官は、事件担当のみならず、担当保護区
内の更生保護女性会など更生保護団体にも関心を持ち、積極的に関わ
るべき。
。 、
・保護観察官のサラリーマン化が顕著 就業している保護司が多いため
時間外の研修会や相談等への対応を依頼すると全て断られる。残業を
強要するわけではないが、対人間関係を重要視する保護司の仕事を考
えると、協力的であるべき。
・保護観察官は保護司からの報告書に打ち返しをすべき。夜間・休日で
も保護観察官に相談できる体制を整えてほしい。定期的に、保護観察
官と保護司が相談できるような機会を設けてほしい。保護観察官は、
積極的に保護司会を往訪し、担当する地区でどのようなことが起きて
いるのか把握してほしい。
・研修場所や会合場所は、地方公共団体の施設を借りていることが多い
ことから、地方公共団体の協力を得るべく、保護観察官も積極的に関
与すべき。
- 14 -
・現役世代の保護司の職場に対する理解促進のための働き掛けや、地方
公共団体等に対する保護司活動への協力依頼等、保護観察官は能動的
に取り組むべき。
・保護観察官からは、更生保護法第29条第2号に定める 「犯罪予防、を図るため、世論を啓発」する活動が見えてこない。
6保護司法第8条の2関係
・保護司が犯罪の予防を図るための宣伝活動に従事していることが広く
理解されていない。
・保護司に求められる至極当然の業務で、地域における犯罪予防活動、
保護司会の事務などに限定した保護司活動などあり得ない。いくら困
難であっても、保護観察官や先輩保護司の援助を受けながら進めてき
たのが保護司という仕事。
〔今後講じていく施策等〕
(1)保護司の使命は、処遇活動と地域活動との両立を通じてより良く達せら
れるものであり、どちらか一方のみを担当する分担制はなじまない。その
ため、この両方の活動を担い得る適任者を確保しその能力等を向上させて
いくことが求められているとともに、保護司会ごとに、その実情に応じ、
多忙により活動に制約が生じてしまういわゆる現役世代にも配意し、幅広
い年齢層の保護司が携わることができる活動の在り方を模索していく必要
がある。その模索に当たっては、保護司会の意向を十分に踏まえ、保護観
察所においても必要な協力を行うこと。
また、保護司活動の在り方については、多様な背景を持つ保護司が相互
に協力し合いながら取り組めるよう、保護司の数、年齢層、処遇活動と地
域活動の実態や傾向を踏まえつつ、不断の見直しを図ることに留意するこ
と。
(2)保護司会運営事務の業務量が増大し、その事務を保護司が担っている状
況に鑑み、令和5年度から、全国の保護観察所(支部3庁を含む )に実。費弁償金の請求書作成等の保護司会運営に関する事務を補助する保護司会
運営補助賃金職員 を配置 していることから、保護局において、本取
が され
組の状況を踏まえ、保護司会の事務負担軽減等保護司が処遇活動と地域活
動に専念できるような環境の整備に向けた更なる支援の充実を図ること。
(3)令和3年度に運用 を開始 した保護司専用ホームページ(H@)に
が され
ついて、保護観察事件等に係る報告書の作成・提出、研修資料等の閲覧、
保護司・保護司組織・保護観察所間のメッセージの送受信等、順次、機能
の拡充 に努めてきたところであり、保護局において、引き続き、研
が され。修動画の閲覧や研修の復習・補講等eラーニング機能の拡充等を図ること
併せて、保護観察所において、保護司専用ホームページ(H@)について
の丁寧な周知や、アカウント登録に向けた支援を行うことにより、多くの
保護司による活用を促進すること。
(4)保護観察事件や生活環境調整事件を担当する保護司の不安や負担を軽減
するとともに、保護観察等の実施者としての保護司の処遇能力の維持・向
- 15 -
上を図るため、保護観察所において、保護司の意向を十分に踏まえ、保護
司複数指名制を一層積極的に活用すること。
(5)保護観察終了後も、引き続き、かつての保護観察対象者からの求めに応
じて、助言や援助を行っている保護司がいる現状に鑑み、更生保護法第8
8条の2に定める刑執行終了者等に対する援助に当たっては、保護観察官
が主体となって行うことはもとより、保護司の意向を十分に踏まえ、保護
司においても必要な援助を行うことができるようにすること。
(6)犯罪予防活動を始めとする保護司・保護司会の地域活動を通じて、保護
司・保護司会が地域社会とつながり地域社会に浸透することで、改善更生
や再犯防止のための社会環境を整備しているだけでなく、生きづらさや孤
独などを抱えた人に手を差し伸べ、寄り添い、ひいては犯罪や非行を未然
に予防する誰一人取り残さない社会の実現に向けた社会環境を醸成してい
る。その重要性を踏まえ、保護観察所において、保護司・保護司会とより
一層連携しながら、安全で安心して暮らせる持続可能な地域社会の実現に
寄与する更生保護や保護司の意義に重点を置いた広報・啓発に取り組むこ
と。
(7)犯罪予防活動を始めとする保護司・保護司会の地域活動は、保護観察事
件等を担当することに比べて、その効果を容易に可視化しづらいところ、
更生保護や保護司の取組が、安全で安心して暮らせる持続可能な地域社会
の実現にどのようなインパクトを与えているのかについての調査研究を実
施すること。
(8)保護観察官は 「更生保護行政における組織理念 (令和3年1月)の行
、 」
動指針に基づき、地区担当官として、担当する地区の更生保護活動につい
て、丸ごと我が事として、粘り強く誠実かつ積極的に取り組むこと。
(9)適任保護司を幅広く確保し、その育成を図る上において、土日・夜間を
含め広く研修の機会を確保することは極めて重要であることから、デジタ
ル技術の活用によるリモート研修を実施すること、土日における研修につ
いては週休日の振替を活用すること、平日夜間における研修については早
、 、 、
出遅出勤務を活用することなど 保護観察所は 保護司会の意向を踏まえ
柔軟かつ積極的に対応すること。なお、デジタル技術を活用したリモート
研修の実施に当たっては、保護司専用ホームページ(H@)のeラーニン
グ機能を活用するとともに、個人情報保護の観点から必要なセキュリティ
対策を講じること。
り、保護観察官と保護司の適切な
(10)保護司活動の構造的な負担軽減を図
るため、保護観察所の組織体制を抜本的に見直し強化す
協働態勢を構築す
ること。
(11)安全で安心して暮らせる持続可能な地域社会の実現に向け、保護司が
果たす役割の中で地域活動の比重が増し、その重要性も増していること、
- 16 -
人間科学の専門的知識を有する保護観察官と地域社会との密接な関係を有
する保護司とが、それぞれの優位性を活かしつつ相互に補完し合いながら
職務を遂行することにより、相乗効果を発揮できる関係であるべきことを
踏まえ、関係法令を含め保護司と保護観察官の職務における関係性の在り
方及び運用の見直しについて検討すること。
(12)保護観察等対象者の改善更生及び再犯防止のためには、保護観察等の
実施に当たって、被害者等の被害に関する心情、被害者等の置かれている
状況等を十分に考慮することが重要である。
被害者担当保護司のみならず、保護観察の実施者である保護観察官及び
保護司においても、研修を実施するなどして十分に理解を深めること。ま
た、保護観察等の実施に当たり、保護観察等対象者に、自らの犯罪の責任
等を自覚させ、被害者等の心情を理解させることによって、誠実に被害弁
償をさせたり、心からの謝罪の気持ちを持たせてこれを実行させたりする
とともに、被害者等に対して再び害を加えたり、新たな被害者等を生じさ
せたりすることがないよう、適切な処遇の強化に努めること。
- 17 -
3.待遇、活動環境
〔現状認識〕
「待遇」について、保護司法第11条(費用の支給)第1項において「保
護司には、給与を支給しない 」とした上で、同法第2項において「法務省。令の定めるところにより、予算の範囲内において、その職務を行うために要
する費用の全部又は一部の支給を受けることができる 」とされている。保。護司に対する補導費等の費用の支給については、保護司法施行当初(昭和2
5年)は 「保護司が、保護観察を担当したときは、予算の範囲内で担当一、件につき一ヶ月五十円以内を支給する 」などとされていたが(補導諸費支。給規則(昭和25年中央更生保護委員会規則第2号)第2条第1項 、一貫)して補導費等の充実 を図 り、現在は 「保護司が保護観察を担当した
が られ 、
、 。」ときは 担当事件一件につき一箇月七千六百六十円以内の費用を支給する
(保護司実費弁償金支給規則(昭和29年法務省令第47号)第2条)など
とされている。
また、個々の保護司が行う処遇活動が困難化する中で、保護司相互の処遇
協議や処遇に有効な地域の関係機関・団体との連携の推進など、保護司組織
による組織的な活動支援の充実強化が求められたことから、平成10年5月
に保護司法 を改正 し、保護司会及び保護司会連合会 を法定化 す
が され が され
るとともに、保護司会の計画に基づく保護司の職務 を明記(保護司法第8が条の2) して、保護司会及び保護司会連合会の活動に係る保護司組織活
され
動費の充実 を図 ってきた。
が られ
「活動環境」については、従来から、保護観察対象者を自宅に招き入れる
ことが面接の形態として一番多いところ、自宅を面接場所にする際に感じる
不安や負担感から、自宅以外の場所で面接を行う保護司も増え、平成20年
度には、保護司の活動拠点となり一部面接場所も備えた更生保護サポートセ
ンターの設置 を開始 し、令和元年度には全国886地区の全ての保護
が され
司会に設置 を完了した。また、情報通信技術(ICT)を利用できる環境がを整備するため、保護司が提出する報告書を電子化するなど、保護司活動の
一部をインターネット上で実施できる「保護司専用ホームページ"H@(は
あと)"」 を開発 し、令和3年度中から運用 を開始 するととも
が され が され
が さ
に、令和5年度中には全ての保護司会に保護司専用モバイル端末 を配備
することとしている。
れた
さらに、令和 5年で第 73回を迎える"社会を明るくする運動"〜犯6 74罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ〜の強調月間である7月
を中心に、街頭での啓発活動等対面による広報活動 に取り組んで
が行われて
きたところ、コロナ禍の状況を踏まえ、SNSでの発信や広報動画の作成等
非接触型の広報 を積極的に行 い、これまで運動に関心が
が われるようになり
低いとされた若年層にもその趣旨 を伝え てきた。
が られ
このほか、保護司活動インターンシップや保護司セミナーの実施、地方公
共団体の広報誌、保護司に関する映画や漫画等を通じて、保護司になりたい
といった方々からの保護観察所等への問い合わせが増えている。
他方で、保護観察等事件が減少していることは、日本社会にとって大変歓
迎すべきことではあるが、保護司がやりがいを感じる機会が少なくなるとと
- 18 -
もに、保護司が保護司会に支払う会費に対する負担感も増している。保護司
組織活動費の充実は、これまでいわば手弁当で行 ってきた活動に対して
われ
経費 を支給 するものであるが、経費支給のための事務手続を要するた
が され
めに、かえって当該事務が保護司・保護司会の負担につながっているという
状況も生じている。
そうした中、1保護司は、地域社会への貢献という点においても「やりが
い」のある活動であるものの 「やりがい」を楯にこれらの負担を受忍すべ、きとするならば 「やりがい搾取」ではないか、現状を前提とした今後の保、、 、
護司適任者の確保は困難であるとの指摘があるほか 2補導費等については
原則として四半期ごとに精算され支給されていることから、活動に要する経
費が何にどれだけ支給されているのかが分かりにくいとの指摘、3更生保護
サポートセンターの設置場所や利用可能な時間帯が、危機場面等における臨
機の対応が求められる保護司の面接場所としての利用に適したものとなって
いないとの指摘がある。また、経験年数の短い保護司は保護司会活動の改善
、 、
点等を進言しづらく 現状を変えられない閉塞感があるとの指摘がある一方
、 、 、
保護司会は ボランティア精神を中核とし 組織的に活動することも多いが
一部には協調性を欠く保護司が存在し、保護司会の組織運営を困難にし、役
員の疲弊を招いているとの指摘もある。
〔課題事項に対する保護司の主な意見〕
全国の保護司に対しヒアリング等を行ったところ、主に次のような意見が
寄せられている。
1会費・実費負担の軽減
・保護司会運営に関する経費としての会費徴収の在り方について、保護
司の中には会費負担が重荷になっている人がいる。新任保護司確保の
過程で年会費負担が理由で採用を辞退するケースもあった。保護司活
動は無償のボランティア活動であることは分かっているが、経費負担
でのボランティア活動に抵抗のある人もいる。
・適任者に保護司を依頼するときに、無報酬であるという説明がしづら
いことが多い。実費弁償金は支給される旨の説明はするが、保護司と
なって保護司会会費の支出などがあることについて違和感を持たれ
る。報酬とまではいかなくても、会費など保護司が負担すべき支出の
軽減を図るべき。
・保護司会の活動経費について、ボランティアとして活動しているのに
も関わらず、なぜ自分たちがその経費の一部負担しなければならない
のかといった意見も多い。国等の活動に対する支援があるのは理解し
ているが、活動に対する直接的な支援が厚くなれば、報酬等に対する
不満も軽減されるのではないか。
・保護司が支払っている会費負担相当額分について国費で負担すべき。
・保護司個々の活動はボランティアでやむを得ないが、保護司会の活動
に必要な経費については予算化を図る必要がある。
・保護司はボランティアであるが、活動にかかる経費については、保護
司によるいわゆる「持ち出し」がなく、支給されるような制度設計を
検討すべき。
・実費については、給与を支給しないとすると、職務を執行する為に要
- 19 -
する費用の全額を支給すべき。
2報酬制の導入
・専門性が高く職業的に業務にあたる者として、資格制度により一定以
上の知識や技能を習得した人材を採用することとし、待遇を公務員と
して報酬制とすることを検討すべき。
・公募制を導入した場合は、報酬制と実費弁償金の二本立てにすべき。
・各保護司の役割に応じて報酬を支払うべき。
・事件担当の機会は地域によってかなりの差があり、その他の活動も必
ずしも一律的とはいえないことから、現状においては報酬制はなじま
ない。他方で、保護観察の高度化などに対応できる専門人材の育成の
観点も必要と考えられ、業務に見合った報酬制の導入の検討の余地が
あるのではないか。
・時代の変化に伴い、無報酬のボランティアであることに不満を感じる
保護司が増えてきた。次世代を担う保護司を確保するためには、報酬
制の導入を検討してもよいのではないか。
・報酬制にした場合、一般的に報酬に見合った成果が求められるが、保
護司としての仕事においてその成果の評価がどういったものとなるの
か、一般国民にとって納得いくものなのかなど、制度導入にはかなり
ハードルが高い。
・各保護司により活動実態が異なると思われるため 「一律基準・固定、的報酬制」には疑問を感じる。
・報酬制にすべきとの意見が見受けられるが、保護司法第1条の精神に
そぐわない。
・保護司会としても若い保護司の思い・考えを柔軟に受け入れる必要は
あるが、報酬制の導入には反対である。今までどおりの実費弁償金の
支給でよい。保護司は崇高なボランティア活動との認識を再確認する
必要があるのではないか。
・無報酬だからこそ対象者やその家族が心を許してくれる部分、地域で
正しく評価してもらえる部分がある。先輩たちが長年続けてきたこの
制度は変えるべきではない。
・報酬制には反対。実費弁償の何が不服なのか。ボランティアだからこ
そ言えていることも多々あるので、給与は支給すべきではない。ただ
し、費用弁償するにしても、現実に合わない旅費計算されているとき
があるので、より実態に即した費用弁償が必要。
・報酬制については、慎重に検討する必要がある。保護司組織活動費や
特殊事務処理費の予算を増やすなど、実費弁償金内での対応とした方
が、保護司としても保護司会としてもよい。
、 、
・報酬制を導入した場合 最低賃金との関係や能力評価をどうするのか
活動内容の質や量による格差をどうするのか、やる気のある保護司と
そうではない保護司との差をどうするのか、再犯した時の道義的責任
をどうするのかなど問題があり、保護司にはなじまない。
3保護司実費弁償金の充実
・1件処理ごとの実費弁償金単価を上げて相応な金額を支給し、待遇面
を改善して、社会的認知度と評価を高めるべき。
・現行の実費弁償金で十分であるが、困難なケースが増えていることや
- 20 -
昨今の物価高騰を踏まえて、実費弁償金の単価を充実してほしい。一
定額の保護司手当を創設してほしい。
・職務内容に比して、支給される国費が見合わない。実費弁償金の単価
アップをすべき。
・保護司会費を負担に思っている方がたくさんいる。社会環境としては
対象者が少なくなり大変喜ばしいが、実費弁償金でカバーしきれない
負担があることは確か。保護司組織運営費用、犯罪予防活動費用等の
見直しを検討すべき。
・保護司の待遇については、社会奉仕の精神の観点から、給与ではなく
実費弁償であることはやむを得ないが、実費弁償の対象とならない、
保護司会事務等の活動に対する手当が必要。
、 。 、
・近年 保護司会運営のための事務量が増加している 予算増額により
本当に必要な領域への国費支給額を充実すべき。
・保護司組織活動費を拡充して、保護司会の実費弁償金収入が安定的に
確保されれば、将来的には、保護司個人から徴収している会費の負担
を軽減することも可能となる。
・保護司会活動に対する保護司組織活動費の支給はあるが、物価の高騰
が収まらないことから経費の節減を余儀なくされているのが現状。
・旅費・宿泊費等について、保護司の行動実態(年齢や地域の交通事情
等)に即していないので、改善すべき。
・実費弁償金が支給されても何に支払われたものなのかが分からないの
で、明細を明らかにしてほしい。
・保護司実費弁償金の明細をもっと分かりやすくすべき。
・保護司の活動に対しては、現在、実費弁償金が支払われているが、実
。 、
際にかかる経費を満たしているとは言いがたい 実費弁償金の増額等
保護司活動に対する金銭的援助や実費弁償金の請求手続等の簡便化を
図ることとで、保護司会の負担を軽減することが重要。面接の際のち
ょっとした食事等に係る個人的出費があるのが実態。保護司が報われ
る基盤整備・制度設計とすべき。
・研修や各種会合への参加において、Zoom等の参加は移動が伴わな
いと実費弁償金が支払われない。若い現役世代からの保護司候補者確
保の観点から、現行の実費弁償が移動に対する弁償であるのを時間拘
束に対する弁償に変えるべきではないか。
・実費弁償金の対象となる活動について請求していないこともあるの
で、請求事務手続を簡素化してほしい。
4デジタル化の推進
・報告書の作成等の事務処理について、デジタル化を進めるための機材
を補助すべき。
・今後、経理面や運営面において、各保護司会からフォーマットに数字
等を入力すれば事務処理が出来るようなデジタル化を推進すべき。
・文書やフォーマットの統一化や各種手続きの簡素化を図るべき。
・更生保護や保護司活動の社会的認知度向上のために、紙媒体からデジ
タル広報へと全面的にシフトすべき。
・同年代保護司でオンライン交流できる機会や、若手から先輩保護司へ
気軽に質問や相談ができるシステムを構築すべき。
- 21 -
・デジタル化の推進は必要であるが、高齢になると、各種機器を使いこ
なすことが難しいという現実がある。
・保護司の育成について、パソコン・スマホ・タブレット等の取扱いを
保護観察所主導で研修会を開催するなど重点的に実施すべき。
・デジタル化については、習得困難な年齢層の保護司もいるので研修が
必要である。もっと早くデジタル化を進めるべき。H@の使い勝手が
悪いので、改善してほしい。
5更生保護サポートセンターや面接場所の充実
・地域ごとの格差が大きく、平日夜間や休日の利用が難しかったり、広
い保護区では遠方にサポートセンターがあるため利用できないなど、
保護区の実情に応じた多様な面接場所の設置を検討すべき。
・公共施設を面接場所として使用できるように、保護司会任せにするの
ではなく、保護観察所も積極的に地方公共団体と協議すべき。
・保護観察所で事務補佐員を雇用するのと同様に、サポートセンターに
も事務補佐員等の採用の必要性を感じる。
・更生保護サポートセンターは立地や使用に制限があることから、地区
の状況に応じて複数設置できるようにしてほしい。更生保護サポート
センター以外での多様な面接場所も必要となっている。
6保護司会の在り方
、 。
・あらゆる組織に言えることは 世代交代が滞った組織は疲弊していく
保護司会においても、同様のことが起こる危険性がある。
・例えば、支部・地区役員への若年者の就任を促進し、先輩保護司がそ
の役員を支えて行く組織を目指すべき。70歳を過ぎたら、若手を育
てるのが役割。
・現役世代の比較的若い保護司の多くは、本業が多忙のため、保護司会
の研修や会合等への出席が難しく、他の保護司から不信感を持たれが
ちで、保護司会の中で孤立しがち。オンラインによる会合への参加や
研修の受講を実施するなど、個々の保護司の生活スタイルに応じて保
護司活動に参加できるようなシステム作りと、そうした対応を受入れ
ることについて、保護司の意識改革が必要。
、 、 、
・若い人を確保することについて 組織が安定して持続するには 年代
。 。
世代的にバランスよく人が必要 現状では若い人が決定的に足りない
若い人、すなわち現役世代(有職者)が就任し、本職と保護司活動を
問題なくできる仕組み作りが必要。
・保護司会の長老は、のちのち若手の保護司が活躍するようにしていく
のが役目である。
・保護司会について、保護司が活動する上で必要と感じ、自分たちの組
織として作り上げてきたものが法制化されたという歴史がやはり見え
にくくなってきている。
・各県連・各地区保護司会の事務局長の負担が増大しているため、事務
局長へのなり手が不足している。待遇面を充実すべき。
・保護司会は、保護司会及び保護司会連合会に関する規則第4条に規定
された保護司及び保護司会の活動に関する広報宣伝が乏しく、理解を
深める必要がある。
・保護司会の事務処理について、例えば、保護司組織活動費の請求方法
- 22 -
を保護局や地方更生保護委員会において、わかりやすいマニュアルを
作成するなどして事務担当者の負担を軽減すべき。
7社会的認知度の向上・広報の在り方
・保護司は犯罪をした者等が孤立することなく、社会の一員として安定
した生活が送れるよう保護観察官と協働して保護観察を行うことにな
っているが、一般的には保護司や更生保護についての認知度はいまだ
に低迷しているのが現状である。
・役所や学校を訪問しても 「保護司」という名前だけは知っていると、いう人が多い。まだまだ保護司の仕事や更生保護についての認知度は
低い。そのため、分かりやすいパンフレットを作成する、動画をテレ
ビで流すなど、もっと一般の方々に知っていただく必要がある。
・地域社会での保護司の認知度の低さがなり手不足の一要因と思われる
から、社明作文や出前授業の取組だけでなく、小学校・中学校・高校
の教科書に保護司を記載することも必要ではないか。
・保護司や保護司会の社会的認知度の向上に努めるべき。世界に誇れる
保護司制度であることを、もっともっと広報すべき。保護司の認知度
が広がれば、犯罪予防への効果も期待できる。
・地域における広報活動には限界があるので、全国的なCMやバナー広
告により、社会的認知度を上げる必要がある。
・ 社会を明るくする運動」などを通じて、保護司活動が広く世間に認「識されるよう更に啓発していく必要がある。
・保護司が保護観察対象者と向き合い、社会貢献しようという意欲が持
てるような諸環境を整備すべき。
・保護司が地域の安全・安心に寄与していることへの地方公共団体の理
解が足りない。
・就労している保護司に、年数日のボランティア休暇が付与される制度
を新設すべき。
・現役世代の保護司が活動しやすくするため、公務員に対する職務専念
義務の免除や、保護司である従業員を雇用する雇用主に対する理解を
求めるなどの取組を実施してほしい。
〔今後講じていく施策等〕
(1)地域社会の一般住民にとって、犯罪や非行をした人たちと関わり、その
立ち直りを支えることは、ともすれば忌避されがちなことであり、このよ
うな大変な活動を 無給のボラン
労働の対価としての給与の支給を受けずに
ティアで行っている からこそ、まさに、保護司の活動が崇高な社会
ことは
貢献の取組であると認識されている所以である。
保護司の無償性は、制度発足以来、 地域社
利他の精神や人間愛に基づく
なお堅持して
会における自発的な善意を象徴するものであり、その価値は
いくべき価値があることから、報酬制の導入はなじまない。
もっとも、幅広い年齢層から保護司の適任者を確保するためには、保護
司の無償性ばかりが強調されすぎて誤解を招くおそれのないよう、保護司
の職務を行うために要する費用については保護司実費弁償金が支給される
ということに加え、地域社会における保護司の存在意義や保護司会を通じ
た新たな人間関係の広がりといった保護司活動によってもたらされる固有
- 23 -
現代において
の経験についても、適切かつ丁寧に説明し、周知すること。
も特筆すべきものであるところ、報酬制の導入の検討に当たっては、報酬
制にすると保護司活動が労働として捉えられることとなり適当ではないな
どの意見がある一方、幅広い年齢層から保護司の適任者を確保するために
は報酬制の導入に向けた門戸を閉ざすべきではないなどの意見があること
を踏まえ、無給(実費弁償金の支給)から報酬制に転換した際に生じる保
護司・保護司制度に与える影響を十分に考慮して、引き続きその適否につ
いて検討すること。
(2)保護司組織を維持・運営する観点からの会費の必要性については理解で
きるところ、会費の支払いが保護司の負担となり、やりがいに支障をきた
している状況について、保護局において、令和6年中に実態調査を実施す
こと。 また、保護司が果たす役割の中で地域活動の比重が増
る とともに、
保護司会 を維持・
し、その重要性も増していることから、 による組織活動
運営していくために必要な支援 の充実 を図ること。
強化 を す
(3)保護局において、上記(2)の実態調査と併せて、経費支給手続におけ
る保護司・保護司会が行う請求事務についての実態調査を実施するととも
に、最近の物価高の影響等を含む、いわゆる「持ち出し」に関する分析を
これを し 若手からベテランに至る
行い、できる限り その軽減 を図るほか、、まで幅広い年齢層の保護司が、
保護観察等事件の担当の有無にかかわらず
保護司であるが故に必要となる活
無理なく保護司活動を継続できるよう、
動に対する 支援の充実を図ること。
ものを含め、保護司実費弁償金
(4)保護局において、令和6年度中に、保護司会の会計事務処理の負担軽減
に資するため、経理事務の簡略化を検討するとともに、これに応じた会計
ソフト及びマニュアルを制作・配布すること。
(5)保護司会・保護司会連合会において、会費の目的や必要性、その使途に
ついて、会員である保護司に対して丁寧に説明し、その理解を得ること。
(6)地方更生保護委員会及び保護観察所において、保護司個人への実費弁償
金が原則四半期ごとに支給されていることから、その明細を分かりやすく
説明すること。
(7)現任の方を始め保護司ができるだけ長く保護司活動を継続していけるよ
う、保護司活動に 対するインセンティブ
伴う心理的な負担を軽減する取組
や 表彰 の在り方について検討すること。
、適当な を含むインセンティブ
( ) 、 。 、
8 保護局等において 保護司活動のデジタル化を一層推進する また
こと
そのデジタル化の推進に当たっては、機器や端末を配備するだけでなく、
情報技術(IT)に関する分野に詳しい保護司適任者の確保に努めるとと
保護司の利便性に配慮したマニュアルを作成したり、将来に必要と
もに、
なる保守・メンテナンス費用についても措置すること。
- 24 -
(9)更生保護サポートセンターは、保護観察対象者やその家族等との面接場
所として利用されているだけでなく、保護司同士や保護司会と地域の関係
機関・団体との間で実施される処遇協議、研修等を行う場所としても活用
されているなど保護司・保護司会の活動の拠点として重要な機能・役割を
果たしている。その一方で、平日夜間や休日の利用が難しい、広い保護区
のほか、更生保護施設ととも
では遠方にあるため利用できないなどの意見
に息の長い支援を実現するための地域支援ネットワークの拠点としての役
があり、地方公共団体の一層の協力を得る
割が期待されているなどの意見
などして、その機能・役割をより充実させる必要があることから、更生保
護サポートセンターの法定化などの必要な方策について検討すること。
(10)更生保護サポートセンターについて、保護司や保護観察対象者等の利
便性を踏まえた設置場所や利用時間(平日夜間・休日)となるようにする
などの更生保護サポートセンターの充実化を図るためには、地方公共団体
の協力を得るための協議が不可欠であるところ、かかる協議について、保
護司・保護司会任せにせず、保護観察所において積極的に支援すること。
(11)安全で安心して暮らせる持続可能な地域社会の実現に向け、保護司が
果たす役割の中で地域活動の比重が増し、その重要性も増していること、
地域活動には保護司会及び保護司会連合会の組織力が求められること、保
護司組織の維持・運営には、幅広い年齢層の保護司が相互に協力し合いな
がら保護司会及び保護司会連合会を一体のものとして作り上げていく必要
があることを踏まえ、保護司法第13条(保護司会)及び同第14条(保
護司会連合会)に関する運用の見直しについて検討すること。
(12)保護司会及び保護司会連合会は、幅広い年齢層の多様な保護司がその
使命を全うできるように育成する上で重要な機能を有していること、保護
司会及び保護司会連合会の世代交代を円滑に遂行するためにも、次世代の
保護司を育成し、層の厚い保護司組織を構築していく必要があること、保
護司の年齢構成に鑑みると、次世代の保護司の育成が急務であることを踏
まえ、保護司法第13条(保護司会)及び同第14条(保護司会連合会)
に掲げる任務の内容及びその運用の見直しについて検討すること。
(13)保護司適任者の確保のみならず、犯罪予防活動の実施や地方公共団体
を始めとする関係機関・団体等との調整等について、保護観察所が一層明
確かつ積極的に関与すべきであるなどの意見を踏まえ、保護観察所が、自
らの責務として、保護司会及び保護司会連合会の適正な維持・運営を確保
するための各種支援に取り組むことができるよう、保護司法の在り方につ
いて検討すること。
( 13)保護司会は、適任者たる保護司が相互に協力し合いながら誠実か14つ適切に組織運営をすることが求められているところ、適格性を欠くに至
った保護司により適切な組織運営が妨げられるなどの事態が生じた場合に
は、保護観察所においても漫然とこれを放置することなく、保護司会と緊
密に連携し、その意向を十分に踏まえながら、保護司法第12条第2項に
- 25 -
基づく解嘱の申出を含めて、適時適切に手続を進めること。
( 14)保護区及び保護区ごとの保護司の定数に関する規則第3条におい15て 「保護区の区域は、特別の事情がないかぎり、一又は二以上の市町村、(特別区を含む )の区域をもって定める」こととされているところ、保。護観察所及び保護司会において、地方公共団体との協力関係や保護司会の
活動力・組織力の維持という観点、区域内の市町村の社会経済情勢に伴う
人口変動等を総合的に勘案し、必要に応じて、区域の在り方(支部・分区
の設置を含む )を見直すこと。見直しに当たっては、保護区の会員たる。保護司の総意を十分に踏まえつつ、丁寧に調整すること。
( 15)いわゆる現役世代が、仕事をしながらでも保護司活動に従事でき16るようにするため、国若しくは地方公共団体又は事業者若しくは事業主に
おいて、保護司活動に対して理解・配慮し、公務員又は従業員から保護司
を兼ねることを求められた場合にこれを積極的に許可することや職務専念
義務の免除について柔軟かつ弾力的な取扱いを行うことなど、保護司活動
の環境整備の活性化のための仕組みについて検討すること。
( 16)いわゆる現役世代が、仕事をしながらでも保護司活動を長く継続17できるようにするため、保護観察所は、保護司の意向を十分に踏まえ、保
護司の勤務先を訪問するなどして従業員である保護司の保護司活動に対す
る理解・協力を求めること、従業員である保護司の保護司活動に理解・協
力している事業者・事業主に対して謝意を示すなどの配慮を行うこと、事
業者・事業主がいわゆるボランティア休暇制度を導入している場合には、
「労働時間等見直しガイドライン (労働時間等設定改善指針)の趣旨を」、 、
踏まえ 保護司活動を当該休暇制度の対象とするよう働き掛けることなど
保護司活動の環境整備に取り組むこと。
(18)いわゆる現役世代が、仕事をしながらでも保護司活動を長く継続でき
るようにするとともに、保護司の社会的認知度の向上を促進するため、保
護観察所において、従業員である保護司の保護司活動に理解・協力してい
る事業者・事業主について、従業員の保護司活動のために職場における配
慮等を積極的に行い従業員の保護司活動を通じて地域社会の安全安心に貢
献している事業者・事業主として表彰するなど、好事例を見える化するこ
と。また、保護観察所において、協力雇用主の取組を参考にしつつ、地方
公共団体の理解・協力を得て、当該表彰を受けるなどしている場合の競争
入札参加資格審査における優遇措置の導入を促進するなどの取組を行うこ
と。
(19)男女共同参画社会の実現は、21世紀の日本社会を占う最重要課題で
あり、現在25パーセント程度にとどまる女性の保護司を増加させていく
ことが求められる。男女が性別にかかわりなく、互いに尊重しつつ責任を
分かち合い、その個性と能力を十分に発揮し、長く保護司活動を継続して
いくことができるよう、本検討会で取りまとめた各種施策を着実に実行し
ていくこと。また、保護観察等対象者の約9割が男性であるため、その処
- 26 -
遇等における安全確保に不安を抱く女性保護司もいると思われることか
ら、同性のみならず異性の保護司との保護司複数指名制を活用すること、
自宅外の面接場所として更生保護サポートセンター等を一層積極的に活用
、 、
すること 保護観察官による適時適切な助言や介入を行うことなどにより
その不安の解消に努めること。
( 17)学校との連携や法教育の一環として、保護観察官や保護司が学校20等に赴き、非行防止や薬物乱用防止、更生保護の概要について説明してい
るところ、保護観察官、保護司及び保護司会等の取組への 理
より一層深い
得 必要がある。そこで、児童・生徒に対する授業やミニ
解・協力を深め る
集会、学校関係者・PTAとの協議会などの機会を積極的に活用するなど
ため、昨今の保護観察事件の動向を踏まえた保護観察官・保護司によ
して
る処遇の実際の様子や、安全で安心して暮らせる持続可能な地域社会の実
現に寄与する保護司・保護司会の取組にも重点を置いて広報・啓発に取り
組むこと。
(18)処遇活動や地域活動における学校等との連携を始め、高齢・障害を有
する保護観察等対象者の増加や医療観察制度の導入、地域援助の取組など
により、更生保護の関連分野が広がっているところ、関連分野の関係者等
における更生保護の意義や保護司・保護司会の取組についての理解・協力
を図る必要があることから、社会福祉士及び精神保健福祉士の養成課程の
教育内容に刑事司法と福祉が加えられたことなどを参考にしつつ、更生保
護と関連のある専門職等の養成課程の教育内容に更生保護を加えることに
ついて検討すること。
(21)保護司は、安全で安心して暮らせる地域社会を実現するため、地域社
会の一員として誰かが担わなくてはならない役割を果たし続けており、様
々な背景を抱える者が緩やかにつながる包摂的な社会の礎となる文化の担
い手であるが、その社会的認知度は低い。
保護観察所及び保護司会において、処遇活動や地域活動の機会を通じて
関係機関・団体等と顔の見える関係を構築することや、対人支援の地域ネ
ットワークに積極的に参加することなどを積み重ねる中で、保護司・保護
司制度の意義が適切に伝わる広報に取り組み、社会的認知度を向上させる
こと。
( 19)更生保護の意義、保護司の活動等について、令和5年度中に、イ22ンターネット広告の掲載を始めたところ、社会を明るくする運動や保護局
X、保護局Instagram、法務省YouTubeチャンネル等の取組と有機的に連
動させ、より幅広い層に対して継続的に訴求すること。
( 20)令和3年3月に開催された世界保護司会議において採択された京23令和6年4月に開催された第2回世界保護司
都保護司宣言などを踏まえ、
会議において、日本の保護司や保護司制度を念頭に置いた「国際更生保護
地域社会の安全・安心
ボランティアの日(4月17日 」が採択された。)にとって重要な意義を有する保護司や保護司制度について 国際的な認知、 - 27 -
「国際更生保護ボランティアの日」を活用し
度の向上や普及を図るべく、
国際的な情報発信を 推進すること。
た 一層
(24)処遇活動や地域活動における学校等との連携を始め、高齢・障害を有
する保護観察等対象者の増加や医療観察制度の導入、地域援助の取組など
により、更生保護の関連分野が広がっているところ、関連分野の関係者等
における更生保護の意義や保護司・保護司会の取組についての理解・協力
を図る必要があることから、社会福祉士及び精神保健福祉士の養成課程の
教育内容に刑事司法と福祉が加えられたことなどを参考にしつつ、更生保
護と関連のある専門職等の養成課程の教育内容に更生保護を加えることに
ついて検討すること。
- 28 -
4.保護司の使命
〔現状認識〕
保護司法第1条(保護司の使命)には 「保護司は、社会奉仕の精神をも、つて、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるとともに、犯罪
の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、個人及び
公共の福祉に寄与することを、その使命とする 」とある。。これは、保護司の活動は社会奉仕の精神に基づくものであるという、その
本質的特徴を明示するとともに、2つの具体的活動を示し、より良い地域社
会づくりと個人及び公共の福祉に寄与するという、活動の目的と意義を明ら
かにした規定である。
保護司法制定からこれまでの70年以上に渡る間、犯罪や非行の件数は増
減を繰り返しているものの、世界的に見ても比較的安定した治安状況が実現
できている一つの背景には 「人は変われる」という理念に基づき、地域の、チカラをいかして支え合いながら安心して生きていける社会をつくりたいと
いう利他の精神の下、保護司が地道な努力を積み重ねてきたことがあると言
っても過言ではない。
令和3年3月に開催された第14回国連犯罪予防刑事司法会議、いわゆる
京都コングレスにおいて、世界保護司会議が開催された。そこで採択された
京都保護司宣言では 「地域ボランティアは、官ではなく民であるという立、場を生かして、罪を犯した人を隣人として受け入れ、同じ目線に立って親身
に接することができる」ことから 「これら地域ボランティアの営みは、2、「 」
015年に国連で採択された 持続可能な開発のための2030アジェンダ
(the 2030 Agenda for Sustainable Development)の根底にある「誰」( ) 」
一人取り残さない No one will be left behind という理念に合致する
とされた。
高度に発展した資本主義経済社会において、利他の精神や人間愛に基づく
保護司制度は社会が持続的に成長していくための礎であり、その価値観はい
つの時代においても絶えることなく、社会の根底にしっかりと存在し続けな
ければならない。
しかしながら、急速に変化する現代社会において、保護司・保護司制度の
在り方を見据えた時、保護司の使命はもとより、保護司法に規定されている
内容について、ふさわしいものとなっているのか見直す必要があるのではな
いかとの指摘がある。
〔課題事項に対する保護司の主な意見〕
全国の保護司に対しヒアリング等を行ったところ、主に次のような意見が
寄せられている。
1保護司の使命・活動の基本
・ あなたのために、地域のために」という基本は変えるべきでない。「・保護司としても地域における役割を再認識するとともに、誰もが住み
やすい地域の構築の一翼を担うといった観点が大切。
・保護司の使命は、あくまでも対象者の改善更生へのお手伝いをするこ
とが最大の使命。
- 29 -
・保護司活動は、対象者の処遇だけでなく、犯罪予防活動などの地域活
動も考慮する必要がある。
・保護司の使命とは、今までの保護司の活動の積み重ねが整理されたも
のであり、上から与えられたものではないことを忘れていないか。
・保護司の技術的な面を学ぶのも重要だが、そもそも保護司とは何かと
いうことを現職の保護司皆が改めて考えることが必要である。
・保護司には、それまでのキャリアのためか、指導者意識が強すぎる人
が多い。
・非常勤の国家公務員であるという「名誉」と「誇り」を傷つけること
のない品格を備え、献身的に活動をしていると認識され、地域の代表
として、地域の人々にとって「誇れる存在」であること。更生保護は
地域社会の中で行われる。このような保護司の有り様を求め続けるこ
とが質の確保につながる。
・社会的包摂の理念のもと、罪を犯した人、非行のある少年も 「誰も、排除されず、全員が平等に社会に参加する機会を持つこと 「誰もが」、
地域の一員であるという考え」を持って保護司の職務に当たることが
重要。すなわち、持続可能な開発目標(SDGs)の中心にある「誰
一人取り残さない」という理念そのもの。
・保護司の使命をよく理解していない保護司が散見されるので、自覚さ
せる必要がある。
2これからの時代を見据えた在り方
・地域社会が抱える課題は、昨今の価値観の違いや一人ひとりの個性が
重視される中、複雑化しているように感じる。大きな目的は、多くの
人がその地域において住みやすい環境を創出していくことにある。そ
、 。 、
のための一つとして 保護司活動が位置付けられる 保護司としても
大きな視点で活動に当たる意識の醸成が必要。
・保護司の使命は、一義的には犯罪者・非行少年の改善更生であると考
えているが、事件数の減少に伴い、事件を担当していない保護司が増
えている。また、犯罪予防活動については、地域社会にある程度浸透
しているが、犯罪者等の更生保護が直接的に地域社会に貢献する活動
とは捉えにくく、保護司の使命を地域社会の貢献の観点からどのよう
に認識してもらうかが課題。
・現在も、これからも、保護司の不変的使命の基本は、保護観察と生活
環境調整。中でも重要なのは、まず対象者の話を良く聞く事。保護司
は、多能的に活動することを希求するのではなく、単能的な活動をき
ちんと遂行する意思を確認し、共有し、発信して行くことが必要。
・地域社会に貢献する更生保護という理念を大切にし、フォローアップ
をするなど地域社会に貢献する必要がある。
・保護司の使命の内容は、言葉的には素晴らしいが、崇高すぎて理解が
。 、
難しい部分がある 保護司一人ひとりの理想の保護司像を具現化した
一般の人にも分かりやすい使命を再構築していく必要がある。
・保護司の使命は、処遇活動及び地域活動によって成り立っているが、
最近では保護観察等事件数が減少していることもあり、犯罪予防活動
や関係機関・団体との連携を始めとする地域活動の比重が重くなって
いる。
- 30 -
・地域社会における保護司に対する認知度が低いため、基礎自治体への
広報を始め保護観察所が積極的に行うべき。
3保護司法関係
・第1条に 「犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の、浄化をはかり」とあるが、SDGsの文脈からそぐわないので 「犯、罪の予防と犯罪や非行をした者でも取り残さない地域社会の建設のた
めの世論の啓発に努め」などと改正すべき。
・第1条に 「もつて地域社会の浄化をはかり」とあるが、人は塵芥で、はないので、修正すべき。
・第1条の「浄化」という文言に、常々、違和感を感じる 「浄化」と。いう文言には、悪いことをした人を排除するというイメージがつきま
とう。
・現代の、そして、これからの時代を見据えた保護司法における「保護
司の使命」として 「誰一人取り残さない社会的包摂」の理念を盛り、込むべき。
・保護司は 「対象者と向き合い、被害者に心を寄せて活動すること 、
、 」
「犯罪予防活動を主として地域社会の安寧に寄与すること」などを車
の両輪として明確にすべき。
・保護司の使命には、保護観察対象者との関係だけでなく、地域社会で
、 、
求められる活動も取り入れ 地方公共団体や関係機関・団体との協働
連携を強化することを掲げるべき。
・今から、70年以上前、昭和25年に制定された法律と今の社会の実
、 、 、 。
態 あるいは 保護司の実際の取組みとの間には 乖離が生じている
第1条は、この法律の存在意義を表すものであり、保護司制度の中核
に位置付けられる。
・人口の減少と高齢化が進む現代社会において、事件数の減少も踏まえ
て、定数は見直すべきではないか。
・全国の保護司定数はさておき、各保護区の定数の見直しはすべきであ
る。
・定数にとらわれることなく、柔軟に運用すべきではないか。
・事件数の減少を踏まえ、保護区ごとの定数を見直すべきではないか。
保護司定数にとらわれすぎるのはよくないのではないか。
・地方公共団体は、第17条において 「必要な協力をすることができ、る」ではなく 「協力をする」に改正すべき。、・保護司法については、誰一人取り残さない社会の実現や再犯防止推進
法など昨今の状況を踏まえた分かりやすい内容となるよう見直しをす
べき。
〔今後講じていく施策等〕
(1)保護司法第1条(保護司の使命)に掲げる保護司の使命について 「地、域社会の浄化」などの文言が時代にそぐわず伝わりにくいといった意見や
保護司の実際の活動と乖離が生じているといった意見がある。こうした意
見を踏まえ、保護司は、保護観察等対象者に寄り添い、改善更生を助ける
ことによって再犯防止にも貢献していること、世論の啓発以外にも犯罪の
予防に関する活動を行っていること、地域社会を構成する一員として安全
- 31 -
で安心して暮らせる社会の実現に寄与していることなどを念頭に、更生保
護法制全体との調和にも配慮した上、保護司の使命の内容がこれからの時
代を見据えたものとなるよう見直しを検討すること。
(2)保護司法第2条第2項において、保護司の定数は、全国を通じて、5万
、 、
2千5百人をこえないものとするとされているところ 人口減少や高齢化
保護観察等事件数の減少を踏まえ、定数を見直すべきではないかなどの意
見がある一方で、保護観察等事件数が減少して処遇活動の機会が少なくな
ってきているものの地域活動の比重が増しており、地域活動には組織力と
して一定程度の規模が必要であることから定数は維持すべきであるなどの
、 、
意見があることから 全国の保護司数の上限としての定数は維持しつつも
保護司適任者の確保に当たっては、適格性を担保する観点から、定数の充
足率のみにとらわれることなく、柔軟に運用すること。また、保護区ごと
の保護司の定数については、地域の事情や保護司会の意向を勘案して、適
時適切に見直すこと。
(3)幅広い年齢層から保護司の適任者を確保するためには、いわゆる地域の
名士にとどまらない多様な保護司像が求められる。その中にあって、保護
司にはその基本的な資質として人格及び行動に誠実さや信頼性が求められ
ることはもとより、保護司会の会員として組織的な活動に取り組むに当た
り相互に協力し合うことが要請される。また、多忙とされるいわゆる現役
世代の者であっても、地域活動を含む保護司活動のために必要最小限の時
間を調整・確保できさえすれば保護司の適任者たり得る。以上のことなど
も踏まえ、保護司法第3条(推薦及び委嘱)第1項各号に掲げる保護司の
具備条件及びその運用の見直しについて検討すること 【再掲】。(4)幅広い年齢層から保護司の適任者を確保するためには、保護司・保護司
会とともに、保護観察所においても、関係機関・団体等に対して人材の確
保について協力を求めるなどして、保護司適任者を確保できるよう必要な
措置をとることが求められていることなどを踏まえ、保護司の推薦及び委
嘱について規定する保護司法第3条の在り方について検討すること 【再。掲】
( 4)保護司法第7条において、保護司の任期は、2年とするとされている5ところ、保護司に委嘱されてから、処遇活動や地域活動といった保護司活
動を経験・理解する機会を通じて保護司としてその能力等を向上させてい
くことが大切であるため短いといった意見がある一方、あまりに長期の任
期とすることは、保護司のなり手確保を困難にしかねないといった意見が
あることを踏まえ、特に多忙とされるいわゆる現役世代にとって、保護司
になることを躊躇させる要因となることなく、保護司に委嘱後、任期中に
保護司活動を理解・経験する機会が増えることで、長く保護司活動を継続
していく意欲を喚起することができるのに十分な期間を確保するという観
点から、任期の見直しを検討すること 【再掲】。( 5)再犯の防止等の推進に関する法律(平成28年法律第104号)第46 - 32 -
条(国等の責務)第2項及び第24条(地方公共団体の施策)に基づき、
地方公共団体においても再犯の防止等に関する施策に取り組んでいるこ
と、保護司活動と当該地方公共団体の取組は密接に関連していること、保
護司からは公共施設内での更生保護サポートセンターの開設や幅広い保護
司候補者の推薦などについて、地方公共団体の更なる協力を求める意見が
あることを踏まえ、保護司法第8条の2(職務の遂行)第3号や保護司法
第17条(地方公共団体の協力)の見直しについて検討すること。
( 6)更生保護サポートセンターは、保護観察対象者やその家族等との面接7場所として利用されているだけでなく、保護司同士や保護司会と地域の関
係機関・団体との間で実施される処遇協議、研修等を行う場所としても活
用されているなど保護司・保護司会の活動の拠点として重要な機能・役割
を果たしている。その一方で、平日夜間や休日の利用が難しい、広い保護
のほか、更生保護施設とと
区では遠方にあるため利用できないなどの意見
もに息の長い支援を実現するための地域支援ネットワークの拠点としての
があり、地方公共団体の一層の協力を得
役割が期待されているなどの意見
るなどして、その機能・役割をより充実させる必要があることから、更生
保護サポートセンターの法定化などの必要な方策について検討すること。
【再掲】
( 7)安全で安心して暮らせる持続可能な地域社会の実現に向け、保護司が8果たす役割の中で地域活動の比重が増し、その重要性も増していること、
地域活動には保護司会及び保護司会連合会の組織力が求められること、保
護司組織の維持・運営には、幅広い年齢層の保護司が相互に協力し合いな
がら保護司会及び保護司会連合会を一体のものとして作り上げていく必要
があることを踏まえ、保護司法第13条(保護司会)及び同第14条(保
護司会連合会)に関する運用の見直しについて検討すること 【再掲】。( 8)保護司会及び保護司会連合会は、幅広い年齢層の多様な保護司がその9使命を全うできるように育成する上で重要な機能を有していること、保護
司会及び保護司会連合会の世代交代を円滑に遂行するためにも、次世代の
保護司を育成し、層の厚い保護司組織を構築していく必要があること、保
護司の年齢構成に鑑みると、次世代の保護司の育成が急務であることを踏
まえ、保護司法第13条(保護司会)及び同第14条(保護司会連合会)。【 】
に掲げる任務の内容及びその運用の見直しについて検討すること 再掲
(10)保護司適任者の確保のみならず、犯罪予防活動の実施や地方公共団体
を始めとする関係機関・団体等との調整等について、保護観察所が一層明
確かつ積極的に関与すべきであるなどの意見を踏まえ、保護観察所が、自
らの責務として、保護司会及び保護司会連合会の適正な維持・運営を確保
するための各種支援に取り組むことができるよう、保護司法の在り方につ
いて検討すること 【再掲】。( 9)いわゆる現役世代が、仕事をしながらでも保護司活動に従事できる11ようにするため、国若しくは地方公共団体又は事業者若しくは事業主にお
- 33 -
いて、保護司活動に対して理解・配慮し、公務員又は従業員から保護司を
兼ねることを求められた場合にこれを積極的に許可することや職務専念義
務の免除について柔軟かつ弾力的な取扱いを行うことなど、保護司活動の
環境整備の活性化のための仕組みについて検討すること 【再掲】。( 10)安全で安心して暮らせる持続可能な地域社会の実現に向け、保護12司が果たす役割の中で地域活動の比重が増し、その重要性も増しているこ
と、人間科学の専門的知識を有する保護観察官と地域社会との密接な関係
を有する保護司とが、それぞれの優位性を活かしつつ相互に補完し合いな
がら職務を遂行することにより、相乗効果を発揮できる関係であるべきこ
とを踏まえ、関係法令を含め保護司と保護観察官の職務における関係性の
在り方及び運用の見直しについて検討すること 【再掲】。(13)持続可能な保護司制度の確立には、幅広い年齢層から保護司の適任者
を迎え入れ、若手からベテランに至るまで相互に協力し合いながら保護司
活動を作り上げていくことが重要であり、今後の我が国の社会情勢や人々
の価値観の変化等に対応していく必要があることから、保護局において、
少なくとも5年ごとに、保護司制度の在り方やその維持・発展のための方
策等について検討すること。
- 34 -
5.保護司の安全確保
〔現状認識〕
、 、 、 、
令和6年5月 滋賀県大津市において 保護司が 自宅において殺害され
担当する保護観察対象者が殺人容疑で逮捕される事案があった。
この 事案は、現時点において捜査中であり、その事実関係を断ずるこ
大津
とはできないが、これまで保護司が被害に遭われた重大な事案については、
昭和39年に北海道において、保護司が、担当していた元保護観察対象者に
よって殺害された事案、平成22年に茨城県において、保護司の自宅が、担
、 。 、
当する保護観察対象者によって放火され 全焼した事案があった このほか
金品を盗まれる、物を壊される、暴行を受けて怪我をするなどの事案が発生
している。
更生保護制度及び保護司制度の維持・発展のための歩みを止めてはならな
いが、保護司の安全が脅かされるような事態が生じることは許されず、現実
に保護司が抱えている不安の軽減や保護司が安全に安心して活動を継続して
いくための環境の整備について、 可能なものから順次取組を進めてい
早急に
く必要がある。
〔現状における補償制度〕
不幸にして保護司が被害に遭われてしまった場合には、国家公務員
もしも
災害補償法及び保護司物損補償制度による補償の対象となる。
国家公務員災害補償法については、保護司が保護観察を実施するに当たっ
て身体的損害を受けた場合など、公務上災害を受けたときに適用される。
保護司物損補償制度については、上記平成22年の事案を踏まえて創設さ
れたもので、国家公務員災害補償法による補償の対象外である物的損害に対
、 。
する補償のほか 保護司家族等に対する傷害なども補償の対象となっている
〔課題事項に対する保護司の主な意見〕
全国の保護司に対して行っている不安等の聴取等では、これまでに、主に
次のような意見が寄せられている。
1保護司や家族の不安の軽減等
・保護司を続けることについて家族から反対された。
・保護司自身以上に、家族が保護司の活動に対して不安を感じている。
・同居する家族等から心配の声が上がっているが、現在担当しているケ
ースは最後まで担当したい。
・保護司自身は冷静に受け止めているが、保護司宅の近隣住民から不安
の声がある。
・自宅での面接時、家人に茶菓を出してもらうなどして自宅に人がいる
ことを伝えたり、家人に隣室で控えてもらうよう工夫していたが、最
近は家族の協力を得ることが難しくなっている。
・事件を担当している、又は担当したことがある保護司は、保護観察対
象者をよく承知しているので、特に不安等を抱えていないが、新任の
保護司や事件担当をしたことがない保護司が、比較的不安を感じてい
る傾向にある。
- 35 -
・経験の浅い保護司は不安に思うだろうから、自主研修等を活用して保
護司同士で経験の浅い保護司をサポートしたい。
・女性の保護司は、男性の保護観察対象者を担当することに不安を感じ
ている。
、 、
・保護司会として 更生保護サポートセンターに新任保護司等を集めて
不安や悩みを相談してもらえるような機会を設けている。
・個人情報保護の観点には留意しつつも、新任保護司が事件を担当する
ことになったら、会長に情報を共有してもらえると、新任保護司への
声かけなどができるので、不安等も軽減できるのではないか。
・感情の起伏が激しい保護観察対象者には不安を感じる。
・今後、粗暴事案は複数指名とし、なるべく自宅を知られないようにす
る配慮が必要である。
・保護司に任せて大丈夫な保護観察対象者かどうかしっかりとアセスメ
ントしてほしい。
・保護観察が長期にわたる場合、複数指名で交互に面接したり、途中で
の交替も必要ではないか。
・今回、保護観察官から事件担当中の保護司の声を聞いてもらったこと
はありがたかった。
・保護司のメンタルケアをお願いしたい。相談に乗ってもらえる体制作
りが必要。
・定期駐在の機会を活用するなどして、保護観察官面接の頻度を高めて
ほしい。
・もっと保護司と保護観察官は密に連携を取るべきで、そのためにもっ
と保護観察官を増やしてほしい。
・保護観察所の体制が複数の保護観察官によるユニット制になったこと
、 。
で 地区担当官が不在でも相談できる体制が整ったので安心感がある
・連絡カードに保護司の名前と連絡先が記載されているが、保護観察対
象者による紛失なども考えられ、不安を感じる。
2自宅以外の面接場所の確保等
・自宅で面接するのが怖いと感じた。
・全てのケースの面接を更生保護サポートセンターで行った方がいい。
・面接機能に特化した更生保護サポートセンターのサテライトを設置す
べき。
・保護司の自宅で面接することへの否定的風潮が高まることを危惧す
る。自宅で面接するメリット等も考慮してほしい。
・自宅以外での面接を否定するわけではないが、自宅に招いて面接する
ことに保護司の神髄があるのではないか。
・更生保護サポートセンターが使いにくい(土日・夜間対応ができな
い 。)・更生保護サポートセンターは遠くて活用できない。地域の公民館等の
公共施設を借りられるようにしてほしい。
・更生保護サポートセンターに防犯カメラを設置してほしい。
・夜間・休日でも安心して面接できる環境を整備してほしい。
・面接時に公共施設を利用すると、その利用料の支払いを求められるな
ど、地方公共団体の理解や協力が十分でないため、地方公共団体の理
- 36 -
解が得られるような働き掛けをお願いしたい。
・全市町村で公民館が無料で使えるようになればいい。
・地方公共団体や社会福祉協議会などが面接場所として施設の提供を申
し出てくれることがあった。
・保護司や保護観察官に緊急連絡用の電話番号を付与してはどうか。
・対面でなく、オンラインによる面接も考えられる。
3保護司や保護観察対象者についての理解の促進等
・保護観察対象者は危険な存在なんだと一律に捉えてほしくない。
・保護観察対象者が世間から偏見を持って見られるようになるのではな
いか心配である。
・保護観察対象者が、より偏見に晒される。就職が困難になる。
・住民の誤解や保護観察対象者への偏見を危惧する保護司も多数いると
ころ、保護司という更生の支え手を地域住民が正しく理解し、住民全
、 。
体で支えることこそが重要という前提で 積極広報に取り組んでいる
・職場では、保護司であることを承知してもらっているので、この機会
に保護司や更生保護について説明し、理解を深めてもらった。
・現在担当しているケースについて、いきなり複数指名にしたり、面接
場所を変えたりするなど、これまでと違った対応にすると保護観察対
象者本人との信頼関係が壊れてしまう。保護観察対象者から見えるこ
ちらの態度も意識する必要がある。
・全てのケースで保護司複数指名制を希望する意見がある一方で、相手
に威圧感を与え、信頼関係の構築が難しくなるといった意見もある。
・保護司複数指名制は日程調整が難しいので避けてほしい。
・保護司適任者の確保がますます難しくなる。
・地方公共団体から保護司の安全を心配する声が上がっている。
・保護観察官から保護観察対象者に対して、今般の事件についての気持
ちや、保護司に対する不平不満がないかなど聞いたらいいのではない
か。
4今般の 事案の検証等
大津
・今般の事案について、情報開示やしっかりとした検証・説明を行って
ほしい。
・今般の事案の原因や背景を究明して共有してほしい。
・今般の事案の経緯、犯人の動機を知ることで、面接時の留意点など今
後の保護司活動に繋げたい。
・保護観察所としてのリスク管理、問題把握を徹底していただきたい。
保護観察開始時だけでなく、保護観察が経過する中での再検証を徹底
していただきたい。
〔今後講じていく施策等〕
(1)地区担当官である保護観察官は、保護司からの保護観察経過報告書及び
、 、
生活環境調整報告書による報告により 特異な状況が見受けられたときや
事故報告があったときには、保護司と必要な意見の交換及び情報の共有を
行っているところ、これらに加え、定期的に保護観察事件の点検を実施す
るとともに、電話連絡のほか、定期駐在や研修会等の機会を通じて、能動
的に、個別のケースに係る保護司の不安等を適時的確に把握し、これに応
- 37 -
じて保護観察官による直接担当としたり、保護司複数指名制を活用するな
どの適切な措置を 講じること。
速やかに
(2)地区担当官である保護観察官が、日頃から担当地区に出向くなど様々な
機会を通じて保護司一人ひとりとコミュニケーションを積み重ねること
で、保護司から相談のしやすい関係性を構築すること。また、そこで聴取
等した保護司の意向を十分に踏まえ、保護観察官において、保護観察事件
について保護司と保護観察対象者等との面接に同席したり、保護司ととも
に就労先を訪問したり、あるいは生活環境調整事件について引受人宅への
訪問に同行したりするなど、処遇の充実や保護司の安全確保の観点から、
保護観察官による直接関与の強化に臨機に取り組むこと。
(3)保護観察対象者が異性である場合や保護観察期間が長期にわたる場合に
は、地区担当官である保護観察官において、保護司の意向や保護司と保護
保護司の複
観察対象者等との関係性を十分に踏まえつつ、必要に応じて、
担当保護司の交替や保護司の複数指名を含め、より効果的な保護
数指名や
観察処遇を実施するための措置を 講じること。
速やかに
(4)保護観察対象者の再犯リスクや特性を見極めるに当たって、保護観察所
において、アセスメントを効果的に実施するとともに、保護観察官や保護
司が、保護観察期間中の保護観察対象者等の状況に応じて、適時適切に専
門家の知見を得られるよう、関係機関等との連携確保に努めること。
( 4)保護観察付全部執行猶予者の保護観察の円滑な開始について、保護観5察所において、当該保護観察所の所在地を管轄する裁判所との緊密な連絡
に努めるなどしているところ、保護観察の開始当初は保護観察官による直
接担当とし、アセスメント等を実施して保護観察対象者の再犯リスクや特
性を見極めた上で、直接担当を継続するか担当保護司を指名するか判断す
るという運用の在り方について検討すること。
(6)保護司の家族においては、不安や負担を感じつつも、保護司活動が円滑
に実施できるよう、様々な配慮や協力をしているところ、保護司活動は、
保護司の家族の深い理解と協力なくして成り立たず、保護司の家族は、ま
さに保護司活動の協力者というべき存在である。
保護司の家族の不安や負担を軽減できるよう、保護司への委嘱に際し、
保護観察所及び保護司会において、保護司活動インターンシップなどの機
会を通じて、保護司候補者のみならず、その家族の参加も得ながら、保護
。 、 、
司活動について丁寧に説明すること また 保護司への委嘱後についても
保護観察所において、保護司活動の協力者である家族が互いに意見交換で
きるような機会を設けるなど、保護司の家族に対する必要な支援の充実を
図ること 【再掲】。( 5)保護司は、その置かれた保護区ごとに保護司会を組織し、保護司会の7会員となるとされ、保護司会は、その任務として、保護司の職務に関し必
要な資料及び情報の収集を行うこととされている。保護観察所及び保護司
- 38 -
会において、個人情報の保護に留意しつつ、定期駐在や研修会等の機会を
通じて、担当ケースに関する処遇上の悩み等を共有することができるよう
にすることで、保護司会としても個々の保護司の処遇活動を支援できるよ
うな体制を構築すること。
( 6)保護司と保護観察対象者等との面接場所について、保護観察所及び保8護司会において、保護司の意向や保護司と保護観察対象者等との関係性を
十分に踏まえつつ、保護司の自宅以外の場所で面接を行うことができるよ
う、地方公共団体や関係機関・団体の理解と協力を得ながら、更生保護サ
ポートセンターの保護区内の複数設置 を含め、公民館等の公的施設
に加え
や貸会議室等の利用など、保護司のみならず、保護観察対象者等にとって
も利便性の高い面接場所を拡充すること。
( 7) 保護司と保護観察
9 保護司の安全の確保や不安の軽減は重要であるが、
一律にルールを設けることは、処遇
対象者等との面接の在り方について、
活動の基本である保護司による面接の実質を損なったり、臨機応変な面接
の実施を妨げたりするおそれがあり、個別の事案や状況等に応じて、面接
の実を挙げつつ安全・安心が確保される面接の方法等を柔軟かつ円滑に選
択することができるようにする必要がある。
保護観察所及び保護司会において、保護司の意向や保護司と保
そこで、
護観察対象者等との関係性を十分に踏まえつつ、保護観察対象者等の特性
、 、
に応じて、
保護観察官や 複数指名制を活用して指名を受けた他の保護司
更生保護サポートセンターで活動する企画調整保護司等が、対面で、ある
情報通信技術(ICT)を活用した 保護観察官や企画調整保護司
いは、 て
したり、面接場所として、第三者の存在があ
等によるオンラインでの同席
や、更生保護サポ
る公的施設等を使用したりすることなどができるように
ートセンターへの防犯カメラの設置(あるいは防犯カメラが設置された場
所への移転)を含め、第三者による見守りがある状況下での面接実施に留
意すること。
( 8)保護観察所において、保護司会の協力を得るなどして、保護司から10( )
の夜間・休日における保護観察所の緊急相談先 緊急連絡端末の電話番号
について、定期駐在や研修会等の機会を通じて、改めて広く周知するとと
もに、情報通信技術(ICT)を活用するなどして、保護観察官及び保護
司の利便性や安全確保のための実効性を担保した緊急連絡の在り方につい
て検討すること。
11 大津
( 9)保護局において、捜査機関における捜査状況等を踏まえつつ、
今般の事案に関する調査・分析を行うとともに、アセスメントツールであ( )るCFP Case Formulation in Probation/Parole:令和3年1月導入
の充実を図ること。また、それを踏まえた保護司研修の充実を図ること。
(1 0)保護司からは、保護観察対象者が偏見によって誤解されてしまうと2か、保護司適任者の確保が一層困難になるなどの意見があるところ、保護
観察所及び保護司会において、社会を明るくする運動や保護司活動インタ
- 39 -
ーンシップ、保護司セミナー、地方公共団体の広報誌等を通じて、更生に
向けて努力する保護観察対象者の姿や保護司活動の実際、更生保護の意義
について、改めて地域社会に対する啓発に取り組むこと。
(13)保護司が安全に安心して活動を継続していくためには、地区担当官で
ある保護観察官が、保護司や保護観察対象者等の状況に応じて迅速かつ臨
機に対応することができるような体制を構築する必要があることから、更
生保護官署職員の配置の最適化や保護観察官の増員を含め、保護観察等の
実施体制を強化すること。
(1 1)保護司が安全に安心して活動を継続していくことができる環境作り4は、持続可能な保護司制度の確立に向けた前提となることから、保護司の
安全確保や更生保護サポートセンターを含めた面接場所の確保を国及び地
方公共団体の責務として定めることや、所属する保護区外にある更生保護
サポートセンターを含めた面接場所をより円滑に利用できるようにするこ
、 。 、
となど 保護司法を始め関係法令の見直しについて検討すること 加えて
アセスメントの充実に向けた保護観察対象者に関する情報収集の強化のた
めの方策についても、法改正を含めて検討すること。
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参考1 検討会構成員名簿
持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会構成員
井上 東 公認会計士
法務省政策評価懇談会構成員
川出 敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
再犯防止推進計画等検討会構成員
清永 聡 日本放送協会解説主幹
倉吉 敬 前中央更生保護審査会委員長
小西 暁和 早稲田大学法学学術院教授
杉本 景子 千葉県保護司
野見山優子 福岡県保護司
宮川 崇 香川県保護司
栁川 義信 神奈川県保護司
山元 俊一 東京都保護司
横田 響子 株式会社コラボラボ代表取締役
押切 久遠 法務省保護局長
(敬称略)
- 41 -
参考2 検討会スケジュール
持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会スケジュール
(令和5年)
5月17日 第1回 論点と論点ごとの課題について意見交換
論点・論点ごとの課題事項の確定
6月20日 第2回 保護司・保護司会の視察・ヒアリング
(大田区保護司会更生保護サポートセンター)
7月27日 第3回 論点について意見交換
(推薦・委嘱の手順、年齢条件、保護司の使命)
8月30日 第4回 論点について意見交換
(職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢
の強化、保護司の使命)
9月21日 第5回 論点について意見交換
(待遇、活動環境、保護司の使命)
【 】
10〜11月 地方別保護司代表者協議会との意見交換 事務局
12月21日 第6回 論点について意見交換(保護司の使命等)
(令和6年)
2月21日 第7回 中間取りまとめ案について意見交換
3月28日 第8回 中間取りまとめの確定
4月25日 第9回 有識者からのヒアリング・意見交換
6月27日 第10回 更に議論すべき論点について意見交換
(保護司の安全確保等)
7月29日 第11回 論点について意見交換(保護司の安全確保)
8月29日 第12回 報告書案について意見交換
9月27日 第13回 報告書案について意見交換【P】
10月 3日 第14回 報告書の確定(法務大臣への報告 【P】) - 42 -
参考3 保護司関係法規
にじゅうまる保護司法(昭和25年法律第204号)
(保護司の使命)
第一条 保護司は、社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者及び非行のある少
年の改善更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつ
て地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することを、その使
命とする。
(設置区域及び定数)
第二条 保護司は、法務大臣が都道府県の区域を分けて定める区域(以下「保
護区」という )に置くものとする。。2 保護司の定数は、全国を通じて、五万二千五百人をこえないものとする。
3 保護区ごとの保護司の定数は、法務大臣がその土地の人口、経済、犯罪の
状況その他の事情を考慮して定める。
4 第一項及び前項に規定する法務大臣の権限は、地方更生保護委員会に委任
することができる。
(推薦及び委嘱)
第三条 保護司は、左の各号に掲げるすべての条件を具備する者のうちから、
法務大臣が、委嘱する。
一 人格及び行動について、社会的信望を有すること。
二 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。
三 生活が安定していること。
四 健康で活動力を有すること。
2 法務大臣は、前項の委嘱を、地方更生保護委員会の委員長に委任すること
ができる。
、 。
3 前二項の委嘱は 保護観察所の長が推薦した者のうちから行うものとする
4 保護観察所の長は、前項の推薦をしようとするときは、あらかじめ、保護
司選考会の意見を聴かなければならない。
(欠格条項)
第四条 次の各号のいずれかに該当する者は、保護司になることができない。
一 禁錮以上の刑に処せられた者
二 日本国憲法の施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した
政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこ
れに加入した者
三 心身の故障のため職務を適正に行うことができない者として法務省令で
定めるもの
(保護司選考会)
第五条 保護観察所に、保護司選考会を置く。
2 保護司選考会は、委員十三人(東京地方裁判所の管轄区域を管轄する保護
観察所に置かれる保護司選考会にあつては、十五人)以内をもつて組織し、
うち一人を会長とする。
3 保護司選考会の委員には、給与を支給しない。
4 この法律で定めるもののほか、保護司選考会の組織、所掌事務、委員及び
- 43 -
事務処理の手続については、法務省令で定める。
第六条 削除
(任期)
第七条 保護司の任期は、二年とする。但し、再任を妨げない。
(職務の執行区域)
第八条 保護司は、その置かれた保護区の区域内において、職務を行うものと
する。但し、地方更生保護委員会又は保護観察所の長から特に命ぜられたと
きは、この限りでない。
(職務の遂行)
第八条の二 保護司は、地方更生保護委員会又は保護観察所の長から指定を受
けて当該地方更生保護委員会又は保護観察所の所掌に属する事務に従事する
ほか、保護観察所の長の承認を得た保護司会の計画の定めるところに従い、
次に掲げる事務であつて当該保護観察所の所掌に属するものに従事するもの
とする。
一 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図
るための啓発及び宣伝の活動
二 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図
るための民間団体の活動への協力
三 犯罪の予防に寄与する地方公共団体の施策への協力
四 その他犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予
防を図ることに資する活動で法務省令で定めるもの
(服務)
第九条 保護司は、その使命を自覚し、常に人格識見の向上とその職務を行う
ために必要な知識及び技術の修得に努め、積極的態度をもつてその職務を遂
行しなければならない。
2 保護司は、その職務を行うに当つて知り得た関係者の身上に関する秘密を
尊重し、その名誉保持に努めなければならない。
第十条 削除
(費用の支給)
第十一条 保護司には、給与を支給しない。
2 保護司は、法務省令の定めるところにより、予算の範囲内において、その
職務を行うために要する費用の全部又は一部の支給を受けることができる。
(解嘱)
第十二条 法務大臣は、保護司が第四条各号の一に該当するに至つたときは、
これを解嘱しなければならない。
2 法務大臣は、保護司が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、保
護観察所の長の申出に基づいて、これを解嘱することができる。
一 第三条第一項各号に掲げる条件のいずれかを欠くに至つたとき。
二 職務上の義務に違反し、又はその職務を怠つたとき。
三 保護司たるにふさわしくない非行があつたとき。
3 保護観察所の長は、前項の申出をしようとするときは、あらかじめ、保護
司選考会の意見を聴かなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による解嘱は、当該保護司に解嘱の理由が説明さ
れ、かつ、弁明の機会が与えられた後でなければ行うことができない。ただ
し、第四条第一号に該当するに至つたことを理由とする解嘱については、こ
- 44 -
の限りでない。
(保護司会)
第十三条 保護司は、その置かれた保護区ごとに保護司会を組織する。
2 保護司会は、次に掲げる事務を行うことを任務とする。
一 第八条の二に規定する計画の策定その他保護司の職務に関する連絡及び
調整
二 保護司の職務に関し必要な資料及び情報の収集
三 保護司の職務に関する研究及び意見の発表
四 その他保護司の職務の円滑かつ効果的な遂行を図るために必要な事項で
法務省令で定めるもの
(保護司会連合会)
第十四条 保護司会は、都道府県ごとに保護司会連合会を組織する。ただし、
北海道にあつては、法務大臣が定める区域ごとに組織するものとする。
2 保護司会連合会は、次に掲げる事務を行うことを任務とする。
一 保護司会の任務に関する連絡及び調整
二 保護司の職務に関し必要な資料及び情報の収集
三 保護司の職務に関する研究及び意見の発表
四 その他保護司の職務又は保護司会の任務の円滑かつ効果的な遂行を図る
ために必要な事項で法務省令で定めるもの
(保護司会等に関し必要な事項の省令への委任)
第十五条 この法律に定めるもののほか、保護司会及び保護司会連合会に関し
必要な事項は、法務省令で定める。
(表彰)
第十六条 法務大臣は、職務上特に功労がある保護司、保護司会及び保護司会
連合会を表彰し、その業績を一般に周知させることに意を用いなければなら
ない。
(地方公共団体の協力)
第十七条 地方公共団体は、保護司、保護司会及び保護司会連合会の活動が、
犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるとともに犯罪を予防
し、地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与するものであることにかんが
み、その地域において行われる保護司、保護司会及び保護司会連合会の活動
に対して必要な協力をすることができる。
(省令への委任)
第十八条 この法律の実施のための手続、その他その執行について必要な細則
は、法務省令で定める。
にじゅうまる更生保護法(抄 (平成19年法律第88号))(運用の基準)
第三条 犯罪をした者又は非行のある少年に対してこの法律の規定によりとる
措置は、当該措置を受ける者の性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、
交友関係、被害者等(犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為により害を被った
者(以下この条において「被害者」という )又はその法定代理人若しくは。被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるそ
の配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ )の被害に関す。 - 45 -
る心情、被害者等の置かれている状況等を十分に考慮して、当該措置を受け
る者に最もふさわしい方法により、その改善更生のために必要かつ相当な限
度において行うものとする。
(保護観察官)
第三十一条 地方委員会の事務局及び保護観察所に、保護観察官を置く。
2 保護観察官は、医学、心理学、教育学、社会学その他の更生保護に関する
専門的知識に基づき、保護観察、調査、生活環境の調整その他犯罪をした者
及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に関する事務に従事する。
(保護司)
第三十二条 保護司は、保護観察官で十分でないところを補い、地方委員会又
は保護観察所の長の指揮監督を受けて、保護司法(昭和二十五年法律第二百
四号)の定めるところに従い、それぞれ地方委員会又は保護観察所の所掌事
務に従事するものとする。
(保護観察の実施者)
第六十一条 保護観察における指導監督及び補導援護は、保護観察対象者の特
性、とるべき措置の内容その他の事情を勘案し、保護観察官又は保護司をし
て行わせるものとする。
2 前項の補導援護は、保護観察対象者の改善更生を図るため有効かつ適切で
あると認められる場合には、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の
規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うことがで
きる。
(刑執行終了者等に対する援助)
第八十八条の二 保護観察所の長は、刑執行終了者等の改善更生を図るため必
要があると認めるときは、その者の意思に反しないことを確認した上で、そ
の者に対し、更生保護に関する専門的知識を活用し、情報の提供、助言その
他の必要な援助を行うことができる。
(更生保護に関する地域援助)
第八十八条の三 保護観察所の長は、地域社会における犯罪をした者及び非行
のある少年の改善更生並びに犯罪の予防に寄与するため、地域住民又は関係
機関等からの相談に応じ、更生保護に関する専門的知識を活用し、情報の提
供、助言その他の必要な援助を行うものとする。
にじゅうまる保護司会及び保護司会連合会に関する規則(抄 (平成11年法務省令第2)号)
(保護司の従事する事務)
第一条 保護司法(昭和二十五年法律第二百四号。以下「法」という )第八。条の二第四号に規定する法務省令で定める活動は、次のとおりとする。
一 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、その者を
雇用する事業主の確保その他の雇用の促進を図る活動
二 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、教育、医
療又は福祉に関する公私の団体又は機関からの協力の促進を図る活動
三 犯罪の予防を図るために、公私の団体又は機関からの協力の促進を図る
活動
四 犯罪の予防に寄与する公私の団体又は機関(地方公共団体を除く )の。 - 46 -
施策又は活動への協力
五 犯罪の予防に関する事項について、住民からの相談に応じ、必要な助言
その他の援助を行う活動
(保護司会の任務)
第四条 法第十三条第二項第四号に規定する法務省令で定める事項は、次のと
おりとする。
一 保護司の職務に関する研修
二 保護司及び保護司会の活動に関する広報宣伝
三 保護司の人材確保の促進に関する活動
四 保護司の職務遂行に関し災害が発生した場合の救済に関すること(国家
公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)に基づくものを除
く 。。)
(保護司会連合会の任務)
第十三条 法第十四条第二項第四号に規定する法務省令で定める事項は、次の
とおりとする。
一 保護司の職務に関する研修
二 保護司、保護司会及び保護司会連合会の活動に関する広報宣伝
三 保護司の人材確保の促進に関する活動
四 保護司の職務遂行に関し災害が発生した場合の救済に関すること(国家
公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)に基づくものを除
く 。。)

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