「日ASEAN法務・司法ワークプラン」の骨子
(2月13日に採択済み)
〇 日本とASEANの法務高級実務者は、法務・司法分野の協力関係を深化させることを通じ、
「法の支
配」や「基本的人権の尊重」
といった普遍的価値を推進するため、
「日ASEAN法務・司法ワークプラン」
(以下「ワークプラン」
)を採択する。日本とASEANは、ワークプランの実施を通じて、日ASEAN
特別法務大臣会合で採択される共同声明に掲げられたコミットメントを実現する。
〇 ワークプランは、日本とASEANの友好・協力を促進し、
(ASEANの)
「インド太平洋に関する
ASEANアウトルック」に掲げる分野の取組に貢献する。
〇 日本とASEANは、ワークプランの実施に当たり、国連薬物犯罪事務所(UNODC)
、国連開発計
画(UNDP)
、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)などの関係する国際機関と連携する。日本
とASEANは、ワークプランに掲げられた全ての活動の実現に向けて、既存の枠組等との相乗効果(シ
ナジー)
を追求するとともに、
作業の重複を避け、
利用可能なあらゆる財源からの予算獲得の方法も含め、
最良の方法を模索する。ワークプランは状況の変化に応じて柔軟に対応できるものとし、必要に応じて日
本とASEANの合意によって修正できるものとする。
〇 ワークプランの進捗は、
今後開催される日ASLOM協議
(高級実務者協議)
にて報告するものとし、
日本とASEANは今後の進め方等について積極的に意見交換を行う。
〇 ワークプランに掲げられた全ての活動は、関連する所掌を有するASEANの分野別会合や、各国の
関係省庁と緊密に協議しながら実施する。ワークプランの内容はいかなる場合にもASEANの既存の
枠組みの所掌や構造に影響を及ぼさない。
総論
1 (目的)
日本とASEANの法務・司法分野における中期的な課題を特定する。
(具体的取組)
・引き続き、日ASLOM協議を定期的に開催する。
・日ASLOM協議における戦略的対話を促進するための方策について協議する。
2 (目的)
知識の向上、相互理解の強化を通じて重要課題に対処する。
(具体的取組)
・法務・司法分野の専門家や研究員等による研究や、知識の交換等を行うための持続可能な
方法(訪問研修を含む)を検討する。
3 (目的)
より強固なパートナーシップの実現に向けた法制度整備支援の要素を探求する。
(具体的取組)
・法制度整備支援に関するこれまでの成果を棚卸し(ストックテイキング)するとともに、今
後の支援の在り方の要素について検討するための協議を実施する。
4 (目的)
法務・司法分野の専門家の交流を通じて人材育成と能力構築を促進する。
(具体的取組)
・ASEAN各国と法務総合研究所の間で、計画的・組織的な人材交流を可能とするスキー
ムを策定する。
国際商取引のルールに基づく解決促進
5 (目的)
国際商取引から生じる紛争を解決する手段として国際仲裁・調停の活用を強化する。
(具体的取組)
・国際仲裁・調停について、国内法を実施し、及び・又は、改善し、適当と認められる場合に
は、国際的なガイドライン、ルール、基準を検討するため、知識、グッドプラクティス及び経
験(これら手続のデジタル化に関するものを含む)の交換に向けて、政府、仲裁・調停その他
裁判外紛争解決手続を行う機関、実務家、その他国内法や実務に関する専門性を有する国際
機関が集まって協議するための方策を検討する。
・仲裁・調停その他裁判外紛争解決手続を行う機関や地域の実務家がネットワークを構築し、
連絡窓口(フォーカルポイント)のリストを作成することで情報交換を促進するための機会
を提供する。
犯罪防止・刑事司法に関する協力
6 (目的)
以下の分野を含む、
刑事に関する効果的な国際協力を強化するためのメカニズムを強化する:
-捜査共助
-犯罪者処遇、矯正、社会内再統合
(具体的取組)
・定期開催されるCrim-APにて共有された情報やベストプラクティス、また、特定さ
れた課題等を念頭に置きつつ、ASEAN各国の実務家を対象として、伝統的な犯罪のみな
らず新たな犯罪形態にも対処できるよう捜査や法執行手法に関するベストプラクティスの共
有を通じて捜査共助に関する能力を構築し、また、自由刑に処された犯罪者の処遇に関する
能力を構築するとともに、国際協力を行うに当たっての共通の課題に対処するためコンタク
トポイントを設置する。
・日ASEANの国際協力を強化するため、引き続きCrim-APに参加し、実務家によ
る活発な議論を促進する。
・引き続き京都宣言の実施に努める。
7 (目的)
更生に親和的な環境を促進し、
「誰一人取り残さない社会」を実現するため、コミュニティボ
ランティア等と連携する。
(具体的取組)
・日本とASEANいずれかの要請に応じて社会内処遇に関する知識を共有する機会を設け
る。
・犯罪者の処遇に関わるコミュニティボランティアの価値を促進する活動を実施する。
・更生と社会内再統合に関わるコミュニティボランティアの価値を促進する活動を実施する。
法の支配を更に促進するための協力
8 (目的)
法の支配を更に促進するための重要な事項に関する知識と経験を向上させる。
(具体的取組)
・ASEANと日本の協議に基づき、法の支配と人権の更なる促進に関連する下記を含む事
項について知識を共有して理解を深めるため、日ASLOM協議を含む適切な場を利用する
ことを検討する。
-司法アクセスの向上
-知的財産の紛争解決に関する法制度に関する情報やグッドプラクティスの交換を促進す
るため、連携してASEAN各国の実務家のJSIPフォローアップセミナーへの参加
を促進する。
-日本とASEANが適当と認めたその他の事項。

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