法務省矯少訓第12号
矯 正 管 区 長
少年鑑別所長
在所者の書籍等の閲覧に関する訓令を次のように定める。
平成27年5月27日
法務大臣 上 川 陽 子
(公 印 省 略)
在所者の書籍等の閲覧に関する訓令
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 備付けの書籍等及び新聞紙(第3条-第6条)
第3章 自弁の書籍等及び新聞紙(第7条-第11条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、在所者が閲覧する書籍等及び新聞紙の取扱いを適正に行
うため必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この訓令において使用する用語は、少年鑑別所法(平成26年法律第
59号。以下「法」という。)及び少年鑑別所法施行規則(平成27年法務
省令第31号。以下「規則」という。)において使用する用語の例による。
第2章 備付けの書籍等及び新聞紙
(備付書籍等の内容)
第3条 少年鑑別所の長が在所者に閲覧させるためその少年鑑別所に備え付け
る書籍等(以下「備付書籍等」という。)には、学習、職業、教養及び適当
な娯楽に関する書籍等が含まれるよう配慮しなければならない。
(備付書籍等の登録手続)
第4条 備付書籍等を受け入れるときは、次の手続をとるものとする。
(1) 購入、寄贈、管理換えその他の方法により受け入れた備付書籍等は、受
入年月日順に帳簿に登載すること。
(2) 備付書籍等の表紙、標題紙等の適宜の余白に受入登録印を押印すること。
(3) 備付書籍等の背部に図書ラベルを貼付すること。
(4) 備付書籍等は適宜の区分表により分類すること。
2 備付書籍等を、廃棄、紛失、管理換え等の理由により除籍するときは、こ
れを前項第1号の帳簿から削除するものとする。
3 備付書籍等のうち雑誌等長期間保管する必要がないものについては、第1
項の規定にかかわらず、同項に定める手続を省略することができる。
(備付書籍等の貸与方法)
第5条 少年鑑別所の長は、在所者に備付書籍等を貸与するときは、その貸与
する日をあらかじめ定めて在所者に告知した上、少年鑑別所の実情に応じて
定めた方法により行うものとする。
2 備付書籍等の貸与期間は、少年鑑別所の実情に応じて、おおむね2週間を
超えない範囲内において、少年鑑別所の長が定めるものとする。
3 備付書籍等の貸与個数は、3個を下回らない範囲内で、少年鑑別所の長が
定めるものとする。
(備付日刊通常新聞紙の閲覧)
第6条 在所者に対しては、少年鑑別所において備え付けた日刊通常新聞紙
(時事に関する事項を総合して報道する日刊新聞紙をいう。以下この条にお
いて同じ。)の閲覧の機会を与えるものとする。
2 前項の規定による日刊通常新聞紙の閲覧は、所在地における閲覧傾向その
他の事情を参酌して選定した1紙以上の日刊通常新聞紙を備え付けることに
より行うものとする。
3 第1項の規定にかかわらず、日刊通常新聞紙を購入している在所者につい
ては、同項に定める閲覧の機会の付与を省略することができる。
第3章 自弁の書籍等及び新聞紙
(自弁の書籍等及び新聞紙の内容の検査)
第7条 少年鑑別所の長は、在院中在所者以外の在所者の自弁の書籍等又は新
聞紙について、閲覧禁止部分(法第66条第2項各号のいずれかに該当する
ため閲覧を禁止すべき部分をいう。以下同じ。)の有無を確認するため、そ
の指名する少年鑑別所の職員にその内容を検査させるものとする。
2 少年鑑別所の長は、在院中在所者の自弁の書籍等又は新聞紙について、法
第67条第1項の規定により閲覧を許すか否かを判断するに当たり、その指
名する少年鑑別所の職員にその内容を検査させるものとする。
3 前2項の検査は、在所者の年齢、性向、性格、生活態度、精神状況、当該
少年鑑別所の管理運営の状況その他の具体的事情を考慮した上、次の各号に
掲げる事項に留意して行うものとする。
(1) 暴動、騒じょう、自殺その他保安事故の内容を具体的に記載したもの、
不正な外部交通や逃走の手法を詳細に記載したもの等であって、その内容
を閲覧させることにより、暴動や反抗、逃走を煽ることとなる等により、
少年鑑別所の規律及び秩序が乱れることとなるおそれがあるか否か。
(2) 反社会的集団や地域不良集団を肯定するもの、犯罪又は非行を助長する
もの、いたずらに性欲を刺激するもの等、その書籍等を閲覧させることに
より、当該在所者の健全な育成を著しく妨げ、又は改善更生に支障を生ず
るおそれがあるか否か。
(3) 被観護在所者又は未決在所者にあっては、その内容を閲覧させることに
より、その保護事件又は刑事事件に関する証拠の隠滅の結果を生ずるおそ
れがあるか否か。
(4) 鑑別対象者である場合にあっては、その鑑別の適切な実施に支障を生ず
るおそれがあるか否か。
4 第1項の検査を行った職員は、自弁の書籍等又は新聞紙の内容に閲覧禁止
部分に該当すると思われる箇所があると認めたときは、少年鑑別所の長に書
面によりその旨を報告するものとする。
5 第2項の検査を行った職員は、検査の終了後速やかに、法第67条第1項
各号に規定するおそれがないとは認められないため閲覧を許さない部分(以
下「閲覧不許可部分」という。)の有無並びに自弁の書籍等又は新聞紙の閲
覧の許否についての意見及びその理由について記載した書面を当該書籍等又
は新聞紙に添えて、少年鑑別所の長に報告するものとする。
6 少年鑑別所の長は、第4項又は前項の報告を受けた後、速やかに、自弁の
書籍等又は新聞紙の閲覧を法第66条第2項に基づき禁止するか否か、若し
くは法第67条第1項に基づき許すか否か、又は次条の規定により抹消し、
若しくは削除するかについての決定をするものとする。
(自弁の書籍等及び新聞紙の抹消又は削除)
第8条 少年鑑別所の長は、自弁の書籍等又は新聞紙に閲覧禁止部分又は閲覧
不許可部分がある場合において、相当であると認め、かつ、在所者が同意す
るときは、当該部分を抹消し、又は削除して閲覧をさせることができる。
2 前項の同意は、書面により得るものとする。
(自弁の書籍等及び新聞紙の閲覧の禁止の告知)
第9条 少年鑑別所の長は、在院中在所者以外の在所者の自弁の書籍等又は新
聞紙の閲覧を禁止する場合には、その在所者に対し、速やかに口頭によりそ
の旨を告知するものとする。
(自弁の書籍等及び新聞紙の購入手続等)
第10条 少年鑑別所の長は、規則第36条第1項の規定により新聞紙を指定
する場合には、所在地における閲覧の傾向その他の事情を参酌するものとす
る。
2 少年鑑別所の長は、あらかじめ、1月につき2日を下回らない範囲内にお
いて書籍等の購入の申請を受け付ける日を定め、その購入の申請を受け付け
るものとする。この場合において、少年鑑別所の長は、1回当たりに購入す
ることができる書籍等の個数について、少年鑑別所の実情に応じ、管理運営
上必要な上限を設けるときは、あらかじめ在所者に告知するものとする。
3 少年鑑別所の長は、あらかじめ、1月につき2日を下回らない範囲内にお
いて新聞紙の継続的な購入の申請を受け付ける日を定め、購読期間を指定し
た上で、その購入の申請を受け付けるものとする。
(自弁の書籍等及び新聞紙の交付)
第11条 自弁の書籍等の交付は、その内容、分量等に照らして相応の期間内
に行うものとする。
2 在所者が購入した新聞紙の交付は、できる限り速やかに行うものとする。
附 則
この訓令は、法の施行の日(平成27年6月1日)から施行する。

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