1戸籍法部会資料 5-2
部会資料4からの変更点の説明
(注)本部会資料においては、中間試案の案を太字で示し、たたき台(その3)
(部会資料4)
からの実質的な変更点に下線を付した上で、必要な範囲でその説明を記載している。5第1 氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの戸籍の記載事項化に関する事項
1 戸籍の記載事項への追加
戸籍の記載事項として、戸籍法第13条に次のいずれかの規定を設けるもの
とする。
【甲案】氏名を平仮名で表記したもの10【乙案】氏名を片仮名で表記したもの
(注)氏名を平仮名(片仮名)で表記したものとして戸籍に記載することができる平仮
名又は片仮名の範囲は、平仮名についての表記を定める現代仮名遣い(昭和61年
内閣告示第1号)本文第1(直音、拗音、撥音、促音)又はこれを片仮名に変換し
たもののほか、小書き(
「ぁ」、「ァ」など)及び長音(
「ー」
)など、戸籍の氏名に15用いることができる文字も範囲に含めることが考えられる。
2 氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの許容性及び氏名との関連性
氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの許容性及び氏名との関連性に関す
る審査について、次のいずれかの案によるものとする。20【甲案】戸籍法には規定を設けず、権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法
の一般原則による(注1)。【乙案】権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法の一般原則によるほか、氏
名との関連性について、戸籍法に次のような規律を設けるものとする
(注2)。25
氏名を平仮名(片仮名)で表記したものは、国字の音訓若しくは慣
用により表音され、又は字義との関連性が認められるものとする。
【丙案】権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法の一般原則によるほか、氏
名との関連性について、戸籍法に次のような規律を設けるものとする
(注2)。30
氏名を平仮名(片仮名)で表記したものは、次のいずれかとする。
1 国字の音訓又は慣用により表音されるもの
2 国字の音訓又は慣用により表音されるものでなくても、字義との関
連性が認められるものその他法務省令で定めるものを届け出た(申し
出た)場合における当該表記35(注1)
【甲案】について法令に規定することも考えられる。 2(注2)
【乙案】又は【丙案】における「慣用」は、社会的にその氏名を平仮名(片仮
名)で表記したものが使用されているという社会的慣用を意味するものである。
(説明)
第4回会議において、本文【甲案】につき、権利濫用の法理、公序良俗の法理5等の法の一般原則によることとすれば、氏名との関連性の観点からの審査も可能
となるのではないかとの意見があったことを踏まえ、
「権利濫用の法理、
公序良俗
の法理等の法の一般原則」によることを提案している。
また、本文【乙案】及び【丙案】について、本文【甲案】と同様に法の一般原
則も適用されることが
(注)
の記載では分かりづらいとの意見があったことから、10本文において、権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法の一般原則も適用される
ことを明記することとした。
本文【丙案】について、従前提案していた2つの案を1つにまとめてもよいの
ではないかとの意見や、2につき、名乗り訓や部分音訓等、氏名を平仮名(片仮
名)で表記したものとして認めるものについては法務省令で規定することとする15ことも考えられるのではないかとの意見があったことを踏まえ、本文のとおり整
理することを提案している。
第2 氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの収集に関する事項
1 氏又は名が初めて戸籍に記載される者に係る収集20戸籍法第13条第1号に定める氏又は名が初めて戸籍に記載される者に係る
ものについては、
氏又は名が初めて戸籍に記載されることとなる戸籍の届書(出生、国籍取得、帰化、氏の変更、名の変更、就籍の届書等)の記載事項とし、
これを戸籍に記載することとする(注)。(注)例えば、
「届出事件の本人の氏又は名を初めて戸籍に記載するときは、届書にその氏25又は名を平仮名(片仮名)で表記したものを記載しなければならない。
」というような
規定を戸籍法に設けることが考えられる。
2 既に戸籍に記載されている者に係る収集
既に戸籍法第13条第1号に定める氏名が戸籍に記載されている者に係るも30のについては、次の案により収集するものとする。
既に戸籍法第13条第1号に定める氏名が戸籍に記載されている者は、一定
の期間内に市区町村長に氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの申出をしな
ければならないものとし、一定期間内に当該申出があった場合には、市区町村
長が当該申出に係る氏名を平仮名(片仮名)で表記したものを戸籍に記載する35ものとする。
一定期間内に当該申出がない場合には、市区町村長が国字の音訓又は慣用そ
の他法務省令で定める方法により職権で、氏名を平仮名(片仮名)で表記した 3ものを戸籍に記載するものとする(注)。(注)本人からの届出を促すため、届出義務を課し、正当な理由なく期間内に届出がない
場合には、過料の制裁を科す(戸籍法第137条参照)方法も考えられる。
(説明)5第4回会議において、本文のとおり申出事項と整理した場合であっても、届出
事項と整理した場合と同様に、できるだけ多くの国民に氏名を平仮名(片仮名)
で表記したものを申し出てもらえるよう、効果的な収集方法を検討する必要があ
るとの意見があったことなどを踏まえ、本文(注)において、届出義務を課すこ
とは、
「本人からの届出を促す」ための一つの方法であることを明記した。10第3 氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの変更に関する事項
1 氏又は名の変更に伴わない場合の規律
氏又は名の変更に伴わない場合の規律は、次のいずれかの案によるものとす
る。15【甲案】戸籍法に次のような規律を設けるものとする(注1)。1 やむを得ない事由【正当な事由】
(注2)によって氏を平仮名(片仮
名)で表記したものを変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載し
た者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出な
ければならない。202 正当な事由によって名を平仮名(片仮名)で表記したものを変更し
ようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければ
ならない。
【乙案】
【甲案】に加え、戸籍法に次のような内容の規律を設けるものとする
(注3)。25
氏又は名を平仮名(片仮名)で表記したものを変更しようとする者
は、成年に達した時から1年以内に届け出る場合その他法務省令で定
める場合に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出るこ
とができる。
(注1)成年に達した者が自ら氏名を平仮名(片仮名)で表記したものを届け出た(申30し出た)後、これを変更しようとする場合には、その変更の許否はより厳しく審査
されるべきものとすることも考えられる。
(注2)変更の要件について、氏の変更(戸籍法第107条)よりも緩和することとし、
「やむを得ない事由」に代えて「正当な事由」とする案も考えられる。
(注3)
【乙案】による変更は、一度に限ることとする。35(説明)
第4回会議において、氏名を平仮名(片仮名)で表記したものも、氏名と同様 4に社会的機能を有するものである以上、その変更に当たり家庭裁判所の許可を不
要とするのは相当でないとの意見が複数あったことや、民法第791条第4項に
規定する子の氏の変更の場合には、
復する氏が従前の氏に制限されているところ、
本文【乙案】においてはそのような制限がないことを考慮する必要があるとの意
見があったことなどを踏まえ、本文【乙案】につき、
「成年に達した時から1年以5内に届け出る場合その他法務省令で定める場合」に限定した規律とすることを提
案している。なお、この場合、本文【乙案】は、本文【甲案】と併せて採用する
ものとなることから、本文にその旨を明記することとした。
2 氏又は名の変更に伴う場合の規律10氏又は名の変更に伴う場合の規律は、次の案によるものとする。
戸籍法第107条第1項又は第107条の2の規定により氏又は名を変更し
ようとするときは、その平仮名(片仮名)で表記したものとともに、家庭裁判
所の許可を得て、その旨を届け出なければならないこととする。15(説明)
氏又は名の変更に伴う場合の規律として、従前、2つの案を提案していたとこ
ろ、第4回会議において、本文の案に一本化すべきとの意見が多数であったこと
から、本文の案のみを記載することとした。
以 上20

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