法務省矯少訓第25号
矯 正 管 区 長
少 年 院 長
少年鑑別所長
少年院及び少年鑑別所における規律及び秩序の維持等に関する訓令を次のよ
うに定める。
平成27年5月27日
法務大臣 上 川 陽 子
(公 印 省 略)
少年院及び少年鑑別所における規律及び秩序の維持等に関する訓令
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 指定職員の職務に関し必要な研修及び訓練(第3条)
第3章 服務(第4条・第5条)
第4章 物品の貸与等(第6条・第7条)
第5章 職務
第1節 通則(第8条-第12条)
第2節 身体の検査等(第13条-第15条)
第3節 警備用具(第16条・第17条)
第4節 手錠の使用(第18条-第21条)
第5節 保護室への収容(第22条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、少年院及び少年鑑別所(以下「少年施設」という )にお。ける規律及び秩序の維持に関する職務の遂行等を適正に行うため必要な事項
を定めるものとする。
(定義)
、 ( 。
第2条 この訓令において使用する用語は 少年院法 平成26年法律第58号
以下 院法 という 少年鑑別所法 平成26年法律第59号 以下 鑑法
「 」 。)、 ( 。 「
という 少年院法施行規則 平成27年法務省令第30号 及び少年鑑別
」 。)、 ( )
所法施行規則 平成27年法務省令第31号 において使用する用語の例によ( )る。
第2章 指定職員の職務に関し必要な研修及び訓練
(実施者)
第3条 少年院法施行規則第14条及び少年鑑別所法施行規則第11条に規定
する研修及び訓練は、少年施設の長が実施する。
第3章 服務
(届出)
、 、 、
第4条 少年施設の職員は 次の各号のいずれかに該当する場合には 遅滞なく
その旨を少年施設の長に届け出なければならない。
(1) 在院者又は在所者(以下「在院者等」という )に親族又は知人がいると。き。
(2) 在院者等の親族 出院者 退所者その他これらに類する者から金品が送付
、 、
されたとき。
(3) 事件又は事故の加害者又は被害者となったとき。
(4) その他少年施設の長が定める事項に該当するとき。
2 前項の届出の様式は、少年施設の長が定める。
(非常登庁)
第5条 少年施設の職員は、少年施設の長から非常招集の命令を受けた場合に
は 直ちに登庁しなければならない ただし 地震 火災 暴動その他の非常
、 。 、 、 、
事態の発生を認識した場合には やむを得ない事由がある場合を除き 非常招
、 、
集の命令を待つことなく直ちに登庁しなければならない。
、 。
2 前項ただし書の規定による登庁の基準については 少年施設の長が定める
第4章 物品の貸与等
(物品の貸与)
第6条 少年施設の長は 少年施設の職員に対し 次に掲げる物品を貸与するも
、 、
のとする。
(1) 法務教官及び法務技官手帳 矯正局長が定める制式の手帳の表紙及び職員(証並びに付属品をいう )。(2) 呼子笛
(3) 通行鍵その他職務上必要な鍵
2 少年施設の職員は 前項の規定により貸与された物品 以下この条において
、 (
「貸与品」という )を紛失又は破損しないように適正に使用し、又は保管し。なければならず また 職務と関係がないことに利用し 又は他人に貸与して
、 、 、
はならない。
、 、 。
3 少年施設の職員は 勤務時間中において 貸与品を携帯しなければならない
、 、
ただし 貸与品を携帯することが相当でないと少年施設の長が認めるときは
この限りでない。
4 少年施設の職員は 退庁するときは 第1項第3号に掲げる物品を所定の場
、 、
。 、 、
所に返納しなければならない ただし 少年施設の長が別に指示するときは
この限りでない。
5 少年施設の長は その指定する職員に 適時 貸与品の員数等を点検させな
、 、 、
ければならない。
(警備用具等の管理)
第7条 少年施設の長は その指定職員のうちから 警備用具及び手錠 以下こ
、 、 (
の条において「警備用具等」という )の管理責任者を指定するものとする。。2 管理責任者は、警備用具等を適切に保管しなければならない。
3 管理責任者は 毎月1回以上 警備用具等の保管状況を検査し 必要に応じ
、 、 、
て手入れ等の措置を講じなければならない。
4 管理責任者は 警備用具等を貸与したときは 別記様式第1号の書面に記録
、 、
しなければならない。
第5章 職務
第1節 通則
(保安原則)
第8条 少年施設の職員は 少年施設の規律及び秩序の維持に関する職務を行う、に当たっては、次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 在院者等の位置は できる限り 職員が自らの視線で視察できる範囲内と
、 、
すること。
(2) 職員が職務を行う位置は できる限り 在院者等の動静の把握が容易であ
、 、
り、かつ、逃走等の非常事態に速やかに対応できる場所とすること。
(3) 在院者等の人員は、常に確実に把握しておくこと。
(4) 施錠箇所の開閉及び施錠並びに鍵の管理は確実に行い 施錠後は その状
、 、
態を確認すること。
(5) 護送時において手錠を使用するときは 附属ひもの縄尻を確実に把持する、こと。
(6) 閉鎖居室の開閉は 1名の職員で開扉することが許可されている場合を除、き、2名以上の職員で行うこと。
(7) 在院者等が会話をすることを禁止されている時間又は場所において 在院、者等が会話をしているときは、これを制止すること。
(8) 在院者等の位置が指定されている場合において 少年施設の職員の許可を、得ずに在院者等がその位置を離れているときは 指定されている位置に移動、させること。
(9) 在院者等の動作については 定められた号令又は合図をもって行わせると、、 、
ともに 在院者等の遵守事項に違反する行為を察知又は現認した場合には
速やかに、必要な措置を執ること。
(10) 職員以外の者が少年施設内に立ち入るときは 必要がある場合を除き 在
、 、
院者等と接触させないこと。
(11) 在院者等の動静を綿密に視察し、その心情の把握に努めること。
、 、
(12) 居室 教室その他の在院者等が立ち入る場所の点検及び在院者等の身体
着衣等の検査を励行すること。
(13) 自殺 逃走等に使用されるおそれがある物品及び設備等の点検を励行する、こと。
(14) 火災の原因となるおそれがある物品又は設備等の点検を励行すること。
(15) 在院者等の動静又は少年施設の状況に不審な点が認められるときは 速や、かに、その原因等を確認し必要な措置を執ること。
(16) 報告は、迅速かつ的確に行うこと。
(17) 職務を引き継ぐときは 在院者等の人員 動静その他の引継ぎに必要な事
、 、
項を的確かつ簡潔に伝えること。
(18) 冷静 沈着を旨とし 適切な言動を心掛け 毅然たる態度の中にも人間的
、 、 、きな温かみをもって在院者等と接すること。
(報告及び記録)
第9条 指定職員は 院法第86条第1項及び第2項の措置並びに鑑法第75条、( 「 」 。
) 、
第1項及び第2項の措置 以下 制止等の措置 という を執った場合には
速やかにその旨を少年施設の長に報告するものとする この場合において 警
。 、
備用具を使用したときは、その状況を書面で少年施設の長に報告するととも
に 在院者等に対して使用したときは 少年簿及び収容事務関係各帳簿に関す
、 、
る訓令 平成27年法務省矯少訓第15号大臣訓令 様式第8号の行動観察票( )に記録するものとする。
2 指定職員は 在院者等の護送時において第一種の手錠を使用し 又はその使
、 、
、 。
用を中止した場合には 別記様式第2号の手錠使用簿に記録するものとする
、 、 、 、
3 指定職員は 前項に規定する場合を除き 手錠を使用し その使用を中止し
又はその使用方法を変更した場合には 行動観察票及び別記様式第3号の手錠、使用簿に記録するとともに その状況を書面で少年施設の長に報告するものと、する。
4 指定職員は 在院者等を保護室に収容し その収容の期間を更新し 又はそ
、 、 、
の収容を中止した場合には 行動観察票及び別記様式第4号の保護室使用簿に、記録するとともに、その状況を書面で少年施設の長に報告するものとする。
5 指定職員は 制止等の措置 手錠の使用 護送時における第一種の手錠の使
、 、 (
用を除く )及び保護室への収容の状況を録画するものとする。この場合にお。いて 録画できなかったときは 指定職員は その旨及びその理由を書面で少
、 、 、
年施設の長に報告しなければならない。
(勤務場所)
第10条 少年施設の職員は 勤務場所を指定されている場合には 上司の許可
、 、
がある場合その他正当な理由がある場合を除き その勤務場所を離れてはなら、ない。
(女子の在院者等の立会い等)
第11条 男子の職員は 女子の在院者等の入浴及び診療 特に羞恥心を害する
、 (
ことのない態様による診療を除く )の立会いを行ってはならない。。 2 前項に定めるもののほか 男子の職員が女子の在院者等の処遇を行う場合の、留意事項については、矯正局長が定めるところによる。
(勤務要領)
第12条 少年施設の長は この訓令に定めるもののほか 少年施設の規律及び
、 、
秩序の維持に関する少年施設の職員の勤務要領を定めることができる。
第2節 身体の検査等
(身体の検査)
第13条 指定職員は 院法第21条第1項 第85条第1項若しくは第117
、 、
条第2項又は鑑法第24条第1項若しくは第74条第1項の規定により身体
の検査を行う場合には できる限り 被検査者の羞恥心を損なわないように配
、 、
慮しなければならない。
(所持品の検査)
第14条 少年施設の職員は 院法第64条又は鑑法第45条の規定により在院、者等の所持品を検査するため その所持品を損壊する必要がある場合には 上
、 、
司に報告し その指示を受けなければならない 指定職員が 院法第85条第
、 。 、
1項若しくは第117条第2項又は鑑法第74条第1項の規定により在院者
等の所持品を検査するため その所持品を損壊する必要がある場合も 同様と
、 、
する。
2 指定職員は 院法第85条第1項若しくは第117条第2項若しくは鑑法第、74条第1項の規定により在院者等の所持品を取り上げて一時保管し 又は院、法第85条第3項若しくは鑑法第74条第3項の規定により在院者等以外の
者の携帯品を取り上げて一時保管した場合には 上司に報告し その指示を受
、 、
けなければならない。
(居室等の検査)
第15条 指定職員は 上司の指示を受け 定期又は臨時に 居室 教室その他
、 、 、 、
在院者等が立ち入る場所を検査しなければならない。
第3節 警備用具
(警備用具の携帯及び使用)
第16条 指定職員は 警備用具の使用が予想される場合には これを携帯する
、 、
ことができる。
2 指定職員は 制止等の措置を執るため警備用具を携帯し 又は使用する場合
、 、
には、次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 警備用具を奪取されないように携帯し、又は使用すること。
(2) 被使用者その他の者を殊更に刺激するような態様で携帯し 又は使用しな、いこと。。(3) 被使用者以外の者に対する影響を最小限にとどめる方法で使用すること
、 、
3 指定職員は 制止等の措置を執るため警備用具を使用しようとするときは
警備用具を使用することを被使用者に予告するものとする ただし 事態が急
。 、
迫し予告するいとまのないとき又は予告することにより院法第86条第1項
若しくは第2項若しくは鑑法第75条第1項若しくは第2項に規定する行為
、 、 。
を助長し 若しくは誘発するおそれがあると認めるときは この限りでない
(警備用具の制式)
第17条 警備用具の制式は、別表のとおりとする。
第4節 手錠の使用
(手錠の携帯)
第18条 指定職員は 手錠の使用が予想される場合には これを携帯すること
、 、
ができる。
(手錠の使用上の留意事項)
第19条 指定職員は 院法第87条第1項若しくは第2項又は鑑法第76条第、1項若しくは第2項の規定により手錠を使用する場合には 次に掲げる事項に、留意しなければならない。
(1) 必要以上に緊度を強くして 使用部位を傷つけたり 血液の循環を著しく
、 、
妨げたりする方法で使用しないこと。
(2) やむを得ない理由がある場合を除き 手錠を他の物と連結してはならない、こと。
(3) 1個の手錠を2人以上に使用しないこと。
(4) 手首に使用し、それ以外の部位には使用しないこと。
(5) 手の位置は 両手前又は両手後ろとすること ただし 両手後ろは 両手
、 。 、 、
前では手錠を使用する目的を達することができないと認められるときに限
る。
(6) 手錠を使用されている在院者等の食事 用便等に当たっては 手錠を一時
、 、
外すものとすること ただし これにより難い場合には できる限り次のい
。 、 、
ずれかの措置を執ること。
ア 片手の腕輪を外すこと。
イ 両手後ろを両手前に変更すること。
(7) 手錠を使用されている在院者等については 巡回 監視用テレビカメラ等
、 、
の方法により、綿密かつ頻繁に視察し、その動静を的確に把握すること。
(8) 手錠(護送時における第一種の手錠を除く )を使用されている在院者等。については、その心情の安定を図るための適切な働き掛けを試みること。
(9) 保護室に収容されている在院者等については 次条第2項に規定する場合、を除き、原則として第一種の手錠を使用しないこと。
(10) 附属ひもは、単独で使用しないこと。
(11) 附属ひもを使用する場合には、その使用部位は腰部とすること。
(12) 護送時においては 携行品等により使用部位を隠す等の方法により 手錠
、 、。を使用していることが一見して明らかとならないような措置を講じること
(第二種の手錠を使用できる場合等)
第20条 指定職員は 次の各号のいずれかに該当する場合には 在院者等に第
、 、
二種の手錠を使用することができる。
(1) 在院者等を保護室に収容しようとする場合において その在院者等が院法、第87条第1項第2号又は鑑法第76条第1項第2号に掲げる行為をする
おそれがあり かつ 保護室への収容のみによっては当該行為をすることを
、 、
抑止できないと明らかに認められるとき。
(2) 在院者等を保護室に収容しようとする場合において その在院者等が院法、第87条第1項第2号又は鑑法第76条第1項第2号に掲げる行為をする
おそれがあり かつ 第一種の手錠の使用による当該行為の抑止ではその在
、 、
院者等を保護室に安全に収容することができないと認められるとき。
(3) 在院者等が保護室に収容されている場合において 保護室への収容後もな、お院法第87条第1項第2号又は鑑法第76条第1項第2号に掲げる行為
をするおそれがあり かつ 保護室への収容のみによっては当該行為をする
、 、
ことを抑止できないと認められるとき。
(4) 在院者等が保護室に収容されている場合において 保護室を損壊し 又は
、 、
損壊しようとするとき。
(5) 保護室が使用できない場合又は整備されていない場合において 在院者等、が院法第87条第1項各号又は鑑法第76条第1項各号のいずれかの行為
をするおそれがあるとき。
2 指定職員は 第二種の手錠を使用する場合において 手首が腕輪から抜ける
、 、
おそれがあり これを防止するため必要と認められる場合には 第一種の手錠
、 、
を併用することができる この場合においては 第一種の手錠の左右2個の腕
。 、
輪を共に同一の手首に使用しなければならない。
3 第二種の手錠は、連結板の長い方が身体側になるように使用する。
4 護送時は、第二種の手錠を使用してはならない。
(緊急時の使用方法の特則)
第21条 指定職員は 緊急その他やむを得ない事由があり かつ 前2条に規
、 、 、
定する方法(以下この条において「通常の使用方法」という )によっては手。錠を使用する目的を達することが著しく困難である場合には 通常の使用方法、以外の相当な方法により手錠を使用することができる。
2 前項に規定する方法により手錠を使用する必要がなくなった場合には 直ち、に、通常の使用方法に変更しなければならない。
第5節 保護室への収容
(保護室への収容の留意事項)
第22条 指定職員は 在院者等を保護室に収容した場合には 綿密かつ頻繁に
、 、
視察し、その動静を的確に把握しなければならない。
附 則
、 ( ) 。
この訓令は 院法及び鑑法の施行の日 平成27年6月1日 から施行する
附 則〔令和4年法務省矯少訓第2号大臣訓令〕
この訓令は、本日(令和4年1月6日)から施行する。

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