《本号の注目記事》
くろまる相続登記の申請義務化がスタートします!
くろまるウクライナ汚職対策タスクフォース第1回会合を開催しました!
くろまる「令和5年版犯罪白書」について
くろまる「令和5年版再犯防止推進白書」について2024Vol84 もくじ あかれんが 第 84号
《特 集 記 事 》
相 続 登 記 の申 請 義 務 化 がスタートします!
ウクライナ汚 職 対 策 タスクフォース第 1回 会 合 を開 催 しました!
「令 和 5年 版 犯 罪 白 書 」について
「令 和 5年 版 再 犯 防 止 推 進 白 書 」について
アジ研 が署 名 したMOU・MOCの紹 介0104071215《常 設 記 事 》
お答 えします〜司 法 試 験 ・司 法 試 験 予 備 試 験 について〜
記 者 が行 く!
広 報 ・啓 発 動 画 「陣 内 智 則 がレポート「再 犯 防 止 の現 場 」
〜農 園 での立 ち直 り支 援 〜」を公 開 しています!1819
《連 載 記 事 》222325そんなときこそ 法 テ ラスがお役 に 立 ち ま す! Vol.63〜法 テラスの
DV 等 被 害 者 法 律 相 談 援 助 を知 っていますか?〜
法 制 度 整 備 支 援 の現 場 から
法 務 省 で働 くひと・しごと紹 介 Vol.20
〜人 権 擁 護 局 総 務 課 委 員 係 〜 1あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
相続登記の申請義務化がスタートします!
いよいよ今年の4月1日から、これまで任意であった相続登記の申請が義務化されま
す。
相続登記の申請義務化は、
所有者不明土地対策の中核をなすとても重要な法改正です
ので、その内容について説明します。
相続登記の申請義務化は、令和3年に成立した所有者不明土地関連法の目玉の一つと
して導入されました。
導入された背景として、
日本全国の2割以上の土地が、
公開されている不動産登記簿を
見ても、
所有者やその連絡先がわからない所有者不明土地といわれています。
所有者不明
土地の主な原因は、相続の際に、不動産の名義変更(相続登記)が行われないために、不
動産登記簿が古いままになっていることにあります。
また、相続登記がされないのは、1相続登記の申請が義務でなく、申請しなくても不利
益を被らない、2相続した土地の価値が乏しい場合などに費用や手間をかけてまで登記
の申請をするインセンティブが働きにくいことなどが原因だといわれています。
そこで、
所有者不明土地の発生を予防するために、
相続登記の申請が義務化されること
になったのです。
なぜ相続登記の申請が義務になるの? 2あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
新制度では、不動産を相続により取得したことを知った日から3年以内に、法務局で相
続登記の申請をすることが義務付けられます。
制度開始前の相続でも、未登記であれば、義務の対象になります。この場合は制度開始
から3年間の猶予期間がありますので、令和9年3月31日までに相続登記を行う必要
があります。
そして、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10 万円以下の過料の適用対
象となります。
これにより、相続未登記やそれによる所有者不明土地の発生が大幅に解消されること
が期待されています。
相続登記を促進するため、1相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡
した場合の相続登記、2不動産の価額が100万円以下の土地に係る相続登記について
は、登録免許税を課さないこととされています(令和7年3月 31 日までの特別措置)。不動産を相続したけれども、
期限までに登記手続ができない場合に備えて、
同じく今年
の4月から、
相続人が簡単に手続できる相続人申告登記制度が始まります。
相続人申告登
記をした方は、過料が科されることはありませんが、相続人申告登記は、不動産について
の権利関係を公示するものではなく効果が限定的であることに留意が必要です。
2不動産の価額が100万円以下の土地
に係る相続登記
1相続により土地を取得した方が相続登記を
しないで死亡した場合の相続登記
相続登記の申請義務化の内容
相続登記に係る登録免許税の免税措置
相続登記の申請義務を簡易に履行するための「相続人申告登記」 3あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
相続登記の申請義務化に向けて、相続登記の申請のために必要な準備や申請書の記載
方法等を利用者目線で分かりやすくまとめた3種類の「登記申請手続のご案内」
(登記手
続ハンドブック)を法務局ホームページで公開しています。
相続登記の申請を検討されている方や、
相続登記の申請手続がどのようなものか興味が
ある方は、こちらのご案内をぜひご覧ください。
登記手続ハンドブックは、以下の二次元コードからご覧いただけます。
相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)
(法務局ホームページ)
登記申請手続のご案内(登記手続ハンドブック) 4あかれんが 2024年 第84号
《特集記事》
ウクライナ汚職対策タスクフォース第1回会合を開催しました!
令和5年12月5日及び6日に、
東京において
「ウクライナ汚職対策タスクフォース」
(Anti-Corruption Task Force for Ukraine、略して Act for Ukraine)の第1回会合
を開催しました。
同会合には、ウクライナから汚職対策に関係する5つの政府機関から5名の専門家が
来日して参加したほか、G7各国司法省関係者や国際機関の汚職対策専門家等が多数オ
ンライン参加しました。
我が国からは、国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)と法務総合研究所国際協力
部(ICD)から汚職対策支援や法制度整備支援の知見を有する専門家が参加しました。
ウクライナ:司法省、検事総長府、汚職捜査機関、汚職訴追機関、汚職高等裁判所
G7 各国司法省等(オンライン)
国連開発計画(UNDP)
(オンライン)
国際協力機構(JICA)
(オンライン)
国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)
法務総合研究所国際協力部(ICD)
会合冒頭の法務大臣からのビデオメッセージの様子
参加機関等 5あかれんが 2024年 第84号
《特集記事》
ウクライナの汚職対策機関専門家による発表の様子
令和5年5月の G7 広島サミットにおいて、ウクライナの法制度改革、とりわけ司法
部門及び法の支配の促進による改革の支援が宣言されたことを踏まえ、同年7月に東京
で開催したG7司法大臣会合において、我が国の提案により、G7の賛同を得てこの
「ウクライナ汚職対策タスクフォース」の創設が決定されました。
汚職対策は、ウクライナにとって復興資源の公正・公平な活用とより良い国づくりに
貢献するだけでなく、EUへの加盟に向けて極めて重要な課題であり、ウクライナはも
とより、我が国を始めとするG7にとっても重要関心事項です。
このような背景を踏まえ、本タスクフォースは、我が国が事務局として旗を振り、G
7及び国際機関の専門家の豊富な知見を結集してウクライナの復興を支援するもので
す。
今回の第1回会合では、本タスクフォースの今後の活動方針を確認するとともに、ウ
クライナ社会における汚職の現状と課題を把握することを目的とした議論が行われま
した。ウクライナからは汚職対策の現状や支援の要望が示されたほか、各国・機関によ
る汚職対策の取組や支援状況等について認識を共有しました。
また、ウクライナの汚職対策機関の専門家は、来日期間中に、門山法務副大臣を表
敬訪問しました。門山副大臣は、国難に直面する中でも汚職対策という重要な国家的課
背景
結果概要 6あかれんが 2024年 第84号
《特集記事》
題に取り組むウクライナの努力に深い敬意を表するとともに、我が国が本タスクフォー
スの活動を通じて引き続きウクライナを支援していくことを述べました。
門山法務副大臣(中央)とウクライナの汚職対策機関の専門家
今回の第1回会合の成果を踏まえ、本年3月5日に第 2 回会合をオンラインで開催
しました。また、11月には第3回会合を東京で開催する予定です。法務省は、引き続
き、我が国が効果的な汚職対策支援を主導し、国際社会にプレゼンスを発揮できるよ
う、ウクライナ汚職対策支援に取り組みます。
今後の取り組み 7あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
「令和5年版犯罪白書」について
令和5年版犯罪白書の表紙
犯罪白書は、犯罪の動向や犯罪者の処遇の状況について、統計資料等に基づいて紹
介しているものです。
昭和35年から、法務省法務総合研究所により毎年発刊されており、犯罪対策を検
討するための基礎的な資料としての役割を担っています。
刑法犯の認知件数(警察が犯罪の発生を把握した件数)は、平成14年に戦後最多
の約285万3,700件を記録した後、19年連続で減少していましたが、令和4
年は20年ぶりに増加し、約60万1,300件でした。
なお、平成15年からの認知件数の減少は、刑法犯の7割近くを占める窃盗の件数
が大幅に減少し続けたことに伴うものです。
犯罪白書とは?
犯罪の動向は? 8あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
1図 刑法犯 認知件数・検挙率の推移
令和4年に刑法犯で検挙された者の人員は、戦後最少の約16万9,400人でし
たが、そのうち、65歳以上の高齢者が23.1%を占めており、高齢者の比率の上
昇が進んでいます。
2図 刑法犯 年齢層別検挙人員・高齢者率の推移 9あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
平成30年に刑事施設を出所した者のうち、3割を超える者が、出所後の犯罪によ
り、出所後5年以内に刑事施設に再入所しており、そのうち約半数が2年以内に刑事
施設に再入所しています。
また、満期釈放者は、仮釈放者と比べて、再入率(各年の出所受刑者人員のうち刑
事施設に再入所した者の人員の比率)が高いことが分かります。
3図 5年以内再入率
(平成30年出所受刑者)
令和5年版犯罪白書では、
「非行少年と生育環境」と題して特集を組み、少年法制等
の変遷、少年を取り巻く生育環境等の変化、昨今の少年非行の動向等について概観・
分析するとともに、非行少年及びその保護者を対象として実施した特別調査の結果を
分析し、非行少年の生育環境等に関する特徴を明らかにし、今後の指導や支援の在り
方、再非行防止対策の在り方等について検討しました。
昭和期以降の非行少年の検挙人員等が、それぞれの時代の社会情勢等と関連して増
減していたことが考えられたほか、少年非行が質的にも変化を繰り返しながら現代に
至っていることが確認できました。少年非行の動向は、平成期以降においても増減・
再犯の現状は?
今回の特集は?
満期釈放等
総 数
仮 釈 放 10あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
変化を繰り返しており、今後も形を変えながら推移していくことが想定されます。
4図 少年による刑法犯等 検挙人員・人口比の推移
また、特別調査の結果では、例えば、小児期(18歳まで)に親を亡くしたり、家
族から暴力を受けたりといった逆境体験を有している者が多数いることが明らかとな
るなど、非行少年の背景にある厳しい生育環境をうかがわせる様々な事情が確認でき
ました。これらを考慮した上で、非行少年に対する支援等の在り方を検討することが
重要であると考えられます。
5図 少年に対する調査 小児期逆境体験(ACE)の経験の有無
(注記)該当率が高い上位3項目のみ抜粋
法務総合研究所は、今後も適切なテーマ等を選んで調査を行い、犯罪・非行をした 11あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
者に対する有効な支援・指導を検討するための資料を提供していきます。
法務省のホームページで閲覧できるほか、官報販売所等で購入できます。
法務省ホームページ
「犯罪白書」はこちら
もっと犯罪白書の内容を知りたい場合は? 12あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
「令和5年版再犯防止推進白書」について
令和5年版再犯防止推進白書の表紙
法務省は、再犯の防止等の推進に関する法律に基づき、政府が実施した再犯防止施策を
国会へ報告しています。国会へ報告した内容を、国民の皆様にお伝えするため刊行したも
のが、
「再犯防止推進白書」です。
「再犯防止推進白書」は、平成 30 年から毎年刊行して
おり、今回で6冊目となりました。
令和5年版再犯防止推進白書の目次
特 集 社会復帰を果たした者等の犯罪や非行からの離脱プロセス
〜当事者の語りから学ぶ立ち直りのリアル〜
第1章 再犯防止をめぐる近年の動向
第2章 就労・住居の確保等のための取組
第3章 保健医療・福祉サービスの利用の促進等のための取組
第4章 学校等と連携した修学支援の実施等のための取組
第5章 犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導の実施等のための取組
第6章 民間協力者の活動の促進等、広報・啓発活動の推進等のための取組
第7章 地方公共団体との連携強化等のための取組
第8章 関係機関の人的・物的体制の整備等のための取組
再犯防止推進白書とは 13あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
令和5年版再犯防止推進白書は、
「特集」と、統計データや政府が講じた施策を掲載した
第1章から第8章までで構成されています。加えて、コラムでは、地方公共団体における
取組や、保護司を始めとする民間協力者の方々の活動を紹介しています。
なお、
表紙の絵画や題字には、
少年院在院者が作成、
揮ごうした作品を掲載しています。
こちらもぜひご注目ください。
令和5年版再犯防止推進白書の特集
今回の特集は、
「社会復帰を果たした者等の犯罪や非行からの離脱プロセス〜当事者の
語りから学ぶ立ち直りのリアル〜」です。
令和5年3月に閣議決定された第二次再犯防止推進計画には、再犯防止施策の一層の推
進を図るために、
「社会復帰を果たした者等が犯罪や非行から離脱することができた要因」
を踏まえた対応をすることが新しく盛り込まれました。そこで、かつて犯罪や非行をした
ものの、その後、社会復帰を果たした4名の当事者にインタビューを行い、それぞれの立
ち直りの過程を掲載した上で、これを基に、犯罪や非行からの離脱要因の分析を試みまし
た。
当事者として、10 代で暴走族に加入し保護観察処分を受けた後、一念発起して勉強に
励み、上場企業に就職し、現在は保護司としても活動されている方や、10 代で暴走族の
総長となった後、少年院に入院したものの、現在は、高校の教師をする傍ら、少年院を題
材としたドキュメンタリー映画を作成されている方などに登場いただき、犯罪や非行に至
った経緯から、立ち直りを決意したきっかけ、その後の紆余曲折ある道のりを掲載しまし
た。再犯防止に携わっている支援者の方々はもちろん、現在、犯罪や非行から立ち直ろう
令和5年版再犯防止推進白書の特徴 14あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
としている方や彼ら・彼女らを支える周囲の方々にもお読みいただきたい内容となってい
ます。
これまでに刊行した「再犯防止推進白書」は、法務省ホームページで公開しています。
また、
「再犯防止推進白書」の冊子は、政府刊行物センターや都道府県官報販売所で販売
されており、お近くの書店でもご注文いただけます。
「再犯防止推進白書」はこちら
https://www.moj.go.jp/hisho/saihanboushi/hisho04_00009.html
再犯防止対策フロントページはこちら
https://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00038.html
再犯防止推進白書を読みたい場合 15あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
アジ研が署名したMOU・MOCの紹介
政府間や、共通の任務を持つ機関同士が、共同研究、人事交流、情報交換等を通じて、特
定分野の協力関係を促進するための枠組みで、双方が合意して締結されます。 英語の
"Memorandum of Cooperation
"の頭文字をとって、
MOC と呼ばれることもあります。
類似の合意文書の呼称として、了解覚書(Memorandum of Understanding, MOU)
、協
力声明(Statement of Cooperation、SOC)、連携協定(Affiliation Agreement)等も
あります。
国連アジア極東犯罪防止研修所(以下「アジ研」という。
)では、世界中の国際機関等と
の協力関係の強化を目的とした協力覚書等を締結し、よりよい研修を実施することで刑事
司法の更なる発展に貢献するとともに、様々な国際協力活動に関与することを目指してい
ます。
アジ研はこれまで種々の国際機関と協力覚書等を締結しています。平成26年に中国の
北京師範大学刑事法律科学研究院(CCLS)と、平成27年に韓国刑事政策研究院(KIC)
と、
平成28年にはタイ法務研究所
(TIJ)
と、
それぞれ了解覚書
(MOU)
を締結しました。
これらの三機関は、アジ研と同じく、いずれもアジア地域に存在する国連プログラム・ネッ
トワーク機関
(PNI)
であり、
国連関連機関同士の連携を強化するために締結したものです。
また、平成29年には、南米地域との連携も視野に入れて、ブラジル連邦検察庁高等学校
(ESMPU)とも協力声明(SOC)を締結しています。
TIJ との了解覚書締結
協力覚書(MOC)って何?
これまでにアジ研が署名した協力覚書等 16あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
令和4年には、欧州保護観察連合(CEP)との連携協定を締結しました。CEP は、保護
観察、社会奉仕活動、調停などの社会内処遇の発展を通じて、犯罪者の社会的包摂を促進す
ることを目的とし、研修やイベントの開催、出版、情報発信などの活動を通じ、多機関間の
知見共有を図り、さらには欧州における開発途上国の社会内処遇制度構築支援に貢献して
きた機関です。
アジ研の活動との共通点も多く、
再犯防止分野に力を入れているアジ研とし
ては、この協定の締結により、両機関の相互連携・協力が促進され、研修・研究活動を更に
充実させることができるようになりました。
CEP との連携協定締結
同年10月には、国際刑事裁判所(ICC)と協力覚書を締結しました。ICC は、国際社会
において最も重大な犯罪(集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪及び侵略犯罪)を犯
した個人を、国際法に基づいて訴追・処罰するための、歴史上初の常設の国際刑事裁判機関
です。ICC のこれまでの知見は、UNAFEI 研修員参加国の刑事司法制度の改善にも資する
ものです。覚書の中には、アジ研と ICC の相互の活動への参加、出版物や情報の交換、相
互の職員に対する研修の協力等、今後の協力関係を強化する内容が盛り込まれています。 17あかれんが 2024年 第84号 《特集記事》
ICC との協力覚書締結
令和5年5月には、国際司法・法の支配に関する研修施設(IIJ)と協力覚書を締結しま
した。
IIJ とは、
テロリズム及び暴力的過激主義を含む国際的な脅威や課題に対処するため、
主に中東アフリカ地域の刑事司法実務家の能力向上のための研修を行っている団体です。
覚書には、
テロ防止分野における刑事司法制度及び実務に関する専門性、
ベストプラクティ
ス、経験等の情報共有の促進、共同研究活動の機会の探求など、相互の友好と理解を発展さ
せながら連携協力を強化するという内容が盛り込まれています。IIJ とは、主にアジア地域
のテロ防止分野で協力していく予定です。 18あかれんが 2024年 第84号 《常設記事》
お答えします
〜司法試験・司法試験予備試験について〜
Q1 司法試験はどのような試験ですか?
裁判官、検察官又は弁護士になろうとする者に必要な学識及びその応用能力があるかど
うかを判定する試験です。
試験は、短答式(憲法・民法・刑法)と論文式(公法系科目・民事系科目・刑事系科目・
選択科目)
による筆記の方法により同時期に行われ、
受験者全員が両方の試験を受けること
になります。
司法試験の受験資格は、
1法科大学院課程の修了若しくは2司法試験予備試験
の合格又は3法科大学院課程に在学し、司法試験法第4条第2項第1号に規定する学長の
認定を有すること(在学中受験資格)であり、1又は2の場合は、受験資格を取得した日後
の最初の4月1日から5年間、
3の場合は、
同資格で最初に受験した日の属する年の4月1
日から同法科大学院課程を修了若しくは退学するまでの期間又は同日から5年を経過する
までの期間のいずれか短い期間、受験することができます。
Q2 司法試験予備試験はどのような試験ですか?
司法試験予備試験は、法科大学院を経由しない者にも法曹資格を取得する途を開くため
に設けられた試験で、これに合格した者は、法科大学院課程を修了した者と同等の資格で、
合格発表の日後の最初の4月1日から5年を経過するまでの間、司法試験を受験すること
ができます。試験は、短答式(憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・
一般教養)及び論文式(短答式と同じ科目(一般教養を除く)・選択科目・法律実務基礎科
目(民事・刑事))並びに口述(法律実務基礎科目(民事・刑事))の方法により段階的に
行われます。
また、
司法試験予備試験は、
受験資格はなく、
誰でも受験することができます。
Q3 司法試験及び司法試験予備試験がパソコンを使った試験形式に変更され
るのですか?
司法試験及び司法試験予備試験の試験実施形式については、受験者及び試験関係者の利
便性の向上及び負担の軽減等を目的として、
令和8年に実施する試験から、
パソコンを使用
した試験実施形式(CBT:Computer Based Testing)の導入を目指すことが、令和5年度
の政府方針として掲げられたところです。そのため、現在、司法試験及び司法試験予備試験
の実施主体である司法試験委員会の庶務を担当している法務省大臣官房人事課において、
CBT 方式の導入に向けた検討を進めています。なお、CBT 方式の導入に加え、試験の出願
等の手続についても、令和8年に実施する試験の出願からオンラインによる出願が可能と
なるように、現在、検討を進めています。 19あかれんが 2024年 第84号 《常設記事》
記者が行く!
広報・啓発動画「陣内智則がレポート「再犯防止の現場」
〜農園での立ち直り支援〜」を公開しています!
記 者
皆さま、こんにちは!
今回は、広報・啓発動画「陣内智則がレポート「再犯防止の現場」〜農園での立ち直り支
援〜」について、動画制作の担当者を取材しました。
記 者
この動画は、YouTube 法務省チャンネルで公開されていますよね。まだご覧になって
いない方のために、どのような動画なのか紹介してください。
担 当 者
本動画は、
「再犯防止」について、広く国民の皆さまに知っていただくことを目的に制作
したものです。
具体的な内容としては、
お笑い芸人の陣内智則さんとタケトさんが、
「埼玉福興株式会社」
という農業の会社を訪問し、そこで働く少年院に入った経験のある当事者やその支援者へ
のインタビューを通じて、再犯防止を学んでいくものとなっています。
再犯防止に通じていない一般の方の立場からインタビュー等をされており、
「再犯防止」
に馴染みのない方でも、分かりやすい内容となっております。 20あかれんが 2024年 第84号 《常設記事》
記 者
なるほど!ところで、そもそもの質問なのですが、再犯防止はなぜ必要なのですか?
担 当 者
刑法犯の認知件数は年々減少傾向にありますが、刑法犯により検挙された者のおよそ2
人に1人が再犯者という状況が近年続いています。そのため、犯罪を減らし、新たな被害者
を生まない安全・安心な社会を実現するためには、再犯を防止することが重要なのです。
記 者
よく分かりました!
ところで、
今回の動画では、
陣内さんとタケトさんが埼玉福興という会社を訪問されたと
のことですが、その会社は再犯防止とどのような関係があるのでしょうか?
担 当 者
刑務所に再び入所した人のうち約7割が再犯時に無職であるなど、不安定な就労は再犯
の一つの要因として考えられています。
しかし、
犯罪や非行をした人の中には障害などがあ
るため、一般の仕事に就くことが難しい人も存在します。埼玉福興には、そうした人たちを
雇用し、経営している農園で働いてもらうことを通じて社会復帰にご協力いただいており
ます。
記 者
再犯防止というと国が取り組むものという印象を受けますが、民間の方々にもご協力い
左からタケトさん、陣内智則さん、法務省職員 左から法務省職員、タケトさん、陣内智則さん、
埼玉福興株式会社 新井社長 21あかれんが 2024年 第84号 《常設記事》
ただいているのですね。
過去に少年院に入っていた経験があり、
現在は埼玉福興で働かれて
いる方にもインタビューされたとのことですが、その方はどのように立ち直られたのですか?担 当 者
それは、ぜひ動画をご覧ください(笑)
記 者
なるほど(笑)では、気になった方は、ぜひ動画をご覧になってください!
最後に、これから動画をご覧になる皆さまにお伝えしたいことがあれば、どうぞ!
担 当 者
再犯防止の取組を進めていくためには、
国だけではなく、
埼玉福興のような民間の方々の
ご協力が非常に重要です。
この動画を通じて、
こうした民間の方々の存在を皆さまにも知っ
ていただけたら嬉しい限りです。
法務省では、今後も再犯防止に関する取組を国民の皆さまに分かりやすく発信していき
ますので、
引き続き関心をもっていただき、
再犯防止に向けてそれぞれの立場でできること
を一緒に考えていただけますと幸いです。
記 者
多くの方にご覧いただけると嬉しいですね!今回は、ありがとうございました!
「陣内智則がレポート「再犯防止の現場」〜農園での立ち直り支援」
(YouTube 法務省チャンネルのページに遷移します。)
(注記)動画の公開期間は、本年12月9日(月)までです。
動画のサムネイル
しかく法テラスって?
私たち法テラス(日本司法支援センター)は、国によって設立された法的トラブル解決のため
の「総合案内所」です。
法テラスでは、法的トラブルを抱えた方に、解決に役立
つ法制度や相談窓口を紹介する情報提供や、経済的
に余裕のない方を対象とした無料の法律相談などを行っ
ています。
しかく法テラスについて知りたい
くろまる法テラス公式X(旧:Twitter) くろまる広報誌「ほうてらす」 くろまる法テラス公式YouTubeチャンネル
法テラス公式X(旧:Twitter)では、
制度情報・イベント情報・法律豆知識
など役立つ情報を配信しています!
フォロワー随時募集中♪
「法テラス公式X(旧:Twitter)」
【第57号】
特集:「変わる!成年後見制度」
表紙・インタビュー
:平野レミさん
広報誌には、法的トラブル解決に
役立つ情報が満載です♪
ホームページからも読むことができます。
広報誌「ほうてらす」
Vol.63 法テラスのDV等被害者法律相談援助を知っていますか?
『DV等被害者法律相談援助』とは、DV・ストーカー・児童虐待の被害を受けている方や、被害を受けるおそれのある方が弁護
士と相談できる制度です。
しかく DV等被害者法律相談援助ってどんな制度?
どんな相談ができるの?
費用はかかるの?
相談方法は?
• 例えば、DV被害の場合、保護命令、被害
届の提出、離婚のほか、民事・刑事を問わず、
被害の防止に必要な相談であれば幅広く利
用可能です。
• 面談での相談のほか、電話やオンラインによる
相談も可能な場合があります。
• 相談者が自由に使うことのできる現金・預貯
金の合計額が300万円以下の方は無料で
相談できます。((注記)治療費など一定の費用
は現金・預貯金の合計額から差し引くことが
できます。)
• 300万円を超える場合は、相談料5,500円
(税込)をご負担いただきます。
『DV等被害者法律相談援助』を利用した
い、もっと詳しく知りたいという方は、公式ホー
ムページをご覧いただく、もしくは犯罪被害者
支援ダイヤルまでお電話ください。
法テラス・犯罪被害者支援ダイヤル
「3分で解説!法テラスの使い方」など、法テラス
の業務内容や利用方法に関する動画をアップし
ています。ぜひご覧ください!
「法テラス公式YouTubeチャンネル」 23あかれんが 2024年 第84号 《常設記事》
法制度整備支援の現場から
インドネシア長期派遣専門家 國井 陽平
法務省は、独立行政法人国際協力機構(JICA)や関係機関とともに、相手国の法制度
の整備を支援する活動に取り組んでいます。この活動のために法務省から法律の専門家が
派遣される国もあり、インドネシアはそのうちの一つになります。私は、令和5年9月にイ
ンドネシアの最高裁判所に派遣され、裁判官としての職務経験を生かしながら現地で活動
しています。
インドネシアにおいては、同国最高裁判所との間で、特許権、商標権、著作権などといっ
た知的財産権に関する紛争
(裁判)
における裁判官の法的判断及び訴訟運営に関する能力の
向上を目的とするプロジェクト活動が実施されています。インドネシアにおいても知的財
産に関する法律は制定されているものの、
その運用に課題があるため、
上記プロジェクト活
動は、この課題を解決して、法律が適切に運用されることを目指しています。
具体的な活動として、インドネシア側のワーキンググループのメンバーと一緒になって、
裁判官に対する知的財産法の研修を実施しています
(写真1は、
地方における知的財産法の
研修の一場面になります。)。また、執務参考資料の作成にも取り組んでおり、これまで、日
本・インドネシア両国における知的財産に関する判決をまとめた判決集や、
商標事件におけ
る審理の手引書としてのガイドブックが作成されました。
現在は、
著作権事件のガイドブッ
クを作成しています(写真2は、ガイドブック作成会議の様子です。)。
知的財産法は、ビジネスの場面で問題となることが多く、また、一国内の取引にとどまら
ず国際的な取引において問題となることも多くあります。
知的財産法の安定した運用は、国内外のビジネス関係者等にとって法的な予見可能性を高めることになり、ひいては当該国
の発展につながるものです。経済成長著しいインドネシアが更に発展する一助となれるよ
うに、日々精進したいと思います。 24あかれんが 2024年 第84号 《常設記事》
写真1 バンテン州での現地セミナーの様子
写真2 執務参考資料の作成会議の様子 25あかれんが 2024年 第84号 《常設記事》
法務省で働くひと・しごと紹介 Vol.20
〜人権擁護局総務課委員係〜
Q1 委員係ってどんな仕事?
皆さんは「人権擁護委員」を知っていますか?
人権擁護委員は、市区町村長から推薦され、法務大臣から委嘱されて活動する民間のボ
ランティアの方たちです。現在約14,000名の委員が全国に配置され、地域の皆さんか
らの人権に関する相談に応じたり、人権の大切さを地域の皆さんに知ってもらうための啓
発活動などを行っています((注記))。委員係では、人権擁護委員の方たちの委嘱や解嘱に関する事務をはじめ、人権擁護委員
制度に関する企画・立案、人権擁護委員に関する叙勲・褒章といった栄典に関する事務、
法務大臣表彰に関する事務などを行っています。
人権擁護委員制度周知ポスター
(注記) 人権擁護委員の活動に関しては、法務省だより「あかれんが」Vol.70 の「法務省で 26あかれんが 2024年 第84号 《常設記事》
働くひと・しごと紹介 Vol.6〜法務省に協力している民間ボランティア
(人権擁護委員)
〜」でも紹介していますので、ぜひ、そちらもチェックしてみてください。
Q2 最近のトピックスは?
委員係では、人権擁護委員の存在を若い世代の方を中心に国民の皆さんにもっと広く知
ってもらうための取組にも力を入れています。
特に最近では、YouTube で人気のある「QuizKnock」とコラボした動画を配信しまし
たので、ぜひ、チェックしてみてください。また、人権擁護委員に関する特設サイトも近
日公開する予定となっています。
YouTube 動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=1xoBnvwJqts 27あかれんが 2024年 第84号 《常設記事》
人権擁護委員特設サイト(近日公開)
Q3 委員係のやりがいって何?
人権擁護委員制度は、昭和23年に開始された歴史ある制度で、諸外国にも例を見ない
ものです。また、全ての人々がお互いの人権や尊厳といった普遍的価値を大切にし、生き
生きとした人生を享受することのできる共生社会の礎を築いていく上で、人権擁護委員制
度は、今後も重要な役割を担うものです。
委員係の業務自体は目立つものではありませんが、このような歴史ある我が国固有の制
度を維持・発展させ、未来につなげていくところにやりがいを感じます。
Q4 心に残っているエピソードがあれば教えてください。
委員係では、毎年10月に、長年人権擁護活動に従事し、その功績が顕著な人権擁護委
員の方たちに対する法務大臣表彰式を実施しています。本表彰式は、5月頃から準備を始
める委員係で担当する一番大きなイベントです。
令和5年度は、160名の被表彰者中、約100名の被表彰者の方と約40名の同伴者
の方が表彰式に出席されました。
表彰式に向けて、各法務局・地方法務局や省内各所、そして各種業者などと直前まで様々
な調整に追われましたが、当日は、局内職員の協力もあり、円滑に式を執り行うことがで
きました。また、出席された方たちの笑顔や「ありがとう」という言葉に大きな充実感を
得ることができました。

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