事 務 連 絡
令 和 3 年 2 月 5 日
法務局民事行政部戸籍課長 殿
地 方 法 務 局 戸 籍 課 長 殿
法務省民事局民事法制管理官 來間補佐官
養育費の確保に向けたひとり親支援担当部署との更なる連携強化の推進
について(依頼)
平素より,戸籍実務に御尽力いただき,厚く御礼申し上げます。
離婚したひとり親家庭の生活の安定と子どもの健やかな成長のため,養育費
の確保は非常に重要なものです。このため,法務省と厚生労働省が連携を図っ
て,昨年6月に「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース」
(以下「タスクフォース」という。)を立ち上げ,養育費の確保に向けた公的
支援の在り方について,4自治体へのヒアリングを行うなどして,計6回にわ
たり議論を重ねてきました。
タスクフォースでは,ひとり親家庭に対する支援において重要な役割を担っ
ている自治体において,離婚届を受理する実務を担っている戸籍担当部署と,
ひとり親家庭への相談支援等の実務を担っているひとり親支援担当部署が相互
に連携することにより,養育費の確保に資する早期の情報提供や相談支援等に
繋げていくことが重要であるとの認識で両省が一致しました。
こうした認識の下,両省が連携して養育費の確保に向けた施策の検討を進め
てきたところであり,今般その成果について,下記のとおり,各種情報を整理
してまとめております。つきましては,本事務連絡の内容を貴管下支局及び管
内市区町村に連絡いただき,市区町村の戸籍事務担当窓口等において,これら
を積極的に活用してひとり親支援担当部署との更なる連携強化の推進に努めら
れるよう周知願います。
なお,本事務連絡については,厚生労働省子ども家庭局と協議済みであり,
厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課からも別添1の事務連絡が発出されている
ことを申し添えます。記1 タスクフォースにおける議論について
タスクフォースは,法務省と厚生労働省が連携して養育費の不払い解消に
関する実務的検討を行い,必要な取組を加速させるとともに具体的な論点の
整理や課題の分析等を進めるために両省の担当官を構成員として設置された
ものです。タスクフォースでは,別添2のとおり,第3回会議で「戸籍部門
とひとり親支援部門の連携など自治体における支援の強化」という資料を提
示し,両省が連携しながら,両省の施策を相互に活用・紹介し,施策を実現
するという方向性を示してきました。
<不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース>
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00091.html
2 法務省作成のパンフレット等のひとり親支援担当部署での活用について
かねてから配布を依頼しているパンフレット(「子どもの養育に関する合
意書作成の手引きとQ&A」)については,自治体の戸籍担当部署に設置し,
離婚届用紙を取りに来られた方に同時に交付することをお願いしているもの
ですが,必ずしも十分に活用されていないとの指摘もあることから,改めて
離婚届用紙との同時交付を実施していただきますよう,お願いいたします。
また,このパンフレットは,ひとり親支援担当部署における養育費や面会
交流に関する相談支援にも役立てることができるものですので,ひとり親支
援担当部署へ必要部数を融通いただくなど,積極的な活用に御協力いただき
ますようお願いいたします。
<離婚を考えている方へ〜離婚をするときに考えておくべきこと〜>
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00011.html
<子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A>
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00194.html
また,今後,パンフレット以外にも,別居をする方や離婚をする方が知っ
ておくべき事項を簡潔にまとめたリーフレットの作成を予定しています。こ
れについても,準備ができ次第,戸籍担当部署で活用していただくことを依
頼する予定ですが,ひとり親家庭への相談支援にも役立てることができるも
のですので,その際にはひとり親支援担当部署とともに積極的な活用に御協
力いただきますようお願いいたします。
3 ひとり親支援担当部署と連携した相談支援等への誘導について
(1) ひとり親支援担当部署との連携の方策について
離婚を考えている方は,離婚届用紙の受取りや提出のタイミングで,戸
籍担当部署との接点を必ず持つこととなります。このタイミングを活用し
て,支援が必要な者を可能な限り把握し,ひとり親支援担当部署での相談
支援に繋げていくことが,ひとり親家庭への支援として極めて重要です。
このため,ひとり親支援担当部署と連携していただき,ひとり親支援担
当部署での相談支援等への誘導が可能となるような方策に積極的に取り組
んでいただきますようお願いいたします。具体的な方策としては,例えば
以下のようなものが考えられます。
1 戸籍窓口に支援を必要とするひとり親が訪れた際(支援を必要とする
か否かの判断は,例えば,未成熟子を有する父母の離婚届の養育費等の
取決め欄におけるチェックの有無を手がかりにすることなどが考えら
れます。)に,ひとり親支援担当部署から戸籍担当部署に相談員が赴き,
相談支援を行う。
2 戸籍窓口に支援を必要とするひとり親が訪れた際に,リーフレット等
を活用して,ひとり親支援担当部署の案内などの情報提供を積極的に実
施する。
3 ひとり親家庭に対してメーリングリストやSNS等により情報提供を
実施する仕組みを構築し,戸籍窓口に支援を必要とするひとり親が訪れ
た際に登録を促し,ひとり親家庭が必要とする情報をタイムリーに提供
する。
(2) 離婚前後親支援モデル事業の活用について
(1)でお示しした連携方策を実践する場合を含め,ひとり親支援担当部署
との連携を強化する取組については,厚生労働省の予算である離婚前後親
支援モデル事業による支援の対象となり,国庫補助事業が活用可能です。
別添3のとおり,令和3年度予算案においても,単価の上限を1か所あた
り 1,713 千円から 15,000 千円に大幅に引き上げるなど,更なる拡充を行う
予定としていますので,御参照いただき,ひとり親支援担当部署と連携し
て積極的な活用を検討いただきますようお願いいたします。
(3) ひとり親家庭等に対するワンストップ相談支援体制強化事業の活用につ
いて
令和2年度第3次補正予算に計上されている厚生労働省の予算であるひ
とり親家庭等に対するワンストップ相談支援体制強化事業は,
1 ひとり親家庭の個々の情報を管理し,戸籍担当部署やひとり親支援担
当部署など関係部署と共有するためのシステム構築
2 共有された情報を元に,ひとり親家庭に対するプッシュ型支援の実施
等の取組を補助対象としております。別添4のとおり,単価の上限は1
自治体あたり 80,000 千円(定額(国 10/10 相当))の事業になりますの
で,御参照いただき,積極的な活用を検討いただきますようお願いいた
します。
4 養育費の確保に向けた運用改善による支援策の検討状況について
タスクフォース以外にも,法務省の「養育費不払い解消に向けた検討会議」
では,例えば,離婚届用紙の様式を見直し,離婚届用紙の記載を通じて情報
提供を行う(※(注記)),国民向けの広報啓発ツール(法務省提供のホームページ
の見直し,新規動画の作成等)を充実させるなどの養育費の確保に向けた運
用改善の取組に関する対応の必要性が指摘されており,法務省において引き
続き検討してまいります。
また,厚生労働省においては,自治体における養育費に関する相談支援を
充実・強化するための事業や,自治体が養育費の履行確保に資するものとし
て先駆的に実施する事業(例えば,公正証書等による債務名義の作成補助等)
に対する離婚前後親支援モデル事業での支援の拡充が検討されています。
これらの取組については,準備ができ次第,順次,お知らせをいたします
ので,御了知いただくとともに,ひとり親支援担当部署と連携して積極的な
活用を御検討いただきますようお願いいたします。
なお,最高裁判所においては,昨年末,裁判所ホームページに,養育費に
関連する裁判所の手続についての説明をまとめたページ「養育費に関する手
続」を掲載しておりますので,併せて積極的な活用を検討いただきますよう
お願いいたします。
<養育費不払い解消に向けた検討会議>
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00101.html
<養育費に関する手続【裁判所ホームページ】>
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/youikuhi-tetsuzuki/index.html
(裁判所ホームページのトップページ「キーワード」欄にもリンクがあります。)
(※(注記))法務省では,離婚届用紙の養育費に関するチェック欄等につき,平成 30 年
にも見直しを行っていますが,第5次男女共同参画基本計画(令和2年 12 月 25
日閣議決定)の成果目標として,離婚届書の「養育費の分担について取決めをし
ている。」との欄にチェックするものの割合を 70%以上にすることを新たに掲げ
ています。