刑事手続における情報通信技術の活用
に関する検討会
(第11回)
第1 日 時 令和4年3月15日(火) 自 午後2時30分
至 午後3時06分
第2 場 所 法務省大会議室
第3 議 題 しろまる 議論(取りまとめ報告書(案)について)
第4 議 事 (次のとおり)
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議 事
しろまる仲戸川室長 ただいまから刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会第11回
会議を開催いたします。
しろまる小木曽座長 皆様、こんにちは。本日も御多用中のところ御出席いただきまして、誠にあ
りがとうございます。
まず、本日の配付資料について、事務当局から確認をお願いいたします。
しろまる仲戸川室長 本日は、議事次第及び前回会議における御議論を踏まえて修正いたしました
「刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会 取りまとめ報告書(案)」をお
配りしております。いずれも委員の皆様には、事前に送付させていただいたものです。
しろまる小木曽座長 ありがとうございます。
それでは議論に入ります。
前回会議でお示ししました「取りまとめ報告書(案)」について、皆様から頂いた御意
見を踏まえて修正をいたしました。本日は、この修正後の報告書案を基に、取りまとめに
向けた議論を行いたいと思います。
委員の皆様には、事前に修正後の報告書案をお送りしましたので、御一読いただいてい
るかと思いますが、もし更なる修正の御意見がありましたら、この場で御発言をお願いし
たいと思います。いかがでしょうか。
皆様、特段御発言はないということでよろしいでしょうか。
それでは、特段御意見はないようですので、この内容で本検討会の取りまとめ報告書と
するということでよろしいでしょうか。
(一同了承)
ありがとうございます。
それでは、この内容で、本検討会の取りまとめといたします。
本検討会におきましては、令和3年3月から、約1年にわたって、充実した議論をして
いただきまして、本検討会の総意として、本日、報告書を取りまとめることができました。
座長としまして、委員の皆様、関係官の先生方、そして事務当局の皆様に篤く御礼申し上
げます。ありがとうございました。
報告書の第4の「終わりに」にありますとおり、法務省には本検討会の検討結果を踏ま
えて、必要な法整備に向けた検討を迅速に行っていただくことをお願いしておきたいと思
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います。
それでは、残りの時間につきましては、委員の皆様から本検討会を振り返っての御感想
などについて御発言いただきたいと思います。
この検討会で委員の皆様に御発言を頂く最後の機会になりますので、この約1年の議論
を振り返っての感想、あるいは今後の検討に向けた要望など、どのようなことでも結構で
すので御発言いただければと思います。
委員名簿の順に指名いたします。
それでは、まずは池田委員、お願いいたします。
しろまる池田委員 一言感想を申し上げます。
まずは、この度、報告書の取りまとめに至り、刑事司法制度における情報通信技術の活
用に関して、現時点で考えられる大枠が示されましたことについて、小木曽座長を始め、
委員、関係官の皆様、また事務当局の皆様に心よりお礼を申し上げます。
具体的な検討課題については、共通の理解が得られたところもあれば、十分な合意に至
らなかったという点も相応に残されております。確かに対面が果たしてきた価値との関係
で、その重み、逆に言いますと対面や書面を省略する技術的手段の導入がどこまで許され
るのかの評価については、手続の関与者それぞれの立場から異なる見方があり得るところ
ではあると思います。
今後も情報通信技術の活用を巡る検討においては、それが取って代わることとなる様々
な手続的な価値の意義について、手続の関与者それぞれの立場がありながらも、可能な限
り共通に基盤とし得る理解が求められようと思いますので、そのような観点から引き続き
検討を深めてまいりたいと考えております。
しろまる小木曽座長 ありがとうございました。
市原委員、お願いします。
しろまる市原委員 まずは、本検討会での議論に参加させていただく貴重な機会を頂きましたこと
に感謝を申し上げます。
また、本検討会で充実した議論を行うことができましたのも、小木曽座長の御準備、
様々な御配慮などによるものと考えております。改めて御礼を申し上げたいと思います。
本検討会における議論を踏まえまして、今後、刑事手続の実務を担う関係機関それぞれ
において、刑事手続に情報通信技術を活用することを可能とするためのシステムの構築、
基盤の整備に向けた検討が進められることになると思われます。
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最高裁としましても、その一翼を担う立場として、システムの在り方等について検討を
行うことになりますけれども、本検討会においても議論されましたプライバシーへの配慮
等の点も踏まえつつ、合理的なものとなるように検討を進めてまいりたいと考えておりま
す。
また、今後、法制化に向けて更なる検討も行われるものと思われます。最高裁としまし
ても、法制化についての具体的な検討の内容や、法制化される条文によって明らかとなる
実務の運用イメージも踏まえつつ、最高裁判所規則の改正の要否やその内容についても検
討を進めてまいりたいと存じます。
改めまして、この度は誠にありがとうございました。
しろまる小木曽座長 ありがとうございました。
河津委員、お願いします。
しろまる河津委員 取りまとめに御尽力いただきました座長、委員、関係官及び事務当局の皆様に
心より感謝申し上げます。
取りまとめ報告書において、情報通信技術は、被疑者・被告人、被害者を始めとする国
民について、捜査・公判に関与する負担を軽減し、それらの者の権利利益の保護・実現に
資するために活用されるべきであることについて、認識が共有されたことを確認していた
だきました。
今後、情報通信技術を国民の権利利益の保護・実現のために活用するという観点から、
刑事訴訟法等の改正が検討されることを強く期待いたします。国民の権利利益の中でも、
取り分け、証人審問権などの憲法上の権利が、利便性のために犠牲にされることのないよ
う留意する必要があると考えます。
被疑者・被告人のビデオリンク方式による接見交通については、本検討会における検討
結果を踏まえ、更なる協議が進められることが期待される、との整理となりましたが、被
疑者・被告人が身体を拘束されている場所にかかわらず、弁護人の援助を受ける権利を実
現するため、速やかに協議が開始されることを求めたいと存じます。
国民は、被疑者・被告人という立場に置かれたとき、自由が奪われる危険にさらされ、
限られた時間や労力で自らを防御することを余儀なくされます。
そのような国民が、犯していない罪で処罰されることを防ぎ、刑事裁判の質を向上させ
るためには、弁護活動においても情報通信技術を有効に活用することが必要です。この点
については、情報セキュリティの確保という課題と併せて、弁護士会において研さん・準
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備を進めていきたいと考えております。
ありがとうございました。
しろまる小木曽座長 ありがとうございました。
佐久間委員、お願いします。
しろまる佐久間委員 皆様、お疲れ様でした。
これまで、刑事手続においては、収集した証拠は書面により記録され、警察、検察、裁
判所等の関係機関は、その書面化された証拠を物理的に運搬するという方法で業務を行っ
てきました。刑事手続のIT化は、そのような業務の在り方を根本から変更する非常に大
きな改革だと認識しております。
本検討会では、刑事手続において、情報通信技術を活用する方策としてどのようなもの
が考えられるのか。その方策を導入するとした場合、どのような法的課題があり、どうす
ればその課題を解決することができるのかという点を意識しつつ、刑事手続に情報通信技
術を導入・活用するための具体的な方策について、刑事手続の特性を踏まえ、望むべきI
T化が実現した際の具体的な実務の在り方を念頭に置きつつ、活発に議論・検討がなされ
たと思います。
私自身、1年間にわたりこの検討会に参加させていただき、刑事法研究者や実務家の委
員の皆様から、刑事手続において情報通信技術を活用することが必要な場面や、その際の
課題等について様々な意見を聞かせていただき、IT化を実現させるためには、関係機関
における相互理解や連携が極めて重要であることを強く実感いたしました。
本検討におけるテーマは、刑事手続全体において、情報通信技術の活用を図るというも
ので、論点も多岐にわたるものでした。全体の取りまとめに当たっていただいた小木曽座
長及び事務当局の皆様に改めて感謝申し上げるとともに、委員の皆様と有意義な意見交換
ができたことについて、私としても貴重な経験であり、委員の皆様に改めて御礼を申し上
げます。
刑事手続における情報通信技術を活用する方策については、刑事司法が対応すべき最重
要かつ喫緊の課題であると認識しており、本日取りまとめられた報告書を基礎として立案
作業がなされていくものと思いますが、引き続き活発な議論・検討がなされ、将来の情報
通信技術の発展や、それに伴う社会の変化にも対応できる法制度が構築されることを期待
しております。
また、刑事司法が国民のためにその役割を果たしていくためのIT活用方策については、
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検察といたしましても、関係機関と協力して積極的に検討を進めてまいりたいと考えてお
ります。
ありがとうございました。
しろまる小木曽座長 ありがとうございます。
笹倉委員、お願いします。
しろまる笹倉委員 私からも、まずは御関係の皆様にお礼を申し上げたいと存じます。
前回まで10回にわたる議論を重ねて、今日、11回目でこうして報告書を採択するこ
とができましたのは、座長、委員の皆様、関係官の先生方、そして、今この場ににいらっ
しゃる方もバックヤードにいらっしゃる方も含めて、事務当局の皆様の御尽力のたまもの
であると存じます。その一員として微力ながらも議論に参画できましたことを大変うれし
く感じております。
この検討会では,終始一貫して、対面とオンラインとでは何が違うのかということを議
論してきました。それについては、学説上、既にある程度の説明がされていてそれに依拠
すれば済む部分もあった一方、理論的に必ずしも十分に詰められていなかったり、明確に
言語化されていなかったり、あるいはそもそも意識すらされていなかったという部分もあ
り、後者については、この場で、何が違うのか、そしてその違いが手続法上の規律との関
係でどの程度の意味を持つものであるのかを見いだしていくという作業をしてきました。
ただ今採択された報告書の随所に、その成果が表現されていると考えております。
民事については既にIT化の法案が国会に提出されたものと承知しています。刑事につ
いても、本報告書を基礎として、民事を追いかける形で具体的な立案に向けた作業がこれ
から行われ、やがては法案として形になり、国会に提出されて法律になり、運用されるこ
とになるのだと思いますが、学説には、この検討会の成果を基に、理論面をさらに深化さ
せて刑事手続のIT化とその運用の理論的基盤を整備するという宿題が課されたのだと感
じています。私自身も、そのような宿題を課されたひとりとして、さらに検討を深めてい
きたいと考えています。ありがとうございました。
しろまる小木曽座長 ありがとうございました。
親家委員、お願いします。
しろまる親家委員 警察庁の親家でございます。
人事異動がありましたので、私の方は本検討会には終盤からの参加となりましたが、こ
れまでの議論につきましては、全て議事録で確認させていただきました。IT化という刑
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事手続において本格的に導入されていない新たな課題への対応ということで、様々な意見
や考え方が示される中、取りまとめを行っていただきましたことに対し、まずは座長並び
に事務局の皆様に感謝申し上げます。
今般の刑事手続のIT化の中で、令状の請求・発付や証拠収集のオンライン化など、捜
査手続に関するものにつきましては、必ずしも一般の国民が広く関与する性質の手続では
ありませんが、こうした手続に情報通信技術を活用し、捜査の効率化・迅速化を図ること
によって、被疑者の早期検挙や犯罪抑止のための諸活動により多くの警察力を投入するこ
とが可能となります。そうした意味では、IT化は関係機関における事務の合理化にとど
まるものではなく、正に国民や社会全体の利益につながる有益なものであると考えており
ます。
このIT化の実現に向けては、制度面の更なる検討に加えまして、必要となるシステム
の構築や予算の確保など、難しい課題をクリアしなければなりません。警察としては、本
検討会における議論の結果を踏まえつつ、関係省庁等、あるいは関係団体と連携し、国民
の安全・安心につながるIT化が実現できるよう、検討を進めてまいりたいと考えており
ますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
しろまる小木曽座長 ありがとうございます。
永渕委員、お願いします。
しろまる永渕委員 この度は、刑事手続において情報通信技術を適切に活用することについて、
様々なお立場の皆様と共に議論するという貴重な機会を頂き、まずは感謝申し上げたいと
思います。
本検討会における議論を通じまして、刑事手続の本質、すなわち、事案の真相を明らか
にし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現するという特性を踏まえ、その性質に応じた情
報通信技術の適切な活用により、より一層迅速で質の高い刑事裁判を実現することが何よ
りも重要であるということが改めて確認されたものと受け止めております。
また、本検討会においては、刑事手続における個々の具体的な場面において、どのよう
に情報通信技術を活用することが考えられるか、その場合の
あい
隘路としてどのようなものが
あるかといった点につきまして、ある程度具体的なイメージを思い描きながら、委員の皆
様と意見交換を行うことができたように受け止めております。
今後、本検討会における議論の内容を踏まえまして、法制化に向けて更なる検討が行わ
れるものと思われます。法制化に向けた検討に当たりましては、本検討会における議論と
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同様、情報通信技術を活用した場合の具体的な運用のイメージを念頭に置いた上で、その
ような運用の姿が条文からも明らかになるようなものとなることを、裁判所で刑事裁判実
務を担当する立場からは期待したいと存じます。
本日の取りまとめに向けた小木曽座長及び事務当局の皆様の御尽力に心より敬意を表し
ますとともに、他の委員の皆様、それから関係官の皆様にも御礼を申し上げたいと思いま
す。どうもありがとうございました。
しろまる小木曽座長 ありがとうございました。
成瀬委員、お願いします。
しろまる成瀬委員 既に複数の委員から御指摘がございましたが、刑事手続における情報通信技術
の活用方策を考えるためには、これまで紙媒体の書類及び対面でのやり取りによって行わ
れてきた各種の手続に、どのような意義や価値があったのかを、一つ一つ丁寧に検討し直
す必要がありました。
そこで、私は、各回の議論に参加させていただくに当たり、このような基本的な問題に
立ち返って深く考え、各手続の意義や価値をなるべく損なわない形で、できることならば
その意義や価値をよりよく実現する形で情報通信技術を活用するという方針の下、意見を
述べてまいりました。
他の委員の皆様に御教示いただくことの方が多かったと思いますが、本検討会の議論の
進展に少しでも貢献することができたとすれば幸いです。
本日、取りまとめられた報告書において、多くの論点について情報通信技術を積極的に
活用する方向で委員全員の意見が一致したことは、大きな成果だと思いますが、報告書内
で「一定の要件」という文言が繰り返し用いられていることからも分かるように、更に詰
めるべき問題も多く残されています。今後どのような形で立法に向けた作業が進んでいく
のか分かりませんが、法務省には、こうした点について十分に議論を尽くす場を設けてい
ただくことをお願いしたいと思います。
最後になりましたが、多岐にわたる論点を議論するに当たり、円滑な議事進行及び取り
まとめに御尽力くださった小木曽座長、豊富な学識及び実務経験をいかして真摯に議論し
てくださった委員及び関係官の皆様、そして、各回の配付資料の作成やオンライン会議の
開催準備、取りまとめ報告書案の作成に当たって、適確かつ周到な作業をしてくださった
事務当局の皆様に、深く感謝申し上げたいと思います。1年間ありがとうございました。
しろまる小木曽座長 ありがとうございました。
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それでは、最後に、 澤委員、お願いいたします。
しろまる 澤委員 昨年3月から1年間にわたりまして、貴重な検討会に参加させていただきまし
て、誠にありがとうございました。
被害者や御遺族の方々というのは、犯罪に巻き込まれ、刑事手続に関与せざるを得なく
なった方々です。そして、刑事手続に関与するということは、どうしても多大な精神的な
苦痛を伴ってしまうものだと思います。
ビデオリンク方式での証人尋問や被害者参加制度が導入され、相当期間が経過する中で、
私のこの検討会での役割としましては、そのような被害者や御遺族の方々の精神的苦痛を
少しでも減らすこと、減らす選択肢を被害者や御遺族側が得られるようにすることだと思
い、その必要性などについて、現場で実際に生じている問題点を通じ、実務の観点から述
べさせていただいたつもりです。
ただし、一方で、書面や対面方式に比べ、電子データであったり、オンライン方式とな
りますと、どうしても情報の流出・拡散という不安が被害者側としても大きく感じられる
という面もあります。今後も更に検討がなされることと思いますが、このようなプライバ
シーの流出、セキュリティ面への配慮も十分に考慮しながら、少しでも被害者や御遺族の
精神的負担が軽減される選択肢を認めていただく方向で、迅速に法整備がなされることを
切に願っております。
しろまる小木曽座長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、検討会に御出席いただきました関係官お二人から御発言を
頂きたいと思います。
まず、法務省特別顧問の井上関係官、お願いいたします。
しろまる井上関係官 1年にわたって、皆様の熱心な御議論を拝聴させていただき、大変勉強にな
りました。本日報告書を取りまとめることができたことを、大変うれしく存じております。
小木曽座長始め皆様の御尽力に心から感謝申し上げます。
言うまでもないことですけれども、高度に発展し普及した情報通信技術には我々が日々
その恩恵にあずかっているところですが、これを司法やその関連分野に活用することによ
って、その効率性・迅速性や、独り関係機関のみにとどまらず、当事者や被害者、あるい
は証人その他関係する方々の利益という意味での利便性の向上を図るということは、喫緊
の課題になっており、先ほど触れられたように、民事手続の方では議論が一歩も二歩も先
行していまして、先だって2月の法制審議会総会で、民事手続に関する情報通信技術の活
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用に関する法整備の基本的な枠組みを示す要綱が採択されたところでありますが、刑事手
続の方でも、本日まとまった報告書により、今後関連する法制や実務運用、並びにシステ
ムの整備に向けての基本的な見取図が示されたわけであります。これを基にそれぞれの点
における整備を積極的に、かつ速やかに進めていっていただきたいと願います。
もちろん、この報告書でも、今後に残された課題も決して少なくありませんし、また、
実際にこれを制度化し、あるいは法制化し、システム整備も行って実施してみたところ、
予想とは違ったところが出てくるとか、全く予想もしていなかったような新たな課題が出
てくるということもあり得ます。しかも、関連するテクノロジーが日進月歩の勢いでさら
に進歩・発展していくでしょうから、それに伴って新たな課題がたくさん出てくるように
思います。
それに対して、関係者において様々に工夫をし、柔軟に対応するとともに、改めるべき
ところは改めていくという姿勢で取り組んでいくということが肝要だろうとかんがえます
が、そういう今後の取組においても、皆様の更なる御尽力を是非お願いしておきたいと思
います。
どうもありがとうございました。
しろまる小木曽座長 ありがとうございました。
それでは、法務省デジタル統括アドバイザーの進関係官、お願いいたします。
しろまる進関係官 私は、法務省の各種情報システムの企画、調達、開発設計、運用等に関与する
立場として、それから、情報通信技術の専門家として、この検討会に参加させていただき
ました。
検討の中で、刑事手続に関係する情報通信技術の動向につきまして、その時点で考えら
れる技術を説明する機会を頂きました。委員の皆様には、その際には多くの御質問や御意
見を賜りまして、ありがとうございます。そのやり取りの中で、皆様の意識の高さですと
か、まずは御期待を非常に感じることができました。
今後、この報告書を基礎といたしまして、様々な検討がなされ、法制化が進むものと期
待しておりますけれども、先般、世界情勢という点でいうと、実は情報通信技術が進歩す
るだけではなくて、その進歩に応じて、例えばセキュリティ脅威ですとか、呼応する形で
危険もどんどん拡大しております。ですから、単に高度化する技術をうまく活用するだけ
ではなく、それをちゃんと防御する方にも使わないといけないと、それ自身が、皆様が
常々御指摘していただいたように、プライバシーを始めとして様々な情報を守るというこ
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とが技術の役割でもあろうかというふうに思ってございます。
デジタル統括アドバイザーの立場として、将来的にこの技術を様々な形で取り入れる段
階におきましては、皆様の御期待に沿う形でしっかり導入・調達してまいりたいと思って
ございますので、引き続きいろいろ御指導賜る場面があろうかと思います。
今回は、小木曽座長、委員、それから井上先生を始めといたしまして、それから事務局
の多大な努力もあったと思います。皆様に感謝申し上げます。どうもありがとうございま
した。
しろまる小木曽座長 ありがとうございました。
続きまして、本検討会を終了するに当たって、事務当局であります法務省刑事局から御
発言をお願いいたします。
しろまる川原刑事局長 法務省刑事局長の川原でございます。
本検討会の終了に当たりまして、事務当局を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げま
す。
小木曽座長、委員、関係官の皆様方におかれましては、昨年3月の第1回会議以降、本
日の第11回会議までの間、約1年間にわたり、御多忙のところ本検討会に御出席いただ
き誠にありがとうございました。コロナ禍の影響もありまして、主としてウェブ会議方式
による会議となりましたが、皆様の御尽力により充実した御議論を頂くことができました。
事務当局として厚く御礼申し上げます。
本検討会におきましては、刑事手続全般を対象とした多岐にわたる論点項目について、
委員、関係官の皆様それぞれのお立場から、諸外国における法制・運用の実情や、現在の
情報通信技術を踏まえつつ、実務の実情や刑事法の基本原則との整合性など、幅広い観点
から御意見を頂き、本日取りまとめていただいた報告書において、今後の検討に当たって
の方向性や、その視点・留意点とともに、意見の相違点や更に議論が必要な点も示されま
した。
法務省といたしましては、この取りまとめ報告書、また、これまでに皆様から頂いた御
意見を踏まえ、刑事手続における情報通信技術の活用に向けた法整備の検討を、着実に、
かつ、スピード感を持って進めてまいりたいと考えております。
皆様におかれましては、今後とも法務行政に対して変わらぬ御理解と御協力を賜ります
よう、よろしくお願い申し上げます。
しろまる小木曽座長 どうもありがとうございました。
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それでは、私からも一言申し上げることにいたします。
今回の検討は、個人的には刑法典が平仮名になったときと同じような歴史的な作業であ
るという印象を受けております。幅広い事項について、多くの視点、意見が示され、今後
何十年かにわたっての刑事手続のプラットフォームになる議論ができたのではないかと考
えております。
コロナ禍で、委員の皆様とじかに、それこそ対面することなく会議を開催してまいりま
した。IT化の検討会ということで、会議の性質と一致した開催方法であったといえばそ
うなんですけれども、これはなかなか寂しいんですね。今も法務省の大会議室におります
けれども、なぜ私が寂しいかというと、皆様がいらっしゃらないからなんですが、そのよ
うなことがありまして、この検討会に関与することになって、先ほど笹倉委員がおっしゃ
いましたけれども、人が直接会うのとオンラインで会話するのと何が違うのかということ
をずっと考えてきました。
裁判の場面ですと、被告人が公判期日に出頭するのが当たり前だと思ってまいりました
し、証人尋問を対面でするのとビデオリンクでするのとでは違いがあるだろうということ
は、感覚的には分かるわけですけれども、しかし、その理由を言語化して説明しようとす
ると、なかなか難しい。これは、法学のみならず、幾つかの行動科学の知見を動員して説
明しなければならないのではないかと思うに至りました。そうした知見を総合して、法制
度と結び付けて説明するのは、やはり研究者の仕事であると思います。
そのような勉強の機会を得たという意味でも、皆様と共にこの作業に関与することがで
きたという意味でも、非常に貴重な経験をすることができました。改めて検討会に関与さ
れた全ての皆様に心からお礼申し上げます。どうもありがとうございました。
さて、本日の議事につきましては、特に公表に適さない内容に当たるものはなかったと
思いますので、発言者を明らかにした議事録を公表することにいたします。また、配付資
料についても公表することにいたします。そのような取扱いでよろしいでしょうか。
(一同了承)
ありがとうございます。では、そのようにいたします。
それでは、これをもちまして、刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会を
終了いたします。どうもありがとうございました。
-了-

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