113特集
人権擁護に関する
世論調査 114114
特集 人権擁護に関する世論調査
1 概説
「人権擁護に関する世論調査」の結果が、令和4年11月に内閣府から発表された。この
調査は、人権擁護に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とするため、昭和33年
からおおむね5年ごとに実施されており、13回目となった今回は、令和4年8月4日から
同年9月11日まで全国18歳以上の日本国籍を有する者3,000人を対象に実施された(有効
回収数1,556人、有効回収率51.9%)。ここでは、この世論調査を基に、人権教育・啓発をめぐる国民の意識を概観する。
(注
)前回調査(平成29年10月実施)と今回調査とでは、調査方法等が異なるため、結果を単純比
較することはできないが、国民の意識の変化を捕捉する観点から、前回調査の調査結果も記載
している。
2 人権擁護全般について
(1) 基本的人権についての周知度
基本的人権は侵すことのできない永久の権利として、憲法で保障されていることを
知っているか聞いたところ、
「知っている」と答えた者の割合が85.6%、
「知らない」と
答えた者の割合が13.2%となっている。
「知っている」と答えた者の割合が8割を超え、高い水準にあるが、
「知らない」と答
えた者の割合も13.2%を占めていることから、引き続き、人権尊重意識を高めるための
活動を継続していくことが重要である。18.618.613.213.2
無回答 1.2
無回答 1.281.481.485.685.6100(%)806040200知らない
知っている
(該当者数)
(1,758人)
平成29年10月調査
(1,556人)
今 回 調 査
図1 基本的人権についての周知度
(2) 人権侵害の推移
新聞、テレビ、インターネットなどで「人権が侵害された」というニュースが報道さ
れることがあるが、ここ5〜6年の間に、日本で、人権が侵害されるようなことについ
て、どのように変わってきたと思うか聞いたところ、
「少なくなってきた」
(3.9%)又
は「どちらかといえば少なくなってきた」
(17.9%)と答えた者の割合が21.9%、
「あま
り変わらない」と答えた者の割合が37.5%、
「多くなってきた」
(9.3%)又は「どちらか 115115特集
といえば多くなってきた」
(29.7%)と答えた者の割合が38.9%となっている。
(注
)前回調査では、選択肢は「少なくなってきた/あまり変わらない/多くなってきた」の三つ
であったが、今回調査では、
「どちらかといえば少なくなってきた(多くなってきた)
」を加え
て、選択肢は五つとなっている。5.65.629.429.450.850.814.314.338.938.937.537.521.921.9100(%)806040200多くなってきた
あまり変わらない わからない
少なくなってきた
(1,758人)
(該当者数)
平成29年10月調査
(1,556人)
今 回 調 査
無回答 1.71.7図2 人権侵害の推移
(3) 人権侵害の経験
今までに、自分の人権が侵害されたと思ったことがあるか聞いたところ、
「ある」と
答えた者の割合が27.8%、
「ない」と答えた者の割合が71.0%となっている。
また、人権が侵害されたことが「ある」と答えた者に、それはどのような場合か聞い
たところ、
「あらぬ噂、他人からの悪口、かげ口」を挙げた者の割合が54.4%と最も高く、
以下、
「職場での嫌がらせ」
(30.1%)、「名誉・信用のき損、
侮辱」
(22.9%)、「プライバシー
の侵害」
(18.8%)等の順となっている。84.184.115.915.971.071.027.827.8
無回答 1.2
無回答 1.2100(%)806040200(1,758人)
(該当者数)
平成29年10月調査
(1,556人)
今 回 調 査
ない
ある
図3 人権侵害の経験 116116
特集 人権擁護に関する世論調査0 6051.626.221.119.421.112.55.49.311.55.710.03.24.31.84.71.854.430.122.918.818.117.116.015.313.411.310.27.26.93.71.82.54.40.25040302010(%)悪 臭 ・ 騒 音 な ど の 公 害
社会的地位、慣習などにより、本来義務の
ないことをやらされたり、権利の行使を
妨害されたりしたなどの強要、暴力や強迫
使用者による時間外労働の強制などの不当な待遇
あ ら ぬ 噂 、 他 人 か ら の 悪 口 、 か げ 口
職 場 で の 嫌 が ら せ
学 校 で の い じ め
名 誉 ・ 信 用 の き 損 、 侮 辱
プ ラ イ バ シ ー の 侵 害
人種・信条・性別・社会的身分などによる差別待遇
セ ク シ ュ ア ル ・ ハ ラ ス メ ン ト
配偶者やパートナーからの暴力などのドメ
スティック・バイオレンス
地 域 社 会 で の 嫌 が ら せ
警察官などの公務員からの不当な取扱い
児 童 虐 待
社会福祉施設などでの施設職員からの不当
な取扱い
そ の 他
無 回 答
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図4
(人権が侵害されたと思ったことがあると答えた者に)人権侵害の内容
(4) 人権侵害への対応
人権を侵害された場合にどのように対応すると思うか聞いたところ、
「身近な人に相
談する」とする者の割合が64.8%と最も高い一方、
「法務局・人権擁護委員に相談する」
(11.2%)、「法務局・人権擁護委員以外の公的機関に相談する」
(6.4%)とする者の割合
は低調となっている。
法務局や人権擁護委員を含む公的機関が身近な相談窓口として浸透するよう、相談窓
口の周知広報及び相談しやすい体制整備等に努める必要がある。 117117特集0 7064.833.126.018.417.111.26.40.81.9605040302010(%)身 近 な 人 に 相 談 す る
相 手 に 抗 議 す る
黙 っ て 我 慢 す る
民 間 の 相 談 窓 口 に 相 談 す る
弁 護 士 に 相 談 す る
法務局・人権擁護委員に相談する
法務局・人権擁護委員以外の公的機関
に相談する
そ の 他
無 回 答
(複数回答)
図5 人権侵害への対応
3 個別の人権問題に関する意識について
日本における人権問題について、関心があるのはどのようなことか聞いたところ、
「イ
ンターネット上の誹謗中傷などの人権侵害」を挙げた者の割合が53.0%と最も高く、以下、
「障害者」
(50.8%)、「こども」
(43.1%)等の順となっている。
前回調査においても、
「インターネットによる人権侵害」を挙げた者の割合が43.2%と高
い水準にあったが、近時、誹謗中傷等の問題が深刻化していること等から、インターネッ
ト上で発生している様々な人権問題に対し、一層の関心が寄せられていることがうかがわ
れる。 118118
特集 人権擁護に関する世論調査0 605040302010(%)インターネット上の誹謗中傷などの人権侵害
女 性
障 害 者
こ ど も
風評に基づく偏見や差別など災害に伴う人
権侵害
高 齢 者
HIVや肝炎、新型コロナウイルス感染症
などの感染者・医療従事者やその家族
部 落 差 別 ・ 同 和 問 題
ハ ン セ ン 病 患 者 ・ 元 患 者 や そ の 家 族
外 国 人
性的サービスや労働の強要などの人身取引
刑 を 終 え て 出 所 し た 人 や そ の 家 族
L G B T Q な ど の 性 的 マ イ ノ リ テ ィ
性同一性障害者((注記)1)
性 的 指 向((注記)1)
ホ ー ム レ ス
犯 罪 被 害 者 や そ の 家 族
北朝鮮当局によって拉致された被害者や
その家族
ア イ ヌ の 人 々
そ の 他
特 に な い
無 回 答
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査43.251.133.730.628.836.710.816.915.515.026.214.015.014.610.511.211.86.70.27.6
(注記)2
(注記)2 平成29年10月調査では、項目なし
(注記)1 平成29年10月調査では、項目を「性同一性障害者」と「性的指向」に分けていた。53.050.843.142.532.630.127.123.319.317.917.016.714.813.010.510.09.61.95.40.8
図6 人権問題に対する関心
(1) 女性に関する人権問題
女性に関し、体験したことや、身の回りで見聞きしたことで、人権問題だと思ったこ
とはどのようなことか聞いたところ、「『家事は女性』など男女の固定的な役割分担意識
に基づく差別的取扱いを受けること」を挙げた者の割合が47.0%と最も高く、以下、
「セ
クシュアル・ハラスメント」
(42.0%)、「女性が管理職になりにくいなど職場において
差別待遇を受けること」
(39.0%)等の順となっている。
男女の固定的な役割分担意識に基づく差別的取扱いを挙げた者の割合は、前回調査で
は3割強であったが、今回調査では5割弱となった(注)。(注
)前回調査における設問は、
「あなたは、女性に関し、現在、どのような人権問題が起きてい 119119特集
ると思いますか。
」であり、女性の人権問題に関する一般論としての認識を聞くものとなって
いる。これに対し、今回の調査では、自らの体験や見聞きしたこと等、回答者の体験を聞く設
問となっている。以下(2)から(9)までの設問も同様。33.342.950.535.619.215.50.511.45.547.042.039.031.613.310.910.08.11.718.01.86050403020100(%)
セ ク シ ュ ア ル ・ ハ ラ ス メ ン ト
売 春 ・ 買 春
そ の 他
特 に な い
無 回 答
「家事は女性」など男女の固定的な役割分
担意識に基づく差別的取扱いを受けること
女性が管理職になりにくいなど職場におい
て差別待遇を受けること
「令夫人」、「婦人」、「未亡人」、「家内」
のよう
に女性だけに用いられる言葉が使われること
配偶者やパートナーからの暴力などのドメ
スティック・バイオレンス
アダルトビデオなどに出演したことで被害
を受けること
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図7 女性に関する人権問題
(2) こどもに関する人権問題
こどもに関し、体験したことや、身の回りで見聞きしたことで、人権問題だと思った
ことはどのようなことか聞いたところ、
「いじめを受けること」を挙げた者の割合が
65.2%と最も高く、以下、
「いじめ、体罰や虐待について、周りの人が気がついている
のに何もしないこと」
(56.0%)、「虐待を受けること」
(53.9%)、「体罰を受けること」
(34.8%)等の順となっている。
こどもに関する人権問題については、前回調査においても、
「いじめを受けること」
を挙げる者の割合が66.9%と最も高い。また、児童虐待や体罰に関しては、報道等でこ
れらの問題が取り上げられること等により、関心が高まっているものと推測される。 120120
特集 人権擁護に関する世論調査52.662.665.266.956.053.934.831.423.71.512.01.331.128.328.20.53.82.180403020100 50 60 70(%)い じ め を 受 け る こ と
いじめ、体罰や虐待について、周りの人が
気がついているのに何もしないこと
虐 待 を 受 け る こ と
体 罰 を 受 け る こ と
学校や就職先の選択などに関するこどもの意見
について、大人がその意見を無視すること
児童買春・児童ポルノなどの対象となること
そ の 他
特 に な い
無 回 答
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図8 こどもに関する人権問題
(3) 高齢者に関する人権問題
高齢者に関し、体験したことや、身の回りで見聞きしたことで、人権問題だと思った
ことはどのようなことか聞いたところ、
「悪徳商法、特殊詐欺の被害が多いこと」を挙
げた者の割合が44.7%と最も高く、以下、
「病院での看護や介護施設において劣悪な処
遇や虐待を受けること」
(33.6%)、「高齢者が邪魔者扱いされること」
(31.7%)等の順
となっている。
「悪徳商法、特殊詐欺の被害が多いこと」を挙げた者の割合が、前回調査に引き続い
て高水準であり、高齢者を対象とした悪徳商法等が蔓延していることが危惧される。 121121特集44.733.629.232.737.819.229.513.314.913.50.32.455.038.731.728.427.922.222.017.818.00.75.61.26050403020100(%)
悪徳商法、特殊詐欺の被害が多いこと
高 齢 者 が 邪 魔 者 扱 い さ れ る こ と
働く能力を発揮する機会が少ないこと
経 済 的 に 自 立 が 困 難 な こ と
アパートなどへの入居を拒否されること
差 別 的 な 言 葉 を 言 わ れ る こ と
高齢者の意見や行動が尊重されないこと
そ の 他
特 に な い
無 回 答
病院での看護や介護施設において劣悪な
処遇や虐待を受けること
家庭内での看護や介護において嫌がらせや
虐待を受けること
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図9 高齢者に関する人権問題
(4) 障害のある人に関する人権問題
障害のある人に関し、体験したことや、身の回りで見聞きしたことで、人権問題だと
思ったことはどのようなことか聞いたところ、
「職場、学校などで嫌がらせやいじめを
受けること」を挙げた者の割合が43.3%で最も高く、以下、
「じろじろ見られたり、避
けられたりすること」
(40.7%)、「差別的な言葉を言われること」
(38.9%)、「就職・職
場で不利な扱いを受けること」
(38.2%)等の順となっている。
回答の上位に並んでいる項目は、前回調査と同様であり、障害のある人に対する偏見・差別意識が今も存在していることがうかがえる。 122122
特集 人権擁護に関する世論調査0 6045.647.648.749.926.715.716.420.514.10.77.14.943.340.738.938.219.014.913.212.58.81.418.41.95040302010(%)職場、学校などで嫌がらせやいじめを受け
ること
じろじろ見られたり、避けられたりすること
差 別 的 な 言 葉 を 言 わ れ る こ と
就職・職場で不利な扱いを受けること
交 際 や 結 婚 を 反 対 さ れ る こ と
スポーツ・文化活動・地域活動に気軽に
参加できないこと
宿泊施設や公共交通機関の利用、店舗など
への入店を拒否されること
アパートなどへの入居を拒否されること
悪 徳 商 法 の 被 害 が 多 い こ と
そ の 他
特 に な い
無 回 答
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図10 障害のある人に関する人権問題
(5) 部落差別(同和問題)に関する人権問題
部落差別(同和問題)について、初めて知ったきっかけは何か聞いたところ、
「学校
の授業で教わった」と答えた者の割合が27.8%と最も高く、以下、
「祖父母、父母、兄弟
などの家族から聞いた」
(16.3%)、「テレビ・ラジオ・新聞・本で知った」
(15.5%)等
の順となっており、学校教育が部落差別(同和問題)を知るきっかけの大きな割合を占
めている。
また、きっかけが何であるかにかかわらず、部落差別(同和問題)を知っていると答
えた者に対して、部落差別(同和問題)に関し、体験したことや、身の回りで見聞きし
たことで、人権問題だと思ったことはどのようなことか聞いたところ、
「交際や結婚を
反対されること」を挙げた者の割合が40.4%と最も高く、以下、
「差別的な言葉を言わ
れること」
(32.3%)、「就職・職場で不利な扱いを受けること」
(27.5%)等の順となっ
ている。法務省が令和2年6月に公表した部落差別解消推進法第6条に基づく調査の結
果では、
交際・結婚や就職の場面において今なお差別が現存していることが明らかとなっ
ているところ、今回の調査においても、同様の傾向が認められる結果となった。
さらに、部落差別(同和問題)を知っていると答えた者に対して、現在もなお部落差
別(同和問題)が存在するのは、どのような理由からだと思うか聞いたところ、
「昔か
らある偏見や差別意識を、そのまま受け入れてしまう人が多いから」を挙げた者の割合
が60.9%と最も高く、以下、
「部落差別・同和問題の知識がなかったり、無関心だった 123123特集
りする人がいるから」
(43.8%)、「これまでの教育や啓発が十分でなかったから」
(27.6%)
等の順となっている。
なお、回答割合が高い選択肢の組合せは、前回調査とおおむね同様の傾向にあること
が認められる。10.610.61.11.11.71.71.71.7 10.410.42.72.73.13.115.515.527.827.82.62.63.73.71.51.51.21.216.316.317.717.71.41.45.75.71.01.02.62.616.516.522.922.93.63.65.15.12.82.81.21.219.619.6100(%)806040200
(1,758人)
平成29年10月調査
(1,556人)
(該当者数)
今 回 調 査
その他
無回答
(注記)
祖父母、父母、
兄弟などの家族
から聞いた
部落差別・同和問
題に関する集会や
研修会で知った
部落差別・同和問
題は知っているが
きっかけは覚えて
いない
テレビ・
ラジオ・
新聞・本
で知った
インター
ネットで
知った(注記)
都道府県や市区町
村の広報誌や冊子
などで知った
部落差別・
同和問題を
知らない
親戚の人から
聞いた
職場の人から
聞いた
学校の授業で
教わった
近所の人
から聞いた友人から
聞いた
(注記)平成29年10月調査では、項目なし
図11 部落差別(同和問題)を知ったきっかけ40.127.923.527.618.716.00.811.813.140.432.327.524.314.912.512.01.624.35.58.8500 40302010(%)
交 際 や 結 婚 を 反 対 さ れ る こ と
差 別 的 な 言 葉 を 言 わ れ る こ と
就職・職場で不利な扱いを受けること
身 元 調 査 を さ れ る こ と
差別的な落書きや貼り紙などをされること
そ の 他
特 に な い
無 回 答
インターネットを利用して差別的な情報が
掲載されること
同和問題を口実に企業や官公庁などに不当
な要求をするえせ同和行為が行われること
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図12 部落差別(同和問題)に関する人権問題 124124
特集 人権擁護に関する世論調査0 7060.955.843.834.627.625.525.917.414.216.713.214.28.311.22.61.24.23.210.47.0605040302010(%)
これまでの教育や啓発が十分でなかったから
地域社会や家庭において話題となるから
そ の 他
部落差別・同和問題はもはや存在しない
無 回 答
昔からある偏見や差別意識を、そのまま
受け入れてしまう人が多いから
部落差別・同和問題の知識がなかったり、
無関心だったりする人がいるから
落書きやインターネット上などで差別意識
を助長する人がいるから
同和地区の住民が行政から優遇されている
と思う人が多いから
同和問題を口実に企業や官公庁などに不当
な要求をするえせ同和行為などにより「同
和は怖い問題である」と思うから
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図13 部落差別(同和問題)が存在する理由
(6) 外国人に関する人権問題
日本に居住している外国人に関し、体験したことや、身の回りで見聞きしたことで、
人権問題だと思ったことはどのようなことか聞いたところ、
「風習や習慣などの違いが
受け入れられないこと」を挙げた者の割合が27.8%と最も高く、以下、
「就職・職場で
不利な扱いを受けること」
(22.1%)、「差別的な言葉を言われること」
(19.5%)等の順
となっている。 125125特集41.330.922.420.617.524.614.77.90.613.812.527.822.119.519.118.812.512.35.12.238.31.5500 40302010(%)
風習や習慣などの違いが受け入れられない
こと
就 職 ・ 職 場 で 不 利 な 扱 い を 受 け る こ と
差 別 的 な 言 葉 を 言 わ れ る こ と
職場、学校などで嫌がらせやいじめを受け
ること
じろじろ見られたり、避けられたりすること
アパートなどへの入居を拒否されること
交 際 や 結 婚 を 反 対 さ れ る こ と
宿泊などの施設の利用や、店舗などへの入店
を拒否されること
そ の 他
特 に な い
無 回 答 今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図14 外国人に関する人権問題
また、ヘイトスピーチについて、見聞きしたことがあるか聞いたところ、
「テレビ・
ラジオや新聞、インターネットなどの報道で見たり聞いたりしたことがある」を挙げた
者の割合が56.2%と最も高く、以下、
「インターネット上の書き込みを直接見たことが
ある」
(15.4%)、「デモや集会、街宣活動などで直接見たり聞いたりしたことがある」
(13.7%)等の順となっている。加えて、ヘイトスピーチを見聞きしたことがあると答
えた者に対して、見聞きしてどのように思ったかを聞いたところ、
「不愉快で許せない
と思った」
(53.6%)、「日本に対する印象が悪くなると思った」
(44.0%)を挙げた者の
割合が高く、国民の間に不当な差別的言動があってはならないという意識が着実に浸透
していることがうかがえる。 126126
特集 人権擁護に関する世論調査
0 10092.256.215.413.74.23.31.129.4
(注記)1.326.19.13.83.50.40.580604020(%)
テレビ・ラジオや新聞、インターネットな
どの報道で見たり聞いたりしたことがある
インターネット上の書き込みを直接見たこ
とがある
デモや集会、街宣活動などで直接見たり聞
いたりしたことがある
家族、友人などから聞いたことがある
ポスターや冊子などで見たことがある
そ の 他
見 聞 き し た こ と が な い
無 回 答 今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
(注記)平成29年10月調査では、項目なし
図15 ヘイトスピーチを見聞きした経験0 6045.553.647.444.017.09.89.110.68.312.15.81.03.24.02.32.540302010(%)
不 愉 快 で 許 せ な い と 思 っ た
日本に対する印象が悪くなると思った
「表現の自由」の範囲内のものだと思った
ヘイトスピーチをされる側に問題があると
思った
自 分 に は 関 係 な い と 思 っ た
そ の 他
何 も 思 わ な か っ た
無 回 答 今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図16 ヘイトスピーチに対する意識
(7) インターネットに関する人権問題
インターネットに関し、体験したことや、身の回りで見聞きしたことで、人権問題だ
と思ったことはどのようなことか聞いたところ、
「他人を誹謗中傷する情報が掲載され
ること」を挙げた者の割合が67.7%と最も高く、以下、
「他人に差別しようとする気持
ちを起こさせたり、それを助長するような情報が掲載されること」
(42.8%)、「プライバ
シーに関する情報が掲載されること」
(42.5%)等の順となっている。
また、
インターネットに関する人権問題だと思ったことを挙げた者に対して、
インター
ネット上の誹謗中傷などの人権侵害の解決に向けて、国は、どのようなことに力を入れ
ていけばよいと思うか聞いたところ、
「プロバイダーなどに対して、人権を侵害する違 127127特集
法な情報の削除を義務付ける法的規制をすること」
(63.9%)、「プロバイダーなどに対
して、人権を侵害する違法な情報の削除を含む対応を求めること」
(59.5%)、「人権を
侵害する違法な情報に対する監視・取締りを行うこと」
(58.0%)を挙げた者の割合が
高かった。法務省の人権擁護機関では、インターネット上の違法・有害情報に対する適
切な対応を促進するため、事業者団体との意見交換等を行っているところ、これらの結
果も踏まえ、更に事業者団体の理解を得られるよう取組を進めていく必要がある。0 8062.939.653.449.032.00.23.114.967.742.842.537.031.532.517.91.514.73.450 60 7040302010(%)他人を誹謗中傷する情報が掲載されること
プライバシーに関する情報が掲載されること
そ の 他
特 に な い
無 回 答
他人に差別をしようとする気持ちを起こさせた
り、それを助長するような情報が掲載されること
SNSなどによる交流が犯罪を誘発する場
となっていること
元交際相手の性的な画像を、相手の同意を得る
ことなく、SNSやインターネットの掲示板に
公表するなどのリベンジポルノが存在すること
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
捜査の対象となっている未成年者の実名や
顔写真が掲載されること
図17 インターネットに関する人権問題0 7063.959.558.050.744.83.51.240302010(%)プロバイダーなどに対して、人権を侵害する違法
な情報の削除を義務付ける法的規制をすること
プロバイダーなどに対して、人権を侵害する
違法な情報の削除を含む対応を求めること
人権を侵害する違法な情報に対する監視・
取締りを行うこと
インターネットにより人権侵害を受けた者の
ための相談所や電話相談窓口を充実させること
インターネット利用者やプロバイダーなどに対して、個
人のプライバシーや名誉に関する正しい知識を深めるた
めの教育・啓発広報活動を推進すること
そ の 他
無 回 答
(複数回答)
図18 インターネット上の人権侵害の解決に必要なこと
(8) 新型コロナウイルス感染症に関する人権問題
新型コロナウイルス感染症に関し、体験したことや、身の回りで見聞きしたことで、
人権問題だと思ったことはどのようなことか聞いたところ、
「感染者やその家族に対し
て、差別的な言動や不当な差別的取扱いが行われること」を挙げた者の割合が38.2%と
最も高く、以下、
「医療従事者などの社会や生活を支えるために必要不可欠な労働者や 128128
特集 人権擁護に関する世論調査
その家族に対して、差別的な言動や不利益な取扱いが行われること」
(35.8%)、「集団
感染が発生した施設や感染者が所属する団体に対して、誹謗中傷が行われること」
(26.7%)等の順となっている。
感染症に対する不安を差別につなげることのないよう、引き続き、人権啓発活動を推
進する必要がある。0 5038.235.826.722.020.818.41.931.11.340302010(%)感染者やその家族に対して、差別的な言動
や不当な差別的取扱いが行われること
集団感染が発生した施設や感染者が所属す
る団体に対して、誹謗中傷が行われること
感染者の氏名や行動を特定し、インターネット
上で、誹謗中傷やデマが流されること
職場、学校などでワクチン接種の強制や、接種
をしない人への嫌がらせが行われること
外国や他の都道府県からの移動者が嫌がらせ
を受けること
そ の 他
特 に な い
無 回 答
医療従事者などの社会や生活を支えるために必
要不可欠な労働者やその家族に対して、差別的
な言動や不利益な取扱いが行われること
(複数回答)
図19 新型コロナウイルス感染症に関する人権問題
(9) ハンセン病患者・元患者やその家族に関する人権問題
ハンセン病患者・元患者やその家族に関し、体験したことや、身の回りで見聞きした
ことで、人権問題だと思ったことはどのようなことか聞いたところ、
「ハンセン病療養
所の外で自立した生活を営むのが困難なこと」を挙げた者の割合が22.2%と最も高く、
以下、
「交際や結婚を反対されること」
(19.3%)、「職場、学校などで嫌がらせやいじめ
を受けること」
(17.4%)等の順となっている。
前回調査に比べて、
「特にない」を挙げた者の割合が、前回調査では、1割弱であっ
たのものが今回は5割となっている。これは、前回調査における設問が、
「あなたは、
ハンセン病患者・回復者やその家族に関し、現在、どのような人権問題が起きていると
思いますか。
」という、一般論としての認識を聞くものであったのに対し、今回の調査
では、自らの体験や見聞きしたこと等、回答者の体験を聞く設問となっていることが影
響しているものと推測される。また、個別面接聴取法により実施した前回調査では、調
査対象者に「特にない」の選択肢を提示しなかった(調査員において、調査対象者の反
応等を踏まえて「特にない」に分類)のに対し、
郵送法による今回調査では「特にない」
の選択肢を提示しており、この違いが影響しているものと思われる。 129129特集0 6031.728.224.426.329.027.012.012.211.50.29.924.222.219.317.417.216.716.310.37.67.52.155.52.2302010(%)ハンセン病療養所の外で自立した生活を営
むのが困難なこと
交 際 や 結 婚 を 反 対 さ れ る こ と
職場、学校などで嫌がらせやいじめを受け
ること
じろじろ見られたり、避けられたりすること
差 別 的 な 言 葉 を 言 わ れ る こ と
就職・職場で不利な扱いを受けること
治 療 や 入 院 を 断 ら れ る こ と
宿泊などの施設の利用や、
店舗などへの入店
を拒否されること
アパートなどへの入居を拒否されること
そ の 他
特 に な い
無 回 答 今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図20 ハンセン病患者・元患者やその家族に関する人権問題
4 人権問題の解決のための方策について
人権問題の解決に向けて、国は、どのようなことに力を入れていけばよいと思うか聞い
たところ、
「学校内外の人権教育を充実する」
(57.6%)、「人権意識を高め、人権への理解
を深めてもらうための啓発広報活動を推進する」
(46.9%)、「人権が侵害された被害者の
救済・支援を充実する」
(44.2%)を挙げた者の割合が高い。
また、人権尊重意識が人々の間に広く深く浸透するためには、国がどのような方法で啓
発広報活動を行うことが効果的であると思うか聞いたところ、
「テレビ・ラジオ」
(67.5%)、「SNSを含むインターネット」
(49.5%)、「新聞・雑誌」
(32.9%)を挙げた者の割合が高い。
この結果からは、特に、人権教育・啓発に対する国民の大きな期待がうかがわれるとこ
ろであり、引き続き、関係府省庁や地方公共団体が連携しながら、人権教育・啓発の総合
的かつ効果的な推進を図っていくことが重要である。また、啓発広報活動の展開に当たっ
ては、マスメディアやインターネットを積極的に活用していくことが求められている。 130130
特集 人権擁護に関する世論調査0 7059.843.144.033.032.838.624.21.02.05.057.646.944.241.936.831.219.73.33.41.050 6040302010(%)今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
学 校 内 外 の 人 権 教 育 を 充 実 す る
人権意識を高め、人権への理解を深めても
らうための啓発広報活動を推進する
人権が侵害された被害者の救済・支援を充
実する
犯 罪 の 取 締 り を 強 化 す る
人権問題に対応する専門の相談機関・施設
を充実する
地方自治体、民間団体などの関係機関と連
携を図る
人権に関する情報の収集及び提供を充実する
そ の 他
特 に な い
無 回 答
図21 人権問題の解決に必要なこと0 8070.341.941.817.919.131.726.824.315.622.013.211.91.73.867.549.532.923.823.522.622.318.216.815.410.27.34.41.550 60 7040302010(%)テ レ ビ ・ ラ ジ オ
S N S を 含 む イ ン タ ー ネ ッ ト
新 聞 ・ 雑 誌
電車やバスなどにおける車内広告や車体広
告、駅での広告などの交通広告
多 様 な 立 場 の 人 が 参 加 で き る 交 流 会
講 演 会 、 シ ン ポ ジ ウ ム 、 研 修 会 な ど
広 報 誌 ・ パ ン フ レ ッ ト ・ ポ ス タ ー
自 由 な 意 見 の 交 換 が で き る 会 合
高 齢 者 ・ 障 害 者 疑 似 体 験
映 画 ・ ビ デ オ
資 料 、 写 真 な ど の 展 示
少人数の討論会や双方向型の研修プログラ
ムなどのワークショップ
そ の 他
無 回 答
今回調査
(複数回答)
平成29年10月調査
図22 効果的な啓発広報活動について

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