1 民法における法定利率
令和2年4月1日から、
法定利率は年3%とされています
(民法第404条
第2項)。ただし、
法定利率は3年ごとに見直すこととされていますので、
将来の法定
利率は3%から変動する可能性があります。
2 法定利率の変動の仕組み
(1) 基準割合
法定利率は、3年を1期として期ごとに算出される基準割合に応じて変
動しますので、まずこの基準割合について説明します。
基準割合は、各期が始まる年の6年前の1月から前々年の12月まで、
5年分(60か月分)の短期貸付の平均利率の平均値です。短期貸付の平
均利率とは、各月に銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が1年未満のも
の)に係る利率の平均をいいます。
基準割合は、各期の初日の一年前までに、法務大臣が官報で告示するこ
ととされています(民法第404条第5項、民法第四百四条第三項に規定
する期及び同条第五項の規定による基準割合の告示に関する省令)。(2) 変動の有無及び内容
最初に法定利率が変動するのは、
このような変動制が取り入れられた最初
の期(第1期。令和2年4月1日から令和5年3月31日まで。
)における
基準割合
(平成26年1月から平成30年12月までの5年間の短期貸付の
平均利率の平均値)から1%以上基準割合が変動した場合です。このような
場合、基準割合の変動分と同じだけ(ただし、1%未満の端数は切り捨てま
す。
)法定利率が変動します(民法第404条第3項から第5項まで)。第1期の基準割合は年0.7%と告示されました(民法第四百四条第五
項の規定に基づき、令和二年四月一日から令和五年三月三十一日までの期
における基準割合を告示する件)。したがって、たとえば、その後の期の
基準割合が1.2%であった場合には基準割合の変動が1%未満ですので
法定利率は変動しませんが、1.9%であった場合には0.7%から1%
以上増加しており、その差は1.2%ですので、端数を切り捨てた1%を
加算し、法定利率は年4%になります。
最初に法定利率が変動した期以降も、同様のルールに従って、変動が生
じた期の基準割合から1%以上基準割合が変動したときは、その差と同じ
だけ法定利率が変動します(1%未満の端数を切り捨てることも同じで
す。)。
3 各期の法定利率
第2期(令和5年4月1日から令和8年3月31日まで)における基準割
合(平成29年1月から令和3年12月までの5年間の短期貸付の平均利率
の平均値)は、年0.5%と告示されました(民法第四百四条第五項の規定
に基づき、令和五年四月一日から令和八年三月三十一日までの期における基
準割合を告示する件)。第1期の基準割合0.7%からの変動が1%未満で
すので、第2期においては、法定利率は3%のまま変動しないこととなりま
した。
各期間における法定利率をまとめると、次のとおりです。
令和2年3月31日までの法定利率 = 年5%
令和2年4月1日から令和5年3月31日までの法定利率 = 年3%
令和5年4月1日から令和8年3月31日までの法定利率 = 年3%
令和8年4月1日以降の法定利率 ⇒ 未確定(変動の可能性あり)

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