107第4章
総合的かつ効果的な
推進体制等 108108
第4章 総合的かつ効果的な推進体制等
1 実施主体の強化及び周知度の向上
(1) 実施主体の強化
人権啓発を効果的に推進するためには、人権啓発の実施主体の体制を質・量の両面に
わたって強化していく必要があるが、特に、各地域に密着した効果的な人権啓発を行う
ためには、全国に約1万4,000人配置されている人権擁護委員の活用が有効かつ不可欠
である。
また、複雑・多様化する人権問題に適時適切に対応し、人権擁護委員活動の一層の活
性化を図るためには、人権擁護委員組織体の体制を充実・強化し、人権擁護委員組織体
自らが自主的かつ積極的な人権啓発活動等を推進していく体制を整備していく必要がある。
(2) 周知度の向上
法務省では、法務省の人権擁護機関の周知を図るなどの目的のため、啓発冊子「人権
の擁護」並びに人権擁護委員制度について説明したリーフレット及び冊子を作成し、人
権週間や人権擁護委員の日を中心に講演会等で配布するなど、周知活動の強化を図って
いる。
また、
法務省の人権擁護機関による調査救済制度等を周知するためのリーフレット
「法
務局による相談・救済制度のご案内」を配布し、調査救済制度等の周知を図った。
啓発冊子
「人権の擁護」
冊子
「あなたの街の相談パートナー
人権擁護委員」
リーフレット
「あなたの街の相談パートナー
人権擁護委員」
リーフレット
「法務局による相談・救済制度
のご案内」 109109第4章総総総総総総総総総総総総総総総
2 実施主体間の連携
(1) 人権教育・啓発に関する中央省庁連絡協議会
平成12年9月25日、関係省庁事務次官等申合せにより、各府省庁等の教育・啓発活動
について情報を交換し、連絡するための場として、
「人権教育・啓発中央省庁連絡協議会」
を設置した。
例年、幹事会を開催するなどして、各府省庁が実施した教育・啓発活動や効果検証の
方法等についての情報交換を行うなどしている。
(2) 人権啓発活動ネットワーク協議会
法務省では、平成12年9月までに「人権啓発活動都道府県ネットワーク協議会」を都
道府県単位(北海道については、法務局及び地方法務局の管轄区域単位)で設置し、さ
らに、平成20年3月までに市町村、人権擁護委員協議会等を構成員とする「人権啓発活
動地域ネットワーク協議会」を全国193か所に設置した。これらのネットワーク協議会
を利用して、国、地方公共団体、人権擁護委員組織体及びその他の人権啓発の実施主体
が、それぞれの役割に応じて相互に連携・協力することにより、各種の人権啓発活動の
効率的かつ効果的な実施に努めている。
(3) 文部科学省と法務省の連携
法務省の人権擁護機関が実施する人権教室、啓発教材の活用や、
「こどもの人権SOS
ミニレター」、「外国語人権相談ダイヤル」等の相談事業について、文部科学省の協力を
得て学校現場に周知するなど、学校等と法務省の人権擁護機関との更なる連携強化を
図っている。
(4) スポーツ組織との連携・協力
法務省の人権擁護機関では、人権尊重思想を若年層に普及させるため、フェアプレー
の精神等をモットーとし、青少年層や地域社会において世代を超えた大きな影響力を有
するJリーグ加盟クラブ、プロ野球球団等のスポーツ組織と連携・協力を行っており、
スタジアムにおける各種人権啓発活動、人権スポーツ教室や1日人権擁護委員イベント
への選手派遣等、ファン・サポーターへの人権啓発において連携を図っている。
(5) 民間企業等と連携・協力した啓発活動
法務省の人権擁護機関では、携帯電話会社が実施するスマホ・ケータイ安全教室と連
携した人権教室(81頁参照)や、社会福祉協議会等と連携し、障害者スポーツ体験等と
組み合わせた人権教室(45 〜 46頁参照)など、民間企業等と連携した人権啓発活動を
実施している。 110110
第4章 総合的かつ効果的な推進体制等
また、
「人種・障害の有無などの違いを理解し、自然に受け入れ、互いに認め合う共
生社会」の実現に向けた啓発活動(人権ユニバーサル事業)を地方公共団体に委託して、
民間企業、学校、障害者団体等と連携した人権啓発活動を実施している。
3 担当者の育成
(1) 人権啓発指導者養成研修会
法務省の人権擁護機関では、地方公共団体等の人権啓発行政に携わる職員を対象とし
て、指導者として必要な知識やスキルを習得させることを目的とした人権啓発指導者養
成研修会を実施している(104 〜 105頁参照)。(2) 人権擁護事務担当職員、人権擁護委員に対する研修
法務省では、人権擁護事務に従事する法務局・地方法務局の職員を対象とした人権擁
護事務担当職員実務研修や調査救済事務担当者研修、法務局・地方法務局の人権擁護課
長、支局長等を対象とした専門科研修等を実施し、人権擁護行政に携わる職員の養成を
している。
人権擁護委員に対しては、新任委員に対する委嘱時研修を始め、初委嘱後6か月以内
の委員を対象とした第一次研修、初委嘱後2年以内の委員を対象とした第二次研修、初
めて再委嘱されて1年以内の委員を対象とした第三次研修等を通じて、人権擁護委員と
しての職務遂行に必要な知識及び技能の習得を図っているほか、人権擁護委員組織体に
おける指導者を養成するため、人権擁護委員指導者養成研修を実施している。
このほかにも、人権擁護委員組織体が中心となり、自主的に各種研修会を企画し、実
施している。
(3) 公正採用選考人権啓発推進員に対する研修
厚生労働省では、
「公正採用選考人権啓発推進員」に対し、研修会を開催し、また、
従業員の採用選考に影響力のある企業トップクラスに対し、
「事業所における公正な採
用選考システムの確立」について研修会を開催した。
なお、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、集合型の研修を中止した各労
働局及びハローワークにおいては、資料送付や各労働局及びハローワークのホームペー
ジへ解説動画を掲載する等の代替措置を実施した。
4 人権教育啓発推進センターの充実
人権教育啓発推進センター(12頁参照)は、民間団体としての特質を生かした人権教
育・啓発活動を総合的に行うナショナルセンターとしての役割を果たすため、法務省、 111111第4章総総総総総総総総総総総総総総総
地方公共団体等からの委託事業のほか、情報誌「アイユ」の刊行、ホームページによる
情報提供、各種人権啓発パンフレットの作成、地方公共団体・企業等を対象とした研修
の受託業務等の独自の事業を行っている。同センター主催の研修として、
令和4年度は、
人権講座を23回開催したほか、各種セミナーを開催した。
また、地方公共団体、各種研究団体等で制作した書籍・図画・ビデオ等を収集・購入
し、同センター内に設置した人権ライブラリーにおいて、これら書籍・図画・ビデオ等
の貸出しなどを行っている。
さらに、国及び地方公共団体等から提供された人権教育・啓発に関する各種情報・資
料等を収集・整理し、利用者が検索・利用できるよう、人権ライブラリーのホームペー
ジ(https://www.jinken-library.jp/)を通じて情報提供を行っている。
5 マスメディアの活用及びインターネット等IT関連技術の活用等
テレビ、ラジオ、新聞等のマスメディアやインターネットといった様々な媒体を活用
し、女性に対する暴力やAV出演被害問題等の女性の人権問題、児童虐待やいじめ等の
こどもの人権問題等のほか、SNSなどインターネット上での誹謗中傷対策等について広
報を行った。また、
「女性の人権ホットライン」、「こどもの人権110番」、「法テラス」等、
各種人権相談窓口についても広く周知した。
6 民間のアイディアの活用
法務省では、人権教育啓発推進センター(12頁参照)に対し、人権啓発活動の推進に
効果的な啓発教材の作成、啓発動画の制作、人権シンポジウムの開催等、各種の人権啓
発活動事業を委託するとともに、ポスター等の作成に当たっては、民間の制作会社の意
見を取り入れるなどしている。
また、地方公共団体等を対象とする人権啓発指導者養成研修会や法務局・地方法務局
の人権担当者に対する研修等において、民間から各人権課題に関する専門家等を講師と
して招き、講義等を行っている。
さらに、
「人種・障害の有無などの違いを理解し、自然に受け入れ、互いに認め合う
共生社会」
、いわゆる「ユニバーサル社会」を実現するため、民間企業や学校、障害者
団体等と連携した人権啓発活動である「人権ユニバーサル事業」を地方公共団体へ委託
し、実施している。 112112
第4章 総合的かつ効果的な推進体制等

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