14 人権の擁護
「あの人は同和地区出身だから...。」「部落出身だから...。」などと
言われて結婚を妨げられたり、差別的な発言や落書きがされたりする
などの事案が依然として存在しています。部落差別(同和問題)
を解
消することが必要です。
部落差別
(同和問題)
は、
日本社会の歴史的過程で形作られた身分差別によ
り、
日本国民の一部の人々が、
長い間、
経済的、
社会的、
文化的に低い状態に置か
れることを強いられ、
同和地区と呼ばれる地域の出身者であることなどを理由に結
婚を反対されたり、
就職などの日常生
活の上で差別を受け
たりするなどしてい
る、
我が国固有の人
権問題です。
この問題の解決を
図るため、
国は、地方公共団体と共に、
昭和44年から33年間、
特別措置法に基づき、
地域改善対策を行ってきました。
その結果、
同和地区の劣悪な環境に対する物的な基盤整備は着実に成果を上げ、
一般地区との格差は大きく改善されました。
しかしながら、
インターネット上の差別的な書き込み等の事案は依然として存
在しています。
平成28年12月に施行された
「部落差別の解消の推進に関する法
律」
(部落差別解消推進法)
に基づき実施し、
令和2年6月に公表した部落差別の
実態に係る調査の結果
(https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04̲00127.
html)
においても、
部落差別
(同和問題)
に関する正しい理解が進む一方で、
イン
ターネット上で特定個人や不特定者を対象とする誹謗中傷等
の差別的表現が書き込まれたり、
結婚・交際の場面における
差別的取扱いの事案が発生したりするなど、
偏見・差別意識
が依然として残っていることや、
インターネット上で部落差別
関連情報を閲覧した者の一部には差別的な動機が見られるこ
部落差別(同和問題)❺部落差別(同和問題)
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くろまる内閣府
「人権擁護に関する世論調査」 (令和4年8月調査)
から
部落差別・同和問題に関し、
体験したことや、
身の回りで見聞きしたことで、
人権問題だと思った
ことはどのようなことですか。 部落差別・同和問題を知っているとする者に、
複数回答(%)交際や結婚を反対されること
【40.4%】
差別的な言葉を言われること
【32.3%】
就職・職場で不利な扱いを受けること
【27.5%】
身元調査をされること
【24.3%】
インターネッ
トを利用して差別的な情報が掲載されること
【14.9%】
差別的な落書きや貼り紙などをされること
【12.5%】
えせ同和行為が行われること
【12.0%】
特にない
【24.3%】
人権の擁護 15
啓発動画「『誰か』
のこと
じゃない。」となどが明らかとなっています。
部落差別
(同和問題)
については、
同法及び附帯
決議のほか、
上記の調査結果を踏まえ、
適切に対応していくことが必要です。
法務省の人権擁護機関では、
部落差別
(同和問題)
解消のため、
部落差別解消
推進法の施行を周知するとともに、
啓発動画を配信するなどの各種人権啓発活
動に取り組んでいます。
また、
部落差別
(同和問題)
をめぐる人権侵害事案に対
し、
人権相談及び人権侵犯事件の調査・処理を通じ、
その被害の救済及び予防を
図っています。
関係行政機関からの通報等により、
インターネット上で特定の地域
を同和地区であると指摘するなどの内容の情報を認知した場合は、
違法性を判
断した上で、
その情報の削除をプロバイダ等に要請するなど、
適切な対応に努め
ています。
えせ同和行為の排除
しかく部落差別(同和問題)に関する人権侵犯事件の新規救済手続開始件数
平成30年 令和元年 令和2年244令和3年308令和4年433部落差別
(同和問題)に関する人権侵犯
92 221
部落差別(同和問題)の解消を阻む大きな要因になっているものに、いわゆ
るえせ同和行為の横行があります。これは、同和問題を口実にして企業や官公
署等に不当な利益や義務のないことを求める行為(例えば、高額の書籍を売り
つけるなど)を指します。
えせ同和行為に対しては、行政機関や企業等が密接に連携し、不当な要求に
は、き然とした態度をとることなどが必要です。
国は、昭和62年に全省庁参加の下、
「えせ同和行為対策中央連絡協議会」を設
置し、また、地方においても、全国の法務局・地方法務局を事務局として「えせ
同和行為対策関係機関連絡会」を設置するなど、えせ同和行為を排除するため
の取組を行っています。
また、法務省では、えせ同和行為への具体的な対応に関する手引を作成し、
法務省ホームページで公開(https://www.moj.go.jp/co
ntent/001361670.pdf)するとともに、えせ同和行為の実
態を把握するため、昭和62年から11回にわたってアンケート
調査を実施しています(直近の平成30年度の調査結果は、
https://www.moj.go.jp/content/001290375.pdf)。13452特集 人権擁護に関する世論調査

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