所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)
改正前民法・旧ガイドライン
しろまる いわゆる共有私道で補修工事等を行う場合に、改正前民法の共有の規定
等の解釈が必ずしも明確でなく、事実上、共有者全員の同意を得る運用が
されていたため、支障が生じていた
⇒ 研究会においてケーススタディを行い、平成30年1月当時の法解釈を示した
(旧)所有者不明私道への対応ガイドラインをとりまとめ、公表
保存 管理 変更
各共有者が
単独で可能
各共有者の持分の
価格に従い、過半数
で決する
共有者全員の同意が必要
令和3年民法改正
共有制度の見直し
財産管理制度の見直し 相隣関係規定の見直し
保存 管理(広義) 変更
(軽微以外)
管理(狭義) 変更(軽微)
各共有者が
単独で可能
各共有者の持分の価格に従い、過半数で
決する
共有者全員の
同意が必要
・所有者不明土地管理制度の創設
・既存の相続財産管理制度の合理化 等
(注記)令和4年改正所有者不明土地特措法と併せて、関連する財産管理制度の申立
権を市町村長等に付与
・隣地でのライフラインの設備設置・使用権に関するルールの整備
・越境してきた竹木の枝を土地所有者が自ら切り取ることができる
ルールの整備 等
・共有物の「管理」の範囲の拡大・明確化(右図)
・賛否不明共有者以外の共有者による管理の仕組み
・所在等不明共有者以外の共有者による変更・管理の仕組み 等
しろまる 改正民法の解釈を明確化し、具体的なケースにおける法の適用関係を示すべく、共有私道の保存・管理等に関する事例研究会
(座長:松尾弘慶應義塾大学大学院法務研究科教授)を再開して検討を進め、令和4年6月7日付けでガイドラインを改訂
しろまる 改訂ガイドラインを法務省HPで公開するとともに、関係省庁・関係団体と連携して地方公共団体・事業者等に周知していく
【改訂ガイドラインのポイント】
➢ 改正民法の内容・解釈につき、コラムや図を用いてわかりやすく解説
➢ 私道の管理において問題となる全37事例につき、改正民法下での対処法を詳細に説明(改正前民法下での対処法も併記)
➢ 私道の管理の円滑化に役立つ政府・地方公共団体の取組をコラムで紹介
ガイドラインの改訂
(改正前民法のルール)
(改正民法のルール)
しろまる 土地の利用の円滑化の観点から、以下の各制度について様々な見直しを実施 R5.4.1施行
法務省民事局
令和4年6月
保存行為であり、単独で可
(事例1)
持分に応じた使用として
単独で可
(事例11)
共有物の管理に関する事項に当たり、
共有者の持分の過半数で決する
公共下水管の新設 (事例23)
舗装の修復 私有水道管の新設 (事例5) 樹木の伐採 (事例34)
軽微変更に当たり、共有者の持分
の過半数で決する
軽微変更に当たり、共有者の持分
の過半数で決する
【目次】
第1章 共有私道とその実態
1 共有私道の意義
2 実態調査(平成29年度)
第2章 共有私道の諸形態と民事法制
1 民法上の共有関係にある私道(共同所有型私道)
2 民法上の共有関係にない私道(相互持合型私道)
3 団地の法律関係
4 財産管理制度等
(1) 不在者財産管理制度
(2) 相続財産管理(清算)制度
(3) 会社法等に基づく清算制度
(4) 所有者不明土地管理制度
第3章 ケーススタディ(全37事例)
1 私道の舗装に関する事例(10事例)
2 ライフラインに関する事例(19事例)
【上水道関係】【下水道関係】【ガス事業及び導管関係】
【電気事業及び電柱関係】
3 その他(8事例)
1共同所有型私道 私道全体を複数の者が所有し、民法の
共有の規定が適用されるもの(図1)
2相互持合型私道 私道が複数の筆から成っており、隣接
宅地の所有者等が、私道の各筆をそれぞれ所有し、相互
に利用させ合うもの(図2)
改訂ガイドラインの概要
改正前民法では全員同意が必要とされていたケース
図1 図2
舗装の新設
1所在
等不明
2賛成
3賛成
2所在
等不明
3所在等
不明
1所在等
不明
4所在等
不明
5賛成
4賛成
3賛成
1賛成
・財産管理制度を利用し、裁判所が選任する財産管理人から私道の工事等の同意を得ることが可能。
・改正民法で創設された所有者不明土地管理制度の要件・手続等について、詳細に解説。
・併せて、所有者不明土地特措法において、市町村長等は、利害関係の有無を問わず、財産管理人の
選任請求をすることが可能とされていることを紹介。
・ライフラインの設備設置・使用権のルールの内容等を解説するとともに、設備設置権が成立する場合には、
隣地所有者の承諾書がなくとも民法上は設備設置が可能であることや、隣地所有者から不当な承諾料
を求められても応ずる義務はないことを明記。
財産管理制度の見直し関係
相隣関係規定の見直し関係
共同所有型私道における対処例
・共有物の利用の円滑化を図る改正民法の諸制度について、
詳細に解説。 共有制度の見直し関係
1〜6
の共同
所有型
私道
砂利道を
アスファルト
舗装
公道
(注記)樹木を全て伐採

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