しろまる令和4年の新受刑者のうち、精神障害(知的障害を含む)の診断をされている者は、全国で2,435名(全新受刑者の
約17%)を占めている状況である(令和4年矯正統計年報)。
しろまるこれまでの矯正施設内での医療では、疾患の治療に重きが置かれ、精神障害を有する受刑者の特性や生活上の課題に、必ずしも
十分に目が向けられてこなかったところ、出所後の地域社会での安定した生活を実現するためには、矯正医療に外部専門機関や各
専門職のノウハウに基づく支援を取り入れる必要がある。
しろまる精神障害を有する受刑者の再犯防止を推進するためには、適切な治療を実施した上で、社会復帰を見据えた福祉的支援が必要
であるが、現状のままでは、当人の病識が不十分であったり、身近に相談できる人がいなかったりするなど、様々な要因から継続した
医療、福祉につながらず、円滑な社会復帰に支障を来すおそれがある。
札幌刑務所における精神障害受刑者処遇・社会復帰支援モデル事業概要
施設内処遇
しろまる特性に応じた作業・訓練・指導
機能向上作業
障害特性に応じた刑務作業
日常生活自立に役立つ改善指導
地域生活を前提とした
一般就労(一般企業・特例子会社)
福祉的就労等(農福連携、就労移行・継続支援)
福祉的支援 など
社会復帰に向けた支援
精神障害者保健福祉手帳の取得に向けた調整
現状・問題点
しろまる精神疾患の治療を行いつつ、出所後の地域社会での生活を見据えて、1医療機関と連携した治療、 2機能向上作業・障害
特性に応じた刑務作業等、 3当事者研究等の専門的手法を取り入れた処遇、4在所中からの精神障害者保健福祉手帳の取
得に向けた調整、5地域社会での安定した生活を継続させる息の長い寄り添い型支援を可能とする社会復帰支援を実施
しろまる北海道所在の刑事施設から、札幌刑務所に精神障害を有する受刑者を一定数集約(20名程度)した上で、精神科病院、
作業療法士会、精神保健福祉士協会、社会福祉法人と国が協働して多職種・多機関連携によるチーム処遇を実施
対 策 概 要
事業イメージ
【対象者】
しろまる 北海道内の刑事施設において、精神障害を有する受刑者
・重大な身体疾患を有しない者
・精神障害の程度が、集団又は個別の処遇プログラム等の実施が可能な程度である者
・移送時の残刑期が少なくとも1年以上ある者
しろまる 当初は、特に精神病性障害の陰性症状が進んでいる者を対象とする
北海道大学病院附属司法精神医療センター
札幌刑務所に隣接する医療観察法病棟の地の利を生かし、
治療プログラムを提供するほか、本事業の効果検証やプログ
ラム実施に協力
移送
札幌矯正管区において対象候補者の選定
札幌刑務所
【業務フロー】
出所
しろまる更生保護官署・地域生活定着支援センター等との調整
しろまる適切な精神科治療
薬物療法
精神療法
精神科リハビリテーション
外部協力者
社会福祉法人 浦河べてるの家
精神障害等を抱えた当事者の地域活動拠点としての実績を
参考に、当事者研究等の手法を取り入れた矯正処遇に協力
(注記)当事者研究:精神障害者が自律的に自分の抱える生きづらさや体験
のメカニズムと意味を解き明かし、従来の対処に変わる
"新しい自分の助け方"を考案する「認知・ヒューマニス
ティック・アプローチ」
北海道作業療法士会
社会復帰に必要な1基本的動作能力、2応用的動作能力、
3社会的適応能力の維持・改善を図るための各種作業に関
する協力
北海道精神保健福祉士協会
精神障害を有する出所者支援に係る精神保健福祉ネットワー
クの構築
社会資源の開拓やその情報提供
普及啓発活動に関する協力
出所後の寄り添い型支援に向けた医療機関や福祉関係機
関への引き継ぎ
上記業務を行う精神保健福祉士の派遣
地方公共団体によるバックアップ
協働
北海道医療大学先端研究推進センター
精神障害を有する受刑者に対する当事者研究等の実施を支
援するなど、本事業に協力

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