法務省矯少第143号
平成27年5月27日
改正 令和2年11月9日付け法務省矯少第152号
令和4年3月29日付け法務省矯少第41号
矯 正 管 区 長 殿
刑事施設の長 殿(鹿児島、沖縄)
少年鑑別所長 殿
矯正研修所長 殿(参考送付)
法務省矯正局長 小 川 新 二
(公 印 省 略)
在所者に係る物品の貸与等及び自弁並びに金品の取扱いに関する訓令の運用につ
いて(依命通達)
標記について、下記のとおり定め、在所者に係る物品の貸与等及び自弁並びに金品の
( 。 「 」 。)取扱いに関する訓令 平成27年法務省矯少訓第17号大臣訓令 以下 訓令 という
の施行の日(平成27年6月1日)から実施することとしたので、遺漏のないよう配意
願います。記1 留意事項
少年鑑別所法(平成26年法律第59号。以下「法」という )第3章第6節の規定。における物品からは書籍等及び新聞紙が除かれている一方、法第3章第7節における
物品からは書籍等及び新聞紙は除かれていないことに留意すること。
2 規律及び秩序の維持上支障を生ずるおそれがある場合
法第42条第1項及び少年鑑別所法施行規則(平成27年法務省令第31号。以下
「規則」という )第26条第6項に規定する規律及び秩序の維持上支障を生ずるおそ。れがある場合とは、例えば、次のような場合が想定されること。
(1) 自殺に用いられるおそれがあると認められる場合
(2) 火気を発生するおそれがあると認められる場合
(3) 凶器になるおそれがあると認められる場合
(4) 騒音を発することにより他人に迷惑を及ぼすおそれがあると認められる場合
(5) 少年鑑別所の職員による動静視察に支障を生じさせるおそれがあると認められる
場合
(6) 在所者の下着又は肌が過度に露出し、又はそのおそれがあるため、少年鑑別所の
職員による職務の執行に支障を生じさせるおそれがあると認められ
る場合
3 在所者に貸与等する日常生活に必要な物品(訓令第3条関係)
(1) 衣類及び寝具の清潔保持
在所者に貸与する訓令別表1に定める物品は、適宜、洗濯、乾燥等を行い、その
清潔を保持するよう配慮すること。
また、在院中在所者以外の在所者について居室外で運動を実施させるときは、運
動の内容等を勘案し、適当な衣類を貸与することが相当であること。
(2) 日用品、学用品その他の物品の貸与及び支給
在所者に貸与し、又は支給する訓令別表2に定める物品は、保健衛生に十分留意
するほか、消耗度、残量その他の事情を考慮して適宜交換等を行うこと。
4 認可物品の取扱い(訓令第5条及び第9条関係)
訓令第5条又は第9条の規定により当職が認可することとした物品のうち、別途、
当職から通知したものについては、当該認可に係る少年鑑別所以外の少年鑑別所にお
いても認可があったものとして取り扱って差し支えないこと。
5 自弁の物品の使用(訓令第7条及び第8条関係)
(1) 在所者から、自弁の物品(法第43条第1項の規定により在所者に使用させる補
正器具等の自弁を含む )を使用したい旨の申出があった場合において、その物品が。著しく高価であるとき、又は華美にわたるときは、その使用を許さないことが相当
であること。
(2) 訓令第8条第2項の規定により、在院中在所者に自弁の衣類の使用を許す場合に
ついては、平成27年5月27日付け法務省矯少第136号当職依命通達「在院者
に係る物品の貸与等及び自弁並びに金品の取扱いに関する訓令の運用について」記
の6の(2)を参考とし、当該在院中在所者が収容されていた少年院における許可
状況を踏まえて判断するものとすること。
6 差入物の引取りの基準
法第47条第1項(法第52条において準用する場合を含む。以下同じ 、第48。)
条第1項(法第50条第2項、第51条第3項及び第52条において準用する場合を
含む。以下同じ 、第50条第1項又は第51条第1項の規定により差入人に差入物。)
の引取りを求めるか否かを判断するに当たっては、平成27年5月27日付け法務省
矯少第145号当職依命通達「在所者の外部交通に関する訓令の運用について」記の
1の(1)から(6)までの規定の例によること。
7 金品の領置について
(1) 領置総量の意義
領置総量は、領置倉庫内において保管している物品の量と法第54条第1項本文
の規定により在所者が引渡しを受けて所持する物品(以下「所持私物」という )の。量の合計であること。
(2) 領置限度量
領置限度量は、領置倉庫内において保管することができる物品の容量を収容定員
で除して得られた容量を基準とし、物品を保管する容器の形状等を勘案して定める
ものとすること。なお、少なくとも50リットル以上とするが、少年鑑別所の収容
状況、設備等の事情により、これを確保できない場合には、当該事情が解消される
までの間、確保することが可能な範囲で領置限度量を定めて差し支えないこと。
8 領置限度量を超過した物品の取扱いについて
(1) 領置限度量の超過の告知
、 、
少年鑑別所の長は 在所者について領置総量が領置限度量を超えた場合において
必要と認めるときは、当該在所者にその超過量に相当する量の物品について、その、保護者等その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求める旨を告知した上
処分するための相当の期間(超過量の多寡その他の事情を考慮しつつ、おおむね2
週間程度を目安とする )を示すこと。相当の期間内に超過量に相当する容量の物品。を処分しない場合は、少年鑑別所において超過量に相当する量の物品を売却してそ
の代金を領置し、売却することができないものは廃棄することがある旨を併せて告
知すること。
(2) 処分期間の延長
上記(1)の期間が経過した場合であっても、当該在所者が交付の相手方を選定
中、又は物品の受領を依頼中であることが明らかな場合には、期間を延長するよう
配慮すること。
(3) 処分する物品の選定
在所者が相当の期間内に物品の処分をしないため、少年鑑別所において超過量に
相当する量の物品を選定する場合は、処分する物品について在所者の希望を聴取す
ること。ただし、在所者が希望の申出をしない場合は、少年鑑別所において適宜選
定すること。
(4) 選定した物品の記録
上記(3)の規定により超過量に相当する量の物品を選定したときは、仮留品書
留簿に記入し、同書留簿の摘要欄に「領置限度量超過」と記入すること。
(5) 売却等の手続
少年鑑別所の長は、法第53条第3項において準用する法第46条第2項の規定
による物品の売却をするに当たっては、古物商等の事業者(以下単に「古物商等」
という )を選定すること。当該物品について、古物商等への売却が可能な場合は、。売却手続を執った上、仮留品書留簿のてん末欄に当該古物商等の名称、売却年月日
及び売却代金を記入し、当該売却代金を領置すること。当該物品について、古物商
等への売却ができない場合には、廃棄手続を執った上、同書留簿のてん末欄に当該
古物商等の名称、廃棄年月日及び売却不能につき廃棄した旨を記入すること。
(6) 関係法令
売却又は廃棄に関する手続は、上記(5)によるほか、会計法令及び物品管理法
施行令並びに少年鑑別所会計事務章程(昭和24年法務省経甲第2751号大臣訓
令)によること。
9 所持私物の表示について
所持私物には、必要に応じて所有者を特定するための表示を行わせることとして差
し支えないこと。ただし、消耗品及びこれに類する所持私物以外の所持私物について
は、在所者の意思に反して、当該所持私物を原状に復することができない方法で表示
を行わせてはならないこと。
なお、自弁の書籍等については、平成27年5月27日付け法務省矯少第144号
当職依命通達「在所者の書籍等の閲覧に関する訓令の運用について」の規定によるの
で留意すること。
所持私物の保管方法等について10(1) 棚又は容器の上に所持私物を保管させる場合には、所持私物の重量、形状、落下
防止等に配慮し、その高さの上限を定めること。
(2) 所持私物を保管するための保管設備に、在所者に貸与され、又は支給されている
物品(以下「貸与等物品」という )を保管させ、及び貸与等物品を保管するための。場所に所持私物を保管させることとして差し支えないこと。
(3) 上記(2)により、貸与等物品の保管場所に所持私物を置かせることとしても、
それにより、下記11の所持限度量が増加することとなるものではないので、この
旨を在所者に周知すること。
(4) 在所者ごとに専用の保管設備を設けるなどの他の在所者の所持私物との取違えや
紛失を防止するための措置を講じること。
所持限度量等について11(1) 法第54条第2項の規定により少年鑑別所の長が定める在所者一人当たりについ
て所持することができる所持私物の量(以下「所持限度量」という )は、40リッ。トル以上とすること。
(2) 少年鑑別所の収容状況、設備等の事情により、上記(1)の所持限度量を確保で
きない場合には、当該事情が解消されるまでの間、確保することが可能な範囲で所
持限度量を定めて差し支えないこと。
(3) 在所者一人当たりについて保管することができる信書の通数は、25通以上とす
ること。
在所者に対する周知について12在所者の領置総量又は所持私物の総量が、少年鑑別所の長が定めた在所者一人当た
りの領置限度量又は所持限度量を超えた場合の取扱いについては、在所者の生活のし
おり等に掲載し、在所者に周知すること。
また、領置限度量を超過しないよう、必要に応じて、在所者に対し、差入れが予想
される相手方に、必要とする物品以外の差入れは行わないよう連絡することなどを指
導すること。
所持限度量の超過の認定基準について13数値をもって所持限度量を定めた場合において、所持私物の総量が所持限度量内に
あるかどうかは、所持限度量に相当する容量の箱を用意して、在所者に、所持私物を
当該箱に収納させ、収納しきれない所持私物がある場合に所持限度量を超えているも
のと認定すること。また、保管用の容器の容量を所持限度量とした場合において、所
持私物を当該容器に収納させ、引出し又はふたが閉まらない状態になった場合に、棚
等であれば、上記10の(1)で定めた高さを超えた場合に所持限度量を超えている
ものと認定すること。
領置品基帳への記載について14法第54条第1項の規定に基づき物品を引き渡した場合には、当該物品が同規定に
基づき引渡しをしたものであることが分かるよう、領置品基帳に適宜記載すること。
領置金品の交付について15法第56条(法第59条において準用する場合を含む。以下同じ 、第57条又は。)
( ( 、
第58条の規定により在所者に対して領置されている金品 法第98条 法第99条
第103条及び第104条において準用する場合を含む )に規定する文書図画に該当。するものを除く。以下「領置金品」という )の他の者(当該少年鑑別所に収容されて。いる者を除く )への交付を許すに当たっては、少年鑑別所の適正な管理運営を図る必。要から、次の事項に留意すること。
(1) 交付の方法としては、少年鑑別所の窓口で行う場合(以下「窓口交付」という )。( 。 。
) ( 「 」 。)及び郵送 宅配便を含む 以下同じ により行う場合 以下 郵送交付 という
があるところ、少年鑑別所の管理運営上制限する必要性が認められないときは、原
則としていずれの交付の方法も認めることが相当であること。
(2) 在所者が領置金品の窓口交付を申請したものの、長期間にわたり交付の相手方が
当該領置金品を引取りに来ないまま経過するなど、少年鑑別所の管理運営上支障を
生ずるおそれがある場合については、次の対応が考えられること。
ア 少年鑑別所の長が指定する期間が経過した時点で、窓口交付の申請のあった領
置金品を在所者に返戻し、領置総量を検査すること。
なお、少年鑑別所の長が指定する期間は、少なくとも2週間以上を指定するこ
とが相当であること。
イ 上記アに規定する期間が経過した場合には窓口交付から郵送交付に変更するこ
とを条件として、窓口交付の申請を受け付けること。、ウ 交付の相手方との間で領置金品の引取りの約束ができていることを条件として
窓口交付の申請を受け付けること。
(3) 上記(2)の対応を執った場合においても、当該領置金品について郵送交付の申
請があれば、これを取り計らうこととし、法第56条、第57条又は第58条の規
定による領置金品の交付の機会を奪うことにならないよう配慮すること。
金品の交付の申出の日等の制限について16(1) 金品の交付の申出の日
規則第32条第1項第1号イの規定により在所者に対する金品の交付の申出の日
を制限する場合においては、規則第47条第1項の規定により定める面会日(同項
に規定する「面会日」をいう )については、申し出ることを許す日とすること。。なお、付添人等又は弁護人等については、法第84条第1項に規定する日の少年
、 。
鑑別所の執務時間内に金品の交付の申出があった場合には これを受け付けること
(2) 自弁物品等の購入の申請の日
規則第32条第1項第1号イの規定により在所者による自弁物品等の購入の申請
の日を制限するに当たっては、月に2日を下回ってはならないこと。
なお、書籍等の購入については、在所者の書籍等の閲覧に関する訓令(平成27
年法務省矯少訓第12号大臣訓令)において、別途、基準が定められているので、
留意すること。
一人の者が一定の期間内に一人の在所者に交付する物品の種類ごとの数量を超える17 差入れへの対応について
規則第32条第1号ロに掲げる一人の者が一定の期間内に一人の在所者に交付する
物品の種類ごとの数量の制限(以下「交付物品数量制限」という )を超える差入れに。ついては、窓口において行われた場合には、制限することは可能であるが、郵送によ
り行われた場合(以下「郵送差入れ」という )には、制限することに物理的な困難が。、 、 。
伴うところ 少年鑑別所の適切な管理運営を図る必要から 次の事項に留意すること
(1) 常日頃から、在所者に対し、交付物品数量制限の内容を周知徹底するとともに、
、 、
これを超える差入れがなされた場合 差入人に引取りを求める場合があることから
在所者に対し、差入れが予想される相手方に、交付物品数量制限の内容についてあ
らかじめ連絡しておくよう、周知する必要があること。
(2) 上記(1)の周知にかかわらず、交付物品数量制限を超える数量の郵送差入れが
なされた場合について、交付物品数量制限を超えた差入物について制限を加えずに
在所者に交付する以外の対応としては、次の対応が考えられること。
ア 差入人に対し交付物品数量制限の内容について説明の上、差入人が今後交付物
品数量制限を超過する差入れを行わない旨約束した場合や、在所者が今後交付物
品数量制限を超過する差入れを行わないよう差入人に連絡することを約束した場
合において、初回に限り、交付物品数量制限を超えた差入物を在所者に交付する
こと。
イ 差入人に対し、交付物品数量制限の内容についての説明文とともに、交付物品
数量制限を超えた差入物を送付し、文書をもって引取りを求めること。なお、こ
の場合における送付費用は、今回に限り国費負担とするが、以後は差入人の負担
により引取りを求める旨を明記すること。
ウ 上記ア及びイの経緯があるなど、差入人が交付物品数量制限の内容について知
っていながら、あえて交付物品数量制限を超える差入れを行っていることが認め
られる場合は、差入人に対し、交付物品数量制限を超えた差入物について引取り
を求めることが相当であること。
この場合における当該差入物の引取りに要する費用は、差入人の負担とするこ
とが相当であること。
(3) 上記(2)ウの例示のように、交付物品数量制限を超える差入れをあえて繰り返
す差入人からの未決在所者に対する差入物については、これらの経緯を法第50条
第1項第1号の引取りを求める一事情として考慮して差し支えないこと。
購入する自弁物品等の種類ごとの数量の制限について18規則第32条第1号ロにより購入させる自弁物品等の種類ごとの数量を制
限するに当たっては、食料品、飲料及び嗜好品についての衛生保持の観点など、少
年鑑別所の管理運営上必要と認める場合、種類ごとの自弁物品等の合計金額により制
限することとして差し支えないこと。
事業者の指定(訓令第13条関係)19(1) 指定に当たっての調査事項
少年鑑別所の長は、訓令第13条の規定による調査を行うに当たっては、次の事
項について調査をすること。
ア 施設が指定する事業者としての適格性
イ 取り扱うことのできる物品
ウ 物品の価格
エ その他必要と認められる事項
(2) 協定書の締結
少年鑑別所の長は、事業者を指定したときは、当該事業者との間で次の事項を盛
り込んだ協定書を取り交わすこと。ただし、特定事業者(当職が特に定める事業者
をいう。以下同じ )が当職との協定に基づき取り扱う物品について、当該特定事業。者との間で協定書を取り交わす場合においては、カに掲げる事項を盛り込む必要は
ないこと。
ア 物品の販売又は取扱いに当たっては、迅速、親切、かつ適正に行うよう努める
こと。
イ 経営者の変更、店舗の移転等営業に関する重要事項については、あらかじめ少
年鑑別所の長に連絡すること。
ウ 飲食物等については清潔の保持に努めるとともに、販売する物品について、そ
の品質には十分留意すること。
エ 調理場その他自弁の物品を取り扱う場所において、食中毒その他保健衛生上の
問題が生じた場合又はそのおそれがある場合には、速やかにその旨を少年鑑別所
の長に連絡すること。
オ 物品の販売又は取扱いを通じて知り得た在所者に関する情報については、他に
漏らしてはならないこと。
カ 価格の変更又は取扱物品の変更を行う場合には、事前にその旨を少年鑑別所の
長に連絡し、協議を行うこと。
キ 上記の事項に違反し、その他不適当と認められる事由が生じた場合には、在所
者に対する物品の取扱いをさせないことがあること。
(3) 上記(1)の調査については3年ごとに行うこととし、引き続き事業者として指
定する場合は、新たに上記(2)の協定書を取り交わすこと。ただし、特定事業者
を指定する場合については、当職が同事業者との間で協定書を取り交わした後、速
やかに協定書を取り交わすこと。

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