日ASEAN特別法務大臣会合共同声明(仮訳)
2023年7月6日
東京、日本
日ASEAN特別法務大臣会合は、日ASEAN友好協力50周年の節目に、2023年7月6日、東
京において、日本国法務省の主催の下、日本とマレーシアが共同議長を務めて開催され、
日本とASEANが、普遍的に認識された国際法の諸原則に従って、地域の平和、安全及び安
定を維持すること、並びに武力による威嚇又は武力の行使に訴えることなく、法的及び外交的プ
ロセスの尊重を含め、紛争を平和的に解決することに対する共通のコミットメントを再確認した、2
017年8月6日にフィリピン・マニラにて双方の外務大臣によって採択された、日・ASEAN友好協
力に関するビジョン・ステートメント実施計画改訂版に係る目覚ましい進展を認識しつつ、
インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)と、日本が掲げる「自由で開かれたインド太
平洋(FOIP)」構想が、平和と協力を促進する上で関連する本質的な原則を共有していることに
留意した、2020年11月12日にベトナム・ハノイにて採択された第23回日ASEAN首脳会議共
同声明を参照しつつ、
過去50年間にわたり、地域の平和、安定、発展及び繁栄に対する顕著な貢献をしてきた日本
とASEANの対話関係を通じて得られた特筆すべき成果を満足しつつ歓迎しつつ、
法制度整備支援、能力構築やネットワーク構築等を通じた日本とASEAN各国の法務・司法分
野における長年の協力の歴史を棚卸ししつつ、
2021年10月26日に開催された第1回日ASLOM協議(法務高級実務者協議)において、
「日ASEAN法務・司法ワークプラン」(以下「ワークプラン」という。)を策定すること、また、日ASE
AN特別法務大臣会合を開催することについての日本の提案が、全てのASLOMメンバーにより
歓迎されたことを想起しつつ、
法務・司法に関する事項についての対話を継続することを通じて、2023年以降の新たなフェ
ーズに向けて、法務・司法の分野における日本とASEANの間の協力を強化することにコミットし
つつ、
国際法上の義務や日本とASEAN各国の国内法や政策等との整合性を図りつつ、
以下のとおり宣言する:
1 本会合は、日ASEAN友好協力関係50周年の機運を活かし、日本とASEANの法務・司法分
野における協力を強化・昇華させ、法の支配及び基本的人権の尊重、並びに国家主権及び領
土保全といった共有された価値及び普遍的原則の維持・促進にコミットする。
2 本会合は、日本国法務省が推進する「司法外交」を含む法務・司法分野における日本とASE
ANの協力と連携は、各国における法の支配の強化とともに、法の支配や基本的人権の尊重と
いった普遍的価値を共有・支持する、平和で繁栄した国際社会の構築に貢献することを強調す
る。
3 本会合は、法の支配と基本的人権の尊重は持続可能な発展と「誰一人取り残さない社会」を
実現するための礎であるとの確固たる認識の下、法務・司法分野の協力を通じて持続可能な
開発のための2030アジェンダの達成にコミットする。
4 本会合は、持続可能かつ有意義な協力の道を開くため、法務・司法分野の価値と経験を共有
し、我々の法及び法制度の相互理解を深め、日本とASEAN双方のニーズや関心を把握し続
ける。
5 本会合は、ASEAN地域における法の支配の促進に貢献してきた日本国法務省法務総合研
究所・国際協力部(ICD)による法制度整備支援の成功裏に行われてきた取組を引き続き強化
し、ポスト2023年の時代にふさわしい日本とASEANの間の法制度整備支援を展開すること
を目指す。
6 本会合は、国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)が提供してきた研修及びセミナーを通
じた強固な協力関係の歴史を基礎として、人材育成、ネットワーク構築等による法務・司法分野
の能力構築を引き続き強化するとともに、その取組を更に促進するための新たなセミナーを開
催する。
7 本会合は、実践的かつ行動指向的な取組の推進及び積極的な関与を通じ、日本とASEANの
実務的な連結と協力を強化する。
8 本会合は、仲裁・調停その他の裁判外紛争解決手続及びそれらのデジタル化された手続を活
用することを通じ、国際商取引に起因する法的紛争のルールに基づく解決を促進することに向
けた協力を強化する。
9 本会合は、捜査共助、官民連携を活用した刑事施設及び地域社会における犯罪者の更生・社
会内再統合を通じた再犯防止、矯正施設の技術水準を発展・向上させることを視野に入れたベ
ストプラクティスの交換等の犯罪防止刑事司法分野における協力を強化する。
10 本会合は、司法アクセス向上、知的財産を巡る紛争解決、法や法制度を支える価値に対す
る市民の理解を醸成するための教育等の取組など、法の支配や基本的人権の促進に貢献す
る法務・司法分野におけるその他の課題についても協働して取り組むことを目指す。
11 本会合は、共同コミットメントを実現するため、友好、協力、対等なパートナーシップの精神の
下、ワークプランに基づき引き続き緊密に活動し、日ASEANの協力関係を次なるフェーズへと
昇華させることにコミットする。
12 本会合は、ASEANセクトラル会合(注:それぞれの分野を所掌するASEANの会議体)の所
管を尊重し、本共同声明でなされたコミットメントを実施するに際しては、関連するセクトラル会
合との間で調整に必要な措置を講ずる。
2023年7月6日、東京で採択。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /