委員会の提出意見及び刑事施設の長が講じた措置等の概要について
委員会から提出された意見の総数は457件であり、それを受けて刑事施設の長が講じた
措置などの概要は次のとおりである。
令和4年度は「保健衛生及び医療に関する意見」、「組織・職員に関する意見」及び「刑
事施設視察委員会に関する意見」について特に意見が多かったことから、意見と講じた措置
の例を掲載している。
【各項目に係る意見の件数の5年間の推移】
【意見と講じた措置の例】
○しろまる(意見)新型コロナウイルス感染症について、矯正施設ではひとたび感染が拡がれば、急拡
大する可能性もあることから、今後も感染防止対策に留意し、所内の衛生管理と感染
者が発生した際の適切な対応を求める。
(措置)重症化リスクの高い被収容者を多数収容しているという観点からも、引き続き、職
員にはマスク着用を義務として、手指消毒を徹底するなどした基本的な感染症対策を
徹底していくこととしたい。
○しろまる(意見)名古屋刑務所の不適正処遇事案を受けた検証において、職員による被収容者に対す
る不適切な言動が確認されたことから、引き続き、監視カメラ映像の確認や職員研修
の実施等により、違法な処遇が見逃されることがないよう留意されたい。
(措置)職員研修等による指導を継続していくことに加え、監視カメラ映像の定期的な検証
を継続し、被収容者に対する不適切な言動、あるいはそのように捉えられかねない言
動の絶無を図っていきたい。
○しろまる(意見)提案箱への投かんについて、職員から誤った説明がなされている、職員が意見・提
案書を投かんすることを快く思っていないような対応をするといった苦情が散見され
るので、改めて、被収容者の法的地位に関係なく、自由な書式で投かんできることや、
投かんの際に職員から普段よりも動静を見られていると感じられるような心理的圧迫
がないようにする旨を職員に周知徹底してもらいたい。
(措置)意見・提案書の作成方法や制度の趣旨等については、内規に定め職員に周知してい
別紙
るところ、改めて周知することとする。また、提案箱への投かんの際に、職員の動静
視察に心理的圧迫を感じる被収容者もいることについては、職員に周知し、注意喚起
することとする。
【各項目に係る意見の件数等】
1 組織・職員に関する意見 83件
職員の勤務姿勢、職員に対する教育研修の充実、職員の待遇及び執務環境などに関する
意見が多く見られた。
※(注記) 意見の主な内容
1 職員の勤務姿勢に関するもの 40件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 40件
2 職員の待遇、執務環境に関するもの 19件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 18件
さらに協議・検討が必要なもの 1件
※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
2 施設の敷地・建物等に関する意見 27件
建物の修繕、設備の設置などに関する意見が多く見られた。
※(注記) 意見の主な内容
1 設備に関するもの 19件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 9件
施設限りで対応できず、上級官庁に報告したもの 6件
さらに協議・検討が必要なもの 4件
2 敷地・建物に関するもの 8件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 2件
施設限りで対応できず、上級官庁に報告したもの 6件
83 件件74 件 91 件 78 件 66 件件※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
3 刑事施設視察委員会に関する意見 61件
委員の視察、被収容者が委員会宛てに書面を提出するための環境整備などに関する意見
が多く見られた。
※(注記) 意見の主な内容
1 委員の視察、被収容者との面接、被収容者からの書面に関するもの 26件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 19件
施設限りで対応できず、上級官庁に報告したもの 1件
さらに協議・検討が必要なもの 6件
2 委員会に対する情報の提供に関するもの 18件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 13件
さらに協議・検討が必要なもの 5件
※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
37 件
51 件 35 件 27 件
29 件
54 件 38 件 49 件 38 件 61 件件4 物品の貸与等及び自弁に関する意見 56件
被収容者が所内で使用できる物品や、被収容者に貸与又は支給する物品(給与する食事
を含む。)などに関する意見が多く見られた。
※(注記) 意見の主な内容
1 物品の貸与・支給に関するもの 30件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 22件
施設限りで対応できず、上級官庁に報告したもの 3件
さらに協議・検討が必要なもの 5件
2 自弁の物品の使用に関するもの 21件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 11件
施設限りで対応できず、上級官庁に報告したもの 7件
さらに協議・検討が必要なもの 3件
※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
5 金品の取扱いに関する意見 6件
保管私物に関する意見が多く見られた。
※(注記) 意見の主な内容
1 保管私物に関するもの 3件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 1件
さらに協議・検討が必要なもの 2件
2 金品の取扱い全般に関するもの 3件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 2件
さらに協議・検討が必要なもの 1件
※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
44 件
67 件 58 件 69 件 56 件
6 保健衛生及び医療に関する意見 102件
被収容者に対する医療の充実、衛生面の改善などに関する意見が多く見られた。
※(注記) 意見の主な内容
1 保健衛生及び医療全般に関するもの 60件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 51件
施設限りで対応できず、上級官庁に報告したもの 5件
さらに協議・検討が必要なもの 4件
2 診療に関するもの 28件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 24件
さらに協議・検討が必要なもの 4件
※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
7 書籍等の閲覧に関する意見 16件
備付書籍の充実や、被収容者が時事の報道に接する機会の増大などに関する意見が多く
見られた。
※(注記) 意見の主な内容
書籍等の閲覧全般に関するもの 8件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 7件
さらに協議・検討が必要なもの 1件
102 件
88 件 93 件 106 件 107 件
6 件 8 件 6 件 8 件 6 件件※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
8 規律及び秩序の維持に関する意見 12件
被収容者の動作規制などに関する意見が多く見られた。
※(注記) 意見の主な内容
規律及び秩序の維持全般に関するもの 10件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 9件
さらに協議・検討が必要なもの 1件
※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
9 矯正処遇の実施等に関する意見 49件
矯正処遇の充実、優遇措置などに関する意見が多く見られた。
※(注記) 意見の主な内容
1 矯正処遇の実施等全般に関するもの 21件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 17件
さらに協議・検討が必要なもの 4件
2 優遇措置に関するもの 14件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 8件
施設限りで対応できず、上級官庁に報告したもの 6件
11 件 15 件 27 件 29 件 16 件
13 件
17 件 13 件 22 件 12 件件※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
10 外部交通に関する意見 21件
※(注記) 意見の主な内容
1 信書の発受に関するもの 9件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 5件
さらに協議・検討が必要なもの 4件
2 面会に関するもの 8件
措置を講じた(又は講じる予定の)もの 5件
施設限りで対応できず、上級官庁に報告したもの 1件
さらに協議・検討が必要なもの 2件
※(注記) 意見を受けて講じた措置などの内訳の5年間の推移
11 その他
性同一性障害等に該当する被収容者の処遇に関する意見などが見られた。
(注)1 講じた措置の内訳については、平成30年度分までは翌年度の4月末日までに、
令和元年度分以降については翌年度の5月末日までに、各刑事施設から法務本省に
報告されたものを集計したものであり、報告時以降の施設における検討により変更
されることもある。
53 件 40 件 34 件 31 件 49 件件18 件 13 件 14 件 8 件 21 件件2 「施設限りで対応できず、上級官庁に報告したもの」については、法務本省にお
いて予算要求の参考にするなどしている。
3 委員会の提出意見及び刑事施設の長が講じた措置などの内容は、別添資料「各刑
事施設視察委員会の意見に対する措置等報告一覧表」を参照。