様式第九(第4条関係)
新事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定に係る照会書
令和4年 9 月 12 日
内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
法務大臣 葉梨 康弘 殿
財務大臣 鈴木 俊一 殿
経済産業大臣 西村 康稔 殿
東京都新宿区大久保2丁目5番23号
株式会社デジタルサイン
代表取締役社長 小幡 靖弥
産業競争力強化法第7条第1項の規定に基づき、実施しようとする新事業活動及びこれに関連する
事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定の解釈並びに当該新事業活
動及びこれに関連する事業活動に対する当該規定の適用の有無について、確認を求めます。記1. 新事業活動及びこれに関連する事業活動の目標
当社は、日本の商習慣として定着する「紙と印鑑」による契約の締結を、クラウド上で行う
ことができるサービス「Digital Sign」を2022年4月から事業運営している。
印刷、製本、捺印、郵送といった手間やそれにかかる膨大な時間、郵送代や紙代、管理用の
倉庫代などのコスト、紛失や改竄のリスクなどといった紙の契約書が抱える問題を解決し、ひ
いては、働き方改革につながる業務効率化や生産性を図るサービスであり、日本の商取引のス
ピードを迅速化し、日本全体の商取引が円滑化することに資することを事業目標に置いてい
る。
2. 新事業活動及びこれに関連する事業活動により生産性の向上又は新たな需要の獲得が見込まれ
る理由
「新たな役務の開発又は提供」に該当
新型コロナウイルス感染症の感染予防対策としてリモートワークという新しい働き方が注目
される中、国においても「脱ハンコ」の必要性が高まっている。本サービスが電子署名法上の
「電子署名」の要件を満たすことにより、民間事業者間の契約だけでなく、国が当事者となる
契約についても本サービスが利用可能となる。これにより、電子締結も含めた電子契約の作
成、承認、締結及び管理という一連の契約業務を本サービス上で完結することが可能となり、
国の契約業務の効率化、行政サービスの向上につながるものと考えている。国で取り交わされ
る契約書、受発注書その他の文書へ利用が見込まれ、これが可能となる場合、以下の新たな需
要の獲得が見込まれる。
【需要獲得見込み】
見込み導入企業:
月間締結数:
月次利用料:
年間締結件数:
年間売上:
3. 新事業活動及びこれに関連する事業活動の内容
(1) 事業実施主体
サービス提供事業者:当社
サービス利用者:国及びその契約相手、当社の提供する Digital Sign のサービス顧客
(2) 事業概要
当社デジタルサインが提供する「Digital Sign」は、従来紙と印鑑を用いて行なっていた
契約をクラウド上でかんたんに締結可能とする、クラウド型電子契約サービスである。
Digital Sign では、公的個人認証サービスによる本人確認に基づくデジタル ID アプリ
「xID」を用いて利用者本人の秘密鍵により電子署名を行う xID 署名(当事者型署名)、サ
ービス提供事業者である当社の秘密鍵により当社の意思を介在することなく電子署名を行
う事業者型署名(立会人型署名)の2方式の利用が可能となっている。
作成者が Digital Sign に文書ファイル(PDF形式)をアップロードし、署名者の情報(法
人名、氏名、メールアドレス等)を入力の上、署名方式(xID 署名、または事業者型署
名)、印影やサイン、テキストエリア等の位置を指定して、送信を行う。署名者のメール
アドレス宛に、システム上で文書ファイルを確認・署名するための画面への専用URLを
記載した署名依頼メールが配信される。署名者は当該URLをクリックし、Digital Sign の
文書確認画面より、文書ファイルの内容を確認し、署名ボタンをクリック(xID 署名につ
いては、「xID」アプリを用いたPINコード(または生体認証)の入力も必要となる)す
ることにより、アップロードされた契約書等の文書ファイル(PDF形式)へ電子署名
(作成者側の選択した署名方式に従い、xID 署名の場合には署名者本人の秘密鍵による電
子署名、事業者型署名の場合にはサービス提供事業者である当社の秘密鍵による電子署
名)を行い、時刻認証業務認定事業者の発行する認定タイムスタンプを付与することが可
能となる。
1 署名依頼メールを受信 2 文書内容の確認・署名
約書確認・合意
3 締結完了・契約書受信
【Digital Sign xID 署名(当事者型署名)のフロー】
1 作成者が Digital Sign に文書ファイル(PDF形式)をアップロードし、署名者の情報
(法人名、氏名、メールアドレス等)を入力の上、署名方式を xID 署名(当事者型署
名)として選択し、印影やサイン、テキストエリア等の位置を指定して、送信を行う。
作成時の形跡として送信時には、システム上で自動に当社の秘密鍵により当該文書ファ
イルに送信した痕跡となる情報の署名を行う。(契約に対する署名は後続で個々人の署
名が行われる)
2 最初の署名者(一般的には甲となる署名者)のメールアドレス宛に、システム上で文書
ファイルを確認・署名するための画面への専用URLを記載した署名依頼メールが配信
される。署名者(甲)は当該URLをクリックし、文書確認画面より、文書ファイルの
内容を確認し、「xID アプリで署名する」のボタンをクリックする。
3 署名者(甲)の「xID」アプリに署名要求が届くので、「xID」アプリにて Digital Sign
で表示された認証コード、予め設定したPINコード(または生体認証)を入力し、ア
ップロードされた契約書等の文書ファイル(PDF形式)について、自らの秘密鍵によ
り電子署名を行う。
4 署名者(甲)の署名が完了すると次の署名者(一般的には乙となる署名者)のメールア
ドレス宛に、専用URLを記載した署名依頼メールが配信される。署名者(乙)は当該
URLをクリックして、2・3と同様に「xID」アプリを用いて、文書ファイル(PDF
形式)について自らの秘密鍵により電子署名を行う。
5 すべての署名者による文書ファイルに電子署名を完了すると、認定タイムスタンプが付
与され、作成者・署名者それぞれに完了通知がメールで配信され、電子署名済みの文書
ファイルを確認、ダウンロードが可能となる。
【Digital Sign 事業者型署名(立会人型署名)のフロー】
1 作成者が Digital Sign に文書ファイル(PDF形式)をアップロードし、署名者の情報
(法人名、氏名、メールアドレス等)を入力の上、署名方式を事業者型署名(立会人型
署名)として選択し、印影やサイン、テキストエリア等の位置を指定して、送信を行
う。作成時の形跡として送信時には、システム上で自動に当社の秘密鍵により当該文書
ファイルに送信した痕跡となる情報の署名を行う。
2 最初の署名者(一般的には甲となる署名者)のメールアドレス宛に、システム上で文書
ファイルを確認・署名するための画面への専用URLを記載した署名依頼メールが配信
される。署名者(甲)は当該URLをクリックし、Digital Sign の文書確認画面より、文
書ファイルの内容を確認し、「契約書に署名する」のボタンをクリックする。これを受
け、アップロードされた契約書等の文書ファイル(PDF形式)について、署名者のみ
の意思にもとづき、当社の意思を介在することなく自動で、サービス提供事業者である
当社の秘密鍵により電子署名を行う。
3 署名者(甲)の署名が完了すると次の署名者(一般的には乙となる署名者)のメールア
ドレス宛に、専用URLを記載した署名依頼メールが配信される。署名者(乙)は当該
URLをクリックして、2と同様に文書ファイル(PDF形式)についてサービス提供
事業者である当社の秘密鍵により電子署名を行う。
4 すべての署名者による文書ファイルに電子署名を完了すると、認定タイムスタンプが付
与され、作成者・署名者それぞれに完了通知がメールで配信され、電子署名済みの文書
ファイルを確認、ダウンロードが可能となる。
(3) 新事業活動を実施する場所
東京都新宿区大久保2丁目5番23号 株式会社デジタルサイン
4. 新事業活動及びこれに関連する事業活動の実施時期
本法律の解釈が明確になった時点で速やかに実施
5. 解釈及び適用の有無の確認を求める規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定
会計法
第49条の2(昭和二十二年法律第三十五号)
この法律又はこの法律に基づく命令の規定により作成することとされている書類等(書
類、計算書その他文字、図形その他人の知覚によつて認識することができる情報が記載され
た紙その他の有体物をいう。次項及び次条において同じ。)については、当該書類等に記載
すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識
することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供され
るものとして財務大臣が定めるものをいう。同項及び同条第一項において同じ。)の作成を
もつて、当該書類等の作成に代えることができる。この場合において、当該電磁的記録は、
当該書類等とみなす。
2 前項の規定により書類等が電磁的記録で作成されている場合の記名押印については、記
名押印に代えて氏名又は名称を明らかにする措置であつて財務大臣が定める措置をとらなけ
ればならない。
契約事務取扱規則(昭和三十七年大蔵省令第五十二号)
第28条
次の各号に掲げる書類等の作成については、次項に規定する方法による法第四十九条の二
第一項に規定する財務大臣が定める当該書類等に記載すべき事項を記録した電磁的記録によ
り作成することができる。
一 契約書
二 請書その他これに準ずる書面
三 検査調書
四 第二十三条第一項に規定する書面
五 見積書
2 前項各号に掲げる書類等の作成に代わる電磁的記録の作成は、各省各庁の使用に係る電
子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と契約の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通
信回線で接続した電子情報処理組織を使用して当該書類等に記載すべき事項を記録する方法
により作成するものとする。
3 第一項第一号の規定により契約書が電磁的記録で作成されている場合の記名押印に代わ
るものであつて法第四十九条の二第二項に規定する財務大臣が定める措置は、電子署名(電
子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項の電子署名をい
う。)とする。
電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)
第2条
この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚
によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処
理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措
置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものである
こと。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものである
こと
2 (略)
3 この法律において「特定認証業務」とは、電子署名のうち、その方式に応じて本人だけ
が行うことができるものとして主務省令で定める基準に適合するものについて行われる認証
業務をいう。
電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省、法務省、経済産業省令第
二号)
第2条
法第二条第三項の主務省令で定める基準は、電子署名の安全性が次のいずれかの有する困
難性に基づくものであることとする。
一 ほぼ同じ大きさの二つの素数の積である二千四十八ビット以上の整数の素因数分解
二 大きさ二千四十八ビット以上の有限体の乗法群における離散対数の計算
三 楕円曲線上の点がなす大きさ二百二十四ビット以上の群における離散対数の計算
四 前三号に掲げるものに相当する困難性を有するものとして主務大臣が認めるもの
6. 具体的な確認事項並びに規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定の解釈及び当
該規定の適用の有無についての見解
<具体的な確認事項>
1 当社の提供する電子契約サービス「Digital Sign」を用いた電子署名が、電子署名及び認証
業務に関する法律第2条第1項に定める電子署名に該当し、これを引用する契約事務取扱
規則第28条第3項に基づき、国の契約書にも利用が可能であることを確認したい。
2 当社の提供する電子契約サービス「Digital Sign」を用いて、契約書等の文書ファイル(P
DF形式)をクラウドサーバーにアップロードし、それぞれの利用者がログインして双方
の契約締結業務を実施する仕組みが、契約事務取扱規則第28条第2項に規定する方法に
よる「電磁的記録の作成」に該当し、契約書、請書その他これに準ずる書面、検査調書、
見積書等の作成に代わる電磁的記録の作成として、利用可能であることを確認したい。
<1についての当社の考え>
電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項は、(ア)電磁的記録に記録することがで
きる情報に対する措置であること、(イ)措置を行った者の作成に係るものであることを示す
ためのものであり、(ウ)改変が検知できるものを「電子署名」と定義する。Digital Sign にお
ける電子署名(xID 署名、事業者型署名)は、下記の通り、同条項の「電子署名」に該当する
ものと考える。
【Digital Sign xID 署名(当事者型署名)について】
(ア)「電磁的記録に記録することができる情報に対する措置であること」との要件について
Digital Sign xID 署名は、契約内容が記録された文書ファイル(PDF形式)に対して契約当
事者自らの秘密鍵で電子署名を行い、タイムスタンプを付与するものであり、「電磁的記録に
記録することができる情報に対する措置であること」との要件を満たすものといえる。
(イ)「措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのもの」との要件について
署名者は、公的個人認証サービスを提供することができる署名検証者である xID 株式会社の
スマートフォンアプリ「xID」の登録を行う。当該登録プロセスにおいて、xID 株式会社はその
認証業務運用規程に基づき、マイナンバーカードの署名用電子証明書を用いた公的個人認証に
よって本人確認を行い利用者の実在性を確認し、新たに電子証明書を発行する。
当該電子証明書の発行に係る秘密鍵は、「xID」アプリがインストールされた利用者端末上
で、当該端末で利用できるHardware Security Moduleに別途作成された
鍵による暗号化が行われ、利用者本人のみが当該秘密鍵を復号し利用できるものとして管理さ
れる。
また、「利用者のブラウザ〜Digital Sign のアプリケーションサーバー〜xID サーバー」およ
び「xID アプリ〜xID サーバー」の経路は全てTLS通信で暗号化されていることから、経路途
中での署名指示の改ざんやなりすましはできず、署名者の指図にもとづき、当社や第三者の意
思が介在する余地なく、機械的に署名処理を実行されるものとなっている。
さらに、システムの運用においては、内部の悪意の従業者により署名者の意図しない署名処
理が行われないよう、開発体制と運用体制の担当を分離し、組織的にサーバーへのアクセス制
御を実施している。開発者は専用の開発環境にて開発作業を行い、開発者は本番環境へのアク
セスは不可となっている。本番環境にアクセスして作業を行う必要がある場合は、作業担当者
と作業確認者を分離した体制で行う。
署名者は、システム上にアップロードされた文書ファイルを確認の上、「xID」アプリを用い
てPINコード(または生体認証)を入力し、署名者本人の秘密鍵を復号し、当該秘密鍵で電
子署名を行うことで、署名者の情報(氏名など)がPDFに付加される仕組みとなっている。
文書ファイル(PDF形式)に付与された署名者のデータは、Adobe Acrobat等
のPDFリーダーの「署名パネル」で確認することができ(氏名など)、「措置を行った者の
作成に係るものであることを示すためのもの」との要件を満たすものといえる。
(ウ)「改変が検知できるもの」との要件について
電子署名においては、電磁的記録ごとの「ハッシュ値」に対して署名者の秘密鍵で計算さ
れた電子署名値を、公開鍵で「ハッシュ値」を再計算し、2つの電磁的記録を比較すること
で改ざんの有無を検知することができるものとなっている。また、電子署名法施行規則第2
条では、特定認証業務としての認定を得るために必要な技術的安全基準を満たす一定の暗号
強度を備えた電子署名が示されている。
【補足】PDFファイルには、事前にPDFファイルをハッシュ関数で求めたハッシュ値
を秘密鍵で処理した電子署名値を付与しており、この電子署名値 から公開鍵で再計算した
ハッシュ値は、本来、PDFファイルを再度ハッシュ関数でハッシュ値にしたものと合致
する仕組みとなっている。万が一、PDFファイルが変更されていると、ハッシュ値が合
致しないため、改ざんが検知できることになる。
この点、Digital Sign xID 署名では、電子署名にハッシュ関数SHA256、鍵長4096
ビット以上のRSA暗号を用いており、これは同条が定める「一ほぼ同じ大きさの二つの素
数の積である二千四十八ビット以上の整数の素因数分解」の有する困難性に基づく安全性を
持つものであるため、「改変が検知できるもの」との要件も満たす。
また、署名処理済みのPDFに改変を加えた場合、Adobe AcrobatのPDFリ
ーダーでも変更がある旨が表示され、改変の有無も検知することができるようになってい
る。
【Digital Sign 事業者型署名(立会人型署名)について】
(ア)「電磁的記録に記録することができる情報に対する措置ができること」との要件について
Digital Sign 事業者型署名は、契約内容が記録された文書ファイル(PDF形式)に対して
サービス提供事業者である当社の秘密鍵で電子署名を行うと同時に、後述のように署名者の
氏名・メールアドレスが記録され、さらにタイムスタンプを付与するものであり、「電磁的
記録に記録することができる情報に対する措置ができること」との要件を満たすものといえ
る。
(イ)「措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのもの」との要件について
事業者型署名による措置については、総務省・法務省・経済産業省「利用者の指示に基づ
きサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&
A」(令和2年7月17日)において、一定の場合には、電子署名法第2条第1項の電子署
名にあたることが示されている。
くろまる 電子署名法第2条第1項第1号の「当該措置を行った者」に該当するためには、必ずし
も物理的に当該措置を自ら行うことが必要となるわけではなく、例えば、物理的にはA
が当該措置を行った場合であっても、Bの意思のみに基づき、Aの意思が介在すること
なく当該措置が行われたものと認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はB
であると評価することができるものと考えられる。
くろまる このため、利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名鍵によ
り暗号化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保し
ようとするサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が
介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであるこ
とが担保されていると認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はサービス提
供事業者ではなく、その利用者であると評価し得るものと考えられる。
くろまる そして、上記サービスにおいて、例えば、サービス提供事業者に対して電子文書の送信
を行った利用者やその日時等の情報を付随情報として確認することができるものになっ
ているなど、当該電子文書に付された当該情報を含めての全体を1つの措置と捉え直す
ことよって、電子文書について行われた当該措置が利用者の意思に基づいていることが
明らかになる場合には,これらを全体として1つの措置と捉え直すことにより、「当該
措置を行った者(=当該利用者)の作成に係るものであることを示すためのものである
こと」という要件(電子署名法第2条第1項第1号)を満たすことになるものと考えら
れる。
本件Q&Aによれば、事業者署名型のサービスにおいて、「当該措置を行った者(=当該
利用者)の作成に係るものであることを示すためのものであること」というためには、次の
2つの要件を満たす必要がある。
A) 技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の
意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されている
B) 利用者やその日時等の情報を付随情報として確認することができるものになっている
など、当該電子文書に付された当該情報を含めての全体を1つの措置と捉え直すこと
よって、電子文書について行われた当該措置が利用者の意思に基づいていることが明
らかになる場合
Digital Sign の事業者型署名(立会人型署名)においては、xID 署名(当事者型署名)と異
なり、サービス提供事業者である当社の秘密鍵により電子署名を行うものであるが、下記の
通り、A)B)の要件を満たすものとなっている。
A) の要件について
作成者が Digital Sign に文書ファイル(PDF形式)をアップロードし、署名者の情報(法
人名、氏名、メールアドレス等)を入力の上、署名方式を事業者型署名として選択し、印影
やサイン、テキストエリア等の位置を指定して、送信を行う。もし、作成者も署名者となる
場合には、自身の情報を署名者の情報として入力して、送信を行う。
署名者は当該URLをクリックし、Digital Sign の文書確認画面より、文書ファイルの内容
を確認し、「契約書に署名する」のボタンをクリックする。これを受け、電子契約サービス
事業者である当社が、アップロードされた契約書等の文書ファイル(PDF形式)につい
て、署名者の意思にもとづき、当社の意思を介在することなく、サービス提供事業者である
当社の秘密鍵により電子署名を行う。署名者に送付される、Digital Sign の事業者型署名の電
子署名を行うための画面の専用URLは、ランダムに作成された文字列が用いられ、第三者
による推測が不可能な形式で生成される。
また、「利用者のブラウザ〜Digital Sign のアプリケーションサーバー」の経路は全てTL
S通信で暗号化されていることから、経路途中での署名指示の改ざんやなりすましはでき
ず、署名者の指図にもとづき、当社や第三者の意思が介在する余地なく、機械的にサービス
提供事業者である当社の秘密鍵により電子署名を実行されるものとなっている。
さらに、システムの運用においては、内部の悪意の従業者により署名者の意図しない署名
処理が行われないよう、開発体制と運用体制の担当を分離し、組織的にサーバーへのアクセ
ス制御を実施している。開発者は専用の開発環境にて開発作業を行い、開発者は本番環境へ
のアクセスは不可となっている。本番環境にアクセスして作業を行う必要がある場合は、作
業担当者と作業確認者を分離した体制で行う。
B) の要件について
Digital Sign 事業者型署名で文書ファイル(PDF形式)に付与された署名者のデータは、
Adobe Acrobat等のPDFリーダーの「署名パネル」で確認することができ、サ
ービス提供事業者である当社の電子証明書の情報内に、署名者の氏名・メールアドレス・署
名時刻が記録される仕組みとなっている。
以上から、Digital Sign 当事者型署名(立会人型署名)については、総務省・法務省・経済産
業省「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約
サービスに関するQ&A」(令和2年7月17日)が示す要件を満たしていることから、「措
置を行った者の作成に係るものであることを示すためのもの」といえる。
(ウ)「改変が検知できるもの」との要件について
電子署名においては、電磁的記録ごとの「ハッシュ値」に対して当社の秘密鍵で計算され
た電子署名値を、公開鍵で「ハッシュ値」を再計算し、2つの電磁的記録を比較することで
改ざんの有無を検知することができるものとなっている。また、電子署名法施行規則第2条
では、特定認証事業としての認定を得るために必要な技術的安全基準を満たす一定の暗号強
度を備えた電子署名が示されている。
【補足】PDFファイルには、事前にPDFファイルをハッシュ関数で求めたハッシュ値
を秘密鍵で処理した電子署名値を付与しており、この電子署名値から公開鍵で再計算した
ハッシュ値 は、本来、PDFファイルを再度ハッシュ関数でハッシュ値にしたものと合致
する仕組みとなっている。万が一、PDFファイルが変更されていると、ハッシュ値が合
致しないため、改ざんが検知できることになる。
この点、Digital Sign 事業者型署名では、電子署名にハッシュ関数SHA256、鍵長20
48ビット以上のRSA暗号を用いており、これは電子署名法施行規則第2条が定める「一
ほぼ同じ大きさの二つの素数の積である二千四十八ビット以上の整数の素因数分解」の有す
る困難性に基づく安全性を持つものであり、「改変が検知できるもの」との要件も満たす。
また、署名処理済みのPDFに改変を加えた場合、Adobe AcrobatのPDFリ
ーダーでも変更がある旨が表示され、改変の有無も検知することができるようになってい
る。
<2についての当社の考え>
契約事務取扱規則第28条第2項は 、「2 前項各号に掲げる書類等の作成に代わる電磁的記
録の作成は、各省各庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と契約の相手方
の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して当該書類等
に記載すべき事項を記録する方法により作成するもの」としている。
この点、Digital Sign では、その xID 署名・事業者型署名のいずれにおいても、(i)利用者がパ
ソコン、タブレットなどの電子計算機から契約書や請書など同規則第28条第1項に規定され
た文書に関する文書ファイル(PDF形式)を Digital Sign のサーバーにアップロードし、(ii)
利用者双方がインターネットを介して、当該サーバーにアクセスしたうえ、契約締結業務の処
理を行うシステムとなっている。
したがって、Digital Sign により文書ファイル(PDF形式)をアップロードし、利用者双方
が契約締結業務を行うことは、同規則第28条第2項の規定する方法による「電磁的記録の作
成」に該当し、契約書、請書その他これに準ずる書面、検査調書、見積書等の作成に代わる電
磁的記録の作成として、利用可能なものと考える。
7. その他
特になし

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